友人の建築家、丹羽修さんの本をご紹介します。

あらためて読ませて頂きました。これとっても良い本ですね!これから家を建てようという方(特に、設計事務所に頼もうかどうか迷っている方)は絶対に読んだ方が良いと思います。

『家を建てたくなったら』 丹羽修 著
http://amzn.asia/d/aaANouc

丹羽さんとは9月に行った北欧旅行で知り合いました。丹羽さんは私と同じように住宅設計を生業とされている建築家ですが、これまで会った建築家でこんなに穏やかな方を私は他に知りません。

私の知る限り、建築家と名の付く方はなかなかアクの強い方も少なくないのですが、その気さくさに私は勝手に親近感を感じて、旅行を通じてすっかり意気投合して仲良くなってしまったのでした。


もう一度本の内容に戻りますが、読んでみてとても驚いたのは、私が建て主さんにいつもお話ししていることが、寸分違わぬ表現で書かれていたことです。あれ、これ私が書いた本だっけ?と思ったくらい。

私は書物よりも自分が経験したり実感したことを信じており、これまでのたくさんの家づくりの経験から話している自分なりの格言めいた言葉もあるのですが、それらの多くは私独自の考え方のように思っていた部分もありました。

きっと丹羽さんも私と同じタイプの建築家で、建て主さんと向き合い、その肌感覚や観察眼によって住宅を作り上げてきた人なんだろうということがよくわかりました。

実は…
うちの建て主さんには、”隠れ丹羽ファン”がたくさんいることを私は知っています笑。打ち解けて話をしていると、かなりの確率で丹羽さんの本を読まれている方が多くいらっしゃるのです。

これまでは「皆さん勉強熱心な方なんだな」というくらいにしか思っていませんでしたが、今回精読して、私と丹羽さんはその設計思想の多くを共有しているのだということがよくわかりました。

丹羽さんは双子のご兄弟がいらっしゃるそうですが、私と丹羽さんとはどうやら住宅思想の一卵性双生児ということで、これからもお互い建て主がかぶらないようにしたいと思います笑。

丹羽さん、今度サインしてね!

18. 11 / 04

愛媛へ


先週金~土にかけて愛媛に行ってきました。

目的は会いたい人、行きたい場所、見たい建築などがいっぱいあったためですが、このわずか二日間で見たこと体験したことの話は、たくさんありすぎてとてもここでは書けません。フェイスブックなどSNSにその多くの写真を載せているので、ご興味ある方はそちらをご覧下さい。

ここで書き残しておきたいのは、特に八幡浜の日土小学校、そして大洲の少彦名神社参籠殿のことについてです。



日土小学校を訪れた感動を上手く表現することができない。

一般公開日以外は内部を見学することはできない。しかし日土小学校の出身で、学校のすぐ隣に事務所を構えるリオタデザインOBの二宮一平くんの計らいで、今回特別に内覧させてもらうことができた。我々のためだけの貸切だった。

私はそれを自慢したいのではない。彼はこの郷里を愛し、母校のために尽くしてきた。不具合があれば誰よりも早く駆けつけた。ボランティアで、友人と池のモルタルを塗り直したこともあるそうだ。彼が強い信頼関係で地元と結ばれ、愛されているということに胸が熱くなった。

日土小学校は素晴らしい小学校だった。愛情が溢れていた。学校とは何かと深く考えさせられた。年代がとか、学術的な価値といったものではなく、本当に大切なものがここにはある気がした。

川を覗くと魚がいっぱい泳いでいた。放課後はみんなで魚釣りをしたそうだ。テラスには出てはいけないと言うわりに鍵がかかっていたことはなかったという。彼の思い出と共に聞く空間は、まるで生きているようだった。





大洲市の少彦名神社参籠殿は2016年に「ユネスコアジア太平洋文化遺産保全賞最優秀賞」を受賞した。快挙だった。


少彦名神社参籠殿は、昭和初期に建設された懸造りによる傑作である。ところが、管理者不在により荒れ果て、危険のため取り壊される寸前だったという。再生のための改修設計に白羽の矢が立ったのは、地元の二宮一平くんだった。

今回それをようやく見ることができた。近くの臥龍山荘には多くの人がいたのに、参籠殿には人影がなかった。地元でもあまり知られていないようだ。

彼の苦労はあえてここでは書かない。書ききれない。けれども、とてもじゃないけれど私にはできないと思った。立派な美術館を作ったわけではない。けれども地元の建築関係者では彼の名前を知らぬ者はいないという。ローカルアーキテクトとは何かということを彼から学んだ。

彼はうちの事務所の初代スタッフだった。当時は仕事がなく十分に彼にお金を払えなかった。彼もお金はいらないと言った。彼は昔からそういう男だった。私は彼を誇りに思う。



ルーバーで覆われた建物は社務所兼トイレ。彼による設計で、かすかに彼がリオタデザインで学んだことが垣間見れる。


本展ではアルテックの貴重なマニフェストの原本が展示されています。これは昨年のヘルシンキ展で撮影したもので、日本展では原則撮影禁止となっています。

昨年ヘルシンキ展でこれを見たときは興奮のあまり卒倒しそうになりました。私はこのマニフェストのポストカードを今でも机の前に大切に飾っていますが、何が書かれているかというと創業理念書みたいなもので、この内容が本当に素晴らしいのです。ちなみにポストカード自体も現在は売っておらず大変貴重なものになっています。


