
先週末は打合せ終わりで、友人建築家の若原一貴さんのオープンハウスへ。
玉川上水に抜ける緑道の窓がこの住宅のメインの見せ所だったと思うのですが(みんなFBに写真を上げていた)、私が若原さんらしいなと思ったのはむしろ道路側に抜けたさりげないこの窓でした。
この家何が特殊って、男性の一人暮らしという要件だと思うんですね。緑の見える窓や立体的な構成は、緑道沿いの敷地ならどこでも成立するし、実際この家のプランも若い新婚さんの住まいだと言われても成立すると思うのですが、ダイニングに身を置く時、誰かと向き合うことなく一人で座るならテーブルのこっち側だよな、という視点からこの窓を眺めると、そこにまっすぐ伸びるこの道。
ちょっと感動しました。テーブルの反対に座ったら、この景色は見えないからです。
外観も、実はアシンメトリーなんですよね。ダイニングの窓が少しずれてる。緑道の窓を完璧なシンメトリーに配置したなら、私ならきっとこちらもシンメトリーにこだわりたくなるだろうな。でもそこに囚われすぎずに、徹底して内部の視点から作っていく。

私は住宅設計の真髄はここにあると思います。唯一無二であること。ただ一人の建主に向き合うということ。それが敷地環境にぴったりはまった時、建主はとびきりのフィット感を得るのだと思います。
皆が内部を見学している時もずっと外にいる若原さん。なんで入らないの?と聞いたら、みんな僕に気を遣って好き勝手なこと言えないでしょと。なるほど、やっぱり住宅の名手は気遣いの達人なんですね。


今日はスタッフを連れて、秦野市にある北欧家具taloまで。たびたび書いていますが、オーナーの山口太郎くんとは幼なじみの間柄でもあります。
北欧家具talo | https://www.talo.tv/
訪問の目的は、今進めている案件についての意見交換と、椅子座面の張り替え講座!なんで椅子の座面の張り替えを学ぶ必要があるのかというのはまた追々ご説明しますが、この日はスタッフ揃ってプチ遠足気分で秦野までやってきました。

まずは太郎先生のレクチャーから!
当たり前ですけど、さすがプロ。北欧家具taloの座面張り替えはほぼ1人でやっているというだけあって、ツールの使い方や選び方、シワの入らない生地の張り方まで実に細かくレクチャーしてもらいました。
事前にYouTubeでもやり方を調べていたのですが、やっぱり色々と違いがありました。百聞は一見にしかず。やっぱり実演に勝る学びはないですね。



私もスタッフも早速の実践です。流れるような太郎くんの手順を見ていたのに、自分でやるとなかなかうまく行きません。隣からも厳しい太郎くんからの叱責が飛びます!
最後はようやくぐるっとステープルを打ち終えて、失敗はあったものの、なんとか張り地を張り終えることが出来ました。もう少し練習が必要ですが、スタッフも張り字交換のコツや勘所をだいぶ学べたようです。
リオタデザインは家具屋でもやるのかって?まぁまぁ、それもそのうち話します。

