17. 03 / 22
山田さんの事務所にて
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sekimoto
category
> 仕事
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今日は構造家の山田憲明さんの事務所で構造打合せでした。山田事務所を一度見てみたいというスタッフを連れて。
山田さんとは、山田さんが前職の増田事務所から独立される前からのお付き合いで、独立後もずっと関係が続いています。リオタデザインの仕事も、2013年の「緩斜面の家」あたりから空間の質が大きく変わってきたという自覚があるのですが、これはひとえに山田さんとの協働によるところが大きいと思っています。
実は先週までうちの事務所に来ていたオープンデスクの許絢華さんが、今週からは山田事務所に来ています。先週までこっち側だったのに、今週はあっち側で我々と対立という構図。寝返ったな!
というのはウソで、折角なので意匠と構造両方の事務所の仕事を見てみると良いよということで、私が山田さんを紹介してあげたのでした。
それにしても山田さんは私よりも後から独立されたのに、あれよあれよという間に活躍の場を広げ、事務所もどんどん大きくなっておられます。何がでかいって会議室がでかい。うちの事務所よりでかい。というか、ここで働きたい!
きっと来年の今頃は買収されて、我々は山田事務所の会議室で働いていることでしょう。なんでもやります!よろしくお願いします。
17. 03 / 16
家ってなんだろう
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sekimoto
category
> 思うこと
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ビルダーズの木藤編集長と益子アトリエに訪問後、帰ってオープンデスクの学生に建築家の益子義弘先生の話をすると、案の定知らないとの答えが。
そこで益子先生の著書『家ってなんだろう』を渡すと、ずっと黙々と読んでいました。平易な文章に引き込まれたようです。
わが母校の建築教育には、残念ながら益子先生のような建築家の名前は授業でも設計課題でも挙がることはありません。そのような設計アプローチは学生向きではないのかもしれませんが、小難しい建築理論を語るよりも大切な設計理念があることを、学生にこそ知ってもらいたいと思うのです。
17. 03 / 14
ガチのやつ
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sekimoto
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> 生活
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今日はホワイトデー。
「ちょっと食べるの待って」
スタッフ
「インスタですか?」
「ちがうよ、関本さんのカメラ、ガチのやつ」
「え?アプリじゃなくてフォトショで修正しちゃうやつ?」
「そうそう」
「うそでしょ?」
「ほんとだって」
・・・ほっとけ!

クライアントでもある、グラフィックデザイナーで装丁家の小口翔平さんの主宰するデザイン事務所tobufuneさんの、初の個展があるということで昨日初日にお邪魔してきました。
第1回 tobufune 展「船と装丁」
2017年3月7日~19日 @神保町 gallery福果
http://tobufune.blogspot.jp/2017/01/blog-post_28.html
仕事柄いろんな職業の方にお会いします。その中で、建築をやっていなかったらこの仕事をやりたい!とたまに思える職業があり、編集者さん、写真家さんなどいろいろあるのですが、グラフィックデザイナーはそのひとつでもあります。
こんなことを言うと、その職業の方にはそんな甘いもんじゃないよと諫められそうですが、もちろんそんなことは百も承知の上で、みなさんが「建築って楽しそうなお仕事ですね」とおっしゃるのと同じようなノリで言わせてもらえれば、グラフィックは楽しそう!とついつい思ってしまいます。

この個展の主旨がとってもユニークなのですが、普段tobufuneさんはビジネス書の装丁をおもにデザインされているそうで、小説の装丁というのはほとんどやらないのだそうです。
そこで、自分たちで”勝手に”小説の装丁をデザインしてみようということで、tobufuneにちなんで”船”が登場する小説を何冊か選び、それを題材としてスタッフ全員がそれぞれ装丁を作られたそうです。

まぁここまでなら、美大の課題制作などにもあるかもしれませんが、ここからが違います。それぞれのテーマを割り振られたスタッフの皆さんは、プロのイラストレーターさんに表紙画を発注。
それを素材としてデザインを起こし、さらにそれを印刷所で高度な印刷技術を駆使して制作されています。この時点で、かなり完成されたプロの業を見ることができます。
またそのどれもが、一般の人があまり見たことのないような技法で作られており、現代の印刷技術はここまで進んでいるのかという驚きと、本当にこんな装丁があったら楽しいだろうなとわくわくする思いで手に取らせてもらいました。