アルテックと言えばアアルトらが中心となって設立した、ご存じの通りアアルト家具を製造販売する会社ですが、そのマニフェストによればそれはほんの一部であり、文化的啓蒙活動、展覧会の企画、出版など多岐に亘る会社の社会的役割があったことがここには示されています。

壮大すぎだろ!とその場にいたら思わずツっこみたくなるような内容にもかかわらず、アルテックはほんの数年でそれを達成してしまいました。

アアルト、アイノ、そしてマイレア邸で有名なマイレ夫人やニルス・グスタヴ・ハルらの描いた壮大なビジョン(夢)がアルテックそのものであるということを、このマニフェストは伝えています。

日本展ではちゃんと日本語訳も示されています。これも地味すぎてみんな素通りしていて歯がゆい限りです。これ本当にすごい資料なので絶対に見て下さい!


神奈川県立近代美術館・葉山でのアルヴァ・アアルト展は先週土曜日(9月15日)よりはじまりました!

今回の展覧会は、ヴィトラxアルテックによる世界巡回展の日本展という位置付けになります。私は昨年ヘルシンキでの巡回展を見ていますが(それを見るためだけにヘルシンキに行きました)、全てのマテリアルは来ないということで不安も感じていましたが、何が来なかったかわからないくらい充実した展示になっていました。

私は展覧会そのものには関わっていないのですが、AALTO120という展覧会をプロモーションするためのグループの事務局として、コーディネーターの和田菜穂子さんらと共に1年ほど前から展覧会を裏方でサポートしています。

今回の展覧会、まず写真が素晴らしいです。そして原図やオリジナルサンプルの数々…。これまで本の中でしか見ていなかったものが目の前にあるという感覚を味わってください。

国内では20年ぶりのアアルト展です。私は昨年のヘルシンキ展の余韻がまだ残っているくらい、アアルト好きにはたまらない展覧会だと思います!


そして、これから行く方はご注意ください!

最後の展示室の模型台の下は図面引出しになっていて、原図が収納されています。もちろん全部見て下さい!これが素晴らしいんです。結構気付かず素通りしてしまっている人がたくさんいました。(ヘルシンキ展でもそうでした)



上の写真はヘルシンキ展のものです。(日本展は撮影NGのようです)

東京の方、いずれ東京ステーションギャラリーに来ますが、私が行った葉山展は比較的空いていてとてもゆったり見ることができましたよ。



16日(日)にはオゾンにて、アアルト展オープニング記念として建築家の塚本由晴さんをお招きして講演会を開催致しました。私は司会として登壇しましたが、会場には300人近い参加者が詰めかけ、会場も熱気に包まれました。

アアルト展は国内は以下4館を巡回します。
どうかお近くに来た際は是非足をお運び下さい!

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『アルヴァ・アアルト-もうひとつの自然』展
Alvar Aalto -Second Nature

神奈川県立近代美術館 葉山
2018 9/15-11/25
名古屋市美術館
2018 12/8 – 2019 2/3
東京ステーションギャラリー
2019 2/16 – 4/14
青森県立美術館
2019 4/27 – 6/23


先日まで都内某所の敷地にて、木造による賃貸住宅の提案をさせて頂いておりました。いわゆる”木賃アパート”ですが、街によくある木賃アパートと言えば昭和な匂いのするものが多いですね。外部に鉄骨階段があり、片側廊下で部屋がずらっと並んでいるという。

私も学生時代は一時期、そのようなところに下宿していたのですが、木造なので音が下階に筒抜けで、よく下の先輩からうるさいと怒られていました。

この住宅は、全戸がメゾネットでできているので、上下階を自己使用することができます。しかも共用部を持たず、全戸に中庭と専用庭、そして専用玄関があるという”ほぼ戸建て”の生活ができるような作りになっています。

こういう共用部を持たない共同住宅を「長屋」と呼ぶのですが、こちらは全戸長屋形式による賃貸住宅です。


個人的に気に入っていたのは、全戸に中庭があるということもそうなのですが、道路に向かってアルコーブ(へこみ)を設け、そこにベンチ等を設けることで街行く人たちとささやかながらの交流や、自転車を置いたり、またそれを整備したりと外部を開放的に使える仕掛けを施していたことです。

なんとなく賃貸というと、隣の人とはむしろ極力関わり合いたくないといったところかと思います。ましてや街の人たちとは孤立した存在になりがちです。

建物をそんなつくりにしたら街が変わるのにな、とそんな願いも込めて設計しました。ですが、残念ながら建て主側の事情もありお蔵入りとなってしまいました。残念!


ということで、折角なのでブログに上げておこうと思います。

リオタデザインでは戸建て住宅だけでなく、こんな賃貸住宅のご提案もできます。どなたかこんなの建てませんか?