
先週土曜日、木更津「OPEN-d」のオープンハウスを開催させて頂きました。
遠方であることと、クライアントのご意向もあり、セミクローズでの開催とさせて頂きましたが、多くの方に来て頂きました。足を運んで下さいました皆様、誠にありがとうございました。
平屋の中庭プランというのは、誰しも憧れるプランのひとつです。今回のOPEN-dは、2012年竣工のDONUTのいわばリメイクプランの住宅なのですが、似ているようで内部構成は全く異なります。
この日は元祖DONUTのクライアントや、DONUTからつながった過去のクライアントなどにもお越しいただき、いわばDONUTつながりのオフ会のようでもありました。


今回の家族構成は猫を飼っておられるご夫婦ということで、「ここはどうしてこうなっているの?」という設えの動機付けがほとんど「猫」に収束してしまうような、ある意味個性的な住宅に仕上がりました。
またご主人の趣味である”車”という部分も、今回外せないポイントだったような気がします。愛猫家と愛車家?のクライアント率が(なぜか)高いリオタデザイン。そんなクライアントさんのニッチな心も掴めてきたような気がします。



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出来あがった住宅の佇まいは、スケールや開口などどこか非日常感があり、住宅というより美術館か何かが建っているような不思議な建物になりました。
また朝と夕方の表情も異なり、こちらも印象的でした。特に夜に灯りの点った姿はいいですね。東京湾に沈む夕日もガラスに反射してきれいでした。


木更津というと、多くの方から「遠い!」という反応を受けていましたが、埼玉の我が事務所から木更津まで、アクアラインを使うと所要時間は片道1時間半~2時間ほどで、現場監理では意外と近いとも感じました。
ただ、東京湾を渡っただけなのに、いろんな意味で文化の違い?や気候の違いも感じました。幸いにして理解のあるクライアントと、信頼の置ける工務店さんと出会うことができ、良い仕事を残せたような気がしています。
クライアントのHさん、そして小島建設の担当長谷川さんには、この場をお借りして御礼申し上げます。最後までありがとうございました!

さて「タニタプロジェクト」と称したこのブログのシリーズも、ついにPart3に突入です。
2013年に竣工した「しだれ桜の家」にもくさり樋を設けていたのですが、先の「竹林の家」同様ダイヤクロス型のくさり樋を設けていたため、雨が降る度に飛沫が飛び散り、玄関扉やポーチをびしょ濡れにするという問題が起こっていました。

当時はくさり樋といえば、純和風のものか、モダンなものだと今回使用したダイヤクロス型などが主流で、雨がちゃんと落ちるかなんて考えるまでもなく大丈夫だろうと考えていたのですが、甘かったですね。
こちらを先月発売となったタニタハウジングウェアの新型くさり樋ensuiに交換したい、ということで、本プロジェクトは「既存の半丸たて樋に取り付いた既存くさり樋を、ensuiに交換するためにはどうしたら良いか?」を考える試みとなります。

すでに「竹林の家」の交換事例は先に書かせて頂きました。今回も同じように軒樋ごと交換するという方法もあるのですが、一般事例に置き換えれば、職人さんの手間を考えると、おそらくはパーツの材料費以上に割高な工事費になるに違いありません。
今回はこちらを視野に入れ、軒樋はそのままで既存のラッパを交換するだけで簡単にくさり樋が交換ができるよう、専用のラッパ型アタッチメントを特注で作って頂きました。
はたして、これを使えば素人でも簡単に付け替えができるはず。今回それを実証すべく、我々リオタデザイン(私+スタッフ)だけで付け替え作業に向かいました。

まずこれが、既存のダイヤ型くさり樋です。
ご覧のように根元に通常のラッパを使用しているため、ここで水が広がってしまい、くさり樋にうまく水が集まってくれません。

そこで取り出したのがこちら(ジャジャーン!)
タニタハウジングウェアの担当者(岡田&関口ペア)にお願いして作って頂いた特注アタッチメントです。これ、何が違うかというと


