川口市に小さな住宅の計画を進めて参りました。建築面積12坪、延べ面積24坪程のコンパクトな木造住宅です。4人家族、書斎も夫婦にそれぞれひとつづつ。足りない収納を補うゆったりしたロフトも設けています。

住宅密集地ですが、南側に面した空地に跳ね出した出窓風のソファスペースを設け、スキップのある空間構成により奥行き感のある空間としています。

竣工を迎えるにあたり、オープンハウス(内覧会)を開催させて頂きます。建築関係者、一般の方、家づくり検討中の方などどなたでもご見学頂けます!


「drop」オープンハウス

2024年
7月13日(土) 10:00~16:00
7月14日(日) 10:00~16:00

※両日とも午前中は来場者多数のため締め切らせて頂きました。

場所:埼玉県川口市
最寄駅: 埼玉高速鉄道「川口元郷」駅より徒歩12分

見学希望の方は、メールよりご連絡下さい。折り返しご案内をお送りします。
info@riotadesign.com

皆さまのお越しをお待ちしております!



24. 07 / 03

スカスカの図面

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sekimoto

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> 仕事
> 思うこと


先日図渡ししたA工務店。しげしげと我々の図面を眺めて「ここまで図面を描いて頂けるのは本当に助かります」とひとこと。過去に仕事をした別の設計事務所の図面はスカスカで、現場に入ってからも変更が多くて本当に苦労したそう。

竣工間近のB工務店。工期通りに高い精度で施工頂けたことに感謝を伝えると、図面のおかげだとして、ここまで描かれている図面は見たことがないとおっしゃっていた。同時並行で進めていた別の設計事務所の現場では、図面がスカスカで情報が全く読み取れなかったという。何かを施工するたびに質疑が山ほど出るので、思うように進められずいつもイライラしていたそうだ。

現在進行中のC工務店。はじめてお付き合いする工務店なのだけれど、我々の図面の精度がヤバいという。他の現場の図面見ます?と言われてうちのスタッフが見せてもらったら、あまりにスカスカの図面でびっくりしたそう。展開図が1/100スケールだったと聞いた時は愕然としてしまった。

知り合いの設計者を紹介したD工務店。あとで聞くと、結局その事務所の仕事は断ってしまったという。理由を聞くと図面が酷かったからとのこと。スカスカで間違いだらけ、各所で整合性がまったく取れていない。このまま請けるとトラブルに巻き込まれると思ったそうだ。

果たして我々が特別なのか?
それとも彼らはたまたま酷い事務所に当たっただけなのか?

この手の話は枚挙にいとまがない。我々の図面は描き過ぎなどと言われることもあるけれど、現場の意見は違う。読み込むのは大変だろうけれど、次にやるべきことが全て描かれた図面なら職人の手が止まらない。結果として工期もスムーズだし、余計な出費もないから現場も合理化できる。

実際に現場がはじまると、我々の現場は質疑がほとんど出ない。定例に出向いても、質疑がないので雑談だけして帰ってくることも多い。ある職人は我々の図面に「バイブル」と書いていた。そのくらい我々の図面は現場からの厚い信頼があって、我々はそれを裏切ってはいけないと思っている。

そういう図面はどうすれば描けるのか?スタッフをどう教育しているのか?とよく聞かれるのだけれど、いつも困る。教育なんてしていない。とにかく当たり前のこと、細かいことを言い続けること、これしかないからだ。

スタッフに仕事を任せて細かいことは言わないのが理想の上司だとしたら、私はきっとかけ離れていると思う。スタッフには申し訳ないけれど、仕事の質は落とせないから、仕事では鬼になるしかないのだ。

これからどんどん職人の数も減って、工務店を下に見て相見積もりなどは取れなくなる(うちはもう長らく相見積もりはやっていませんが)。実際に設計者が工務店を選ぶ時代はすでに終わっていて、選ばれる時代になっている。先のスカスカな図面の事務所に対して、工務店は何と言っているか?「次はもうやりたくありません」これが現実だ。

建て主からだけでなく、我々は工務店からも選ばれる存在にならなければ生き残れなくなる。良い仕事が残せなくなる。最近は切にそう思う。

24. 07 / 02

drop造園工事

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sekimoto

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> 仕事
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まもなく竣工を迎える川口市drop。昨日は最後の総仕上げとして、小林賢二さんの造園工事がありました。雨予報で心配していましたが、なんとか小雨程度に持ちこたえました。

玄関前のアプローチ脇に設けたわずか一坪ちょっとの空間。わずかこれだけのスペースでも世界が作れるという驚きを再認識しましや。この家に植えられるために生まれてきたんじゃないかと思えるような絶妙な樹形のもみじ。まさに「王手!」となる一手でした。

竣工に向けてまだまだ磨き上げます!

こちらは小林賢二さんのブログ
https://kobayashi-atelier.com/news/8974




パナソニック汐留ミュージアムで開催中のポール・ケアホルム展へ。1999年にはじめて北欧を巡った際、最初に降り立ったデンマークのカストロップ空港にずらりと並んだPK22の椅子を見た時の光景は今でも忘れられません。

ケアホルムは昔から憧れのデザイナーのひとり。デンマークに行ったのはウェグナーをはじめとした名作家具を現地で見てみたいと思ったからなのですが、まさか空港にこのミュージアムクラスの椅子が惜しげもなく並べられているとは思いませんでした。文化度の違いを見せつけられた気がして、私がその後北欧にどっぷりハマっていくきっかけにもなりました。

北欧のデザイナーにしては珍しくスチールを巧みに使い、その鬼のような精度とプロポーションの追求は、私の中では「北欧のミース」だと思っています。

ケアホルムが51歳で早世したことも知りませんでした。この世のものとは思えないようなものを作る人は、やっぱり長生きはできないのかもしれません、、。彼の歳を過ぎた私は、まだ何も残していないような無力感すら感じてしまいました。

それにしても貴重な織田コレクションの数々は圧巻のひとこと。田根剛さんの会場構成も素晴らしかったです!

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sekimoto

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> STAFF
> 生活



そのお店は青山墓地の外れにある。あの世とこの世の間に存在する不思議なお店。かおたんラーメン。

その昔、赤坂の設計事務所に勤めている頃、残業終わりに所長によく連れてきてもらった。「ちょっと食べて帰るか」と言われたらいつもここだった。それがおいしくておいしくて。

今日セミナーに向かう道すがら、そんな思い出をスタッフ達に語っていたらなんだか急に懐かしくなってしまって、帰りに寄ってみることにした。そうしたらあった。あれから25年経っているのに、まったく変わっていなかった。お店は当時からこんな感じだった。まるで夢を見ているようだった。

お店の中も変わっていなかった。ラーメンの味なんて覚えているかな、、?でも運ばれてきた瞬間にすべてが蘇った。味も変わらなかった。うっかり涙が出そうになった。人間って、何年経っても味は覚えているんだなと思った。

あの時は所長と二人で。今はスタッフを連れて。
でも明日の朝には消えてなくなっているかもしれない。