ここに載せているのは小口さん自らの装丁によるものですが、この「老人と海」などはこれを数部刷るだけで途方もない費用がかかっているそうです。文字は金箔。この崩し文字もたまらないですね。
ほかにも、スタッフさん渾身の装丁が勢揃いしています。「ウレタン発砲印刷」や「UVインクジェットを使って絵の具で描いたような文字」など、素人には想像もつかない技術で作られているものも多数あります。
これらはもちろん量産には向かないでしょうが、だからこそこうした個展の題材とするに相応しいテーマであるように思います。なにより発注主のいない仕事をするという気概と自由さにやられました。

小さなギャラリーで開催中ですが、グラフィックに興味のある方、本の好きな方は必見です(あ、だから神保町で開催なのか)。行かれた方は是非在廊のスタッフさんに話しかけてみて下さい。きっと面白い話を聞かせてもらえますよ。
そんな小口さんの家を我々が設計しているということは、小口さんご家族の立体装丁を作っているということになるのかもしれませんね。そんな小口さんの家はどんな住宅なのか、また想像されてみて下さい。


何年かに一度の社員旅行に出かけていました。行き先は福島のホテリ・アアルト、建築家の益子義弘先生が設計されたホテルです。
ホテリ・アアルト|www.hotelliaalto.com
今回の目的は、山口くんの卒業やスタッフとの親睦ももちろんあったのですが、一番の目的は、建築におけるホスピタリティとはなんだろう?という問題を、みんなと共有し、それぞれが考えてもらいたかったということがありました。

ホスピタリティとは、日本的にわかりやすく言えば「おもてなし」ということになるでしょうか。我々は日々住宅設計においてクライアントと向き合っていますが、クライアントにただヒアリングして、それを叶えればそれで良いかと言われれば、私はそうではないと思っています。
レストランで頼んだものが出てくれば誰も文句を言う人はいません。一夜を過ごすベッドさえあれば宿泊の目的は達せられるでしょう。ファミレスや、ユースホステルならそれで十分だと思います。
ところが我々の仕事はそれではだめなのです。クライアントが言葉にしない潜在的な欲求にこそ本質がある。それを掘り起こすのがホスピタリティであり、そこにこそ我々は応えなくてはならないのです。


若い頃はお金がなく、旅行はいつでも貧乏旅行です。うちのスタッフも例外ではないでしょう。しかし素泊まりに近い安いホテルしか知らない者が、どうして最高のホスピタリティある空間を作ることができるでしょうか。
今回益子先生のお取り計らいもあり、オーナーやホテルスタッフの皆様に宿泊以外の部屋や、まだ非公開のロッジなども見学させて頂くことができました。


巷の名の通った外資系ホテルなどでは最高のサービスを提供しています。ホテリ・アアルトのサービスももちろん申し分ありませんが、この両者の質には少し違いがあるような気がしました。
ホテリ・アアルトにある空気はどこまでもパーソナルで、住宅のような温かみがあるのです。至れり尽くせりなのに鬱陶しくない。困ったときにすっと現れて、またすっといなくなってしまうような、そんな絶妙な間や距離感があるのです。


そばに居るわけではないのに、ずっと自分に寄り添ってくれているような安心感。
「私はあなたのことを大切に想っていますよ」というメッセージのひとつひとつを受け取るたびに、宿泊者はとても満たされた気持ちになります。
宿泊者が、そんなメッセージのひとつひとつを宝探しのように探すような、そんな宿泊体験でした。


建築のホスピタリティとは、いわば親の愛情みたいなものなのかもしれません。
押しつければ拒まれる。目を離せば問題を起こす。自由な振る舞いを許しながらも、ずっと後ろからハラハラと見守り続けるというのは、本当に世話が焼けるのですが、それができるのは無償の愛がそこにあるからなのかもしれませんね。
ホテリ・アアルトはオーナーが益子先生に惚れ込んで設計をお願いされたそうです。そんな相思相愛の関係を空間の至る所に見ることができました。幸せな建築ですね。
スタッフの皆さん、おつかれさまでした。
また益子先生、今回の旅行へのご協力とお心遣いに心より感謝申し上げます。

