アールトの建築の魅力のひとつに緑との関係がある。ツタや木が住宅と絡み合い渾然一体となった姿は、モダンな外壁ラインを周囲に溶かし、異物としての建築すらも自然の風景の一部としている。それこそがアールト建築の真骨頂だとでも言わんばかりに。

例えばル・コルビュジェの建築は、ピロティによって大地から切り離され、同じモダニズム建築であっても、アールトとは対極の自然観を示しているように思える。コルビュジェは建築の純粋性を追求し、空間に流れる時間を止めたのに対して、アールトは空間に時間を刻んでいる。


マイレア邸のリビングの開口部の上部には、ルーバー状のキャノピーが付いている。雨を凌ぐものではないし、陽射しを防いでいるようにも見えない。長年なんだろうと思っていたのだけれど、ふと開口の両脇に目を向けると、キャノピーの高さにまで伸びた鬱蒼としたツタがあった。
アールトはこのツタでぶどう棚のように開口を覆いたかったのではないか。まさかの”ツタ庇”?。真偽の程は未確認だけれど、アールト自邸の窓先にツタが覆うように自生している様を見ると、想像に余りあることだ。



そしてアールト自邸。白い外壁にびっしり絡まったツタは圧巻だが、仔細に見ると、外壁には細いバーが細かいピッチで取り付けられている。ツタは自然に生えたのではなく、明らかにアールトは強い意志を持ってツタを外壁に絡ませたのだということがわかる。



スタジオ・アールトでは曲面を描く壁の突き当たりに、あたかもアールトのスケッチラインのように自由な曲線を描いてツタが壁を這う。しかしこれもよく見ると、曲線に曲げたパイプを壁に取り付けていることがわかる。なんとツタが這うラインすらもアールトが”デザイン”しているのだ。


アールトが空間に持ち込んだ時間軸には、「移ろう自然」はなくてはならない存在だったのではないか。アールトが切り拓いた北欧モダニズムの本質は、まさに自然と建築との関係性にあるのかもしれない。

リオタデザインのサイトが地味にバージョンアップしました。
https://www.riotadesign.com

すでに数ヶ月前にプロトコルを信頼性の高い http→https に移行したのと併行し、水面下で進めていたのはスマホでの閲覧環境の改善でした。

それまでは、スマホで開いてもPC上と同じトップページでしたので、文字が小さく情報も読みにくかったのが難点でした。それがようやく、満を持してスマホ対応のプラットフォーム公開です。

スマホでトップページを開くとこんな感じ。


最近ではインターネットも、ご家庭ではいちいちパソコンを立ちあげずにスマホで情報検索をされる方も多いですよね。またある建て主さんは、毎朝電車の中で私のブログをチェックして下さっているそうです。ありがとうございます。

ただ私自身も、自分のサイトをスマホで読むときはスワイプして文字を大きくしないと読めないという実情もありました。それがストレスでもあったのですが、老眼世代の我々にも優しいプラットフォームになってとても嬉しいです!

ブログ画面はこんな感じ。


また過去の住宅の写真も、これまでは写真をタッチして「進む」だけだったのですが、戻れるようにもなりました(PC環境と共通)。さらにスマホだと写真を指でスクロールできるので、とても直感的でスムーズになりました。

そして、これも地味に変わっているのですが、以前は我々の過去の仕事が「作品」と表現されていたのですが、これを機に「仕事」という表記に変えています。これも私の中ではずっと抱えていたモヤモヤがすっきりしたことでした。

あとはくどくど説明するより、実際に操作して頂くのが良いと思います。ほかにも細かい点をちょこちょこと変えています。さてどのくらい気づいて頂けるでしょうか?

今後ともリオタデザイン・ウェブサイト、PC&スマホ環境ともにご愛顧下さい!デザイナーの石曽根さん、どうもありがとうございました。

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※リニューアルに伴い、もしかしたらお手元のPC環境で画面の文字レイアウト等が崩れて表示されている方もいらっしゃるかも知れません。その場合はブラウザの設定で、過去のキャッシュを削除して頂くと正常に表示されると思います。キャッシュの意味が分からない方、、近々改善しますので、しばしお待ち下さい!

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竣工して12年目となる自邸の取材がなぜか2件たて続けに決まった。取材を受けるのは約10年ぶりくらい。昨日はその取材の一つがあり、そして今日も立て続けということで先週から準備で大忙し。

月並みな言い方だけれど、竣工当時より確実に今の方が空間は良くなっているし、経年変化や不具合も含めて、自分の身の丈に合った良い住まいを得たと今でも思っている。

特にここ数年では室内外の緑が人の住み処を奪うくらいの勢いで成長し、リビングはまるで熱帯雨林のよう。







昨日の午後は現場で造園家を交えての植栽の打合せ。私がアツく緑について語っていると、建て主さんからクスッと笑われ「関本さん、最近緑の話しているときは目がキラキラしてますよね」と言われて、少し恥ずかしくなる。

いや本当に、仕上げにお金を使うくらいなら、その分緑を増やした方が絶対に生活は豊かになると思っているので…。これって問題発言ですかね。



まず最初の2枚はアールト自邸(1936)のダイニング家具。デザインはアイノ・アールト。細部を仔細に見ても、アイノの家具デザイナーとしての確かな手腕を感じることができる。

そしてこの扉。これを見たときは衝撃だった。あたかも日本人の建築家がデザインしたかのよう。実際私も同じようなデザインの引戸をよく設えるが、80年以上も昔にアイノが既に試したものだったとは思わなかった。

アールト夫妻が当時いかに日本から影響を受けていたかは、こうした部分からも窺い知ることができる。自邸を構えたムンキニエミには当時日本領事館があり、アールト夫妻は日本大使と懇意となり、彼を通じて日本文化を吸収したとも言われている。ちなみにアールトは来日したことはない。




次の3枚は、のちに完成したスタジオ・アールト(1955)のもの。残念ながらこの時には既にアイノは他界していたが、職員ダイニングのキッチンからは強くアイノのアイコンを感じることができる。自邸でアイノがデザインしたものを、20年の時を隔てて復刻したかのようだ。

自邸にもキッチンの手前と奥、両方で使える貫通型の引き出しを設えている部分があるが、スタジオにもそれはある。でもこちらの引手形状は控えめなアイノのそれというより、主張の強いアールトのそれに近い。

引戸も自邸ではレールを下部に設けているが、スタジオでは上吊りとしている。20年分の進化と洗練がここには見られる。

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昨日は神奈川建築士会 木造塾主催の講演会に登壇させて頂きました。私にとって神奈川は少々アウェイ感のある場所、果たして人が集まるのかと不安でしたが、なんとか会場も埋まってほっとしました。

フィンランドの話から住宅事例、ディテール、エスキース流儀まで広く横断した話でしたが、最後の懇親会では皆さまから温かな感想、何より面白かった!と言って頂けて本当に良かったです。

最後に私にオファー下さった山中さん、遠藤さんには改めて感謝申し上げます!