一部の方にはお話ししていましたが、9月2日~9日までの間フィンランドに行っていました。今はもうすでに帰国して仕事の波にすっかり呑み込まれ、あの夢のような日々はすでに遠い昔のことのようです。

その旅行の一部始終については、以下のJIA関東甲信越支部のサイトにレポート記事を上げさせて頂きました。ご興味ありましたら是非お読みください。

■JIA住宅部会『北欧アルヴァ・アールトを巡る旅』レポート
https://www.jia-kanto.org/kanto/activity_event/tour/13148.html


今回は個人旅行ではなく、日本建築家協会(JIA)の住宅部会で主催したアールト旅行の、一応私が主査ということで企画した旅行でした。

参加者はJIA会員のみならず、SADI北欧建築・デザイン協会や一般の方もご参加下さいました。その人数実に30名、、多かった(汗)最後はキャンセル待ちまで出る事態でさすがのアールト人気を実感しました。

早くも来年も、、なんて声もかけて頂いていますが、とてもとても。たぶん私死んじゃう。あと数年はいいかな、、。ゆっくり今回のごちそうを消化していきたいと思います。





昨年より細々と?はじめているmuni stoolですが、これまではインスタグラムのページはありましたが、統合的なウェブサイトがなく、それがどんなスツールなのか、どんなバリエーションがあるのかなどわかりにくいなと思っていました。

そこで、デザイナーの鈴木一太郎さんにお願いして、muniのロゴやパッケージ、リーフレットなどの製作を水面下で進めていたのですが、このたび公開の運びとなりましたのでご報告です。

[muni stool]  https://www.munistool.com/

一太郎さんらしい、ポップで楽しいフレンドリーなサイトになったと思います。一太郎さん、ありがとうございました!

ちなみにサイトに書かれたコピーや文章などもすべて一太郎さんによるもの。こんな素敵な言葉、私が逆立ちしたって出てきやしません笑

スツールのラインナップは、ナラ・スギ座面のmoku muni/kakapoさんの生地を張り込んだnuno muni/自由な生地を張ってご提供するorder muni の3種類です。1脚からでもご注文をお受け致します。どうかあなたらしい一脚を見つけてみてください。

リオタデザインとあわせて[muni stool]もどうかよろしくお願いします!インスタブラムのページも、どうかフォロー下さいませ。

■ muni instagram 
https://www.instagram.com/munistool/

PS.
実は今日は私の誕生日でして、あえて誕生日に合わせて公開しました。
おめでとう~>muni
学生に設計指導したり本を書いていたり、いろんなセミナーや設計塾などで講師を務めていたりするので、さも私は設計を教えるのが上手くて体系だった教え方ができるのだろうと誤解されるのだけれど、そんなことはない。つまるところ私は設計を教えるのがとっても苦手だ。

設計はとっても感覚的な領域だといえる。論理的に説明できる部分も多いけれど、論理ですべて説明できる空間なんてつまらない。建築の一番大切な部分は個人のゆらぎの部分にあって、自分でもどうして良いかわからないという迷いがあることがとても大切なのだと思う。

だから私は、人の建築については饒舌に説明できるけれど、自分の設計した建築についてはうまく説明できた試しがない。

もちろんプロなので、建て主さんへのプレゼンには自信がある。でもそれって表向きのエクスキューズみたいなもので、使い勝手で語れるほど建築は底浅くないし、それはけして建築の本質ではないのだとも思う。その深い階層の部分をうまく言語化できずにいつも悶々とする。

音楽の旋律は、指揮者がタクトを振るように全体を繊細にコントロールするものであるとすれば、私の感覚はこれに近いかもしれない。建築家の内藤廣さんは、アルヴァ・アールトの建築空間を評して「音楽を写真で見てもわからない」と言った。さすが上手いことを言うもんだと感心する。

見えない霊が見える人は霊感があると言われる。音感がある人は、日常の音をすべて音階に置き換えられるという。私はそのどちらの能力もないけれど、その空間をどうすれば居心地の良い場所にできるかというのはわかる。

だからそれがわからない人には、私はそれを教えることはできないのだと思う。音感のない人に音感を教えることができないのと同じように。こんなこと書くと身も蓋もないかもしれないけれど、最近つくづくそう思う。

できるとすれば、同じ感覚を持った人同士が共感し合うこと。人が幸せになれる状態って、それしかないんじゃないかと思う。だから教えるって難しい。とっても悩ましい。

この夏最後のオープンデスクは、日大理工学部2年生の杉山和香奈さん。

今年はなぜか不思議なご縁の学生さんが多かったのですが、杉山さんも先週の酒井さんに引き続き志木市内在住の学生さん。

杉山さんとの出会いは、3月に開催した入間市のS/Yのオープンハウスに来てくれたこと。その時の立ち話が面白かったのですが、彼女は中学生の時に市内にリオタデザインという設計事務所があることを知り、そこから建築の道に進むことを決意、大学も私と同じ大学に入ったという筋金入り?の経歴の持ち主。

