今朝、新聞の折り込みチラシを思わず二度見した。「21周年フェア」「大歓迎です!」「みんな一緒に♪」の煽り文句が並ぶ、TVCMでもお馴染みの、某大手ハウスメーカーさんのチラシだった。
何かの間違いじゃないかと思って何度も見直した。驚くべきことに、チラシにはどこにも「コロナ」の文字がなかった。まるで「え、コロナってなんですか?」とでも言っているかのようだ。
これ確信犯だとしたら、ある意味すごい勇気だと思うし、それが何か強い信念に基づくものだとしたら話を聞いてみたい。この突き抜け方はハンパない。
あるいは、もしかしたらこの企業のお偉いさんはここ2ヶ月くらいニュースを見ていないのかもしれない。だとしたら社員に責任がある。お願い、誰か教えてあげて!
大手ハウスメーカーさんにとって、GWは決算を分ける重要な書き入れ時だ。例年この時期、住宅展示場はどこもお祭り騒ぎとなる。ところがこのコロナの影響で、緊急事態宣言が続く5月6日まではハウスメーカーはアクセルとブレーキを両方踏みこむような難しい判断を迫られることになる。
大手ハウスメーカー各社のサイトを覗くと、Web相談と予約制での展示場案内という”蛇のなま殺し”状態。これは大いに同情に値する。
ところが、このハウスメーカーさんのサイトを覗くと、これまたトップページにも「コロナ」の言葉は見当たらない。唯一あるのは昨年10月の「台風19号により被害を受けられた皆さまに」という神妙なコメントと、全国の店舗でGWに「21周年フェア」を一斉開催します!というやる気満々なメッセージだけだ。
やっぱりそうだ。
お願い、誰か教えてあげて!
ここのところ外出の機会がめっきり減って、スマホなどの端末に向き合う時間が増えたという方は多いのではないでしょうか。そうでない時は報道番組を見たりとか。もう何を見ても同じ情報しかないんですけどね…。
端末につい向かってしまう心理としては、常に漠然とした「不安」があって、そのもやもやの在処に答えをくれるような情報をどこか求めているからなんだと思います。そんな方達に向けて、限定的ですが私の周りの建築業界やこちら側の状況や見通しについて書いておこうと思います。
一部事実誤認や偏見も含まれているかもしれませんので、どうか情報は鵜呑みにしないでくださいね。現時点で私が直接耳にしたことや、私の個人的な推測(根拠は特になし)で書いていますので。以下長文です。
◇
■ 建築工事へのコロナの影響は?
今のところ身の回りで、コロナで工事が止まったというのはあまり聞いていません。報道の通り、中国のパーツ供給が一時的に止まったことでトイレやキッチンが納品されないという現象がありましたが、こちらはだいぶ改善されて、うちも今週引渡す住宅にぎりぎり滑り込みでトイレが取り付く予定です。
あとは知り合いの家具業者さんは、引手などの一部パーツが入らないなどの影響があると聞きました。こちらも中国の影響かもしれません。中国の流通は回復しつつあります。その他ミーレなど海外製品も、今のところ供給が止まっているという情報はありません。(耳に入っていないだけで、一部は影響は出ているかもしれませんが)
建築工事はコロナ以前からの契約工期もあるので、自粛しますというわけにはいかない事情もあるでしょうし、職人の多くは個人事業主で日当で働いている人たちですから、仕事がなくなっても会社が保証してくれる訳ではありません。少なくとも現場は「3密」状態を回避できる状況なので、今のところはそこまで切実ではないということなのかもしれません。
ただ棟梁や職人の一部に感染者が出れば、その現場や関連業者への影響は甚大です。特に棟梁クラスが倒れたりすると、代わりの人はすぐには見つかりませんから、数週間単位で現場がストップするリスクはあると思います。一部の建設会社は、現時点で目下の工事をストップさせるという英断を下しているところもあるようです。
■ メーカーの影響の方が大きいかも?
