秋晴れの中、葉山の山口蓬春記念館へ。画室や一部の部屋は吉田五十八氏による設計で改修されています。

御殿場の東山旧岸邸もそうですが、吉田五十八氏の建築は和の様式を踏んでいながら、全体のスケールは洋風建築のようでもあり非常にモダンな印象です。随所に繊細な技巧を凝らしながらも、印象はとてもおおらかで骨太につくられています。とても素晴らしく、学びの多い建築でした。

葉山の神奈川県立近代美術館では、現在マン・レイ展も開催されていて、こちらも素晴らしかったです。葉山にお越しの際は、是非この二つをハシゴされることをオススメします!


ようやくこの告知ができることを心から嬉しく思います。JIA住宅部会の主催にて、11月8日に益子義弘氏のオンラインセミナーを行います。

益子先生のセミナーは、私の部会長任期中にどうしても実現したいと思っていた企画のひとつです。私が今期部会長をお引き受けしたのも、先生も過去に部会長を務められたということも大きかったように思います(私は第43代、益子先生は第10代)。固辞される先生を説得して約1年、、ようやく実現にこぎ着けました。

今回のセミナーのために、これまでのご自身の歩みを総俯瞰したお話をご準備くださっているようです。M&Nでの永田昌民氏との協働や師吉村順三氏のこと、これまでの住まいづくりに対する思考の変遷から近作ホテリアアルトまで、、。

私は進行役と後半の聞き役を務めますが、今から楽しみでなりません!一般参加が可能ですので、是非ご参加頂けたらと思います。


【JIA住宅部会特別企画|益子義弘氏オンラインセミナー】

『時代-自分史-住まいづくり』
講師:益子義弘 氏(建築家・益子アトリエ主宰)

日時:2022年 11月8日(火)18:30~20:30(ZOOM 入室 18:15~)

会場:オンライン開催(ZOOM ウェビナー予定)
参加費:無料 (事前申込をお願いします)
対象:すべての方(JIA 会員/一般)
定員:500 名 (申込先着順)

■参加を希望される方は下記 google フォームよりお申し込みをお願いします。
https://forms.gle/N1NpS76aKiXwEhAZ7
申込締切:11月7日(月)まで

■セミナー詳細情報はこちらより
https://www.jia-kanto.org/jutaku/news/2426/

昨日は今年度部会長を務めるJIA住宅部会の企画として、多摩産材見学会を実施しました。部会員を中心に16名ほどのメンバーがご参加下さいました。

日頃木造住宅を扱う設計者でありながらも、その産地である山にはなかなか足を運ぶ機会がありません。「多摩産材」と名が付くように、東京都内にもちゃんと山があり、あきる野市周辺の山から採れる良質な木材があるということはあまり知られていません。この日は中島木材店さんのご協力のもと、そんな貴重な見学や体験をさせて頂きました。


この日は秋から一転して冬のような寒さと雨に祟られてしまいましたが、バスをチャーターしたおかげもあって、行程はとてもスムーズでした。

都内唯一の原木市場である多摩木材センターには、広い敷地内にうずたかく切られたばかりの丸太が積まれていました。製材された柱材などを見ることはあっても、製材前の丸太を見る機会はそう多くありません。切り口に顔を近づけると、とても良いヒノキの香りがしました。




その後も、中島木材店さんの製材行程を一通り見学させて頂きました。
中島木材店の社員さんがそれぞれをとても細かくご説明下さり、知られざる製材行程をよりリアルに理解することが出来ました。

中でも乾燥工程がクオリティを大きく左右するとのこと。スチームを当てて乾燥させるなど、そのノウハウもとても興味深く、部会員からも矢継ぎ早に質問が飛び交いました。




昼食の後は、檜原森のおもちゃ美術館、瀬音の湯といった、多摩産材を使った公共施設のいくつかも見学させて頂きました。

当たり前のことですが、我々が「杉」「桧」と樹種名で指定している木にも、そこには産地があり、林業家や製材所など多くの人たちの手を経て我々の現場に届けられています。

頭ではわかっているこうしたことも、現地に足を運ぶことで、よりリアルに実感に落とすことができるというのは、今回の大きな収穫だったように思います。

中島木材店の皆さま、また今回主査を務めて下さいました高橋隆博さん、ご手配を誠にありがとうございました。スタッフも含めてとても勉強になりました!


ふと入ったお店に懐かしいケトルがあった。フィンランドのOPAというメーカーのケトル。フィンランド在住時代、生活を始めるにあたって、とりあえず近くのスーパーでいろいろ買い揃えたもののひとつで、当時は毎日これでお湯を沸かしていた。

そこで値段を見てびっくり!うそでしょ、1万円以上してる。だってこんなの、地元のスーパーに行けばどこでも売っていたし、いくらで買ったかは覚えていないけど、たぶん日本円でも2~3千円とかそんなものだったのではないだろうか。

そもそもフィンランドという国は物のチョイスの幅がほとんどなくて、ケトルといえばこれしかなかった気がする。カイ・フランクのような著名デザイナーがデザインしたわけでもない、ただの無骨なケトルだ。

店頭のキャプションを読むと、どうやら映画「かもめ食堂」で使われたことから人気に火が付いたらしい。現行品は0.5Lと1.5Lの2種類。ところが我々が使っていたのは1.0Lのタイプ。どうやらこれは現在は製造されていないらしい。現行の0.5Lや1.5Lですらもネットでは売り切れているところが多く、ましてやこの1.0Lのタイプはかなりの希少品のようだ。

実は、正直言うと当時からこのケトルはただの安物だと思っていて、デザインもあまり気に入っていたわけではなく、帰国の際もかさばるので置いて帰ろうとすら思っていた。妻が「かわいいから持って帰る」と言って、家でもずっと戸棚に入れっぱなしだったのに、気がついたらお宝になっていた。

事務所で使っているiittalaのKartioグラスも、コバルトブルーのタイプは現在は製造しておらず、人気の高さからかなりの希少品になっていると聞いた。取り扱いに気をつけねば、、。我が家も探せばまだまだそういうものがありそうだ。


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sekimoto

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> AALTO
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■フィンランドが生んだ世界的建築家の人生と作品を巡る『アアルト』2023年秋公開
https://www.cinemacafe.net/article/2022/09/13/80834.html


1年ちょっと前、知人の誘いで「アアルト」の映画試写会に足を運びました。すでにフィンランドでは公開済みの映画で、本当は去年日本で公開される予定だったそうなのですが、コロナ蔓延で延期。結局公開は来年の秋になったようです。

本当は去年の試写会の内容をすごく書きたかったのですが、情報リリース前だったので何も書けませんでした。これでようやく書ける!

この映画めちゃくちゃ良いです。一番良かったのは何と言っても「動くアールト」が見れたこと。アールトといえば、その肖像を写真でしか見たことなかったので、喋っているアールトというのはかなりの衝撃でした。例えて言えば、自分が産まれる前に亡くなったおじいちゃんに再会したかのような。

他にもアールト作品をドローン撮影するなど、クオリティの高い映像でこれまで見たことのないアールト建築が観れるのも見どころのひとつです。

コアなアールトファンから、アールトって誰?という人まで、オススメの映画です!、、て公開はまだ1年先なんですけどね。


↓↓ こちらは2020年に公開されたフィンランド版のトレーラー(予告編)です。日本公開版ではありませんのでお間違えなく。ただし映像は日本公開版も同じです。