太郎くんは先週までフィンランド。そしてまた2週間後にはふたたびフィンランドと、日本にいる暇がありません。そんな中ピンポイントに押しかけたというのに、この手厚さ!ほぼ神です。
taloには太郎くんに会いに定期的に押しかけて、お互いの近況報告をするのが私にとっても何よりの楽しみになっています。お互いほぼ同年代ということもあって、これからの仕事のしかたや展望、お互いの夢なども語り合って、この日もとっても実のある時間となりました。
太郎くん、本当にありがとう!!来るべき協働の機会も楽しみにしています。
私は「関本さん」と呼ばれるのがあまり好きではない。
もちろん私は「関本さん」なので、そう呼ばれることは間違いではないのだけれど、私は「関本さん」よりも「リオタさん」と言われた方が嬉しい。関本は私のファミリーネームだけれど、リオタ(フィンランド時代のニックネーム。Ryota⇒Riota)は私だけの名前だからだ。
リオタデザインという事務所名にした時はそこまで考えていなかったけれど、独立後、結果的に私は「リオタさん」と呼ばれることが多くなった。呼んでいる方の多くは私のことというより、リオタデザインを短縮してそう呼んでいたりするのだけれど、そう呼ばれると私は少し嬉しくなる。
フィンランドでは、私はずっと「リオタ」だった。あの国で苗字で呼ばれることなどほとんどない。目上の人だろうと、大学の先生だろうと、呼び合うのはファーストネームだ。そのフラットさが好きだった。出自や肩書を離れて、相手のパーソナリティと直接繋がれるような気がするからだ。
そんなことをずっと考えていたのだけれど、この夏スタッフが入れ替わったことを機に、所内でもファーストネーム制を導入することにした。私のことを「関本さん」と呼ぶことを禁止した。スタッフも苗字じゃなくて下の名前で呼ぶことにした。
ある日突然そう宣言したので、最初はスタッフも戸惑いぎこちない空気も流れたけれど、1週間もするとすっかり馴染んだ。
相手を下の名前で呼ぶと、急に親近感が湧くから不思議だ。スタッフも「部下」というより「仲間」という感じになる。そして「リオタさん」と呼んでもらうと、やはり「上司」感がなくなってフラットになるように感じる。スタッフもお互いを下の名前で呼び合うようになった。
これはやってみると劇的ともいえる効果があって、所内の風通しや雰囲気は格段に良くなったように感じる。私も立場上彼らに厳しいことを言うこともあるけれど、下の名前で呼べばフォローもしやすくなる。
この夏休みは、オープンデスクの学生もみんな私のことを「リオタさん」と呼んだ。私も相手の名前は下の名前で。これは最高!お互いすぐに打ち解けるし、緊張していた学生も一気にほぐれてくれる。
私が理事を務めるSADI(北欧建築・デザイン協会)では、理事にも大学の名誉教授のような重鎮の方がたくさんいらっしゃるのだけれど、相手に「先生」をつけるのはやめようと”先生”自らが言い出し、すべての理事が「さん」付けになった。こんな組織って素晴らしい。世の中、地位や肩書にしがみついている人たちばかりだからだ。
結婚すれば苗字も変わるけれど、人としての本質は変わらない。だから職場でも下の名前を標準にすればいいのにと思う。いちいち言い訳しながら旧姓を名乗る必要もないわけだし。苗字も肩書も世間体も外して、もっと人と人とがフラットに、そしてフレンドリーにつながる世の中になれば良いのにと思う。
もちろん私は「関本さん」なので、そう呼ばれることは間違いではないのだけれど、私は「関本さん」よりも「リオタさん」と言われた方が嬉しい。関本は私のファミリーネームだけれど、リオタ(フィンランド時代のニックネーム。Ryota⇒Riota)は私だけの名前だからだ。
リオタデザインという事務所名にした時はそこまで考えていなかったけれど、独立後、結果的に私は「リオタさん」と呼ばれることが多くなった。呼んでいる方の多くは私のことというより、リオタデザインを短縮してそう呼んでいたりするのだけれど、そう呼ばれると私は少し嬉しくなる。
フィンランドでは、私はずっと「リオタ」だった。あの国で苗字で呼ばれることなどほとんどない。目上の人だろうと、大学の先生だろうと、呼び合うのはファーストネームだ。そのフラットさが好きだった。出自や肩書を離れて、相手のパーソナリティと直接繋がれるような気がするからだ。
そんなことをずっと考えていたのだけれど、この夏スタッフが入れ替わったことを機に、所内でもファーストネーム制を導入することにした。私のことを「関本さん」と呼ぶことを禁止した。スタッフも苗字じゃなくて下の名前で呼ぶことにした。
ある日突然そう宣言したので、最初はスタッフも戸惑いぎこちない空気も流れたけれど、1週間もするとすっかり馴染んだ。
相手を下の名前で呼ぶと、急に親近感が湧くから不思議だ。スタッフも「部下」というより「仲間」という感じになる。そして「リオタさん」と呼んでもらうと、やはり「上司」感がなくなってフラットになるように感じる。スタッフもお互いを下の名前で呼び合うようになった。
これはやってみると劇的ともいえる効果があって、所内の風通しや雰囲気は格段に良くなったように感じる。私も立場上彼らに厳しいことを言うこともあるけれど、下の名前で呼べばフォローもしやすくなる。
この夏休みは、オープンデスクの学生もみんな私のことを「リオタさん」と呼んだ。私も相手の名前は下の名前で。これは最高!お互いすぐに打ち解けるし、緊張していた学生も一気にほぐれてくれる。
私が理事を務めるSADI(北欧建築・デザイン協会)では、理事にも大学の名誉教授のような重鎮の方がたくさんいらっしゃるのだけれど、相手に「先生」をつけるのはやめようと”先生”自らが言い出し、すべての理事が「さん」付けになった。こんな組織って素晴らしい。世の中、地位や肩書にしがみついている人たちばかりだからだ。
結婚すれば苗字も変わるけれど、人としての本質は変わらない。だから職場でも下の名前を標準にすればいいのにと思う。いちいち言い訳しながら旧姓を名乗る必要もないわけだし。苗字も肩書も世間体も外して、もっと人と人とがフラットに、そしてフレンドリーにつながる世の中になれば良いのにと思う。

この夏三人目、最後のオープンデスクの学生がやってきました。征矢(そや)俊介くん、東京電機大学の二年生です。征矢くんの家は埼玉の桶川市とのこと。何をかくそう、私は桶川市川田谷の出身。とても親近感が湧いてしまいました。
これは4年制大学の建築学科学生あるあるなのですが、頭でっかちに難しいことを考えすぎて、なかなか図面が描けないというのがあります。その点専門学校の学生さんは、シンプルな考えでどんどん筆が進むのですが、征矢くんも案の定、初日はなかなか手が動かず苦労したようです。
まずはそんな凝り固まった思考を解きほぐすところから。住宅はとにかく住まい手の生活を思い浮かべ、それに寄り沿うというのが第一。奇抜な形やコンセプトはいらないのです。
具体的にアドバイスをすると、勘が良いのか次第にどんどんスケッチを書き飛ばすようになっていきました。最後のプレゼンでは、太陽光が差し込むように配置された窓や、生活を具体的にイメージしたような地に足が付いたプランを提案してくれました。短い期間でしたが、実際の住宅の設計というのはどういうものなのか、大学の課題とは少し違った切り口で理解してくれたように思います。
残りの時間で模型まで作ってくれました。なかなか斬新!よく考えて辿り着いた先にある形であれば、説得力を持つことを学んでくれたのではないかと思います。
お疲れさまでした!また見学会など遊びに来て下さいね。


