日芸デザイン学科2年スペースデザインI、第2課題「NEST」は先週月曜日に最終日を迎えました。この課題ではクラス内コンペで選ばれた案をモデルに、最終的に原寸製作まで行うというもので、製作はグループワークで行い、試行錯誤を重ねて学食前の屋外階段の下に無事セッティングを完了させました。

材は20x30の角材を用いて、クロスジョイントはジャンボ輪ゴムで束ねるというJIAの子どもワークショップで使われているノウハウを参考にさせて頂きました。私はなるべく口出しや手出しをしないで見守りに徹しましたが、どうなることかと思っていると、最後は集中力でまとめ上げるところは本当にすごい。

この半期は彼らひとりひとりをアーチストとして扱ってきましたが、同じく自由人の息子と接しているかのようでとても楽しかったです。





こちらは先週末のオープンキャンパスでも、途中のスタディ模型と併せてそのまま展示して頂きました。

オープンキャンパスは私も様子見に足を運んで来ましたが、学生達の力作に足を止めてくださっている方も多かったです。来年に向けての改善点もいくつかありましたので、またこれを材料により発展した課題にしてゆきたいと思います。学生の皆さん。お疲れさまでした!




韓国の釜山でひらかれていたユネスコ世界遺産委員会は、AALTO WORKS(アルヴァ・アールト設計による13の建築群)をユネスコ世界遺産に認定する決定をしました。

このニュースは、アールト財団をはじめ、アールト関連アカウントやアールト建築を擁する各行政のオフィシャルアカウントでも一斉に配信され、昨日のインスタグラムはこれ一色で埋まりました。まさに打ち上げ花火のような「アールト祭り」状態!フィンランド人にとってこれがどれほど誇らしいことかが伝わってきて、胸が熱くなりました。

アールトの建築は、これまでも世界遺産の登録に関わらず行政やアールト財団の献身的な活動によって手厚く守られてきました。今回登録されなかったとしても、それは変わらなかったと思います。その上で今回の世界遺産登録の意味を考えると、

・コルビュジェ、F.L.ライトと肩を並べて、アールトの建築群が近代建築の傑作として世界遺産として認められたこと。
・世界遺産に指定されることで、単に建物を維持するだけでなく、将来の世代へ継承するための国際的な保存基準と保護体制がより確固たるものになること。
・これまで個別に評価されてきたアールトの単体の建築が「AALTO WORKS」という群として、つまり「アールトの建築」として包括的に認知され評価されたこと。

といったことがあると思います。

つまりアールトの建築が「フィンランドが守るべき財産」から「人類全体で守るべき財産」になったことで、商業主義や政治力から建築が半永久的に守られることも同時に意味します。建築団体や市民の声を無視して解体が決行されてしまった丹下健三氏の旧香川県立体育館の例を考えれば、これほど強い保存への意思表示はないと思います。

以下に、昨晩配信されたアールト財団からの声明文の要約(翻訳)を添付します。
https://www.alvaraalto.fi/en/news/aalto-works-series-inscribed-on-the-unesco-world-heritage-list/

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【アールト作品群(AALTO WORKS)がユネスコ世界遺産リストに登録】

人間味あふれるデザイン・アプローチを特徴とし、アルヴァ、アイノ、エリッサ・アールトによる近代建築の決定的な役割を示す13の建築群「アールト作品群」が、ユネスコの世界遺産リストに登録されました。この決定は、韓国・釜山で開催されたユネスコ世界遺産委員会において2026年7月26日になされたもので、フィンランドで8番目の世界遺産となります。

登録された13の建築・建築群は、モダニズム、フィンランドの福祉国家の発展、そして人間的な視点を象徴しています。現地に出席していたアルヴァ・アールト財団のCEOトンミ・リンダ氏は「ユネスコ世界遺産への登録は、アールト夫妻の生涯の仕事が国内のみならず国際的な建築・デザイン史においても重要であると認められた明白な証であり、フィンランド人として誇りに思います」と喜びを語りました。

登録されたアールト作品群:
1. パイミオのサナトリウム(1929–33、パイミオ)
2. アールト自邸(1935–36、ヘルシンキ)
3. スニラ製紙工場・住宅街(1936–38、1947、1951–54、コトカ)
4. マイレア邸(1938–39、ポリ)
5. セイナッツァロの町役場(1949–52、ユヴァスキュラ)
6. ユヴァスキュラ大学 アールト・キャンパス(1951–71、ユヴァスキュラ)
7. セイナヨキ・シヴィックセンター(1951–87、セイナヨキ)
8. ムーラッツァロの実験住宅(1952–54、ユヴァスキュラ)
9. 文化の家(1952–58、ヘルシンキ)
10. 国民年金局(KELA)(1953–57、ヘルシンキ)
11. スタジオ・アールト(1954–55、1962–63、ヘルシンキ)
12. 3つの十字架の教会(1956–58、イマトラ)
13. フィンランディア・ホール(1962/1967–75、ヘルシンキ)

「長年にわたる準備作業が実を結びました。アールトの遺産は、建築が獲得し得る最も権威あるグローバルな評価を受けました」とリンダ氏は述べています。

◼️デザインの核心にある人間的アプローチ
建築家アルヴァ・アールト(1898–1976)の偉大な業績には、最も身近な協力者であったアイノ・アールト(1894–1949)やエリッサ・アールト(1922–1994)、そして事務所のスタッフたちが不可欠な役割を果たしました。

