15. 12 / 09

TOPWATER

author
sekimoto

category
> 仕事



小金井に計画中の住宅です。タイトルはTOPWATERといいます。敷地は23坪と小さく、しかもそれに対して建ペイ率が50%、容積率が80%と非常に厳しい制約がかかっています。

狭小住宅のセオリーとしては、まずは建ペイ率いっぱいに平面を展開し、あとはどこまで高さを稼げるかという解き方になるのですが、ここでは容積率80%という壁も出てきます。つまり、1階を50%で展開しても2階は30%しか床ができないのです。

しかも敷地は陽当たりも悪く、今回は既存住宅の建て替えなのですが、クライアントは一日中陽の差さない1階リビングでの生活に不満をお持ちでした。つまり今回は2階にリビングを持っていき、かつその面積が最大になるような作り方を考えなくてはなりませんでした。

いや、できてしまえば何ということのないことなのですが、これプランニングに相当苦労したんですよね。まず敷地に車を2台駐車するための駐車パターンを100パターン以上作りまして、そこから4パターンに絞りました。そしてそのうち捨てがたい2パターンについてそれぞれプランを作り、結果決まったのがコレというわけです。

だから、どこからどうツっこまれても絶対の自信があります。
この敷地にはコレなんです!間違いありません。


それに加えて、クライアントの嗜好にも真っ正面で応えました。
タイトルのTOPWATER、釣りをやらない人にはわからないかもしれませんが、バス釣りをかじったことのある人ならニヤリとするはずです。

バス釣りのルアーにトップウォーター・プラグというのがあり、水上にプカプカ浮かんで決して水中に潜っていかないタイプのルアーのことなんですが、熱狂的なバスアングラーの中にはこのトップウォーターしかやらないという人がいます。

なぜか?面白いからです。
ルアーがキテレツな動きをしながら水面をスベってくるのが目で見えますし、バスがバシャッ!と食いつくその瞬間もすべて目の当たりにできるわけです。こんなに面白い釣りはないでしょう。

じゃあ、良く釣れるのか?残念ながらあまり釣れません。
いや、まず釣れないと言っても過言ではないかもしれない。

限られたシーズンの、限られたコンディションの中でなら面白いように釣れることもあるのですが、そんなことは本当に希なことです。そういうときは、状況に応じた別のルアーや小さなソフトベイトを使うというのが定石の釣り方なのです。

ただトップウォーターマニアにはそんなことなどお構いなしです。TPOは無視、空気も読みません。冬だろうがなんだろうがトップしか投げないのです。

なぜなら、”遊び”だからです。

競馬でいえば大穴しか狙わない人。当たったときの喜びは大きいですが、そうでないと…。まぁ、反社会的とまでは言いませんが、道楽者の誹りは免れないところでしょうね。

ハイ、これでこのクライアントがどんな方かおわかり頂けたかと思います。


そして、たまたま10月に竣工した「暁の家」のクライアントもそんなトップウォーターマニアの方でした。上の写真は、この方のタックルを見せて頂いた時のものです。見事にトップウォーターしか入っていません。(もう笑うしかありません)

そして「暁の家」の玄関前にドーンとカヤックが掛けられていた写真もこのブログで紹介しましたが、トップをやる方はルアーだけでは飽き足らず、自分もプカプカ浮かびたくなるのでしょうか。暁の家同様、今回もカヤックを所有されている方になります。

さてカヤックを今回はどう収納するのか?
上の模型写真にもチラッと映っているので探してみてください。(下の模型写真でも”トップウォーター”が隠れキャラになっています。わかりますか?)


内部はロフトが天井から吊られている構成になっています。

果たして天井から床を吊るなんてことがどこまでできるかわかりませんが、ここは構わず攻めましょう!なんといってもTOPWATERなんですから。でも不思議とこの床が、水面にプカプカ浮かぶトップウォーターそのものに見えてくるから不思議です。

そして外部のバルコニーも、外壁からドーンと2.2mも飛び出しています。構造はどうするのか?って。そんなことはどうにでもなることです(たぶん)。ここは構わず攻めましょう!なんといってもTOPWATERなんですから。

とにかくクライアントがいつも楽しそうに打合せをして下さるので、こちらもついつい乗せられてしまいます。プレゼンも大変喜んで頂きました。

遊び心満載のTOPWATER、こちらも進捗が楽しみです!