
私の著書もデザインして下さった細山田デザイン事務所さんが本を出されたということで、先日開催された出版記念イベントへと足を運んできました。
自分の本の時は編集者さんを介してのやりとりだったので、直接お会いするのは初めて。一言ご挨拶をと思い参加させて頂きました。
どんな方なんだろう?と思っていたら、表紙のイラストそっくりの方が出てきてびっくり!
グラフィックデザインと建築というのは、二次元と三次元の違いはあるものの、考え方や美意識の根拠の求め方などに親和性があるようにも感じています。私自身、自分でグラフィックを手がける時は、素人なりにもかなりこだわってしまいますので…。
グラフィックデザイナーは、憧れの職業のひとつです。
「誰も教えてくれないデザインの基本」
細山田デザイン事務所


この週末は絶好の日和に恵まれ、行楽に出かけた方も多かったのではないでしょうか。私は家族と小田原~鎌倉方面に小旅行に行ってきました。
目的の一つは、昨年のオープン以来ずっと行きたかった「江之浦測候所」へ行くこと。場所は小田原にあります。
「江之浦測候所」とは、美術家の杉本博司氏が私財を投じて壮大なスケールで作り上げた美術施設であり、「建築」であり「彫刻」でもあり、はたまた「庭」であり「インスタレーション」のようでもありと、過去に例のない施設なだけに説明が難しいのですが、ひとつだけ言えるのは「測候所」の名が示すとおり、それらはすべて”自然観測”のために作られているということです。
広大な敷地に設定されたいくつもの軸線は、夏至や冬至、春分秋分の日の日の出線を示しており、大きな地球時間に合わせて、この建築群は様々な表情を見せることになります。まるで太古の時代のストーンヘンジといった遺跡群を彷彿とさせます。
私の中では、これまでで見た美術作品の中でも最も素晴らしいものでした。行った時期も良く、菜の花の香る敷地はただ佇んでいるだけで幸せな気分になりました。
完全予約制の施設です。小さいお子さんは連れて行けませんが、大人の方はこの春のドライブに是非足を延ばしてみてください!
江之浦測候所
http://www.odawara-af.com/ja/enoura/






アールトはディテール。
ディテールにこそ、アールト建築のエッセンスは宿っていると思います。
建築の実現の前には必ず技術の壁があり、これを乗り越えてはじめて建築は世に誕生するわけですが、問題解決のために「芸術」と「技術」との交点に存在するもの、それこそがディテールです。
アールトらが設立したartekの社名が示すように、「芸術(Art)と技術(Technology)の融合」は、そのままアールトの建築世界そのものを表現しています。
そんなことで昨年、多くのアールト、北欧建築に関わる著書をお持ちの九州産業大学の小泉隆さんに、SADIでアールトをディテールで切る講演をして欲しいと打診をしましたら、「ちょうど3月にアールトをディテールで切る本を出すんですよ」とのこと。なんと!
小泉さんの著書はすでに発売されています。是非お手に取って頂きたいのですが、アールトのハンドルコレクションを含め、実に丹念にディテール採取をされ、的確な解説を寄せて下さっています。そして思いました。やはりアールトはディテールなんだと。
そんなことで、SADIとして私の肝いりで企画を進めてきました小泉隆さんの、書籍と同名タイトルのSADI講演会が今週金曜日(3月23日)にあります。アールトってよくわからない、という方はまずは視点をディテールに移すことをお勧めします。
(もちろん、ディテールには文字通りの”細部”という意味もありますが、全体構成を司るのもディテールであるということは付け加えておきます)
◇
SADI|小泉隆講演会
「アルヴァ・アールトの建築|エレメント&ディテール」
3月23日(金)19:00~
新宿・工学院大学中層棟8階ファカルティクラブ
※詳細はこちらより
https://sadiinfo.exblog.jp/28077872/
※事前申し込みはいりません。
※満席が予想されますので、お早めのご来場をお勧めします。

私の自宅兼事務所のすぐ近くで住宅の現場が始まり、設計者を見たら高野保光さんの現場で、着工時からずっと興味深く観察させて頂いています。
これもしかしたら、高野さんともつながるのある荻野寿也さんが造園に入るんじゃないかと期待していたのですが、どうやらビンゴだったようで、そしてなぜかビルダーズの木藤さんから今日、高野さんの現場の帰りに荻野さんらと寄らせてもらいますとのご連絡。
高野さんに荻野さん、、。今日はちょうど私の造園を担当する耕水の湊さんと打合せがあったので、湊さんとちょっと緊張しながらお待ちしていました。
同業の仕事はめったに褒めない湊さんも認める荻野さんと湊さんとをようやく引き合わせることが出来て良かったです。湊さんも楽しそうだったな。その後は地元のお店にお連れして、高野さん荻野さんのお話をお伺いしながらの贅沢な夜でした。
それにしても、志木の片隅の狭い一角に、私の家はともかく高野さん設計の住宅ができて、その造園がトップランナーの荻野さん。そして私の家の造園は湊さん。あぁすごくいい感じ!
建物はもちろん、優れた外構植栽が通りに溶けだして、道行く人たちの意識を変え、そうして街並は変わってゆくのだなと思います。この一角から志木の街並みがドミノ倒しのように変わっていってもらいたい。
高野さんの「これからは庭の時代」という言葉が心に残りました。本当にそう思います。とても幸せな気分です。

以前告知させて頂いた、OZONEでのホテリアアルトセミナーが昨日無事終了し、ようやく肩の荷を下ろすことができました。私はファシリテーターということで、全体の進行役を務めさせて頂きました。来場者数は80名を越えほぼ満席の状況でした。
昨年のビルダーズでは私なりの解説を書かせて頂いたつもりでしたが、昨日のセミナーではようやくその”答え合わせ”をすることもできました。
それにしても、昨日も「匂いを消す」「(柱を)2本にすれば空間になる」など、設計者の益子義弘先生の”名言”もいくつも飛び出し、壇上からなるほど・・と唸りつつ、すとんと落ちたこともたくさんありました。

私からは、ホテリアアルトにある随所のディテールについて全力で妄想解説。益子先生曰く「関本さんは深読みしすぎ!」。しかしご本人からご説明して頂くと、あながち私の深読みも間違っていなかったんじゃないかなとも思いました。

当初「居心地とは?」という着地点が見えず、どうしたものかと頭が真っ白になりながら進行していましたが、益子先生、そして宗像オーナーの言葉に助けられながらなんとかゴールすることができました。
総括すると、益子先生の建築に流れるゆるやかな空気とその居心地の良さに宿るものは、しっかりと細部までを詰めた上で、最後は消しゴムで引き算してゆくという大局観だったような気がします。
どうしても私などは、空間を細部までキレッキレに納めたくなるもの。まだ若いですね笑。引き算の手法こそが我々がホテリアアルトから学ぶべきものなのかもしれません。

終了後の打ち上げの席にて。
宗像オーナーからは、「会場では話せなかったけど」と裏トーク。そこからは益子先生を”居心地悪く“させる(褒め殺しで?)トークで大盛り上がり。ホテリアアルトな夜は終わりません…。

皆さまお疲れさまでした!
ご登壇下さった益子先生、宗像オーナー、ご協力誠にありがとうございました。
また企画をともに進めたOZONEの阿比留さんにも、この場をお借りして深く御礼申し上げます。楽しかったですね!また一緒に企画して何かやりましょう。
