14. 01 / 16
任期を終えて
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sekimoto
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> 大学
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6年間お世話になりました,母校日大理工学部建築学科での非常勤講師も,今日の授業を最後に任期終了となりました.今日は本来やるべきカリキュラムを,私のわがままで急遽変更し,学生へエールを送るようなお話しをさせて頂きました.
授業後,教室会議の終了を待っていたとおぼしき学生達に呼び止められ,寄せ書きを渡されました.突然のことにびっくり!なぜなら,この学生達は私のクラスの学生ではないからです.そのサプライズと学生達の優しさに,思わず感激して涙が出てしまいました.
また他にも,お小遣いで買ってくれたのであろう私の代名詞となっているエスキース帳や,お菓子やメッセージなどもいろいろ頂きました.最後に撮った写真は,私の大学最後の思い出になりそうです.どうもありがとう!
◇
他クラスの学生達からの寄せ書き-
思えば,これは私の非常勤講師としての6年間を象徴しているような気がします.
私のエスキース(設計指導)は毎回深夜にまで及んでいました.他を眺め回しても,毎回夜11時過ぎまで指導をしている非常勤講師など誰もいませんでしたので,私はよほど異例だったのだと思います.自分の担当クラスは決められた時間内に,それが終わると放課後のエスキースがはじまります.他のクラスから他学年の元教え子まで,夜が更けてもなかなか解放してもらえませんでした.
何より私がその時間が好きだったこともあります.授業を離れると,多少話が脱線しても時間を気にする必要がありません.設計の話はそこそこに,仕事の話や自分の学生の頃の話をしたり,学生の悩みの相談に乗ったりしているとあっという間に深夜に突入してゆくのでした.
色紙に寄せてくれたのは,そんな深夜エスキースの常連組だったり,ブログやSNS等で私のことをフォローしてくれている学生達であったり.私の何気ない一言が彼らの支えとなっていたことを知ったり,私の方が励みをもらったような気がします.

◇
大学での非常勤を振り返ると,楽しかった思い出と同じくらい,苦い思い出もいっぱいあります.そのほとんどは私自身の失敗です.学生の才能や個性をうまく引き出すことができず,凡庸な結果に終わったときなど,自分の指導の至らなさにいつも深く落ち込んでいました.
でもその中でも奮起して,講評会などで最優秀賞を取る学生が出てくると本当に嬉しくて,少しはまともな指導ができただろうかと救われる日もありました.(ただし,そんなことは本当に希なことです)
また毎回20人弱の学生を受け持つのですが,毎回クラスに1~2人くらいは,学年が変わっても変わらず私の指導を受けに来たり,事務所に遊びに来てくれる子もいて,そういう学生達とは「人として」のお付き合いを今なお続けさせてもらっています.それが私にとって何よりの財産となっています.
私は一度教えた学生は,ずっと自分の教え子だと思っています.他クラスであっても,私の指導を受けてくれた子は皆私の教え子です.設計ができる子ばかりではなく,中には放っておけない子もいます.たまにそういう子のことを思い出して,あの子は大丈夫だろうかとか,困っていないだろうかと,お節介にも連絡を取ったり励ましたりすることもありました.そういう意味では皆我が子のようでもありました.
今後も困ったことがあったり,相談したいことがあったらいつでも遊びに来て下さい.また課題のエスキースもやりますよ.ただ,こちらはあくまで趣味としてね笑
◇
最後に,大学では専任の佐藤慎也先生,そして山中新太郎先生に本当にお世話になりました.特に慎也先生には大学時代からのご縁もあり,経験も知名度も乏しい私を非常勤として引き立てて下さり,このような機会を与えてくださったことに心から感謝しています.そして山中先生とは後半の3~4年ほどをご一緒させて頂きましたが,切れ味鋭い講評や仕切りにいつも感心させられることばかりで,ひそかに尊敬していました.
また第一線で活躍されている建築家の先生方とのお付き合いや講評会の席は,刺激に溢れ,いつも身が引き締まる思いでした.皆さま最後までご指導頂きありがとうございました.
学生の皆さん,またどこかでお会いしましょう!
皆さんの活躍が,風の便りで届く日を楽しみにしています.

