14. 12 / 21
ニアミス
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sekimoto
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> 建築・デザイン
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今日は友人建築家,布施木綿子さんのオープンハウスへ.彼女は大学の同級生でもあります.
学生時代から彼女とは研究室も同じ,同時期にアトリエに就職し,同時期に退職し,同時期に海外に出て,同時期に独立しました.私の住宅に欠かせない造園の湊さんも彼女の紹介でした.彼女は私にとって最も大切な親友であり,同じ道を歩む同志でもあります.
今回の住宅は日野市豊田.そう,つい最近まで私がやっていた「トンガリの家」の現場の近くなのです.もちろんこちらの造園も同じく湊さん.そして今現場をやっている「西荻の家」のすぐ近くでも彼女の現場が進行中.しかも同じ工務店の同じ監督が見ているという・・。
過去には私のクライアントの,妹さんの家を彼女が設計したなんてこともありました.はたまた,クライアントが私以外に検討している建築家がたまたま彼女だったり.なんというニアミスぶり.私の領域(テリトリー)に入ってこないで!とは彼女の弁ですが,いやいやそっちこそ.
こうして彼女とは,この先も腐れ縁が続いてゆくのでしょう.
14. 11 / 25
加地邸一般公開
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sekimoto
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> 建築・デザイン
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遠藤新設計、加地邸一般公開のため葉山へ。築86年という重み、素晴らしい設計、そして愛情を感じる保存状態に感激しました。
遠藤新さんというのはフランクロイド・ライトの高弟で、旧帝国ホテルなどでも現地スタッフとして活躍された方です。作品からもライトの思想を色濃く感じることができます。
少し前までは実際に生活が営まれていたそうです。現在も加地家によって維持管理がなされています。

数年前に築80年近い洋館の改修(池上の家)をやったので私にはよくわかります。歴史家はいろんなことを言いますが、学術的な価値じゃないんです。住まい手の愛着、そして愛情。これに勝る保存手法はないんです。
でも、きっとそろそろ手に余ってきている頃でしょうね。外野は無責任に保存を訴えますが、裏側のいろんな事情を想像し、同情しつつも、やっぱり保存の道を探ってもらいたいものです。

14. 11 / 02
ビンテージパーツ
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sekimoto
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> 建築・デザイン
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なぜうちにこんな大量のパーツがあるかという話をすると長くなるんですが,とにかく使いもせず,かといって捨てるわけにもいかなかったこのパーツを,こんな顔で喜んでくれるのは,日本でもこの人だけでしょう.いやあ,これを生かしてくれる人の手に無事に渡って良かったです!


その昔,二人でヘルシンキのガレージセールを巡った日を思い出しますね.
ところでTALOではアールト家具を現在特別セール中!ご興味ある方は是非.(ちなみにリオタデザインのクライアントさんは私に直接言って下さい.いつでも特別価格です!)
北欧家具TALO
http://www.talo.tv/


ここはどこ?フィンランド?
いえ,八王子です.
企画委員を務めるSADI(北欧建築・デザイン協会)にて工学院大学八王子図書館の見学会を行いました.設計は武藤章氏.アールトの事務所に勤務し,帰国後は工学院大学教授として後進を育てた建築家です.
素晴らしい空間でした.アールトの空間をコピーしたものではなく,武藤流の建築流儀とスケールによって,居心地の良い空間を作っていました.そんな空間が現在取り壊しの憂き目に遭っています.そんな空間を一人でも多くの方に知ってもらいたいと思います.
以下のSADIブログにレポートを載せましたので,ご興味のある方は是非ご覧下さい.
http://sadiinfo.exblog.jp/23243729/
◇
さて,今回のような保存問題については,私なりに思うところがあります.
最近でも国立競技場の建て替え問題で大騒ぎしています.現在の競技場は残して改修をすべき,いや建て替えるべき,建築界はケンケンガクガクです.
いや,実は手遅れで既定路線は既に建て替えで進んでいます.ザハ・ハディドという外国人建築家の案が採用され,東京オリンピックに間に合わせるべく,急ピッチで設計は進んでいるという実情があります.
その前には同潤会問題がありました.表参道の古い同潤会アパートは残すべき.しかし取り壊され,安藤忠雄さん設計の表参道ヒルズが建ちました.その時もケンケンガクガク.日本では古いものを残すというのは経済の論理の元ではほぼ無力です.学者や一部の建築家の声などかき消され,無きがごとしです.
ただ一方では,反対を叫ぶ建築家だって人のことは言えないのです.
なんといっても,古いものを壊さなければ,こと東京では仕事などできないのですから.あなたは古いものを壊したことはないのですか?
「いや,それとこれとは話が違うよ」
はたしてそうでしょうか?
「保存すべし」と叫んだ方が社会的にはかっこいいのです.「僕は保存すべきだと言ったんだけどね,結局取り壊されちゃったんだよ」そう言って遠い目をした方が正義なのです.そうではありませんか?
私は保存問題には,いつも少し醒めています.
そういうことを熱く言う人が居ればいるほど醒めてしまうのです.そしてそんな自分を少し後ろめたく思っています.
今回の図書館を見てどう思ったか.
私は「保存すべき」だと強く思いました.
空間が素晴らしかったことももちろんあります.けれどもそれ以上に,この空間は社会的にほとんど知られていなくて,報道ステーションでも朝日新聞でも取り上げてくれない問題だと思ったからです.そうしている間に,誰にも知られることなくその灯火が消されようとしている.それを思うと,その儚さに「守ってあげなくては」という思いを強くしました.
つまり保存の問題は実感の問題なのだと思います.
頭で考えるのではなく,心で考える問題だということです.
せめてこの空間を別用途に転用しようという意見もあるようです.けれども私はすこし反対です.この空間から本が抜き取られたら,それはもはや図書館ではない.この建築は,図書館であるからこそ生きる建築なのだと思うのです.
何が何でも保存,と突き走ることだけが良いことなのか私には分かりません.でも最後の最後まで粘って,結局敗れたときに,あっけなく壊されて消滅してしまうのではあまりに悲しいと思います.
せめて学生がこの空間に親しんだその生きた証のようなものが残せたらと思います.図書館が図書館として,最も輝いている姿を美しい写真などで残せないものでしょうか.せめてその刊行物を出版する動きを併行してできないものでしょうか.
空間の儚さ,建築の宿命,保存の問題・・・
昨日はいろいろ考えさせられた一日でした.



