住まいの環境デザインアワード2019にて、
我々の設計した「路地の家」が審査員特別賞に選ばれました。
http://www.gas-efhome.jp/prizewinner/index.html


正直上位入賞を狙っていたので、優秀賞以上の賞が取れなかったことがとても悔しく、ヘコんでいたのですが、本日発表となった受賞者の顔ぶれを見て、思いのほかレベルの高いところに食い込んでいることが分かりました。悔しいけどまたがんばろう。

このアワードは広く「住まいにおける環境とは?」という定義を問い直すもので、温熱や気密性能だけでは計れない建築の持つ魅力やポテンシャルにもフォーカスをあてたものだと昨年のシンポジウムを聞いて思いました。

路地の家はそこにある「都市環境」を引き受けて、街に大きく開いた住宅です。一方でHEAT20 G1グレード相当の断熱性能を兼ね備え、通風や採光といったあたりまえの住宅性能は損ねずに、住宅の快適性とデザイン性を両立させています。

性能の先にあるものはなんだろう?という我々の近年のテーマが、一定の評価を得たものと受け止めたいと思います。また、このような住宅を設計させて下さった建て主さんにも心より感謝致します。

路地の家
https://www.riotadesign.com/works/17_roji/#wttl


今日は午前中にリオタデザインOBの柴くんのオープンハウスへ。
21坪程の小さなリノベーション。

複雑に絡んだ難条件を丁寧に解きほぐした点も評価に値すると思いますが、一番良かったのは、空間全体に彼らしさがあったこと。上手く言えませんがそれに尽きるような気がします。

彼はもう独立して何年になるのだろう。私の元を離れて自分の事務所を持つということは、自分の世界で勝負をするということだと思います。ここ数年の彼の仕事には、借り物ではない自分の言葉で空間が作られている印象があります。

リオタと違って、とっても良い。
今日はご案内ありがとうございました。


友人の建築家、丹羽修さんの本をご紹介します。

あらためて読ませて頂きました。これとっても良い本ですね!これから家を建てようという方(特に、設計事務所に頼もうかどうか迷っている方)は絶対に読んだ方が良いと思います。

『家を建てたくなったら』 丹羽修 著
http://amzn.asia/d/aaANouc

丹羽さんとは9月に行った北欧旅行で知り合いました。丹羽さんは私と同じように住宅設計を生業とされている建築家ですが、これまで会った建築家でこんなに穏やかな方を私は他に知りません。

私の知る限り、建築家と名の付く方はなかなかアクの強い方も少なくないのですが、その気さくさに私は勝手に親近感を感じて、旅行を通じてすっかり意気投合して仲良くなってしまったのでした。


もう一度本の内容に戻りますが、読んでみてとても驚いたのは、私が建て主さんにいつもお話ししていることが、寸分違わぬ表現で書かれていたことです。あれ、これ私が書いた本だっけ?と思ったくらい。

私は書物よりも自分が経験したり実感したことを信じており、これまでのたくさんの家づくりの経験から話している自分なりの格言めいた言葉もあるのですが、それらの多くは私独自の考え方のように思っていた部分もありました。

きっと丹羽さんも私と同じタイプの建築家で、建て主さんと向き合い、その肌感覚や観察眼によって住宅を作り上げてきた人なんだろうということがよくわかりました。

実は…
うちの建て主さんには、”隠れ丹羽ファン”がたくさんいることを私は知っています笑。打ち解けて話をしていると、かなりの確率で丹羽さんの本を読まれている方が多くいらっしゃるのです。

これまでは「皆さん勉強熱心な方なんだな」というくらいにしか思っていませんでしたが、今回精読して、私と丹羽さんはその設計思想の多くを共有しているのだということがよくわかりました。

丹羽さんは双子のご兄弟がいらっしゃるそうですが、私と丹羽さんとはどうやら住宅思想の一卵性双生児ということで、これからもお互い建て主がかぶらないようにしたいと思います笑。

丹羽さん、今度サインしてね!