14. 01 / 10
[日大2年生]集合住宅講評会
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sekimoto
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> 大学
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昨日は大学2年生の最終課題「集合住宅」の全体講評会がありました.
今回は講師陣も認めるように,やや難しい敷地でした.三面道路と残る一面も緑道となっているため,どの面にも”ウラ”を作ることができない.居住者間のコミュニティを育みつつ,プライバシーや日照にも配慮し,街にも開くためには?というかなりハードルの高い設問となりました.
そのため,いつもならもう少し考え方のバリエーションが出るところ,比較的いくつかの類型に収斂したような印象です.ただ講評会で票を集めた上位案は,それでもオーソドックスな解決を深く掘り下げることで現実性のある提案まで昇華させたものや,「土間」や「中庭」といった中間領域を魅力的な建築提案にまで引き上げたものなど,講師陣も唸らされるものもありました.
2年生はこの課題が必修最後の課題となり,3年生からは設計コースに進む者と,不動産・構造・環境系に進む者とに別れます.そのためこの後期は学生の温度差もはっきり分かれ,何度も案を作り直して本気で向き合う者もいれば,一方であからさまな”やっつけ”で提出する者もいて,指導する側も困惑する場面も多々ありました.
もっとも設計コースに進むつもりのない者にとっては,設計課題は苦痛なほどに時間と手間が取られるもので,それも仕方がないところかもしれません.そういう学生のやる気に最後まで火がつけられなかったことは,ひとえに私の力不足だと思います.
一方で,最後まであきらめずに案を考え続けた者も少なからずいて,最終的に結果が思うようについてこず,悔しさを浮かべている子もいましたが,その粘りと諦めない気持ちがあれば,きっと遠くない未来に”ご褒美”のような結果を残せる日が来るでしょう.私の過去の教え子たちがそれを証明しているところです.

最後に講評会について.
講評会で厳しい批評にさらされて,中には傷ついている人もいるかもしれません.私もかつては学生で,厳しいコメントに悔しい思いをしたこともありました.ただ批評する立場になってわかったことは,講師陣は皆心を鬼にして批評をしているのだということ.講評会に出てきている時点で素晴らしい案であることは皆わかっているので,あえて褒め言葉は封印しているのです.学年が高くなるにつれて,この傾向は顕著になってゆくでしょう.
野球の野村元監督が選手の育成は「無視・賞賛・非難」であるとおっしゃっていました.「三流は無視する.二流には褒める.一流は非難する」ということのようです.非難される立ち位置に自分が今いるのだということを自覚するべきです.
そして時に”良い”と思っていても”良くない”と言うこともあります.講評の場が同じ意見にまとまりかけていると,あえてバランスを取るために反対意見をぶつけるのです.こういうことは大人社会の中では軋轢を生みますので,日常ではほとんど見ることがありません.
そんな場面を講評会で目にするにつけ,先生方は優しいなあと思うのです.実際中途半端に褒められたり何も言われないよりも,批評をより多く集めた作品の方が最後に受ける評価は大きいという経験則もあります.
来週は今期最後の授業(そして私にとっても大学任期最後の日)となります.
気が抜けて休みたくなる気持ちをぐっとこらえて,皆さん学校には来ましょうね笑

14. 01 / 07
[環境デザイン優秀賞]を受賞しました!
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sekimoto
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> 仕事
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新年早々,素晴らしいお知らせを頂きました.
2012年に竣工した『DONUT(K邸/ふじみ野市)』が,
東京ガス「住まいの環境デザインアワード2014」において,
[環境デザイン優秀賞]を受賞しました!
http://www.gas-efhome.jp/prize/index.html
とっても嬉しいです!クライアントのKさん,施工してくださった堀尾建設さん,その他大勢の家づくりを支えてくださった関係者の皆さま,アワード関係者の皆さま,誠にありがとうございました.心より御礼申し上げます.
実はこの東京ガス主催の「住まいの環境デザインアワード」には,もう何年も前から応募しているのです.実は我が自邸「OPENFLAT」でも応募していましたが,かすりもしませんでした(苦笑).本当に上位入賞が難しい賞で,落選した年も入賞作を見るとがっくりとうな垂れるしかありません.そんなレベルの高いアワードなのです.
今年の応募点数はなんと198点!さすがにグランプリや最優秀賞は逃しましたが,それでも上位6点に入ったことは,個人的には快挙として素直に喜んでいます.
実は私のクライアントには東京ガス関係者もいらっしゃり,毎年のように応募を促されていました.ただ,落選があまりに続くと人間はヘコむもので,今回も正直出そうかどうか迷ってもいました.
先にレベルが高いと書きましたが,個人的な印象としてこのアワードの上位入賞の傾向には,どうも「特異な敷地や環境条件を相手に,高度な温熱環境テクニックを駆使した住宅」という印象(偏見?)があって,そういう飛び道具を使わない「フツーの住宅」代表選手のようなうちの仕事は,とても評価してもらえないだろうと諦めてもいたのです.
でも諦めなくてヨカッタ!毎年励ましのお言葉とお声がけをくださったクライアントAさんにも,心から感謝しています.
◇
審査のウラ話を書きます.
このアワードは二段階の審査になっていて,一次は書類審査,二次は現地審査です.一次審査通過の連絡を11月に頂き,12月に現地に審査員の宿谷昌則先生と建築家の千葉学さんがお見えになりました.