それよりも、今我々も直面しはじめていますが、メーカーに連絡がつきにくくなっています。こちらも今後影響を及ぼしてくると思います。各企業は社員の出社を抑制しないといけない時期ですから、担当者と連絡がつかなかったり、メールの返事が滞ったり見積書がなかなか出てこないということも出始めています。
某ブラインドメーカーさんからは、向こう一ヶ月は出勤停止に伴い、採寸や取付け工事等の対応は出来ない旨のお達しも来ていました。うちは竣工案件にかからなくて良かったですが…。
それとここに来て、普段電車移動をしていた人が車移動をしはじめているので、街中のコインパーキングがどこも一杯という問題が出てきています。私自身も現場には車で行くようにしていますので、毎回駐車場を探すのに一苦労です。
■ 設計事務所への影響は?
弊社を含め設計事務所への影響ですが、設計事務所の場合は幸いにも現場に行く以外は室内での作業なので、在宅でのテレワークにも対応しやすい状況といえます。そのために設計作業自体が滞ることはなく、今のところほぼいつも通りです。
同業者も積極的にZOOMといったオンラインツールを使ってミーティングやセミナーを開いたり、所属団体のミーティングもオンラインになったり、比較的新しいツールに柔軟な人たちが多いのか、困っているというより逆手に取ってアクティブに動いている人たちも多くいらっしゃいます。
ただ我々はアクティブでも、発注側はそうではない(それどころではない)状況のところも多いでしょうから、今この状況下で計画を進めようという気は起こらないかもしれませんね。または進めたくても、不動産屋さんや土地に足を運ぶこと自体が憚られる状況もあるかと思います。
まわりでも事務所によっては、進みかけていた計画がいくつか止まってしまったという声も聞きます。個人住宅もさることながら、事業案件がメインの設計事務所も戦々恐々です。
水上(発注側)が止まれば、設計事務所が止まり、設計事務所が止まると工事が止まるという具合に、悲観的に考えると最悪こうした負の連鎖が、今後ボディブローのように起こり始める可能性はあると思います。私は東北大震災直後の、あの状況(トラウマ)を思い出しています。
■ ハウスメーカーへの影響も心配
また大手ハウスメーカーは、5月のGWに多くの方に住宅展示場に足を運んでもらい、その時期の受注数でその年度の決算が決まると言われています。GWが近づくと電車のつり革広告やCMでも大手ハウスメーカーの広告が激増するのですが、それはこのためです。
今年はそれができません。住宅のような買い物は半分は”勢い”なので、その勢いが削がれると大手は大変苦戦する可能性があります。そことつながっている無数の下請け業者の受注にもそれは波及するかもしれません。
ということで、建築業界への影響は目下は軽微ですが、向こう半年くらいにかけてじわじわと影響が目に見える形で出てくるような気がします。
■ 学生さんの就活はどうなる?
こちらはすでに報道の通り、一部の業界では内定取り消しなどが出ていると聞いています。建築業界ではあまり聞いていませんが。でも前述のような見通しは建築業界の経営者は皆持っていますから、採用も向こう半年くらいの動向を様子見するだろうと思います。
なにより、向こうしばらくはOBに会ったり会社への訪問もしづらいでしょうし、企業も会社説明会も開けない状況が続くと思います。学生さんも起こしたくてもアクションが起こせないというフラストレーションが溜まるかもしれませんね。こんな中、雇って下さいとも言いづらいでしょう。
そうなると、希望業界に就職できないならということで、学部生なら大学院への進学希望者が増えるだろうと思います(特に理系)。すると結果的に大学院も狭き門となり、それならいっそ留学でもしようかと考える人も出てきたり(ただし欧米のコロナが収束していればですが)、いきなり起業してしまうという流れも出てくるような気がします。
■ 社会全体がフリーランス化する?