18. 11 / 04

愛媛へ


先週金~土にかけて愛媛に行ってきました。

目的は会いたい人、行きたい場所、見たい建築などがいっぱいあったためですが、このわずか二日間で見たこと体験したことの話は、たくさんありすぎてとてもここでは書けません。フェイスブックなどSNSにその多くの写真を載せているので、ご興味ある方はそちらをご覧下さい。

ここで書き残しておきたいのは、特に八幡浜の日土小学校、そして大洲の少彦名神社参籠殿のことについてです。



日土小学校を訪れた感動を上手く表現することができない。

一般公開日以外は内部を見学することはできない。しかし日土小学校の出身で、学校のすぐ隣に事務所を構えるリオタデザインOBの二宮一平くんの計らいで、今回特別に内覧させてもらうことができた。我々のためだけの貸切だった。

私はそれを自慢したいのではない。彼はこの郷里を愛し、母校のために尽くしてきた。不具合があれば誰よりも早く駆けつけた。ボランティアで、友人と池のモルタルを塗り直したこともあるそうだ。彼が強い信頼関係で地元と結ばれ、愛されているということに胸が熱くなった。

日土小学校は素晴らしい小学校だった。愛情が溢れていた。学校とは何かと深く考えさせられた。年代がとか、学術的な価値といったものではなく、本当に大切なものがここにはある気がした。

川を覗くと魚がいっぱい泳いでいた。放課後はみんなで魚釣りをしたそうだ。テラスには出てはいけないと言うわりに鍵がかかっていたことはなかったという。彼の思い出と共に聞く空間は、まるで生きているようだった。





大洲市の少彦名神社参籠殿は2016年に「ユネスコアジア太平洋文化遺産保全賞最優秀賞」を受賞した。快挙だった。


少彦名神社参籠殿は、昭和初期に建設された懸造りによる傑作である。ところが、管理者不在により荒れ果て、危険のため取り壊される寸前だったという。再生のための改修設計に白羽の矢が立ったのは、地元の二宮一平くんだった。

今回それをようやく見ることができた。近くの臥龍山荘には多くの人がいたのに、参籠殿には人影がなかった。地元でもあまり知られていないようだ。

彼の苦労はあえてここでは書かない。書ききれない。けれども、とてもじゃないけれど私にはできないと思った。立派な美術館を作ったわけではない。けれども地元の建築関係者では彼の名前を知らぬ者はいないという。ローカルアーキテクトとは何かということを彼から学んだ。

彼はうちの事務所の初代スタッフだった。当時は仕事がなく十分に彼にお金を払えなかった。彼もお金はいらないと言った。彼は昔からそういう男だった。私は彼を誇りに思う。



ルーバーで覆われた建物は社務所兼トイレ。彼による設計で、かすかに彼がリオタデザインで学んだことが垣間見れる。


本展ではアルテックの貴重なマニフェストの原本が展示されています。これは昨年のヘルシンキ展で撮影したもので、日本展では原則撮影禁止となっています。

昨年ヘルシンキ展でこれを見たときは興奮のあまり卒倒しそうになりました。私はこのマニフェストのポストカードを今でも机の前に大切に飾っていますが、何が書かれているかというと創業理念書みたいなもので、この内容が本当に素晴らしいのです。ちなみにポストカード自体も現在は売っておらず大変貴重なものになっています。


アルテックと言えばアアルトらが中心となって設立した、ご存じの通りアアルト家具を製造販売する会社ですが、そのマニフェストによればそれはほんの一部であり、文化的啓蒙活動、展覧会の企画、出版など多岐に亘る会社の社会的役割があったことがここには示されています。

壮大すぎだろ!とその場にいたら思わずツっこみたくなるような内容にもかかわらず、アルテックはほんの数年でそれを達成してしまいました。

アアルト、アイノ、そしてマイレア邸で有名なマイレ夫人やニルス・グスタヴ・ハルらの描いた壮大なビジョン(夢)がアルテックそのものであるということを、このマニフェストは伝えています。

日本展ではちゃんと日本語訳も示されています。これも地味すぎてみんな素通りしていて歯がゆい限りです。これ本当にすごい資料なので絶対に見て下さい!