
今回のフィンランド旅行では自分のものはほとんど買わなかったのだけれど、唯一パイミオサナトリウムで売っていたオリジナルポスターに一目惚れして買ってしまった。アールトのいろんなデザインアイコンが擬人化されていて、ユルくてとてもかわいい。早速額装して、事務所の廊下の壁に。
下の写真は7年前にフィンランドに行った時に買ったもの。皆川明さんがアルテックとコラボして作ったドムスチェアのオリジナルポスター。当時、ドムスチェアを買ったらもれなく貰えるというめちゃくちゃハードルの高いノベルティだったのだけれど、ヘルシンキのアルテック本店に行ったら普通に売ってた笑。しかも誰もそれに気づいていないという。
めちゃくちゃ掘出し物見つけた気分で買って帰り、やはり額装して事務所の廊下へ。次買ったら掛けるところないな。でもまた買っちゃうだろうな。


一部の方にはお話ししていましたが、9月2日~9日までの間フィンランドに行っていました。今はもうすでに帰国して仕事の波にすっかり呑み込まれ、あの夢のような日々はすでに遠い昔のことのようです。
その旅行の一部始終については、以下のJIA関東甲信越支部のサイトにレポート記事を上げさせて頂きました。ご興味ありましたら是非お読みください。
■JIA住宅部会『北欧アルヴァ・アールトを巡る旅』レポート
https://www.jia-kanto.org/kanto/activity_event/tour/13148.html
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今回は個人旅行ではなく、日本建築家協会(JIA)の住宅部会で主催したアールト旅行の、一応私が主査ということで企画した旅行でした。
参加者はJIA会員のみならず、SADI北欧建築・デザイン協会や一般の方もご参加下さいました。その人数実に30名、、多かった(汗)最後はキャンセル待ちまで出る事態でさすがのアールト人気を実感しました。
早くも来年も、、なんて声もかけて頂いていますが、とてもとても。たぶん私死んじゃう。あと数年はいいかな、、。ゆっくり今回のごちそうを消化していきたいと思います。




その昔、といっても比較的最近まで、購読する建築専門誌などを見るたびに自分の才能のなさに落胆するということが多くあった。自分なりの美意識や考え抜いたつもりの設計であっても、掲載された斬新な建築空間を見るとまるでその足元にも達していないような、ひどくつまらない仕事を自分はしているような感覚にすら陥った。
いつしか私は建築雑誌をあまりひらかなくなった。この世に存在するパラレルワールドのように、自分はきっとその世界に交わることはないのだろうと諦めの境地を抱きながら、自分の腑に落ちる感覚だけを信じてやってきた。それが正解なのかはわからぬまま。
先日、北欧建築・デザイン協会(SADI)において会長に就任したことを書いた。それからしばらくしてSADI会員でもあるタニタハウジングウェアの谷田泰さんより、会長就任の祝辞と共に一冊の本が届いた。
『Beauty for All』
19世紀の終わりから20世紀初頭にかけて活躍したスウェーデンの哲学者にしてデザイン理論家のエレン・ケイが、今から120年以上も前に著した本を、今年5月に池上貴之氏による翻訳であらたに刊行されたものだそう。
そんな昔に書かれた本が現代とどうシンクロするのだろうか?そんな不安は読み始めてすぐに払拭した。池上氏による翻訳が素晴らしく、つい最近書かれた本であるかのように引き込まれ、その言い回しや内容も含めてすっと胸に入ってきた。
この本では人が日々の生活の中に美しさを見いだし、そして幸せに暮らすにはどうすればよいか、お金がなくても心豊かに暮らすにはどうすれば良いかということについて、終始平易な言葉で綴られている。
中でも私の胸に響いたのは、以下の一文だった。
「いちばん大切なのは、その人のテイストです。(中略)大切なものを捨ててまで、住まいを他人の住まいに似せることほど愚かなものはありません」
冒頭の話につながるけれど、ここ最近切に思うことは、設計だけでなく生活のあらゆる場面において「自分らしく」振る舞うということの大切さについて。他者に振り回されず、自分自身であり続けることがどれほどの強いパワーを放つものかを身をもって感じることが多く、それが最近の自分の自信にもなっている。
建築雑誌をひらかなくなったのは、そういうことが背景にあるような気がする。自分を他者と比べて、自分のほうが劣っているなんて考える必要はないのだ。自分は自分自身でいよう。エレン・ケイが訴える美の価値観とは、ひっくるめて言うときっとそういうことに違いない。
私は北欧社会の考え方で最も尊く共感するのは、個人尊重の考え方だ。私は私、あなたはあなた。それを認める社会はとても生きやすいし、自分が自分らしくいられると思う。
我々が日々向き合っている住宅設計の目的もまたそこにある。何か特定のスタイルに寄せることなく、ノースタイルを貫くということ。時にそれは無国籍であり、ジェンダーレスであり、ニュートラルで、タイムレスですらもある。
『美しさをすべての人に』
よりフラットに、よりひらかれた社会、そして建築。なんだかそんなことがぐるぐると頭の中を巡った。今後何度も読み返す本になるかもしれない。
谷田さん、素晴らしい書をありがとうございました!

梅雨明け!の一枚
マリメッコのシーツがバナーのようになる瞬間
マリメッコ展!て心の中で思います。
束の間の涼しさから一転、またあのうだるような暑さが戻ってくるのでしょうか。我が中庭にだけは、世界最高の夏を謳歌している北欧の風が吹いてもらいたいものです。

今日はかつて山田憲明さんの構造事務所で弊社の構造を担当してくださり、現在はノルウェーの構造事務所でお勤めの中太郎さんが一時帰国中で事務所まで遊びに来てくれました。
もう彼もノルウェーでの生活が2年半となったとのこと。現地での生活のこと、子供の学校のこと、仕事のことなどスタッフみんなで根掘り葉掘り質問大会でした。彼も元気そうで何より。
この夏は北欧から多くの友人知人達が一時帰国中で、毎回お話を聞くのがとても楽しみになっています。


食事後は気密試験を予定していた坂戸市の「回廊の家」に中さんも一緒にお連れして全員で移動。
イレギュラーな納まりのある大空間でしたが、結果的にC値で0.3といううちの事務所としてはまずますの数値で、工務店さんとも胸をなで下ろしました。
この住宅ではほかにも長期優良住宅・耐震等級3・断熱等性能等級6・BELS・LCCM認定を取得していてソーラーパネルも9.9kw搭載というハイスペック。リオタもやればできるんです。
とても楽しく賑やかな一日となりました!

