26. 03 / 02

GOMAさん



日曜日はディジュリドゥ演奏家で画家でもあるGOMAさんの個展を見に、しもだて美術館まで。GOMAさんのことを知ったのはつい最近のことなのだけれど、展覧会は昨日が最終日ということでギリギリのすべりこみだった。

GOMAさんはもともとアボリジニの伝統楽器ディジュリドゥの演奏家であったところ交通事故に遭い、その事故をきっかけに過去の記憶を失い、同時に不思議な絵を描き始めたという異色のアーティスト。

高次脳機能障害から後天性サヴァン症候群となり、自身のトランス状態で見た“風景”を点描画で表現するという、たぶん初めて聞いた人はなんのことかさっぱりわからないかもしれないけれど、少なくとも我々には見えない世界を精密に描き切るGOMAさんの絵は、とにかく見ているうちに向こうの世界に連れて行かれるような不思議な魅力を持つ。

生と死の間を彷徨いながら描くそのスタイルは、点描画という点でも草間彌生さんにもよく似ている。そのドットはGOMAさんによると光の粒子なのだそうだ。

この日は最終日で、たまたま本人によるギャラリートークと、作品の前でのディジュリドゥ演奏まであり、この演奏も素晴らしくて滑り込みで行った甲斐があった。

帰宅してから息子にこのことを話すと、実は彼はGOMAのファンで、大学の学園祭に呼びたくて過去にコンタクトまでしていたことがわかった。演奏を聞きながら息子が好きそうな感じだなと思った直感は当たっていた。

トークでは、自身が事故に遭ったことで離れていってしまった人もいたという話から、人生で本当に必要な人とはどんな人かという話があり心に刺さった。人間の能力の不思議、潜在能力の凄さを実感しとても勇気づけられた。良い展覧会だった。



26. 02 / 27

レジェンド

author
sekimoto

category
> AALTO
> 北欧



北欧建築・デザイン協会SADIでは会員相互で特定のテーマについて語り合うSADIサロンという定期企画があります。

今月のテーマは「アールト」。最初に私がスターターを務めて、その後会員それぞれの視点から自由にアールトの解釈や惹かれるポイントについての意見交換、とっても盛り上がりました!

この日嬉しかったのは平山達さん(SADIでは「先生」という呼称は禁止なのであえてさん付け)が久しぶりにご参加くださり、私に続けてご自身のアールト観についてもお話くださったこと。SADIでアールトといえば平山さんを置いてなく、私などがアールトを語るなど20年早いとすら思えます。まさにレジェンドです!

理事を退任されてご健康も心配していたのですが、とてもお元気そうで、何よりアールトの話をされている平山さんがとても楽しそうで、理事会後の居酒屋さんのように、この場で一緒にアールト話ができていることが嬉しすぎて思わず涙が出そうでした。

平山さんからは、私のアールト解釈のいくつかにご意見も頂きましたが、表現こそ違っても見ているポイントは同じなんだと思い、ここでもじんわり。また参加者の筒井さんからはアールト事務所でアールトと2時間歓談した話なども飛び出して、このSADIにはどれだけレジェンドがいるんだとびっくり。

それに比べて私の知識のいかに薄っぺらいことか。人間国宝のようなレジェンドメンバーには心から長生きをして頂きたいと願った夜でした。ご参加くださった皆さまありがとうございました!

日々いろんな人にお会いする。あたらしいお施主さんの時もあるし、同業の設計仲間の時もある。

我々のように個人で仕事をする者としては、会社組織に属していないので積極的に外部の人と関わらないと閉じた世界のガラパゴスのようになってしまう。人とのつながりって大事だといつも思う。

昨晩はお声がけ頂き、建築家の山田悦子さんの洗練したリノベーションのお仕事や、各務謙司さんの移転したハイセンスな事務所も拝見させて頂き、その後はみんなで会食。ほかにも、untiedの齋藤さん、TAGKENの田口さんやハレトケの渡辺さんなど、みなさんその道のトップランナーばかり。とても刺激的な夜となった。

各務さん、山田さんのお仕事は、私が普段手がける仕事よりも頭ひとつ抜けた高価格帯のお仕事で、私はそれをプレミアム案件と呼んでいますが、そういう仕事をデフォルトにしている方々の仕事意識や、どういう価値観で仕事をしているのかという話を聞くのはとても刺激的!

昨晩も目から鱗の「あなたの知らない世界」をいくつも見せて頂き、いまだに頭の中はその余韻でぐるぐる、、。

ただそれは若い頃のように、まったく想像のつかない世界ではなく、その気になって手を伸ばせばもしかしたら指の先が触れる世界。どの世界でも仕事の基本はいつも同じ。自分の軸や信念を持って仕事をする大切さのようなものを再認識させて頂いた。

こうしたいろんな仕事人との交流は、長い旅続けるなかで出会う人たちのようなもので、自分がいかにちっぽけであるかを知るきっかけにもなる。天狗になんてなりようもない笑

様々な気づきを下さる周りの人たちに感謝。まだまだ長い旅はつづきます。


この春二人目のオープンデスクは、東京電機大学2年生の河野日奈香さん。去年の夏に応募があったのですが、定員オーバーのため春に再応募下さった学生さんです。

過去の大学課題を見せてもらうと、造形の作り方にセンスがあり、優秀な学生さんであることがすぐにわかりました。

ただ一方で、建築の作り方や考え方に一貫性が持てず、考えているうちに迷子になってしまうということに本人も悩みと課題を感じているようでした。

建築のスタディの方法に正解はありませんが、私流のやり方は、難しく考えすぎず、諸条件を整理しながらとにかく手を動かし、無意識の手の導きから計画の軸を発見していくというもの。

それはあたかもオリンピックのアスリートが、日々の練習で積み重ねたルーティンを自分の血肉にしていくような作業に近いかもしれません。天才ミュージシャンのように、何もしないで「曲が降りてくる」なんてことはないのです笑

大学とはまったく違う教え方に最初は戸惑っていたようですが、次第に線に生気が乗るようになり、最後は彼女らしい造形センスを感じさせる模型まで作ってくれました。しかも、このために購入したエスキス帳もほぼ使い切ったという。すごい!

新年度は3年生とのこと。頭と手の動きを連動させるつもりで、これからもエスキスを続けて下さいね!お疲れさまでした。


この春も多くのオープンデスクの申込みがありました。募集をかけているわけではないのですが、、

この春のトップバッターは、明治大学2年生の宮崎誠太くん。朴訥とした風貌からどんな子だろうと思っていましたが、結果的には過去一番のキャラの立った学生さんでした笑。人を笑わせようと冗談を言っているわけではないのに、その真面目な言動や行動がとにかく面白い。

たとえば初日に言い放ったのは「はじめて埼玉に来ました」。神奈川に住んでいるのに、これまで埼玉県に足を踏み入れたことがなかったとのこと。そんな子いるんだ!?笑

ほかにも指導で話したことを、翌日に愚直すぎるくらい愚直に実行していたりして、そのまさかの行動の数々に毎回ほっこり。私もすっかり気に入ってしまいました。こういう素直な子は、実力も伸びますが、まわりから可愛がられるだろうなと思いました。

学校の課題では締切などに間に合わず、いつも遅刻してしまうのが悩みと語っていた宮崎くん。このオープンデスクでは「時間を守る」をテーマにしていましたが、毎日きっちりと約束のエスキース時間をまもり、最後もちゃんと内容を揃えて時間通りに発表してくれました。もうこれだけで花丸の◎です。

春休みは後期から始まる設計課題に備えたいという、これまた真面目な誠太くん。後期の伸びしろにも期待しています!