以前、長らく続けた「新建築住宅特集」の購読をやめたことがあった。若かりし頃のように、誌面をめくるたびにときめくようなことも少なくなり、どこか異国の絵空事のように感じられるようになったためだった。
しかし購読をやめてしばらくしたら、スタッフから「新建築やめちゃったんですか?」と訊かれた。「あれ観てたの?」と訊くと、新刊が届くといつも手に取ってペラペラめくっていたのだという。
そうか、やっぱり建築にはすぐ明日にでも役立つような実用情報だけでなく、若いスタッフの感性をときめかせるようなサプリメントも必要なのかもしれない。そう思い直し、購読を再開した。
一方で必要なのは、日々生きてゆくために必要なガソリンだ。昨今のウッドショック関連の最新情報を日々更新するため、「日刊木材新聞」の購読をはじめた。こんなニッチな業界新聞を自分が手に取る日が来るとは思わなかった。
しかしこの新聞、想像以上にめちゃくちゃ面白くて、ネットでは絶対得られないコアな情報が日々びっしりと詰まっている。そりゃそうだ。ネット検索や加工された二次情報ではなくて、記者さんが日々奔走して、製材所やメーカーなどから直接取材をしているのだから。
こういう時、身近な関係者の談話だけを鵜呑みにするのは危険だ。情報がタダで手に入る時代だからこそ、本当の情報にはお金をかけなくてはいけない。まさに夢と現実。建築実務者にはどちらも欠かせないものだ。
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