左が通常のラッパ、右側が今回特注のラッパになるのですが、ご覧の通り、落とし口の部分がキュッとすぼまっているのがわかると思います。
お茶を飲むとき、普通は口をすぼめて呑みますよね。口を開いて呑んだら口の端からこぼれてしまいます。つまりこの現象を改善したアタッチメントということになります。

早速交換しました。
ラッパは上部の板を折り曲げて軒樋に引っかけてあるだけなので、工具を使わずとも簡単に付け替えができました。交換に要した時間はわずか20~30分ほどでしょうか。
クライアントにも、もう終わったんですか?と驚かれてしまいました。


外から見ても、最初からそうだったんじゃないかというくらい馴染んでいます。製品コンセプトである「建物と寄り添うデザイン」という思想が、ここでも有効に生きていると感じました。
きっと我々の過去の住宅と同様に、既存のくさり樋の不具合で困っている設計者や建て主さんはたくさんいらっしゃると思うんですよね。あるいは、現在はたて樋を付けているけれど、鬱陶しいから軽やかなくさり樋に替えたいという方もいらっしゃるかもしれません。
現在の軒樋を交換しないでラッパだけで交換できるようになれば、助かる方や喜ぶ方もきっと多くいることでしょう。
で、もうひとつ気づきました。

こちらは先日新築で取り付けた事例なのですが、新築時は軒樋に開ける穴を調整できるのでこのアタッチメントを使わなくても、ダイレクトに取り付けることが可能です。
でも写真のように、近くでよく見ると軒樋の穴位置によっては、板金の”バリ”が見えてしまい少し気になるかもしれません。(担当者曰く、半丸軒樋に直接取り付ける場合は、”バリ”が見えないよう穴を開ける位置にコツがあるそうですが)

その点このくさり樋用のラッパを使うと、この部分が見えないばかりか、形もスッキリさせられるという利点があるような気がします。
◇
ここまで書いてきてなんなのですが、このくさり樋用のラッパアタッチメントは今回特別に作って頂いたもので、まだ製品化はしていないそうです。
担当者としても、今回のような事例用として近い将来にはラインナップに加えたいとのことでしたが、私としては是非前向きに検討して頂きたいと思っています。
同じ思いの方がもしいらっしゃいましたら、設計者の声として是非届けて頂けたらと思います笑。きっとメーカーの開発を後押しするのは、そういう声の集積だと思いますので。
ともあれ、今回も多大なご協力を頂きましたタニタハウジングウェアの岡田さん、関口さんには、この場をお借りして深く御礼申し上げます。
またクライアントのMさん、長らくご不便をおかけしました!
こちらもしばし様子を見てお使い頂けたらと思います。
15. 11 / 19
暁の家・竣工パーティ!
author
sekimoto
category
> 仕事
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昨晩は先月竣工し、まだ先週引っ越したばかりという「暁の家」のSさん宅へお邪魔してきました。竣工パーティをやりましょう!というお誘いだったのですが、引越して間もないのにいいんですか?と心配する我々をよそに、ノリノリでお誘いくださいました。
といっても、Sさんとはオープンハウスが終わった後も打ち上げをやりましたし、お昼もご馳走になったり、竣工に絡んではもう既に何度か乾杯をしているのですが、とにかく明るい安村、じゃなかったSさんとは、もう何回乾杯しても話が尽きません笑
家の中はとても引越直後とは思えないほど片付いていて、新居のために選び抜かれた家電や家具、照明が隅々を飾っていました。もうまんまセレクトショップがオープンできるんじゃないかというくらいに。


私が知らないものもたくさんあって、いろいろ教えてもらっちゃいました。今はお施主さんの方がずっと物知りでセンスも良く、こちらが勉強させてもらうことばかりです。
そしてこの家の中心はなんといってもこのアイランドキッチンです。

仕事が終わるとご主人はどこにも寄らずに、真っ先に家に帰ってここで一杯やるのだとか。いや、これがあったらそうなりますよね。きれいなママさんもいますし笑。
話も、こっちのほうが断然盛りあがるんです。
そしてもうひとつのハイライトはこちら。

