この春のオープンデスク、トップバッターは芝浦工大2年生の新村恵太くん。恵太くんは、実は我々が設計した住宅に住んでいます。つまりうちの建て主の息子さん。

彼が高校生の時に建ったその住宅は、彼にとって建築の原体験だったそうです。「建築家の設計した住宅で育った子は、建築家になりがち」あるあるです。彼はその後大学の建築学科へと進み、晴れてうちのオープンデスクへとやってきました。

オープンデスク中は現場に取材にと連れ回しましたが、どれも彼にとっては刺激に満ちた時間だったようです。毎日の設計エスキスで教えたことは、おそらく彼の住む家の設計において、我々が何を考えたかを知るヒントになったに違いありません。

恒例、最後のスタッフによる講評会も和気あいあいとして良い時間でした。最後はなかなか良い案になりました。恵太くん、一週間お疲れ様でした!

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「路地の家」の建主さんより、夫婦のテレワークスペースを拡充したいというご要望を頂き、最上階のスペースに家具を設えました。

奥さんのデスクに、ご主人用のローテーブル、また娘さんの電子ピアノスペースを設けた上で、家具と天井との間には梁をブックエンドがわりに、異なる判型の本もぴったり収まるよう製作しています。

既成の家具を並べるだけでもこうしたワークスペースは簡単に作れますが、建てようと思えばいくらでも簡単に家を建てられる世の中で、我々に設計を頼んで家を建てようという人はこういう時にも手を抜かないのだなと感心させられました。

家具だけでも空間は十分作れるものですね!




↓こちらは竣工当時の元の空間。納戸兼予備室代わりに使っておられました。


今日はスタッフを連れてTAGKENさんのオープンハウスへ。この写真だけでは伝わりにくいのですが、我々設計事務所と工務店設計という本質的な違いから生まれる細部の考え方や、素材の選び方などは大変刺激になり、また考えさせられました。

我々はその納まりの細部に至るまで「手間ヒマかけて」「手作りで」仕上げることを良しとします。安易に既製品を使うことにも後ろめたさがあります。

けれども、職人さんが減ってゆくこの時代、そして過去例のない価格高騰を引き金に、一般の方は我々に設計を頼めなくなる日がそこまで来ているんじゃないかという危機感の中、メーカーの既製品を使いながらも、卓越したセンスでそれをまとめあげる、そしておそらくは我々ともまったく引けを取らない顧客満足度を獲得しているであろうTAGKENさんの仕事には脅威を感じます。

そしてずば抜けたデジタル技術。以前から定評のあるTAGKENさんの3Dレンダリングの完成度の高さと、それを建て主と細部に至るまで共有する設計メソッドを聞いていると、ある程度デジタル社会に適応しているつもりの私も、実は絶滅危惧種の恐竜世代なんじゃないかとすら思えてきます。えげつない図面を描く、必要のない社会がすぐそこまで…。

私は下積み時代手描き図面を経験した最後の世代ですが、うちの事務所のスタッフは、下積み時代2Dだけで図面を描いた最後の世代になるに違いありません。

22. 03 / 01

五十肩がきえた

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sekimoto

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> 生活
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ここ半年ほど、いやもっと前からだったかもしれませんが、右腕を上げようとすると肩に痛みが走って上げられないということが続いていました。右手を後ろに回すこともできないので、背中をかくこともできません。

もしかして、これが世に言う「五十肩」というやつか!と、妙な納得をしてこれまで放置していたのですが、そのうち仕事をしていると右腕にしびれるような痛みが走るようにもなり、少し恐ろしくなって病院で見てもらおうかとも思いはじめていました。

そこでふと思い出したのが、近所にある不思議な整骨院のこと。このことは以前ブログにも書いたことがあるので、ご興味ある方はこちらもお読み下さい。


今日は仕事も詰まっていなかったので、午前中に仕事を抜け出し例の整骨院に。中に通されて症状を伝えると早速始まりました、オーリングテストが。

オーリングテストのことは私が説明するよりも、ネットの記事などを見た方が早いと思います。「オーリングテスト」と検索すれば色々記事が出てくると思いますが、親指と小指をくっつけた”オーリング”をつくるだけで、簡単に体の異常部位がわかるという不思議な診断方法なんです。

手際よい診断で、ものの5分ほどで先生が下したのはなんと「原因は右足のくるぶし」でした。

くるぶし?いやいや、先生私が痛いのは右肩です!と言いたかったのですが、次の一言に凍り付きました。「足を組みながら仕事をしているでしょ」
ええっ、どうしてわかるんですか!?

