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sekimoto

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先月引渡したS/Yは、入間市に建つ小さなヘアサロンを併設した店舗併用住宅でした。

以前ブログにも書きましたが、サロンオーナーのIさん(奥様)は私の髪を以前より切って下さっている方で、ヘアサロンの設計ははじめてでしたが、設計依頼もある日髪を切って頂いていた時という、こちらも初めての体験でした笑

こちらのヘアサロンが、昨日ようやくオープンの日を迎えました。Iさんの5年越しの夢がいよいよ叶った瞬間です!私としてもとても感慨深くこの日を迎えました。私は記念すべき第1号のお客さんとして、昨日も足を運ばせて頂きました。

この日は開店に合わせて多くの方からお花などが届いていて足の踏み場もないほど。こうやって祝福されてお店がオープンするというのは、やっぱりいいですね!


サロンはわずか5坪程の極小空間なのですが、Iさんがひとりで営むにはちょうど良い大きさ。席もたったひとつしかありません。

席がたったひとつしかないということは、髪を切って頂いているときはお店が貸し切り状態になるということですよね。宿でも最近一棟貸しの宿などもありますが、これはなんと贅沢なことだろうと思います。


先月の引渡しまでは、私は設計者として関わっていましたので、随所の納まりや竣工までの段取りなどに気を配る日々でしたが、この日はあらためて”お客さん”として足を運んだことで、別の視点からの発見もたくさんありました。

空間は極小なのに天井高は5mもあるのと、視線の抜ける窓を随所に設けているので閉塞感はなく、髪を切って下さるスタイリストのIさんとの気詰まりな感じもありません。

また照明は髪の色がわかりやすいように色温度が変えられるスポットライトを設けていて、昼白色などにすると冷たい印象などにならないかなど懸念していましたが、実際にお使いの状況を見ると、外の光と同化していてまったく違和感がなく、窓から覗く植栽とあわせて、むしろ外で髪を切ってもらっているような気にすらなりました。


また髪を洗ってもらう時のお客さんの目線の泳ぎ方、その時に無意識に捉える空間のディテールや窓からの景色など、設計時には気がつかなかった部分も多々あり、設計の答え合わせをしているかのようでとっても興味深かったです。

なにより、隣にほかのお客さんもいないので大きめの声で話しても迷惑にならなかったり、聞かれたくない話を聞かれることがなかったり笑、なによりIさんもとってもリラックスしていて、なんだかIさんの家に遊びに来ているような感じでもありました。サロンの天井が家型になっていることも、この”おうち感”を高めているのかもしれませんね。

一日3組だけのサロンなので、終わった後もすぐにお会計をして帰るというより、この日も少し窓辺でおしゃべりをして帰りましたが、うちから片道1時間かけて行くという行為も含めて非日常感を楽しむような、特別な癒やし体験になっているような気もしました。

ご興味ある方は是非一度ご予約の上訪れてみて下さい。
私は、はやくも来月の予約まで入れてしまいました笑

すみれ美容室
(埼玉県入間市内・ご予約や詳細な場所はDM等でお問い合わせ下さい)
https://www.instagram.com/sumire.biyousitu/

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こちらはオープン前のものです

25. 04 / 18

送ってよ

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sekimoto

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保険証書はネットからダウンロードしてください、という文書の郵送。じゃあ、証書送ってよ!て思うのだけど。

メール送りました、て電話するみたいな。請求書をメールでもらったのに、郵送でも届いたみたいな。


一昨日は今期副編集長を務めるJIA関東甲信越支部の広報誌Bulletinの「他人の流儀」取材で、六本木AXISビルにあるNUNOにて世界的なテキスタイルデザイナーの須藤玲子さんへのインタビュー取材がありました。

須藤玲子さんにはちょうど一ヶ月前、イベント「日本橋こいのぼりなう!」のギャラリートークに参加した際にはじめてお目にかかりました。年齢をまったく感じさせない溌剌とした話し方や、見たことも聞いたこともないような特殊な技法でつくられた布たちにすっかり魅了されてしまい、この人をもっと知りたい!と思ってしまいました。

勇気を出して話しかけ、その場で取材を申し込むという我ながら無謀な行動でしたが、朗らかに二つ返事で受けて下さり今回の取材となりました。

須藤さんの率いるNUNOは、40年前からAXISの同じお店で営業を続けているそうです。創業当時の破天荒な仕事のエピソードや、師事した新井淳一さんのこと、伊東豊雄さんをはじめとした建築家たちとの協働のこと、開発中の見たことないような特殊な布素材のことなど、目を輝かせながら語ってくださいました。

我々建築の仕事と親和性のあるお話もいっぱい聞くことができました。年号や人の名前もすっと出てくるのも須藤さんのすごいところです。

関東甲信越支部のJIA会員さんは、まだまだ先ですが7月15日発刊の夏号をどうかお楽しみに!会員外の方もウェブ版からご覧いただけます。バックナンバーはこちらから。

Bulletin 「他人の流儀」
https://www.jia-kanto.org/online/tanin/index.html

今日はスタッフ+オープンデスクの学生と、元スタッフの矢嶋くんも誘って地元の普光明寺まで。普光明寺は過去に寺務棟と庫裏を設計させて頂いたお寺で、矢嶋くんの担当案件。普光明寺は地味に1200年もの歴史があるのです。

今日はそんな普光明寺の33年に一度の秘仏ご開帳の日。この機会を逃すと次に見れるのは85才の歳、、生きてる自信ない、笑。秘仏は言い伝えによると源頼頼と頼家が運慶に命じてつくらせたという千体地蔵。事実かどうかはわかりませんが、とにかく感慨深いものがありました。(写真NG)

ともあれ、ようやくの快晴に土手沿いに束の間のお花見。ようやく春!!という感じです。矢嶋くんとも久しぶりに会えてよかった。良い1日でした!






今期副講師を務める新建新聞社の工務店設計塾にて、一昨日は北海道から山本亜耕さんをゲスト講師にお招きしての設計講評。亜耕さんとは長い付き合いのようでお目にかかるのは実は初めてという、これにはお互いびっくり。まさにSNS時代の既視感現象でしょうか。

亜耕さんがホームエリアとする北海道は、関東の人間からすると冬の気候はまさに異次元の領域で、以前北海道の計画が入りかけた時にはいろいろ相談に乗っていただいた事もありました。

難解な話をこともなげに語る独特の亜耕節は、理論やデータがすべて頭に入っていて、それが十分に体系化されているからこその揺るぎない語り口は説得力が半端ない。あの口調で「そーでしょ、わかる?」とたたみかけられれば、「うん、わかるわかる」しかありません笑。

パッシブ換気をはじめ、一種換気と三種換気のそれぞれのメリット、世界的な視点で見た日本の実情のことなど、なんだかコムズカシイあれこれが雪のように溶けていく夜でした。

亜耕さんって、話しているとつくづく北海道の方だなあ、と思うんですよね。スケールが大きくて、お人柄の向こう側に釧路湿原みたいな景色がばーっと浮かぶんです笑。楽しい夜でした。どうか気をつけてお帰りください!