テオ・ヤンセンはオランダの造形作家。物理学を専攻していた彼の作り出す「ストランド・ビースト」と呼ばれる“生物”は、風だけを唯一の動力にして動き出す。海岸を本物の生き物のように歩き回るその姿はまるでSF映画を観ているようで、一度実物を見てみたかった。

そんなテオ・ヤンセン展が富山県美術館で開催されるということで富山まで。事前に映像等で見てはいたけれど、目の前で動く姿は圧巻というか凄すぎて笑うしかなかった。

ディテールがどうなっているのかが一番興味があったのだけれど、塩ビパイプを結束バンドなどで簡単に束ねただけの簡単なジョイントで、それらは一冬をかけてヤンセン自身が作り出すという。




建築で言えばまさにトラス構造が動き出すみたいなものだけれど、その動きはまさに生き物そのもので、帆を魚のエラのように動かし、各部がそれと連動して関節のように動く様は、身近で見ても仕掛けが理解できないくらいに複雑で、その滑らかな動きに感動する。

何より「風を食べる」という表現がぴったりで、現代文明が滅びた後に生まれた自然と共生する生物、もしくは人間が文明を築く数万年前も前に存在した高度文明の遺物、そんな説明をされた方がしっくりくる。まさにジブリのハウルの動く城とかナウシカの世界観。是非実物を見て欲しい!

会期は9月23日まで。内藤廣さん設計の富山県美術館にて。

■こちらは会場のストランドビーストのリール動画です。
https://www.instagram.com/reel/DbBARHdpINQ/?utm_source=ig_web_copy_link&igsh=MzRlODBiNWFlZA==

コロナ禍に製材企業である野地木材工業(現nojimoku)さんの企画で、伊礼智さん、小谷和也さんと毎月ゲスト建築家を呼んでオンラインで際どい話をするという「のじもく酒場」が終了して早数年。このたび「のじもく酒Bar」として新装開店しました!

■のじもく酒Bar[第1杯] ゲスト:丸山弾(前編)
-居酒屋は閉めて、Barを開店しました

https://youtu.be/MqcgFt2R57A?si=EOPhRNvhiIWsySIk

久しぶりだから事前に打合せをという話から、そんなのいらないになり、結局ぶっつけ本番。野地さんの進行が今回も秀逸。コスプレも一新!安定の伊礼さん節、小谷さんの軽妙な関西ツッコミに加えて、初回ゲストの丸山弾さんの熱い語りが今回のハイライト。

酔いがまわるにつれて、尻上がりに話は盛り上がり、、でも本当にやばい話は全カットされていますのでご安心を?シーズン2もどうかお楽しみに!
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[7月18日追記]
前回の続編である[第2杯]の動画も公開されました。あわせてご視聴ください!

■のじもく酒Bar[第2杯] ゲスト:丸山弾(後編)
-設計に人間性がにじみ出る?関西弁と、小芝居と、長い世間話

https://youtu.be/6gpO-YaQ69M?si=zfTFjmzZzEmP8goh

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以前投稿した写真家・高橋恭司さんによるアールト自邸オリジナルプリントが届きました。元は私がコーディネーターを務めた2002年のエクスナレッジホーム創刊号[Who's Alvar Aalto]のために撮り下ろして頂いた写真を、先日の個展で購入したもの。

展示で眺めていたよりも、手に取って間近に眺めると光の妙が際立って見えます。8x10と呼ばれる大判カメラによる撮影。デジカメには到底再現出来ない質感だとあらためて感じます。

これまで数多のメディアで撮り下ろされてきたアールト自邸ですが、この写真には圧倒的な異質さがあって、構図を眺めているとピアノの上のアイノの肖像写真が亡霊のように浮かび上がってきます。

そうか、恭司さんはアルヴァではなくアイノの影をこの空間に感じて切り取ったのかもしれない。真の意図はわかりませんが、スピリチャルカメラマンと呼ばれる高橋恭司さんらしいカットと言えそうです。

この写真のネガは焼き捨ててしまったそうなので、世界で一枚だけのオリジナルプリントになります。一生の宝物として、事務所に大切に飾りたいと思います!



つくばの家が上棟しました。久しぶりの茨城案件です。市街化調整区域の集落にかかるエリア。目の前には抜けのある風景が広がります。この日も暑い一日でしたが、この敷地には涼しい風が絶え間なく流れてゆきます。

久しく上棟式では建主さんが手土産とご祝儀を渡すだけの簡略式が主流になっていましたが、この現場では建主さんのご意向で職人さんとも卓を囲ませて頂きました。建主さんも陽気な方で、職人さんとも会話を楽しんでくださり、職人さんも上機嫌でした。たまにはこういう席も良いですね。都内の現場ではあまり見ることのなくなった光景に感慨深かったです。

これから屋根工事が進み、深い軒を持つ下屋が建物の周りを取り囲みます。これからの現場通いも楽しみです!



昨日は打合せのため、後期から非常勤講師を務めることになった長岡造形大学へ。長岡造形大は大学同期の与那嶺をはじめ、旧知の川島茂さん、津村泰範さんらが教授陣を固める。私は後期、住宅の課題を担当する。

カリキュラム打合せのあとは、キャンパス内の施設をひと通り案内して頂く。大学だから広いのは当たり前としても、日芸や息子の通っていた東京造形大ともまた雰囲気が異なり、とてもおおらかで伸びやかな印象。空気感が一番近いと思ったのはアールト大学。キャンパスに漂う木の香りまでそっくりだった。



とても良いなと思ったのは、学生のための製図室やワークスペースがしっかり確保されていること。ちょっとしたラボのようになっていて、放課後も居残って図面を描いたり、学生同士が課題のディスカッションをしている光景がそこかしこにあった。こんなところあったら居心地良くて帰らないだろうな。

3Dプリンターも使い放題らしく、この日もフル稼働で動いていた。原寸のワークショップも、敷地が広いのでいくらでもできる。まさに工房の中で学んでいるような環境だ。

学生のほとんどは一人暮らしとのことで、都市型大学と違って誘惑が少ない環境が、純粋に創作へと向かわせている印象も受けた。それもまたオタニエミの森に閉ざされたアールト大学のようだった。遠いと思っていたけれど、秋からの長岡通いが急に楽しみになった。

フィンランド的といえば、ただ打合せのために来たのに、学科主任の佐藤先生をはじめ何人も先生が出てきて半日がかりで案内をしてくれたり、長岡まで来てくれたのだからと夜も席を設けてくださったりと、これまたここはフィンランドかというおもてなし。心に沁みました。