1920〜80年代に設計されたこれら13の建築は7つの地域に点在し、住宅、コミュニティ、労働、家庭生活のニーズに応えてきました。教育、地方自治、行政、福祉、精神生活、余暇といった課題を建築の力で解決しようとしたものです。

20世紀のモダニズム精神に基づき、身分や富、健康、年齢、性別に関わらず、すべての人の快適で機能的な日常環境を追求しました。市民のウェルビーイング(幸福)は社会発展の核心であり、近代建築はフィンランドのアイデンティティの一部となりました。

◼️長年にわたる準備の背景
今回の登録は40年に及ぶ準備の成果です。1986年のスニラ地区の提案や、2004年のパイミオのサナトリウムの暫定リスト入りなどを経て、複数の建築をセットにした「アールト作品群」構想が浮上。2021年に暫定リストへ掲載され、2025年2月1日に正式提案されました。
今回の登録は、ル・コルビュジエ(2016年)やフランク・ロイド・ライト(2019年)の作品群に続くものであり、20世紀のフィンランド近代建築として世界遺産リストを補完することになります。

◼️世界遺産登録の意義
アルヴァ・アールト財団のミュージアム・ディレクターであるユッカ・サヴォライネンは、「この登録によりフィンランド・デザインへの国際的評価が高まり、デザイン先進国としての地位がより強固になります。また、保全、教育、文化観光など多様な分野での新たな協力の機会が生まれます」と強調しています。

テオ・ヤンセンはオランダの造形作家。物理学を専攻していた彼の作り出す「ストランド・ビースト」と呼ばれる“生物”は、風だけを唯一の動力にして動き出す。海岸を本物の生き物のように歩き回るその姿はまるでSF映画を観ているようで、一度実物を見てみたかった。

そんなテオ・ヤンセン展が富山県美術館で開催されるということで富山まで。事前に映像等で見てはいたけれど、目の前で動く姿は圧巻というか凄すぎて笑うしかなかった。

ディテールがどうなっているのかが一番興味があったのだけれど、塩ビパイプを結束バンドなどで簡単に束ねただけの簡単なジョイントで、それらは一冬をかけてヤンセン自身が作り出すという。




建築で言えばまさにトラス構造が動き出すみたいなものだけれど、その動きはまさに生き物そのもので、帆を魚のエラのように動かし、各部がそれと連動して関節のように動く様は、身近で見ても仕掛けが理解できないくらいに複雑で、その滑らかな動きに感動する。

何より「風を食べる」という表現がぴったりで、現代文明が滅びた後に生まれた自然と共生する生物、もしくは人間が文明を築く数万年前も前に存在した高度文明の遺物、そんな説明をされた方がしっくりくる。まさにジブリのハウルの動く城とかナウシカの世界観。是非実物を見て欲しい!

会期は9月23日まで。内藤廣さん設計の富山県美術館にて。

■こちらは会場のストランドビーストのリール動画です。
https://www.instagram.com/reel/DbBARHdpINQ/?utm_source=ig_web_copy_link&igsh=MzRlODBiNWFlZA==

コロナ禍に製材企業である野地木材工業(現nojimoku)さんの企画で、伊礼智さん、小谷和也さんと毎月ゲスト建築家を呼んでオンラインで際どい話をするという「のじもく酒場」が終了して早数年。このたび「のじもく酒Bar」として新装開店しました!

■のじもく酒Bar[第1杯] ゲスト:丸山弾(前編)
-居酒屋は閉めて、Barを開店しました

https://youtu.be/MqcgFt2R57A?si=EOPhRNvhiIWsySIk

久しぶりだから事前に打合せをという話から、そんなのいらないになり、結局ぶっつけ本番。野地さんの進行が今回も秀逸。コスプレも一新!安定の伊礼さん節、小谷さんの軽妙な関西ツッコミに加えて、初回ゲストの丸山弾さんの熱い語りが今回のハイライト。

酔いがまわるにつれて、尻上がりに話は盛り上がり、、でも本当にやばい話は全カットされていますのでご安心を?シーズン2もどうかお楽しみに!
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[7月18日追記]
前回の続編である[第2杯]の動画も公開されました。あわせてご視聴ください!

■のじもく酒Bar[第2杯] ゲスト:丸山弾(後編)
-設計に人間性がにじみ出る?関西弁と、小芝居と、長い世間話

https://youtu.be/6gpO-YaQ69M?si=zfTFjmzZzEmP8goh

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以前投稿した写真家・高橋恭司さんによるアールト自邸オリジナルプリントが届きました。元は私がコーディネーターを務めた2002年のエクスナレッジホーム創刊号[Who's Alvar Aalto]のために撮り下ろして頂いた写真を、先日の個展で購入したもの。

展示で眺めていたよりも、手に取って間近に眺めると光の妙が際立って見えます。8x10と呼ばれる大判カメラによる撮影。デジカメには到底再現出来ない質感だとあらためて感じます。

これまで数多のメディアで撮り下ろされてきたアールト自邸ですが、この写真には圧倒的な異質さがあって、構図を眺めているとピアノの上のアイノの肖像写真が亡霊のように浮かび上がってきます。

そうか、恭司さんはアルヴァではなくアイノの影をこの空間に感じて切り取ったのかもしれない。真の意図はわかりませんが、スピリチャルカメラマンと呼ばれる高橋恭司さんらしいカットと言えそうです。

この写真のネガは焼き捨ててしまったそうなので、世界で一枚だけのオリジナルプリントになります。一生の宝物として、事務所に大切に飾りたいと思います!