先週自宅の見学に来てくださった建築家の佐藤重徳さんが、その後長文の感想をメールで下さった。その的を得たコメントが心に沁みてとても嬉しく、またそこにはさらに拙宅の骨格模型を作ってみたいとも書かれていた。

人のオープンハウスに行って、その骨格模型まで作る人なんているのだろうか?そんなことを思っていたら、後日本当に重徳さんによる骨格模型の写真がコメント付きで送られてきた。こんな人いる??重徳さんってば変態。いや本当にすごい人だ!

でも話はまだ終わらない。
今日は伊礼さんの住宅の見学があった。私は11時に、重徳さんは15時ごろに行くという。じゃあ会えないですね、またの機会に!そんなやり取りをしたというのに、11時台に見学しているとひょっこり重徳さんが現れた。

キョトンとしている私に「はいこれ」といって小さな箱を渡し、僕は予定があるからまた15時に来るね、といって再び消えていった。そこには拙宅の骨格模型が入っていた。まさかこれを渡すために11時にわざわざ来たのだろうか、、。

つまり住宅を設計するってこういうことだよな、とその大きな背中を見て思った。技術ではなく、やっぱり人なんだ。この人大好き!と心底思った。重徳さん、家宝にします。

昨日は小泉誠さん設計の住宅へ。小泉誠さんは、9坪ハウスにはじまり、私が30代の駆け出しの頃から大いに刺激を受けてずっと背中を追いかけてきた建築家(デザイナー)の一人。その美しい納まりや、何とも形容しがたいユーモアとひねりのある空間に、どうやったらこういう空間になるのかといつも掲載誌がすり減るくらい眺めていました。

これまで小泉さん設計の店舗などは訪れたことがありましたが、住宅ははじめて。今回の見学をずっと楽しみにしていました。実際の小泉ワールドには感無量!やっぱり建築は楽しいが一番だと自分の原点に還ったような気分でした。

小泉さんとは、あいだに一人挟んでつながる人が周囲に無数にいるのに、なぜか本人にはずっと会えそうで会えないという関係が続いていましたが、ここにきてようやくご縁がつながってきました。相羽建設さんとのご縁にも感謝です。また建て主のIさん、ご竣工おめでとうございます。昨日はお誘い下さりありがとうございました!!


暮れに野地木材工業のYouTubeチャンネル「のじもく酒場」の収録でホテリアアルトに行ったことを書かせて頂きました。
https://www.riotadesign.com/blog/221231.html

上記の前編は益子義弘先生を囲んで、私や伊礼さん、小谷さんらとクロストークを展開するものでしたが、こちらの後編、ホテリアアルトのルームツアーを設計者の益子義弘先生とともに巡らせて頂いた動画が、以下に公開されました。


https://youtu.be/OAdsXDhLr_c

ホテリアアルトに行かれたことのある方でしたら、ご覧になると「あれはそういうことだったのか!」となると思いますし、まだ行かれたことのない方は、行かれた際には是非ニヤニヤしながら「これはね」とウンチクをご披露頂ければと思います笑。

ふだん作品の多くを語られない益子先生直々の空間解説はとても貴重だと思います。ただこれ、気づくとほとんど私しかしゃべってない、、大好きな空間なだけに視点がマニアックですがどうかご容赦ください笑

一昨日、15日~16日にかけて裏磐梯にあるホテル、ホテリアアルトにスタッフを連れて研修旅行に行ってきました。

今回は野地木材工業のYouTubeチャンネル「のじもく酒場」の12月のスペシャルゲストに、益子義弘先生をお招きしようという話から始まり、それを益子先生の設計されたホテリアアルトで生収録をする話に発展!野地さん側のスタッフも三重県熊野から参戦するなど、念入りな準備を進めてきました。

スタッフとは、過去にも別のスタッフたちを連れて5年ほど前にホテリアアルトに研修旅行をしたことがありました。やはりこのような素晴らしい空間体験やホスピタリティは、実際に体験しないと理解できず、特に若いスタッフに体験してもらいたいとの思いでしたが、この日のために仕事を片付けていた今村くんが、当日朝にまさかの発熱ダウン!ひとりお留守番になるというかわいそうなことになってしまいました。(今村くんはまた次の機会に!)