もうね、とっても可愛いんですよ。こっちの視線を意識してかはわかりませんが、ちゃんとサービスでキャットウォークに出てきてくれました。
他にも猫にとってはたまらないスポットを家中に作っているのですが、その設計意図を正しく理解してフル活用してくれているようです。猫も日々とても楽しそうだとか。それを聞いて一安心です。
そして最後にご主人の書斎(という名の趣味部屋)を覗くと、こちらも大変なことになっていました。

これぞ「男の城」って感じですよね。素晴らしい!これぞ世の男たちの憧れ。Sさんの世界がここには凝縮していました。
実はここは玄関脇納戸の片隅に位置しているのですが、この手前の棚には何が納まっているかというと、

これ全部ルアーなんだそうです!すごっ。職業バスプロですか?っていうくらいの量です(ちなみにそっち方面のヒトではありません)。他にもここにはボートのエンジンからエレキギターまで揃っています。
しかも中身は全部トップウォータープラグですよ。これが意味するものを理解した人は、今モニタの向こうでにやけてることでしょう。これだけで何の説明も要りません。
この日も根っこが生えて、ずいぶん長居をしてしまいました。
Sさん、おもてなしの数々本当にありがとうございました!気持ちよく、ほろ酔い気分(よりはもうちょっと酔っぱらってましたが汗)で帰路につきました。
次のお誘いもお待ちしております!
15. 11 / 05
吉敷町の家・上棟しました
author
sekimoto
category
> 仕事
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さいたま市で進めていました「吉敷町(きしきちょう)の家」が本日無事上棟しました。
この住宅のハイライトは、なんといっても解放感のある高い天井のリビングと、それを構成する構造システム。今回は「張弦梁(ちょうげんばり)」と呼ばれる架構形式を取り入れています。
6mものスパンをしっかりと大きな梁で飛ばすのはセオリーですが、やりすぎるととても重い印象の天井になってしまいます。これをなるべく軽やかに、小さな梁ですっきりと見せたいと考え、今回はスチールと組み合わせるハイブリッド梁に、そしてさらに考えを進めて張弦梁形式による架構を考えました。
張弦梁はもともと空港や体育館など、柱のない大空間を実現するために用いられる手法で、住宅に取り入れた例はそう多くないかもしれません。一歩間違えると大げさで、構造ばかりが主張した空間になる恐れもあります。そこで、そのスケールやディテールは繊細に、細心の注意で進める必要がありました。

こちらが初期スケッチになります。
このスケッチでは各部をボルトによるピンジョイントで考えていましたが、構造家の山田憲明さんと相談し、[25xt12]と[22xt6] 2種類のフラットバーによる剛接合によって構成することになりました。

鉄骨屋さんによって製作された鋼材と45x120のベイマツKD材を、現場で大工さんが合わせて地組みしています。これだけが現場に置かれていたら、何の材料かわかりませんね。


梁せいはわずか120ほどしかありません。こんな割り箸みたいな材料で本当に飛ぶんかいな?というくらい華奢な印象。これが木とスチールの組み合わせによって成立するハイブリッド梁の魅力です。
この家では他にも見所がいっぱいあります。これから進捗にしたがって、それらが現れてゆくことになるでしょう。これからの現場通いが楽しみになりそうです!


昨日は朝からずっとOZONEに缶詰の1日でした。OZONE HOUSE MEETINGのイベントでは建築家の伊礼さん、タニタハウジングウェアの谷田社長のトークセッションに、聞き役として登壇しました。伊礼さん、谷田さんお疲れ様でした!
今回は、タニタガルバコンテストでコーディネーターを務めたご縁からご指名を頂き、今回のお役目となったのですが、個人的にも大好きなお二方から直接お話をお聞きできて、大変楽しませて頂きました!最後時間を勘違いして時間オーバーとなりスミマセンでした…汗
伊礼さんからは「日本一の名司会者」の称号を頂いたのですが、伊礼さん、私は日本一の建築家を目指します…。
夜はOZONE登録建築家の報告会&懇親会で、年に一度の顔ぶれにも色々ご挨拶。コンペに負けた相手とのオフレコトークや、あんな話やこんな話。ここでは書けませんが、まあ、皆さんまた呑みましょう。
長い一日でした!

