ふと入ったお店に懐かしいケトルがあった。フィンランドのOPAというメーカーのケトル。フィンランド在住時代、生活を始めるにあたって、とりあえず近くのスーパーでいろいろ買い揃えたもののひとつで、当時は毎日これでお湯を沸かしていた。

そこで値段を見てびっくり!うそでしょ、1万円以上してる。だってこんなの、地元のスーパーに行けばどこでも売っていたし、いくらで買ったかは覚えていないけど、たぶん日本円でも2~3千円とかそんなものだったのではないだろうか。

そもそもフィンランドという国は物のチョイスの幅がほとんどなくて、ケトルといえばこれしかなかった気がする。カイ・フランクのような著名デザイナーがデザインしたわけでもない、ただの無骨なケトルだ。

店頭のキャプションを読むと、どうやら映画「かもめ食堂」で使われたことから人気に火が付いたらしい。現行品は0.5Lと1.5Lの2種類。ところが我々が使っていたのは1.0Lのタイプ。どうやらこれは現在は製造されていないらしい。現行の0.5Lや1.5Lですらもネットでは売り切れているところが多く、ましてやこの1.0Lのタイプはかなりの希少品のようだ。

実は、正直言うと当時からこのケトルはただの安物だと思っていて、デザインもあまり気に入っていたわけではなく、帰国の際もかさばるので置いて帰ろうとすら思っていた。妻が「かわいいから持って帰る」と言って、家でもずっと戸棚に入れっぱなしだったのに、気がついたらお宝になっていた。

事務所で使っているiittalaのKartioグラスも、コバルトブルーのタイプは現在は製造しておらず、人気の高さからかなりの希少品になっていると聞いた。取り扱いに気をつけねば、、。我が家も探せばまだまだそういうものがありそうだ。


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sekimoto

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> AALTO
> 北欧


■フィンランドが生んだ世界的建築家の人生と作品を巡る『アアルト』2023年秋公開
https://www.cinemacafe.net/article/2022/09/13/80834.html


1年ちょっと前、知人の誘いで「アアルト」の映画試写会に足を運びました。すでにフィンランドでは公開済みの映画で、本当は去年日本で公開される予定だったそうなのですが、コロナ蔓延で延期。結局公開は来年の秋になったようです。

本当は去年の試写会の内容をすごく書きたかったのですが、情報リリース前だったので何も書けませんでした。これでようやく書ける!

この映画めちゃくちゃ良いです。一番良かったのは何と言っても「動くアールト」が見れたこと。アールトといえば、その肖像を写真でしか見たことなかったので、喋っているアールトというのはかなりの衝撃でした。例えて言えば、自分が産まれる前に亡くなったおじいちゃんに再会したかのような。

他にもアールト作品をドローン撮影するなど、クオリティの高い映像でこれまで見たことのないアールト建築が観れるのも見どころのひとつです。

コアなアールトファンから、アールトって誰?という人まで、オススメの映画です!、、て公開はまだ1年先なんですけどね。


↓↓ こちらは2020年に公開されたフィンランド版のトレーラー(予告編)です。日本公開版ではありませんのでお間違えなく。ただし映像は日本公開版も同じです。


以前も書きましたが、野地木材工業(通称のじもく)さんのYouTubeチャンネル企画で、建築家の伊礼智さん、小谷和也さんらと毎月ゲストを招いてのトーク番組をやっています。

■ のじもく酒場 -建築家たちの飲まずにいられない話-
https://www.youtube.com/playlist?list=PL8U10lwp4E-Z57YEFcBIXMb0HLVqYZ1zT

手前味噌ながら、毎回のゲストがなかなか豪華で、住宅設計業界のトップランナー達に毎回登場して頂いています。これまでのゲストは、大迫学さん(ベガハウス)、飯塚豊さん、丸山弾さん、若原一貴さん、青木律典さんと続いています。

毎回お酒を呑みながらの放談のため、酔いが回るときわどい(あるいは完全アウトな?)話がポンポン飛び出すのですが、すべて編集して頂いて流しています。配信前には我々も目を通すのですが、ちょっと確認のつもりが毎回ゲストの話が本当に面白くて、一度は聞いた話なのについつい手を止めて見入ってしまいます。

トークを回しているのが気心の知れた我々ということもあるので、ついつい油断してしまうのでしょう。講演会やインタビューでは絶対に話さない本音や裏話が飛び出すのがこのチャンネルの魅力だったりします。


さてそんな「のじもく酒場」ですが、第6回目を数える今回はいよいよ家具デザイナー、小泉誠さんの登場です!