さすがにそんな学生ははじめてでしたが、偶然にも先週来ていた酒井さんと同じ中学校で、同じ部活の後輩だったことも発覚!こういうこともあるんですね。奇しくも二週続けて近所の学生さん(自転車通い)ということになりました。

さてそんな杉山さん。とても真面目な学生さんで、大人しい性格でありながら意見や感想を求めると少し考えながらもしっかり自分の言葉で意見が言える芯の強いしっかりした子でした。

私はオープンデスクといえども、学生には厳しいことも言うのですが、彼女もその洗礼を浴びつつ、言われたことをしっかり理解してそれを次は改善してくるなど学習能力の高さも感じました。

いくつか参考書籍やうちの図面を渡すと熱心に読みこみ、スケールを考えなさいと話せばコンベックスを片手に熱心に中庭の寸法を測ったりしている姿も印象的でした。



不器用なところもあり、言葉が出てこなくてもどかしくしていたり、表現したいことをうまく表現出来ずに悔しがったりと、学生さんらしい初々しさもありましたが、まだまだ2年生ですしね。

地道にスタディや努力を積み重ねることで、そのうちきっと頭一つ抜けた世界が見えるようになってくれることと思います。それでも最後にはとてもクオリティの高い案にまとめあげ、そのポテンシャルの高さには感心しました。


これはオープンデスクに来た学生さんすべてに共通する指導ですが、大学の課題では実際の発注主のことやリアルな制約などは省いて、自由に学生に考えさせるというところに重きが置かれていますが、実務の設計では自由に考えられる領域なんてごくわずかです。

ただそれを創造性を縛る制約と捉えるか、それを逆手にとって創造性を発揮するかでその結果は大きく異なるものになります。実務では後者の能力が大きく試されるのです。

そのため、大学では言わないような建て主の使い勝手や心理を想像するという点に多くの時間を割いて繰り返し指導しました。きっとみんな戸惑っていたことと思いますが、これが社会に出て建築の仕事をする上では一番大切なことなのです。

今回の杉山さんも、最初は大学では言われない細かいことをたくさん言われてびっくりしたようですが、何度もエスキース帳に繰り返しスケッチを描くことで、そこにどういう問題があるのかということに気づけるようになってきたとのこと。

大学でよく言われる「スタディしなさい」の意味がこれまでよくわからなかったそうですが、こういうことかと最後に話してくれたことが嬉しく、この体験は彼女にとっても大きな収穫になったことと思います。

この夏に参加してくれた3人の学生さん、みなさん大変お疲れさまでした。この一週間で学んだことをどうか後期以降の設計課題にも活かして下さいね!


この夏2人目のオープンデスクは、芝浦工科大学4年の酒井須砂さん。

酒井さんはうちの事務所がある志木市在住の学生さん。実はうちの息子の幼なじみの子で、息子とは幼稚園が同じで息子つながりでうちにも遊びに来たこともあるという不思議なつながりでした。(オープンデスク生がとうとう息子世代よりも若くなりつつあります、、)

大学は建築学科に進んだというのでオープンデスクにもおいでよと以前から声をかけていたのですが、4年生になってようやく時間ができたそうで参加してくれました。

大学も4年生ともなれば住宅よりももっと大きな規模の設計に取り組む時期ですが、この夏にもう一度設計の基礎をみつめ直す意味で、ほかの学生とも同じ小住宅の課題に取り組んでもらいました。

初日は慣れない住宅のスケールやプランニングに四苦八苦して、思うように案が作れないことに悔しさも感じていたようですが、これを毎日繰り返すことで少しづつきっかけを掴み、最後には「緑と共に暮らす」をテーマに、中庭のある工夫の詰まった住宅を提案してくれました!

はじめて行ったという現場では、リアルな空間体験がとても新鮮だったようです。こちらはまた完成したら是非見に来て下さいね。最後に見せた我々による模範解答(実際に提案したプラン)にはとてもびっくりしたようで、学生とプロの違いについても感じるところがあったようです。

最後にはいつものようにスタッフのみんなにもコメントをもらい、私の著書(サイン入り)もプレゼントさせて頂きました。

今後は大学院に進学予定とのことですが、これから課題の規模は大きくなると思いますが、基本は住宅も大規模建築も同じです。今回の経験をどうか今後に活かしていってくださいね!

家も近いので、また困ったらいつでも遊びに来て下さい。お疲れさまでした~!