そうなんです。私は姿勢が悪いと自分でもわかっているのですが、足を組みながら椅子に座り、何時間もパソコンに向かう癖があります。それも右足を床について、左足をその上に乗せるという姿勢です。

先生によると、その姿勢でやや前傾姿勢になると、右足のくるぶしに負荷がかかり、くるぶしが故障しかかっているとのこと。これにはびっくり!

負荷といっても所詮座った姿勢だし、右足首に負荷をかけていたとは夢にも思いませんでした。ただ確かに、ここ最近右足首が急に痛くなって、右足を引きずるようにして歩いていたことがあったことも急に思い出しました。

右足のくるぶしは右肩につながっていて、くるぶしに負担がかかると肩がはずれるという連鎖症状を引き起こしているとのこと。もう天才かと思いました。なにそれすごい。ピタゴラスイッチか。


そこからの治療はこれまた不思議なもので、患部をマッサージするわけでもなく、板状の枕に頭を乗せ、微妙な角度を作って少し衝撃を加えるような方法を何度か繰り返しただけ。その都度立ち上がって、オーリングテストをやってバランスを見てゆきます。

治療時間にして20分くらいだったと思いますが、最後に「これでどうですか?」と右腕を後ろに動かしてもらったら消えてる!あの痛みが。それまで激痛が走った角度でもまったく痛みがありません。うそでしょ。

ここ半年くらい慢性化していた痛みが一瞬で消え、あまりの鮮やかさと不思議さと嬉しさで思わず笑ってしまいました。その後30分くらいかけて、助手の方が丁寧に全身マッサージをしてくれたので、帰り道は道から足が浮いているんじゃないかというくらい軽快で、生まれ変わったようでした。

普通のお医者さんなら、レントゲンを撮ったり、患部をマッサージしたり湿布薬を出すくらいだったかもしれませんね。私の五十肩の原因が、まさかくるぶしだったとは…。


ちなみにこちらの整骨院は、志木市の「ふく整骨院」というところです。これまた検索すれば出てきますので、お困りの方は通院してみると良いかもしれません。オーリングテスト、なんだかおまじないをしているようでとても楽しいです。

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昨日は竣工後一年が経過した横浜市の「壇の家」に、一年点検のためにお邪魔させて頂きました。

外部の方は、その住宅を我々のHPの竣工写真などからしか知ることが出来ませんが、実際に暮らされて一年ほどすると、どのように生活が変化してゆくのかなど興味深いことと思います。今回はちょっと、そんな住まいの経年変化を知って頂くためのレポートとさせて頂きます。

壇の家(2021年1月竣工)
https://www.riotadesign.com/works/21_dan/#wttl


当日は我々の訪問に備えて、建て主のFさんが玄関周りを熱心に掃き掃除をされておられました。

一年点検は我々にとっても設計の「答え合わせ」をする日でもあるのでとても緊張するのですが、建て主さんにとっても、この日は一年間の「暮らしのレポート提出」のようなものかもしれませんね。



アプローチに入れたクリーピングタイムは、アプローチにはみ出してほぼ理想的な伸び方をしていました。裏通り側に植えたクラピアは、一部枯れてしまった部分もあるのですが、逆にFさんのご家族で空いたスペースに次に何を植えるかを楽しんでおられるとのこと。

植栽は手入れが大変と思われる方も多いようですが、実際にはそんなこともありません。こうやって、お庭と向き合う時間が増えるのも幸せなことだと思います。



玄関扉には横一文字にクラックが入ってしまいましたが、木製建具あるあるでもあるので、この辺は大らかに受け流して頂きます笑。

一方の、最もダメージを受けやすい建具の下部はとてもきれいで、まったく劣化を感じさせませんでした。経験上、建具を外壁面よりも少し奥に入れると建具がとても長持ちするのですが、そのような設計上の措置もまた功を奏しているようにも思いました。



ウッドデッキには多少退色が見られましたが、まだこの段階では手入れはしません。あと二年くらいほったらかしにしたくらいがお手入れ時期になると思います。ちなみに、Fさんはデッキの隙間にはさまった落ち葉もピンセットで取り除いているのだとか。すごい!

