21. 04 / 25
加藤雅康さんのオープンハウスへ
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sekimoto
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> 建築・デザイン
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金曜日は午前中、楽しみにしていた建築家・加藤雅康さんの自邸のオープンハウスへ。最終日にすべりこみ、そして圧巻の一言。加藤さんの建築家としての矜持、生き様、覚悟の詰まった仕事だった。
加藤さんの温厚な人柄の裏側にあるマグマのような情熱に触れ、それが建築の原点なのだとあらためて気づかされた。果たして自分にそれがあるか?と問われると、途端におぼつかない。
同行したスタッフには、我々はまだ登るべき山に登ってすらいないと話した。今日来れなかったスタッフには、加藤さんという建築家がいかに格好良いかを熱く語った。
加藤さん、本当に素晴らしい仕事を見せて頂きました。ありがとうございました!

私のブログにも度々書いていますが、今住宅などに使われる木が足りない、また高騰しているという問題が起こっています。いわゆるウッドショックです。
我々設計者は”川下”といって、木材流通では末端の立ち位置なのですが、実際に林業に携わる方(川上)や、それを二次加工する製材所(川中)の立場の方の話はなかなか伝わってきません。情報の不足から、末端の我々はパニックになっているのです。
今回、製材企業の野地木材工業さんが以下のようなウェビナーを企画してくださいました。私は一設計者として登壇します。私の立場からお話し出来ること、困っていること、建て主さんの不安なども代弁してお話ししたいと思います。誰でも参加出来ますので、ご興味ある方は是非お申し込み下さい!
定員は100名となっていますが、現時点で100名近くの参加者があり、参加者のキャパを拡張して開催すると聞いています。詳細は以下に野地木材工業さんの情報を転記します。
◇
【緊急開催!のじもくオンラインライブ】
ウッドショックの今とこれから ~山と建築をつなげるトーク~
4月28日(水)19:00~21:00 @zoomウェビナー
*先着100名 参加費無料
▲▲ウッドショック▲▲
世界的な木材需要の急激な高まりによる木材価格高騰と、コンテナ不足に伴う物流制限により、外在を輸入できず木材不足による着工ストップ等、建築業界がきたした大きな混乱の総称。
外材依存からの脱却、そして国産材へのシフトが期待されますが、果たして今後国産材を取り巻く環境がどうなっていくのか…刻一刻と状況が変化し、答えが出ない中で、今何が出来るのか、これからどうしていくべきなのか、製材所、工務店、建築家、大工、それぞれの立場からお話していただきます。
・有限会社石牧建築 石牧真志氏 [大工]
・株式会社リオタデザイン 関本竜太氏 [建築家]
・株式会社萩原建設 萩原義雄氏 [工務店]
・吉田産業株式会社 吉田利生氏 [国産材製材所(大規模)]
・野地木材工業株式会社 野地伸卓 [国産材製材所(小規模)]
■お申し込みはこちらから
https://forms.gle/b62997MD2NuzBV668
たくさんのお申し込みをお待ちしております!
■情報ページはこちらより
https://www.facebook.com/nozimokuzai

以前、長らく続けた「新建築住宅特集」の購読をやめたことがあった。若かりし頃のように、誌面をめくるたびにときめくようなことも少なくなり、どこか異国の絵空事のように感じられるようになったためだった。
しかし購読をやめてしばらくしたら、スタッフから「新建築やめちゃったんですか?」と訊かれた。「あれ観てたの?」と訊くと、新刊が届くといつも手に取ってペラペラめくっていたのだという。
そうか、やっぱり建築にはすぐ明日にでも役立つような実用情報だけでなく、若いスタッフの感性をときめかせるようなサプリメントも必要なのかもしれない。そう思い直し、購読を再開した。
一方で必要なのは、日々生きてゆくために必要なガソリンだ。昨今のウッドショック関連の最新情報を日々更新するため、「日刊木材新聞」の購読をはじめた。こんなニッチな業界新聞を自分が手に取る日が来るとは思わなかった。
しかしこの新聞、想像以上にめちゃくちゃ面白くて、ネットでは絶対得られないコアな情報が日々びっしりと詰まっている。そりゃそうだ。ネット検索や加工された二次情報ではなくて、記者さんが日々奔走して、製材所やメーカーなどから直接取材をしているのだから。