千葉学さんなどは,私が駆け出しの頃から第一線を走り続けているスター建築家です.千葉学さんにまさか自作を案内することになるとは思わなかったので,当日は相当緊張していました(クライアントのKさんは全然そう見えなかったそうですが笑).
実は当日灯油のストーブが置いてあったんですね.
今だから言いますが,ちょっとまずいんじゃないかと思いました.だって,後からストーブを置かなくても良いように設計するのが環境デザインだと言われたら,リビングに置かれた灯油ストーブは設計に失敗した象徴として見られないだろうか.そう頭によぎりました.
でもここで意図的に撤去したら何か嘘になるような気がして,そのままで審査に挑もうと腹をくくりました.案の定,審査員の目に留まり,なぜ灯油のストーブを置いているのかと質問されました(万事休すか).すると,クライアントのKさんはこともなげにこうおっしゃったのです.
「この家はとっても断熱性能が良く,陽当たりも抜群なので暖房はほとんどいらないんです.冬期エアコンをつけたこともないし,実は床暖房もつけてもらったんですけどスイッチを入れたこともないんです.だから朝30分だけ灯油ストーブをつけています.前の家で使っていたもので捨てるのがもったいないからです.そもそもエネルギーは電気だけとか,ガスだけという具合に限定しないほうがいいと思うんです.当時東北で体験した地震でもそう思いました.だから,それぞれのエネルギーの良さを活かした生活をしたいと思うんです」
これには関係者一同,大きく頷くほかありませんでした.本当にその通りですね.このKさんの素晴らしいプレゼンに大いに救われたような気がします.そう,飛び道具ではなく「フツー」の,生活者目線での環境デザイン.それはもはやデザインと呼べるものですらないのかもしれませんが,この住宅の魅力を過不足なく言い得ていたように思います.
これはちょっと後日立ち話で関係者からお聞きしたことですが,この「気負いのないクライアントの自然体の環境意識と,それに誠実に寄り添う建築家との関係性を見たことがとても印象的だった」とのこと.まさに幸運の灯油ストーブですネ.(もちろん,それだけじゃないでしょうが笑)
この日は審査が終わってからもKさんとずいぶん長く話し込んでしまいました.
この家に生活されてのあれこれ.本当にこの家を気に入って下さっていることが,会話の端々から伝わってきてとても幸せな一日となりました.まさに設計者冥利に尽きるとはこのことです.
さて,この勢いに乗って今年もバリバリいきますよ!
[DONUT]
https://www.riotadesign.com/works/12_donut/