このいきなり起業という流れは、今やオンラインでなんでも出来ることが実証されてきてブルーオーシャン化しているので、今後のメインストリームかもしれません。コロナ自粛で見切りを付けた個人事業主が自宅で新しいビジネスをはじめるという流れもあるでしょう。
会社員でも在宅で仕事をしていると、中には「なにこれ、仕事は家でもできるじゃん」とこれまでの価値観が崩れ出す人もいるでしょう。人々の所属意識が薄れ、社会全体がフリーランス化してゆく可能性もあると思います。
またうちの事務所も、今後事務所ワーカーと在宅ワーカーを分けて採用するという可能性もあると感じています。これまでは事務所に席がないので増員は無理と思っていましたが、「スタッフが事務所にいなくても仕事できるじゃん」というのは私も感じていることです。(その前に受注が増えないといけませんが…)
■ アフターコロナを見据える
と、ここまで暗~い状況ばかりをつらつらと書いてきましたが、この辺りのことは漠然と皆さんも思っていたり、すでに予測していることなんじゃないでしょうか。実のところここからが一番重要なのですが、では今何をすべきかという話ですね。
設計事務所の主宰者や工務店経営者は、上記のようなことは織り込みの上で、では今できることは何だろう?をじっくりと考える時期だと思います。私もまだはっきり考えはまとまりませんが、日々考え続けています。大切なのは情報を発信し続ける、走り続けるということだと思います。
固定観念に囚われないで、アフターコロナの時代を社会変革の時と捉え、前向きにアクションを起こしてゆければと思っています。
■ これから家を建てようという方へ
そしてこちらは未来の建て主さんに。
もちろん今は家にいて下さい。けれどもこんな時期だからこそ、家の中で過ごすことの意味をこれまで以上に感じ、またお考えのことと思います。家では仕事はしないとおっしゃっていた方も、こんな状況になるとは予想もしていなかったに違いありません。
アフターコロナの時代は、間違いなく「家の中でいかに快適に過ごすか」を考える時代になります。そのためには「ただ雨漏りしなければ良い家」ではなく、設計からじっくりと空間を作り上げる家づくりが、これまで以上に見直される時代になるでしょう。
しかしそんな家づくりには欠点があります。ひとつは時間がかかることです。
我々の設計の場合、通常ご相談を受けてから竣工するまでに約1年半ほどのお時間を頂いています。仮に今ご相談を受けても、完成するのは来年の秋頃になります。
来年の秋にコロナがどうなっているかは誰も予測できないことですが、もし無事に来年東京オリンピックが開催されれば、その感動の余韻をまだ引きずっている時期かもしれませんね。そのためには今から準備が必要です。
ご家族が揃って家で過ごす今だからこそ、ご家族と「これから」のことをじっくり話し合ってみて下さい!
.
路地の家(2017)
端末につい向かってしまう心理としては、常に漠然とした「不安」があって、そのもやもやの在処に答えをくれるような情報をどこか求めているからなんだと思います。そんな方達に向けて、限定的ですが私の周りの建築業界やこちら側の状況や見通しについて書いておこうと思います。
一部事実誤認や偏見も含まれているかもしれませんので、どうか情報は鵜呑みにしないでくださいね。現時点で私が直接耳にしたことや、私の個人的な推測(根拠は特になし)で書いていますので。以下長文です。
◇
■ 建築工事へのコロナの影響は?
