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sekimoto

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前回ウッドショック問題について書きました。あれから一週間くらい経ちますが、今もなおコロナをトリガーにした様々な問題が起き続けています。今回は輸入商材問題(物流ショック)について書きます。

現在輸入商材(設備機器・建材)を巡っても、現場は大混乱に陥っています。
例えば、うちは食洗機はミーレを指定することが多く、照明器具はルイスポールセンやアルテックなど、やはり北欧の輸入器具を使うことが多くあります。床材もナラやタモといったうちの定番フローリングも基本的に輸入品です。それらが今日本に入ってこなくて、尋常ではない納期がかかっているという問題が発生しています。

まずミーレですが、ミーレの食洗機はコロナの影響で本国ドイツの生産が滞っていることに加え、世界的な在宅需要の高まりから、日本仕様の出荷に大きな影響が出ています。今発注しても入荷は秋頃になるか、またはそれすらも読めない状況です。ウッドショック並みに、水面下では商社が血眼になって台数確保に走っています。

ルイスポールセンの照明も大打撃です。特にガラス系の照明(PH2/1、Toldbod Grassなど)は本国のガラス工場の稼働も低下していて、国内在庫はすでに底をつき、ものによっては6ヶ月以上の納期回答になっています。ガラス以外の器具もおしなべて品薄でほぼ壊滅状態。直近の竣工案件については、建て主さんにもご迷惑をおかけしている状況です。

フローリングについても、これまで欠品したことのないようなものまで欠品し始めています。うちのとある現場では定番のアッシュフローリングの国内在庫が底をつき、船便が1ヶ月以上も先になるということで、現場の木工事が事実上止まってしまいました。木造の現場では、フローリングが張れないと進められない工程が多く存在するのです。

こちらは我々から商社と話をつけて、国内在庫をかき集めるなどして対応しましたが、落とし穴どころか、現場工程はまさに穴ぼこだらけ。まっすぐ前に進むことすらままならない状況です。どうか建て主さんは温かく現場を見守って頂きたいというのが私からのお願いです。

これらはウッドショック問題と構造はとてもよく似ています。
コロナの影響で工場の生産性低下⇒世界的な在宅需要の高まり⇒在庫の奪い合い⇒日本に回している場合ではない、というのがだいたい共通する図式です。こういう時に国内で生産しているものは強いということですね。

とはいえ、建築には多様な価値軸がありますので、すべてを純国産でまかなうことだけが、必ずしも素晴らしい建築をつくることにはつながらないとも思います。

実際私は美しい北欧照明が大好きですし、食洗機も機能性では海外ブランドの方が優れているとも思っています。本質から目をそらして、今が大変だからということだけで小手先の安易な対応はしたくないとも思います。

これらの問題は一時的なものであることを祈りますが、もしかすると長期化する可能性もあり得ます。ですが、流通との連携や関係業者との信頼関係を高めることで、必ず乗り切れると信じています。まずは状況を共有頂き、建て主さんにおかれましてはどうか一層のご理解をお願い致します。

業界の人たちは結束しましょう!