手摺り上部にまわした木製手摺りもきれいですね。むしろこちらの傷みを心配していたので、安心しました。



続いてお風呂回り。こちらはリオタデザインでは定番の板張り併用の浴室になっていますが、これは竣工検査ですか?というくらい、非常にきれいに使って下さっていました。

木部は傷みが出やすいので、セラミック塗装を木部に施しているのも功を奏しているようにも思います。木はカビるから、と思っているそこのあなた。そんなことないんですよ。

またタイル目地はカビるからと思っているそこのあなた。このカビ一つないタイルを見て下さい。防カビ目地の効果も大きいと思います。


木製建具もこの通り。シミひとつありません。カビを防ぐための設計上の工夫と、セラミック塗装が功を奏しています。

ただ、ここでもうひとつのネタばらしをしなくてはなりません。Fさんご家族の努力を!
毎晩お風呂に入った後は、乾いたタイルで木部をちゃんと拭き取っているそうです。これはうちの建て主の多くの方がやって下さっていることです。

先のような措置を設計側で考えているので、別にそこまでやらなくても大丈夫ですよとはお伝えしているのですが、これが住まいに対する愛情なのでしょう。頭が下がります。


洗面カウンターまわりには、このような隙が出ることは多いです。乾燥すると収縮しますからね。これは木を使う限りは正直防げません、、。

後日シールなどを打って頂こうと思います。


洗濯機の上部には、無印良品のボックスがぴったり納まっています。たまたまだと思いますか?いえ違います。我々が、ちゃんと無印良品の規格で棚を作っているからなのです。

竣工時には誰も気付きませんが、暮らしが進んでゆくとこのような設計上の考え方が伏線回収されてゆきます。生活するということは、つまりこういうことですので。



キッチン回りもとてもきれいに使って下さっていました。背面の飾り棚はLEDを仕込んでいますが、ちょっとお店のような雰囲気で奥様もお気に入りの小物やツールをディスプレイされていました。

こういう棚は必ずしも機能的な棚ではないのかもしれませんが、生活にはこんな気分が”アガる”設えがどこかに必要なのだと思います。ここにもFさんのこだわりや愛着が伝わってくるようです。


こちらは2階の一角に設けた本棚。キチンとされていますね!これはうちの建て主さんの特徴ですが、こうやって本棚に入れる本も、高さを揃えたり分類をして美しく見えるように工夫をされています。

もちろん今回我々が行くから整えた部分もあると思いますが、でもちゃんとわかります。にわかか、そうでないかは。


こちらの一角にも、無印のパインラックがぴったり納まっています。
はい、もうおわかりですね。そうなるように設計しているからです笑



そして2階のハイサイドからはまっすぐに1階まで光の筋が。壇の家は吹抜けがありますが本当に温かくて、2階の廊下もポカポカでした。

断熱や気密性能が高いこともあり、上下階で温度差があまり生まれていないようです。シーリングファンも設けませんでしたが、特に問題はありませんでした。


ということで、一年点検で訪問したのですが、ほとんど不具合らしい不具合はなく、ほっと安心してずっとFさんとおしゃべりしていたらあっという間に夜になってしまいました笑。暗くなったので、結果として我々の照明計画が適切であったかどうかも、この日検証することができました。





この写真でどのくらい伝わっているかはわからないのですが、実際にはこの数倍くらい良い感じです!

照度について、少し暗いかなと不安に思っていたのですが問題なさそうです。建て主のFさんも、住まいながら様々な照明の使い方を編み出したり工夫したりしているようで、そんなお話を聞くのもとても有意義でした。まさに設計の答え合わせですね。


そんなFさんとの語らいの時間は本当に楽しいものでした。何人かの建て主さんとは、コロナが落ち着いたら呑みましょうねと約束していますが、設計業務を離れて語らう建て主さんとのこうした時間は、何ものにも変えがたいものです。

この日のFさんからは、この家に対する愛着の言葉が止まりませんでした。一年を経過してもまったく飽きないとのこと。そんな”のろけ話”はどれだけ聞かされても良いものですね笑。


このブログを読んだ方は、自分はそんなきれいに暮らせない、そんなに几帳面に手入れは出来ないと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、自分が本当に愛着を持てる家を建てると人は変わるものです。このFさんもまさにそうだったとおっしゃっていました。

家づくりはそんな自分自身を変えるきっかけにもなるし、家族が今後どうありたいかを考え、現にその通りになってゆく過程そのものでもあるのでしょうね。この日も考えさせられることがたくさんありました。

Fさん、ご対応ありがとうございました!