今のところ身の回りで、コロナで工事が止まったというのはあまり聞いていません。報道の通り、中国のパーツ供給が一時的に止まったことでトイレやキッチンが納品されないという現象がありましたが、こちらはだいぶ改善されて、うちも今週引渡す住宅にぎりぎり滑り込みでトイレが取り付く予定です。
あとは知り合いの家具業者さんは、引手などの一部パーツが入らないなどの影響があると聞きました。こちらも中国の影響かもしれません。中国の流通は回復しつつあります。その他ミーレなど海外製品も、今のところ供給が止まっているという情報はありません。(耳に入っていないだけで、一部は影響は出ているかもしれませんが)
建築工事はコロナ以前からの契約工期もあるので、自粛しますというわけにはいかない事情もあるでしょうし、職人の多くは個人事業主で日当で働いている人たちですから、仕事がなくなっても会社が保証してくれる訳ではありません。少なくとも現場は「3密」状態を回避できる状況なので、今のところはそこまで切実ではないということなのかもしれません。
ただ棟梁や職人の一部に感染者が出れば、その現場や関連業者への影響は甚大です。特に棟梁クラスが倒れたりすると、代わりの人はすぐには見つかりませんから、数週間単位で現場がストップするリスクはあると思います。一部の建設会社は、現時点で目下の工事をストップさせるという英断を下しているところもあるようです。
■ メーカーの影響の方が大きいかも?
それよりも、今我々も直面しはじめていますが、メーカーに連絡がつきにくくなっています。こちらも今後影響を及ぼしてくると思います。各企業は社員の出社を抑制しないといけない時期ですから、担当者と連絡がつかなかったり、メールの返事が滞ったり見積書がなかなか出てこないということも出始めています。
某ブラインドメーカーさんからは、向こう一ヶ月は出勤停止に伴い、採寸や取付け工事等の対応は出来ない旨のお達しも来ていました。うちは竣工案件にかからなくて良かったですが…。
それとここに来て、普段電車移動をしていた人が車移動をしはじめているので、街中のコインパーキングがどこも一杯という問題が出てきています。私自身も現場には車で行くようにしていますので、毎回駐車場を探すのに一苦労です。
■ 設計事務所への影響は?
弊社を含め設計事務所への影響ですが、設計事務所の場合は幸いにも現場に行く以外は室内での作業なので、在宅でのテレワークにも対応しやすい状況といえます。そのために設計作業自体が滞ることはなく、今のところほぼいつも通りです。
同業者も積極的にZOOMといったオンラインツールを使ってミーティングやセミナーを開いたり、所属団体のミーティングもオンラインになったり、比較的新しいツールに柔軟な人たちが多いのか、困っているというより逆手に取ってアクティブに動いている人たちも多くいらっしゃいます。
ただ我々はアクティブでも、発注側はそうではない(それどころではない)状況のところも多いでしょうから、今この状況下で計画を進めようという気は起こらないかもしれませんね。または進めたくても、不動産屋さんや土地に足を運ぶこと自体が憚られる状況もあるかと思います。
まわりでも事務所によっては、進みかけていた計画がいくつか止まってしまったという声も聞きます。個人住宅もさることながら、事業案件がメインの設計事務所も戦々恐々です。
水上(発注側)が止まれば、設計事務所が止まり、設計事務所が止まると工事が止まるという具合に、悲観的に考えると最悪こうした負の連鎖が、今後ボディブローのように起こり始める可能性はあると思います。私は東北大震災直後の、あの状況(トラウマ)を思い出しています。
■ ハウスメーカーへの影響も心配
また大手ハウスメーカーは、5月のGWに多くの方に住宅展示場に足を運んでもらい、その時期の受注数でその年度の決算が決まると言われています。GWが近づくと電車のつり革広告やCMでも大手ハウスメーカーの広告が激増するのですが、それはこのためです。
今年はそれができません。住宅のような買い物は半分は”勢い”なので、その勢いが削がれると大手は大変苦戦する可能性があります。そことつながっている無数の下請け業者の受注にもそれは波及するかもしれません。
ということで、建築業界への影響は目下は軽微ですが、向こう半年くらいにかけてじわじわと影響が目に見える形で出てくるような気がします。
■ 学生さんの就活はどうなる?