今回ののじもく酒場の収録は、益子先生自らのご案内や夜のトーク収録を含めて、正直神回になった手応えがあります。私は数年前に建築知識ビルダーズにホテリアアルトの長文記事を寄稿、その時にいろいろと向き合った時の思いや疑問なども多々あり、それらを益子先生に直接質問が出来たことも本当に良かったです。今の私はホテリアアルトについて、きっとホテルの建設関係者の次に詳しいと思います笑。また伊礼さん、小谷さんらともご一緒させて頂き、一緒に部屋を巡りながら意見交換を出来たことも貴重な体験となりました。

こちらは編集後に配信予定とのことで、トーク編は年内に、ルームツアー編は年明け以降のアップ予定と聞いています。どうかお楽しみに!

素晴らしいお料理やホスピタリティの数々、、スタッフたちにも良い刺激となったことと思います。我々もこのような仕事を目指したいものですね。ホテルスタッフの皆さまにも心より御礼申し上げます!

■建築家たちの飲まずにはいられない話(のじもく酒場)
https://youtu.be/bMK8JU7xG2s
■ホテリアアルト
https://hotelliaalto.com/







建築家の伊礼智さんが主宰する住宅の設計スクール「住宅デザイン学校」に特別講師として呼ばれたのは6年前のこと。全国から集まる優良工務店の設計者や若手建築家の指導をということで参加したのですが、いきなり頭をガツン!とやられました。レベルがはんぱなく高い、、!

申し訳ないのですが、この時まで工務店設計者というものをナメていました。そこで出会った工務店設計者たちは、もしかしたらその辺の設計事務所よりもしっかりと地に足が付いていて、確かな線と美しいプロポーションで住宅を考えている人たちでした。今考えると、その人たちも国内有数のトップランナー工務店たちだったわけですが。

いまだに設計事務所の建築家の中には(当時の私のように)工務店設計というものを下に見ている方々がいますが、こういう人たちはそのうち足元を掬われます。そのうち設計事務所は淘汰するんじゃないか、、当時そんな危機感も持ったのを覚えています。

また驚かされたのはその実力のみならず、その学びに対する貪欲さでした。
その後の懇親会では、乾杯で振り上げたジョッキの手を下ろす間もなく質問攻め。講義の中での講評に物足りなさを感じた受講生が、もっと講評して欲しいと列を作るのです。ナンダコレハ!大学の学生なんて、こっちがせっかく時間を作ってあげているというのにちっとも案を持ってきません。

社会に出て実務に携わるようになってもなお、この貪欲に学ぶ姿勢を持ち続けるというのはすごいことだと思います。これが私と住宅デザイン学校との出会いです。結局ちゃんと教えたのはこの6年前の講義くらいで、あとはスポット的に呼ばれたり、スピンオフ的にいろんな形で伊礼さんとは関わり続けて現在に至ります。

そんな住宅デザイン学校も10周年を迎えるということで、これまでの歴代講師陣が昨年1年間をかけて、住宅デザイン学校にてオンラインのリレー講義を行いました。私もその1人なのですが、その講義録が一冊の本にまとまりました。



『伊礼智の住宅デザイン学校|10人の建築家が教える設計の上達法』
https://amzn.asia/d/glPV865 (2022年12月3日発売予定)



講義録といっても、ただそれを文字起こししただけような退屈なものではなく、再編集してあたかも各講師がそれぞれの設計論のエッセンスを書き下ろしたかのような、新鮮な構成になっています。

講師陣の顔ぶれを見ても、(自分のことはいったん棚に上げておきますが)現代の住宅設計界を牽引するトップランナーばかり!私もそこに混ぜて頂けたことは光栄というほかないのですが、それぞれが単著を持つ講師陣が一同に会した本著は、現代日本の住宅設計ノウハウの英知の詰まった一冊ともいえそうです。


ちなみに私は、伝わる設計の極意として以下のポイントについて全力解説しています。

1.緊張と緩和
2.フリとオチ
3.天丼


ほぼ意味不明だと思いますが、詳しくは本書をご覧下さい!




さてこちらも急な告知になってしまいましたが、出版を記念して明日(2日)ふげん社にて、この10人の講師(のうちの何人か?)が集まってトークセッションを行います。オンライン参加もできるそうですので、ご興味ある方は是非こちらもチェックしてみて下さい。



伊礼智と住宅建築家のトークセッション
「これからの住宅設計界、どう生き抜く?」


2022年12月2日(金)19:00~20:30
場所:コミュニケーションギャラリーふげん社にて

■詳細はこちらから
https://fugensha.jp/events/221202irei/