小泉誠さんは、肩書きこそ家具デザイナーを名乗っていますが、住宅設計も手がけ、それが格別に上手いのです。私も独立当時からの憧れの存在であり、目標にしてきた方の一人です。それ以外にも、生活小物や文房具に至るまでありとあらゆる物のデザインを手がけ、そのどれもが愛らしく、クオリティの高い仕事なんですよね。

Koizumi Studio
http://www.koizumi-studio.jp/

今回は私のたっての希望で「次は小泉さんを呼んで欲しい!」とお願いしたのでした。なので誰よりも楽しみにしているのは私かもしれません!ということで、今から”神回”決定ですので、皆さまにも是非ご覧頂きたく思っています。

当日配信の1時間は生放送。こちらは後日録画配信もありますが、失言?をカットした編集版なのでノーカット版は当日配信のみです。それ以降もトークは続き、前述の通りヤバいトークをカットした編集版が、やはり後日配信となります。こちらもどうかお楽しみに!

■ のじもく酒場 -建築家たちの飲まずにいられない話-
次回(9月16日)ゲスト:小泉誠さん

9月16日(金)19時~ YouTubeLive
当日のご視聴はコチラから↓
https://youtu.be/caYLJ8LNIJE






以前アップしましたYouTube前編の続きとなる後編です。後編は前編のインタビューの続きと、自邸OPENFLATの”建もの探訪”です。事務所もご紹介頂いています。こちらもどうかご覧下さい!

JCTVたてものチャンネル
[建築に詳しいTVディレクターが建築家に会いに行く_vol.7]


■事務所兼自邸はやっぱり北欧風?キモは中庭! -リオタデザイン後篇
https://youtu.be/YaKtrSORoU8

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「建築」とはなんでしょう。
「建物」との違いについて、あなたは明確に答えられますか?

我々は建物(building)ではなく、建築(architecture)を作りたいと思っています。私はおこがましくも、自らを建築家と称してもいます。でも自らを建築家と名乗っている人でも「建築」の定義を明確に語れる人は少ないような気もします。

私は最近こう思っています。
建築とは「こうなりたい、こうありたいと願うこと」だと。

なんだそりゃと思うかもしれません。でも私の中の定義はそうなんです。「こうなりたい、こうありたいと願うこと」。もしかしたら建築以外のジャンルでも同じ事が言えるかもしれませんね。私は建築をつくるというジャンルにおいて、いつもそう考えて行動したいと思っています。

そんな面倒な回り道をしなくても、手っ取り早く、もっと楽に作れたり、手に入れられたりする方法は世の中に溢れています。しかしそれによって得られるものは、心がときめくような理想ではなく、あくまで現実の延長線でしかないとしたら、我々は少しでも現実を乗り越えて理想に近づきたいと思っています。

これはなにも我々設計者だけの問題ではありません。クライアントとなる方もそうです。あなたが望んでいるものは「建築」でしょうか。それとも「建物」ですか?それによっては頼む依頼先も異なるかもしれませんね。

うちの事務所にいらっしゃる方は、もれなく「建築」を望まれている方です。間違っても「建物」ではない。建築の定義はアートではありません。高級品という意味でもありません。ただひとつ「こうなりたい、こうありたいと願うこと」これに尽きます。

そしてそれは設計行為だけに留まりません。建築とは生き方そのものだからです。それに照らせば、建築家の定義は「こうなりたい、こうありたいと願う人」です。世間的な評価や、建築専門誌に載るかどうかはまた別の話です。

建築をつくる人の空間はオリジナリティに溢れています。なぜならその空間がその人自身を体現しているからです。それはクライアントの要望にすらも左右されない体幹のようなものです。

良い建築を見ると、私は背筋が伸びる思いがします。こんなにもストイックに、誠実に物事と向き合っている人がいるのだということに気づかされ、そして現実に流され、現状に甘んじている自分の弱さを同時に突きつけられます。

それはきっと人がアートを見たり、とびきり美味しい料理を食べたときに感じる、作り手へのリスペクトそのものとも言えるでしょう。そしてこう思うのです。自分も「こうなりたい、こうありたい!」と。

そう思い続けるためには、自分の立場にリミッターがあってはダメなんだと思います。もし自分の置かれた立場が邪魔をして、自分が本当に願うことができないとしたら、その時が人生の節目であり、建築の旅のはじまりです。

残念ながら、私はまだ自分が満足するような仕事を残せていません。私が感じるように、私もまた人々の背筋を伸ばせるようなものを作りたい。それが私にとっての目標であり「建築」なのです。