こういう時、身近な関係者の談話だけを鵜呑みにするのは危険だ。情報がタダで手に入る時代だからこそ、本当の情報にはお金をかけなくてはいけない。まさに夢と現実。建築実務者にはどちらも欠かせないものだ。
とあるお店の入口に並んでいると、年配の女性が店員さんに、駐車場で車が障害物との間にはまってしまい出せなくなってしまったと困った顔で訴えていた。
その店員さんは入場制限をしている来客の対応で手一杯。奥にいた若い男性店員に代理で対応するよう指示をするも、その店員も不安そうな表情。
女性に代わってハンドルを握ればなんとかなるかもしれない。でも親切心から手を出せば、結果として他人の車に傷をつけてしまうかもしれない。次々に店員が出てくるものの、皆何もできずに現場はパニックになっていた。
私はそれを横目で見ながらも、やはり自分は関係ないと傍観を決め込んでいたら、後ろから息子に「ほら、お父さんの出番なんじゃないの?」と背中を押された。
デジャヴだった。昔息子が小さかった頃、何かのアトラクションで舞台上から「これ一緒にやってくれる人いませんか?」と呼びかけていた。横で俯いている息子に、「ほらこういう時は手を上げないと!」と半ば強引に息子に手を挙げさせて、後で恨まれたことがあった。それが今は私が俯いている。
店員さんに声をかけ、「私がやりましょうか?」と申し出ると現場に安堵の空気が流れた。運転席に座り、何度か細かく切り返すと、なんとか無事に車を脱出させることができた。
奥からは店長も出てきて何度も頭を下げられ、手土産まで頂いてしまった。でもごめんなさい、私はそういう人間じゃないんです。
息子からの言葉は「ありがとう!」だった。とても恥ずかしかった。
その店員さんは入場制限をしている来客の対応で手一杯。奥にいた若い男性店員に代理で対応するよう指示をするも、その店員も不安そうな表情。
女性に代わってハンドルを握ればなんとかなるかもしれない。でも親切心から手を出せば、結果として他人の車に傷をつけてしまうかもしれない。次々に店員が出てくるものの、皆何もできずに現場はパニックになっていた。
私はそれを横目で見ながらも、やはり自分は関係ないと傍観を決め込んでいたら、後ろから息子に「ほら、お父さんの出番なんじゃないの?」と背中を押された。
デジャヴだった。昔息子が小さかった頃、何かのアトラクションで舞台上から「これ一緒にやってくれる人いませんか?」と呼びかけていた。横で俯いている息子に、「ほらこういう時は手を上げないと!」と半ば強引に息子に手を挙げさせて、後で恨まれたことがあった。それが今は私が俯いている。
店員さんに声をかけ、「私がやりましょうか?」と申し出ると現場に安堵の空気が流れた。運転席に座り、何度か細かく切り返すと、なんとか無事に車を脱出させることができた。
奥からは店長も出てきて何度も頭を下げられ、手土産まで頂いてしまった。でもごめんなさい、私はそういう人間じゃないんです。
息子からの言葉は「ありがとう!」だった。とても恥ずかしかった。
21. 04 / 17
物流ショックについて
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sekimoto
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> 仕事
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前回ウッドショック問題について書きました。あれから一週間くらい経ちますが、今もなおコロナをトリガーにした様々な問題が起き続けています。今回は輸入商材問題(物流ショック)について書きます。
現在輸入商材(設備機器・建材)を巡っても、現場は大混乱に陥っています。
例えば、うちは食洗機はミーレを指定することが多く、照明器具はルイスポールセンやアルテックなど、やはり北欧の輸入器具を使うことが多くあります。床材もナラやタモといったうちの定番フローリングも基本的に輸入品です。それらが今日本に入ってこなくて、尋常ではない納期がかかっているという問題が発生しています。
まずミーレですが、ミーレの食洗機はコロナの影響で本国ドイツの生産が滞っていることに加え、世界的な在宅需要の高まりから、日本仕様の出荷に大きな影響が出ています。今発注しても入荷は秋頃になるか、またはそれすらも読めない状況です。ウッドショック並みに、水面下では商社が血眼になって台数確保に走っています。
ルイスポールセンの照明も大打撃です。特にガラス系の照明(PH2/1、Toldbod Grassなど)は本国のガラス工場の稼働も低下していて、国内在庫はすでに底をつき、ものによっては6ヶ月以上の納期回答になっています。ガラス以外の器具もおしなべて品薄でほぼ壊滅状態。直近の竣工案件については、建て主さんにもご迷惑をおかけしている状況です。
