徳島にアアルトコーヒーがオープンしたのが2006年。そこから現在に至るまでずっとアアルトコーヒー。朝はこれがないと始まらない。昨年徳島に行った目的のひとつもアアルトコーヒーに行くことだった。

アアルトが好きだからではなくて、完全に豆が好みだから。深煎りのアルヴァブレンド以外は注文しない。たまに他の店の豆も試すけど、すぐに戻ってくる。やっぱりこれだ。朝のルーティンを変えると一日のリズムも狂うような気もする。

そんなアアルトコーヒーオーナーの庄野さんが新しい本を上梓し、代官山蔦屋でちょっとしたイベントをやっているとのこと。豆も買えるそうだったので行ったら、豆は売り切れたそうだ。本を買って読む。2時間で読み終えた。心が満たされた。淹れたてのアルヴァブレンドのようだ。特にタイトルにもなっている「融合しないブレンド」という文章には深く共感した。

アアルトコーヒーはとうとう新規オーダーの受付をやめてしまった。これまでのお客さんを大事にしたいという考えのようだ。アアルトコーヒー歴16年の私としては、少し申し訳なく、そしてとても嬉しい。

昨日は今年度部会長を務めるJIA住宅部会の企画として、多摩産材見学会を実施しました。部会員を中心に16名ほどのメンバーがご参加下さいました。

日頃木造住宅を扱う設計者でありながらも、その産地である山にはなかなか足を運ぶ機会がありません。「多摩産材」と名が付くように、東京都内にもちゃんと山があり、あきる野市周辺の山から採れる良質な木材があるということはあまり知られていません。この日は中島木材店さんのご協力のもと、そんな貴重な見学や体験をさせて頂きました。


この日は秋から一転して冬のような寒さと雨に祟られてしまいましたが、バスをチャーターしたおかげもあって、行程はとてもスムーズでした。

都内唯一の原木市場である多摩木材センターには、広い敷地内にうずたかく切られたばかりの丸太が積まれていました。製材された柱材などを見ることはあっても、製材前の丸太を見る機会はそう多くありません。切り口に顔を近づけると、とても良いヒノキの香りがしました。




その後も、中島木材店さんの製材行程を一通り見学させて頂きました。
中島木材店の社員さんがそれぞれをとても細かくご説明下さり、知られざる製材行程をよりリアルに理解することが出来ました。

中でも乾燥工程がクオリティを大きく左右するとのこと。スチームを当てて乾燥させるなど、そのノウハウもとても興味深く、部会員からも矢継ぎ早に質問が飛び交いました。




昼食の後は、檜原森のおもちゃ美術館、瀬音の湯といった、多摩産材を使った公共施設のいくつかも見学させて頂きました。

当たり前のことですが、我々が「杉」「桧」と樹種名で指定している木にも、そこには産地があり、林業家や製材所など多くの人たちの手を経て我々の現場に届けられています。

頭ではわかっているこうしたことも、現地に足を運ぶことで、よりリアルに実感に落とすことができるというのは、今回の大きな収穫だったように思います。

中島木材店の皆さま、また今回主査を務めて下さいました高橋隆博さん、ご手配を誠にありがとうございました。スタッフも含めてとても勉強になりました!

22. 10 / 02

秋風

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sekimoto

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> 生活
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10月に入って秋風が気持ちいい。
原稿書きなどもあり、こんな秋晴れの日も事務所でひとりで作業。

なんて書くと、日曜日なのに仕事をしていると同情されそうですが、休みの日に静かに事務所で作業を進めるというのは私にとっては至福のひとときなんです。

原稿書きはプランニングと同じで、書き始めるまでが気が重く、作業に取りかかると思いのほか楽しくて時間を忘れて没入してしまいます。

たぶん休日に趣味の模型を作っているお父さんと同じくらい、私にとってはリラックスタイム。やっぱり庭の見える事務所というのが鍵なんでしょうね。

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sekimoto

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> OPENHOUSE
> 仕事



オープンハウスとしてご案内させて頂きました「上尾の家」はその後の個別案内を含めて、無事終了させて頂きました。多くの皆さまにお越し頂き、様々な視点でご意見を頂き誠にありがとうございました。

我々なりに丁寧に設計したつもりで、また施工者にも大変上質に仕上げて頂きましたので、今回も大変素晴らしい仕上がりになったと思っています。一方で、一見すると高級感をも漂う空間でありながら、ローコストとまでは申しませんが、いつもと同じような予算の制約下でできあがっている仕事であるとご理解頂きたいと思います。工務店さんにも大変助けて頂きました。松本建設さん、誠にありがとうございました!

空間の随所にはリオタデザインらしいデザインアイコンが散見されることと思います。我々の仕事は愚直に丁寧に、すべてが単純なことの積み重ねで出来上がっている仕事です。そのどれもが、見れば誰でも真似ができるようなことばかりですが、これらをすべて真似をすることはおそらく一朝一夕には出来ないはずです。

私は弓道をやっていましたが、それらの所作の一つ一つは指導を受ければその日のうちに出来るものばかりです。ですがそれらをすべて連続してなめらかに滞りなく行うには、日々の絶え間ない鍛錬が必要で、それを身につけるには何年も、あるいは何十年もかかるものです。すべての仕事がそうであるように、我々の仕事もまたそんな延長線上にあると感じてます。

そんな話とは別に、ご来場下さった皆さんが「かわいい!」という感想を口々にこぼされていたのも印象的でした。「かわいい」というのは感情移入のできるわかりやすさや、共感すべき愛らしさのことを差しているのでしょう。我々にとっても、もっとも嬉しい褒め言葉の一つです。

Tさん、楽しかった家づくりもこれで一区切りですね。ありがとうございました。
どうか末永く快適にお過ごし下さい!





ふと入ったお店に懐かしいケトルがあった。フィンランドのOPAというメーカーのケトル。フィンランド在住時代、生活を始めるにあたって、とりあえず近くのスーパーでいろいろ買い揃えたもののひとつで、当時は毎日これでお湯を沸かしていた。

そこで値段を見てびっくり!うそでしょ、1万円以上してる。だってこんなの、地元のスーパーに行けばどこでも売っていたし、いくらで買ったかは覚えていないけど、たぶん日本円でも2~3千円とかそんなものだったのではないだろうか。

そもそもフィンランドという国は物のチョイスの幅がほとんどなくて、ケトルといえばこれしかなかった気がする。カイ・フランクのような著名デザイナーがデザインしたわけでもない、ただの無骨なケトルだ。

店頭のキャプションを読むと、どうやら映画「かもめ食堂」で使われたことから人気に火が付いたらしい。現行品は0.5Lと1.5Lの2種類。ところが我々が使っていたのは1.0Lのタイプ。どうやらこれは現在は製造されていないらしい。現行の0.5Lや1.5Lですらもネットでは売り切れているところが多く、ましてやこの1.0Lのタイプはかなりの希少品のようだ。

実は、正直言うと当時からこのケトルはただの安物だと思っていて、デザインもあまり気に入っていたわけではなく、帰国の際もかさばるので置いて帰ろうとすら思っていた。妻が「かわいいから持って帰る」と言って、家でもずっと戸棚に入れっぱなしだったのに、気がついたらお宝になっていた。

事務所で使っているiittalaのKartioグラスも、コバルトブルーのタイプは現在は製造しておらず、人気の高さからかなりの希少品になっていると聞いた。取り扱いに気をつけねば、、。我が家も探せばまだまだそういうものがありそうだ。