こちらはすでに報道の通り、一部の業界では内定取り消しなどが出ていると聞いています。建築業界ではあまり聞いていませんが。でも前述のような見通しは建築業界の経営者は皆持っていますから、採用も向こう半年くらいの動向を様子見するだろうと思います。
なにより、向こうしばらくはOBに会ったり会社への訪問もしづらいでしょうし、企業も会社説明会も開けない状況が続くと思います。学生さんも起こしたくてもアクションが起こせないというフラストレーションが溜まるかもしれませんね。こんな中、雇って下さいとも言いづらいでしょう。
そうなると、希望業界に就職できないならということで、学部生なら大学院への進学希望者が増えるだろうと思います(特に理系)。すると結果的に大学院も狭き門となり、それならいっそ留学でもしようかと考える人も出てきたり(ただし欧米のコロナが収束していればですが)、いきなり起業してしまうという流れも出てくるような気がします。
■ 社会全体がフリーランス化する?
このいきなり起業という流れは、今やオンラインでなんでも出来ることが実証されてきてブルーオーシャン化しているので、今後のメインストリームかもしれません。コロナ自粛で見切りを付けた個人事業主が自宅で新しいビジネスをはじめるという流れもあるでしょう。
会社員でも在宅で仕事をしていると、中には「なにこれ、仕事は家でもできるじゃん」とこれまでの価値観が崩れ出す人もいるでしょう。人々の所属意識が薄れ、社会全体がフリーランス化してゆく可能性もあると思います。
またうちの事務所も、今後事務所ワーカーと在宅ワーカーを分けて採用するという可能性もあると感じています。これまでは事務所に席がないので増員は無理と思っていましたが、「スタッフが事務所にいなくても仕事できるじゃん」というのは私も感じていることです。(その前に受注が増えないといけませんが…)
■ アフターコロナを見据える
と、ここまで暗~い状況ばかりをつらつらと書いてきましたが、この辺りのことは漠然と皆さんも思っていたり、すでに予測していることなんじゃないでしょうか。実のところここからが一番重要なのですが、では今何をすべきかという話ですね。
設計事務所の主宰者や工務店経営者は、上記のようなことは織り込みの上で、では今できることは何だろう?をじっくりと考える時期だと思います。私もまだはっきり考えはまとまりませんが、日々考え続けています。大切なのは情報を発信し続ける、走り続けるということだと思います。
固定観念に囚われないで、アフターコロナの時代を社会変革の時と捉え、前向きにアクションを起こしてゆければと思っています。
■ これから家を建てようという方へ
そしてこちらは未来の建て主さんに。
もちろん今は家にいて下さい。けれどもこんな時期だからこそ、家の中で過ごすことの意味をこれまで以上に感じ、またお考えのことと思います。家では仕事はしないとおっしゃっていた方も、こんな状況になるとは予想もしていなかったに違いありません。
アフターコロナの時代は、間違いなく「家の中でいかに快適に過ごすか」を考える時代になります。そのためには「ただ雨漏りしなければ良い家」ではなく、設計からじっくりと空間を作り上げる家づくりが、これまで以上に見直される時代になるでしょう。
しかしそんな家づくりには欠点があります。ひとつは時間がかかることです。
我々の設計の場合、通常ご相談を受けてから竣工するまでに約1年半ほどのお時間を頂いています。仮に今ご相談を受けても、完成するのは来年の秋頃になります。
来年の秋にコロナがどうなっているかは誰も予測できないことですが、もし無事に来年東京オリンピックが開催されれば、その感動の余韻をまだ引きずっている時期かもしれませんね。そのためには今から準備が必要です。
ご家族が揃って家で過ごす今だからこそ、ご家族と「これから」のことをじっくり話し合ってみて下さい!