14. 01 / 06
掘る男
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sekimoto
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> 旅行
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新年あけましておめでとうございます.
今日が仕事始めとなります.本年もどうか変わらぬお付き合いをお願い致します.
昨日宮古島から帰ってきました.昨年のお正月は石垣島に行ったので,二年続けての沖縄旅行です.寒いときに暖かいところに行くというのは,とにかく穏やかに開放的な気分になれます.避暑ならぬ避寒といったところでしょうか.
この時期の宮古島は雨期というか,とにかく晴れることがとても少ない時期です.空はどんよりと,それでも気温は20度くらいあるので寒くはありません.さすがに泳げるような気候ではないので,小さい島の中をドライブしたり,いくつかある海岸や展望台のような場所を巡るような滞在でした.
ちょっと気の毒だったのは子どもで,我々に車で連れ回されながら終始つまらなそうにしています.移動中も景色を眺めるわけでもなく,ずっと手持ちのゲームに没頭しています.土をこねるのは好きだろうと思って,陶芸体験のようなところにも連れて行ったのですが,なんとなくふてくされています.でも正面切ってつまらないと言うでもなく,とにかく無気力なのです.
昔は家族旅行というと,子どもに手がかかって仕方がないものでした.お店では走り回るし,ベッドでは飛び跳ねていたものです.それが今では大人しくホテルでもお店でもゲームばかりしている.ああ,なんだか限界だなあ.子どもにとって,もはや家族旅行は特別楽しいものではないという時期に差しかかってきているのかもしれません.寂しいことですが.
最終日を残した晩,食事をしながら子どもに「明日は何をしたい?」と訊いてみました.その時は「べつに」と答えていましたが,夜寝る前になって,急に思い出したように「明日は海で遊びたい」とはじめて自分の希望を伝えてきました.
それならと次の日はひたすら海で遊ばせることに.とはいっても,海岸には誰もいないし,泳ぐこともできない.そんなところでうちの子は何をしていたかというと,ひたすらに砂を掘っていました.砂を掘って,何かを作っては次の瞬間には壊して,を繰り返しているのでした.あちこちで,もう飽きずに何時間も.
思えばうちの子が外で何時間も遊んでいること自体,久しぶりのような気がします.昔は喜んでついてきたサッカーも,最近では誘っても乗ってきません.そんな風になって久しいのです.それが自然の中で何時間も実に楽しそうに遊んでいる.
そして急に無邪気な声をかけられました.「ねえお父さん,一緒に山つくろう!」
子どもと一緒に砂遊びをするなんて,それこそ何年ぶりでしょうか.なんだか遠い昔に引き戻されたような気分です.
そうか.自然は自由だから楽しいんですね.大人はどうしても型にはまった遊びをしようとします.海ならシュノーケリング,眺めを見るならあの岬,夜はあのお店で,という具合に.子どもにとっては,陶芸教室のお決まりのお題より,何もない砂浜の方が100倍も楽しく創造力をかきたてられる場所なのかもしれません.
かくして,大人にとっては退屈だった何もしない数時間は,子どもにとってはこの旅行で最高に楽しかったひとときとなったのでした.
うちの子は今10歳で4年生です.ちょっと大人びたところのある子どもです.この調子だと親離れは思いのほか早く来るかもしれません.中学生になったら,もう親と一緒にはお正月も過ごさなくなるかもしれません.
お正月の家族旅行も,もしかしたらあと行けても2回くらい?そう考えると愕然とします.子どもの成長を見守りながら,親は少しずつ”その時”が来る覚悟をしないといけないのかもしれませんね.
まあとりあえず,来年はどこ行こうか?
そう考えてこの一年を過ごすこととします.
13. 12 / 28
棚おろし
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sekimoto
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> 仕事
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さて昨日は仕事納めでした.
いつも通りの仕事と,最後にちょっとお掃除をして今年の仕事が終わりました.事務所も10年を越えてくると,なにかと垢が溜まってくるものです.この年末はそんな一部を棚卸しして整理をしています.
写真は本棚に入りきらなくなった建築雑誌を大放出の図.みんな勉強熱心ですね.見て下さいこの嬉しそうな顔.おかげでこちらはだいぶ捌けました.
そして長年埃をかぶっていた独立以来のノート群も棚卸し.初期プランを検討するためのエスキース帳もそうなんですが,独立して以来頑なに同じものを使い続けています.
頑なといっても,今のところこれを上回る使い勝手のものがないというだけのことなのですが,10年以上も使い続けられるものに最初に出会えたのもラッキーですし,廃番にしないで変わらず売り続けて下さっている製造メーカーの方にも感謝です.

数えたら,エスキース帳が22冊,ノートが17冊でした.
開けば今でも当時にタイムスリップすることができます.
中でも傑作だったのは,独立当時のノートに記されたリオタデザインのロゴマーク笑.きっと念願の独立に胸を躍らせていた時期だったのでしょうね.なんだか,当時の青かった自分を微笑ましく思ってしまいました.