フローリングについても、これまで欠品したことのないようなものまで欠品し始めています。うちのとある現場では定番のアッシュフローリングの国内在庫が底をつき、船便が1ヶ月以上も先になるということで、現場の木工事が事実上止まってしまいました。木造の現場では、フローリングが張れないと進められない工程が多く存在するのです。
こちらは我々から商社と話をつけて、国内在庫をかき集めるなどして対応しましたが、落とし穴どころか、現場工程はまさに穴ぼこだらけ。まっすぐ前に進むことすらままならない状況です。どうか建て主さんは温かく現場を見守って頂きたいというのが私からのお願いです。
これらはウッドショック問題と構造はとてもよく似ています。
コロナの影響で工場の生産性低下⇒世界的な在宅需要の高まり⇒在庫の奪い合い⇒日本に回している場合ではない、というのがだいたい共通する図式です。こういう時に国内で生産しているものは強いということですね。
とはいえ、建築には多様な価値軸がありますので、すべてを純国産でまかなうことだけが、必ずしも素晴らしい建築をつくることにはつながらないとも思います。
実際私は美しい北欧照明が大好きですし、食洗機も機能性では海外ブランドの方が優れているとも思っています。本質から目をそらして、今が大変だからということだけで小手先の安易な対応はしたくないとも思います。
これらの問題は一時的なものであることを祈りますが、もしかすると長期化する可能性もあり得ます。ですが、流通との連携や関係業者との信頼関係を高めることで、必ず乗り切れると信じています。まずは状況を共有頂き、建て主さんにおかれましてはどうか一層のご理解をお願い致します。
業界の人たちは結束しましょう!
現在輸入商材(設備機器・建材)を巡っても、現場は大混乱に陥っています。
例えば、うちは食洗機はミーレを指定することが多く、照明器具はルイスポールセンやアルテックなど、やはり北欧の輸入器具を使うことが多くあります。床材もナラやタモといったうちの定番フローリングも基本的に輸入品です。それらが今日本に入ってこなくて、尋常ではない納期がかかっているという問題が発生しています。
まずミーレですが、ミーレの食洗機はコロナの影響で本国ドイツの生産が滞っていることに加え、世界的な在宅需要の高まりから、日本仕様の出荷に大きな影響が出ています。今発注しても入荷は秋頃になるか、またはそれすらも読めない状況です。ウッドショック並みに、水面下では商社が血眼になって台数確保に走っています。
ルイスポールセンの照明も大打撃です。特にガラス系の照明(PH2/1、Toldbod Grassなど)は本国のガラス工場の稼働も低下していて、国内在庫はすでに底をつき、ものによっては6ヶ月以上の納期回答になっています。ガラス以外の器具もおしなべて品薄でほぼ壊滅状態。直近の竣工案件については、建て主さんにもご迷惑をおかけしている状況です。
フローリングについても、これまで欠品したことのないようなものまで欠品し始めています。うちのとある現場では定番のアッシュフローリングの国内在庫が底をつき、船便が1ヶ月以上も先になるということで、現場の木工事が事実上止まってしまいました。木造の現場では、フローリングが張れないと進められない工程が多く存在するのです。
こちらは我々から商社と話をつけて、国内在庫をかき集めるなどして対応しましたが、落とし穴どころか、現場工程はまさに穴ぼこだらけ。まっすぐ前に進むことすらままならない状況です。どうか建て主さんは温かく現場を見守って頂きたいというのが私からのお願いです。
これらはウッドショック問題と構造はとてもよく似ています。
コロナの影響で工場の生産性低下⇒世界的な在宅需要の高まり⇒在庫の奪い合い⇒日本に回している場合ではない、というのがだいたい共通する図式です。こういう時に国内で生産しているものは強いということですね。
とはいえ、建築には多様な価値軸がありますので、すべてを純国産でまかなうことだけが、必ずしも素晴らしい建築をつくることにはつながらないとも思います。
実際私は美しい北欧照明が大好きですし、食洗機も機能性では海外ブランドの方が優れているとも思っています。本質から目をそらして、今が大変だからということだけで小手先の安易な対応はしたくないとも思います。
これらの問題は一時的なものであることを祈りますが、もしかすると長期化する可能性もあり得ます。ですが、流通との連携や関係業者との信頼関係を高めることで、必ず乗り切れると信じています。まずは状況を共有頂き、建て主さんにおかれましてはどうか一層のご理解をお願い致します。
業界の人たちは結束しましょう!