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路地の家(2017)
今日は編集委員として関わるJIA(日本建築家協会)の支部広報誌「Bulletin」のインタビュー取材がありました(取材する側です)。当初は都内に場所をセッティングしていたものの、感染予防対策として急遽スカイプを使ったオンラインインタビューとなりました。
以前からJIAなどでは多忙な委員の負担軽減のため、委員会にオンライン参加するというのがありました。会議室には大きなモニターがあって、毎回参加者の半数くらいは各事務所からモニタ越しに参加するのですが、私自身はどうもあれが苦手で、静かな事務所でひとりパソコンに向かって話すというのがまず恥ずかしいわけです。スマホに向かって「ヘイSiri」とか言うのと同じですね。
なので私は頑なに会議室に足を運んで直接参加することにこだわっていたのですが、このコロナの影響でそうも言っていられなくなりました。まわりも急速にテレワークとZOOMを使ったオンラインミーティングをセットにした業務に切り替えているようです。リオタデザインでも、早速ミーティングのオンライン化のためにスタッフにもアプリを入れてもらいました。
今日のインタビューも、最初は画面のどこを見て話せば良いのか違和感もありましたが、驚くほど音声もクリアで実のあるお話がお聞きできたと思います。JIA会員でBulletin読者の方はお楽しみに!(どなたのインタビューかはまだヒミツです)
今日のインタビューでも出た話ですが、今はコロナの問題もあり、人がひとつの場所に集まることができなくなっています。一時的なものではあるでしょうが、それでも我々は相互に強くつながりあって生きてゆくしかないわけで、そんな中でこういうオンラインミーティングのようなものが必要に迫られて拡がっているというのは、象徴的な出来事のような気がします。
テレワークにしてもしかり、オンラインミーティングにしてもしかり。
これまで我々は過度に場所というものに囚われて生きてきたような気がします。会社なら自分のデスクだったり、住む場所だったり、通勤時間だったり。もう仕事をするのに場所(ハコ)はいらないんじゃないか、世界中のどこにいてもいいんじゃないかと、そんなことすら思いはじめています。
そんなことはずっと前からいろんな人が言ってますが、それでも私は、仕事というものは固定的な場所でするのが一番効率が良いと思っていましたし、人とは対面で会わなくてはいけないという先入観(もちろんそれがベストだと今でも思っていますが)も強くありました。
しかし社会状況からそんなことも言っていられなくなり、結果としてそうでもないんじゃないかと、毎日目からいくつも鱗が落ちているのも事実です。コロナ問題はもちろん十分すぎるくらい悲観的な出来事なのですが、そんなわかりきったことばかり考えて毎日沈んだ気持ちで過ごすなんて建設的じゃありませんよね。
今日現場に出たスタッフに、おぼえたてのZOOMを使って現場状況をリアルタイムでオンライン報告してもらいました。すごくわかりやすかったです。多分こんなことがなかったらやらなかったでしょう。
これをきっかけに社会は大きく変わろうとしているし、変わるなら良い方向に変えたいなと思います。社会というと大げさですね。とりあえず自分の意識をです。我々もまたポジティブに意識を変えなくてはいけないのだと思います。
スタッフ一名を本日から試験的にテレワークに。もうひとりも体制が整い次第テレワークへ移行予定。
テレワークへの移行を切り出すと、スタッフの間で「その必要なくね?」「事務所の方がはかどるんですけど」的な空気が流れるものの、今のところ何も支障はなく、「そもそも出社の必要なくね?」的な懸念あり。スタッフが出社しなくなると、所長がますますやる気をなくす懸念あり。これぞ、まさにコロナショック!
朝から川越の敷地で地盤調査。建て主さんも立ち会いたいとのことで一家揃ってのご見学。まるでアトラクションを見るかのように、地味な調査を食い入るように見入っていました。お子さんはそのへんの石を拾ったり、土いじりをしてこれまた楽しそう。
帰路水子貝塚公園に寄ると、竪穴式住居の点在するのどかな公園を、小学生達がたくさんマスク着用で元気に走り回っていました!走るときはマスクいらなくないか?と思いつつ、傍らには引率の大人達が目を光らせていました。ともあれ、束の間平和な光景に緊張がゆるみました。家に閉じこもっているより、こっちのほうがずっと健全ですよね。
この公園には、現在の地図に昔の海の入り江部分を重ねた資料があり、これは地形や良好地盤を大局で掴む上でとても有益なので、たまに足を運びます。
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