山形から来ていた学生Sさんの,のべ8日間に及ぶオープンデスクが昨日終了しました.同時に我々も今日から束の間の夏休みに突入です.
以前も書いたように,今年のオープンデスクは現場からクライアントの打合せに至るまで同席させ,住宅が作られてゆくリアルな空気を学んでもらいました.
この短い期間で彼女は,それぞれ別々のプロジェクトではありますが,『設計打合せ→見積調整→基礎工事→木工事→竣工検査→オープンハウス』とほぼ全工程に立ち会ったことになります.これは本来設計事務所に入って,1年以上実務を経なければ体験できないことです.
加えて彼女にはその前段階のプロセス,現在進行中のとある住宅の要望書を渡し,プランニングから立案という作業も行ってもらいました.
スタッフのデスクは現在満席のため,彼女の定位置はミーティングデスクの隅っこ.毎日現場とこのデスクを往復し,時に現場ではリアルなスケールを採寸し,夕方には私の指導を受けるという日々でした.

そして昨晩は最終案の発表と講評会.
スタッフからは容赦ないツッコミが飛びました.けれどもどうしてどうして.これは彼女の案がようやく我々の批評に載るレベルに達したということを意味しているのです.(前日は宿泊先で明け方まで作業していたようです)
彼女には特別に(門外不出?)私のエスキーステクニックからプランニング手法に至るまで,余すところなく伝授しました.最初はシングルラインで頼りなかった彼女のプランニング(この時点ではまだお施主さんの描く間取り図レベル)は,みるみる変貌し,日々バージョンアップを繰り返してゆきました.もちろんまだまだなところはいっぱいあるのですが,一週間でここまで人は成長できるのだということに,正直私も感動を覚えました.

初日に渡した新品のエスキース帳は,最終日には1冊とはいきませんが半分以上は使われていたでしょうか.この一週間で彼女が作成したプランは計8案.スタディを含めると10案以上は考えたのではないでしょうか.実のところこれが私が最もやらせたかったことなのです.
大学の課題では,ひと課題につき2ヶ月以上を費やして設計指導をします.けれども学生の図面がようやく図面らしくなるのは最後の1~2週間がやっとというところです.
けれども我々はそんな悠長な仕事はしていられない.時間を惜しんで集中すれば,わずか1週間で8案も作れるということ.千本ノックのように手先を動かせば,それが頭と連動して空間が肉体化するということ.そしてそれが自信となり,最後に揺るぎないプレゼンができるのだということ.

それを経験してもらえたことは,今後の糧にもなるはず.一度できたことは,次からもできるはずだからです.大学の課題も,出題から最初の一週間でここまでできれば,きっとライバルには大きな差を付けられるでしょうね.
「もう一度2年生に戻って,住宅課題をやり直したい!」
そういう彼女には,少しは住宅設計の面白さがわかってもらえたかもしれません.今日は東京見学をして帰るそうです.どうか楽しんでいって下さい.今後の活躍を楽しみにしています!
