今日はスタッフとオープンデスク生を伴って、古川泰司さんの桑の木保育園を見学させて頂きました。おおらかな架構の園児のための空間。理屈を抜きにして、親ならこういう保育園に預けたいと思いますよね。計画も適切な人間が適切な部分の関わり方をしていて、ディテールや構成など含め全体としてバランスの良い建築だと感じました。
最近、生産者の顔が見える物づくりということを考えます。我々が大手メーカーと異なるのはその点に於いてだと思いますが、それでも我々は大工の顔は知っていても、製材者や山の人の顔までは知りません。我々はもっと川上にいる人たちと繋がるべきなのだと思います。
この保育園においてJAS製材を使っているのは燃え代設計にする必要があったためと聞いていますが、もう一つは生産者の顔が見える物づくりという意味もあるような気がしています。実際、オープンハウスには製材会社の方たちも来ていて、誇らしげに材の説明をして下さったのがとても良かったです。普通物づくりの川上にいる人たちは、こういう場にはいませんからね。
帰路は少し寄り道をして、行きつけのグリーンショップであるmimonoさんに立ち寄りました。オーナーの小松原さんと立ち話をしましたが、彼が仰ったのも奇しくも生産者と繋がることの大切さでした。問屋ではなく生産者から直接仕入れることで生産者のこだわりを深く知ることができるし、売り方にも魂が入り、結果としてホームセンターにはできない品揃えができるとのこと。これはそのまま建築にも当てはまることのように思いました。
今日は示唆深い気持ちの良い一日となりました。古川さんご案内ありがとうございました!
誰しも心象風景というのがあると思う。あれはどこで見た景色だっただろう?けれども思い出せず、あれはもしかしたら夢だったんじゃないかと思う。
昨日は連休の初日、道は大渋滞。こんな時Googleのナビは頼もしい。手段を選ばず、土手の上をひたすらに走らせる。そのうちここはどこだろう?という田舎道に入り込み、気づけば昔住んでいた町の近くだった。
懐かしい。けれども当時の記憶もあやふやだ。そうそう、この近くにも友達が住んでいたっけ。もう30年以上も昔の話だ。そんなことを思いながら感慨深く通り過ぎる。
車がもはや見覚えのない市境に差し掛かろうとしたときだった。思わず「あっ」と声が出た。ここは見たことがある気がする。この桜の木!違うかな。
車を停めて確かめる。でも確かこんな感じだった。まだ小学校にも上がらない幼い頃、隣町の児童公園に行った時の記憶だ。そこには自分以外にも何人か子供がいて、結婚前の叔母もいて、けれども親はそこにはいない。
それってどんな状況?と思わず突っ込んでしまいたくなるけれど、そんな道すがらにここで休憩をしたのだ。それをなぜか幽体離脱したような俯瞰的な視点で私は見ている。さして意味があるとは思えないそのシーンが、その後も何故か幼少期の記憶の一部としてフラッシュバックする。無性に懐かしく、切なくなるシーンとして。
地図を見て鳥肌が立った。そのすぐ近くにその児童公園があった。やっぱりそうだ、ここを通ったのだ。遠い昔に見た映画の世界に潜り込んでしまったような、不思議な感覚だった。
「となりのトトロ」はメイとサツキが田舎町でトトロに出会う話だ。トトロは大人には見ることができない。大人になったメイやサツキも、やはりトトロを見ることはできなくなるのだろうか。
次に通った時には、桜の木はもうないかもしれない。
20. 03 / 20
オープンデスク四人目終了
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sekimoto
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> オープンデスク
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この春4人目のオープンデスクは男子学生。日大理工の2年生。建築学科の学生にもかかわらず、将来は大工になりたいとのこと。それも図面も描ける「建築家大工」になりたいのだとか。それにしても、大工になりたいなら何もうちに来なくてもと思いつつ、期間中は設計課題をやりたいと言うのでお決まりの設計エスキースをやることに。
しかし、一日費やしてもなかなかプランが描けない。それまでデキの良い女子学生が続いていたこともありますが、それは大学で私が向き合ってきた学生の傾向そのものでもあって、頭でっかちにコンセプトをこねくり回しているから手が動かないというパターン。その点、直感力に優れる女子学生は難しいことを考えないでスイスイと筆が走るんですよね。
彼へのエスキースはずいぶん厳しかったと思います。女子には優しく、男には厳しく?けれどもその甲斐あってか、最後はようやくツボを押さえた案ができました。そして最後はお決まりの所内プレゼン。私の総評の前に、二人のスタッフがゲストクリティークとしてコメントします。
このスタッフの優しいこと!ペコパ並みの人を傷つけないコメントが泣かせます。まぁ、厳しいこと言うのは私の役割ではありますが。こういう機会も、スタッフの勉強にもなっているはず。
現場では、大工志望というのが監督さんの興味を引き、いろいろアドバイスをもらったりもしていました。またいつか、プロ同士として仕事ができるといいですね。それまで修行を積んでください。待ってます!
朝から川越の敷地で地盤調査。建て主さんも立ち会いたいとのことで一家揃ってのご見学。まるでアトラクションを見るかのように、地味な調査を食い入るように見入っていました。お子さんはそのへんの石を拾ったり、土いじりをしてこれまた楽しそう。
帰路水子貝塚公園に寄ると、竪穴式住居の点在するのどかな公園を、小学生達がたくさんマスク着用で元気に走り回っていました!走るときはマスクいらなくないか?と思いつつ、傍らには引率の大人達が目を光らせていました。ともあれ、束の間平和な光景に緊張がゆるみました。家に閉じこもっているより、こっちのほうがずっと健全ですよね。
この公園には、現在の地図に昔の海の入り江部分を重ねた資料があり、これは地形や良好地盤を大局で掴む上でとても有益なので、たまに足を運びます。
20. 03 / 13
オープンデスク三人目終了
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sekimoto
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> オープンデスク
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この春三人目のオープンデスクは共立女子大学から。
初日に普段使っているエスキス帳を持参させると、ノート大の小さなスケッチブックを取り出した。だめとは言わないけれど、良いアイデアは良い道具から。ということで、私の愛用するマルマンの新しいCroquis SS2を渡した。
1週間でこれを使い切るようにとハッパをかけると、最後の日にはあとわずか!というところまで迫った。自分で言っておいてなんだけど、私でもなかなかそこまで使わない笑。
オープンデスクの学生たちに課しているのは、いわば建築の千本ノックみたいなこと。彼らは大学では平均して5週間程度でひと課題を仕上げる。最初の1〜2週間はまともな案は期待できず、3〜4週間目くらいから少しは見られる案が出てくる。そして最後はタイムオーバーだ。
我々はそれをやったらアウトである。プロなら3日もあればそれなりの案ができる。しかも細切れの時間を使ってだ。学生でも集中すれば一週間でスケッチブックを一冊使うくらいのスタディはできる。そして想像してみてもらいたい。そのまま4週間も続ければ、どれだけの深いスタディができるか。
エスキースを通じて彼女が選んだキーワードは「まちからのもらいもの」。良いタイトル、そしておおらかな良案だった。彼女には期間中仕事のお手伝いもいくつかお願いしたにもかかわらず、それらを手際良く片付け寸暇を惜しんでスタディに没頭していた姿が印象的だった。真っすぐな性格の良い学生さんだった。
一週間お疲れさまでした!
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