12. 02 / 11

FILTER模型

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sekimoto

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> イベント
> 仕事


[caption id="attachment_3697" align="alignnone" width="560" caption="FILTER S=1/50"][/caption]

来週木曜日より,新宿のOZONEにて『建築家と建てた理想の住まい100選』 展がはじまります.今年は我々も2010年竣工のFILTERを出展予定で,事務所では実務と平行して出展準備が着々と進められています.

このイベントの目玉はなんといっても「模型」.なぜかうちはスタッフの模型精度がやたらと高いということで,今回もその期待を裏切らぬよう,模型製作のエース三浦を投入し,気合いを入れて模型を製作しました.

「建築はコミュニケーション」というのは私の持論ですが,時として図面以上に雄弁にその空間の魅力を語るのが模型だったりします.なかなか一般の方は実際の空間を図面からリアルに想像できませんので,模型を作る際はどこまでその空間に身を置いて生活することをリアルに想像できるか,というのが鍵になるような気がします.

これは設計者側の問題でもあって,設計者がイメージできていないものを,お施主さんにイメージしろというのはどだい無理な話です.我々がそこに生活者が活き活きと生活している様子をありありと思い浮かべ,それをすくい取るように図面に描き写す,これが設計という作業なのだと思います.

それを3次元に置き換えたのが模型だとするならば,それもまたありありとその生活感が手に取るようにわかるものでなくてはなりません.とは言いつつも,普段の1/100スケールの模型ではそこまでの作り込みは無理ですし,毎回今回のように大きな模型を作るほどの時間的な余裕もありませんので,こうして年に一度くらいはイベントなどにかこつけて,我々ではこんなリアルな模型を作ってみたりします.

これは大変な作業ですが,作っている本人もかなり楽しそう.スタッフにとっても良いトレーニングになります.

こちら実物は来週よりはじまる以下のイベントの会場でご覧頂けます.会期も長いので,是非足をお運び頂き,顔を近づけて中を覗き込んでみてください!きっと,エッと思うようなディテールや,思わずニヤリとしてしまう部分を発見することでしょう.


『建築家と建てた理想の住まい100選』 展
会期:2/16(木)~5/8(火) ※水曜休館
場所:リビングデザインセンターOZONE 6F特設会場
http://www.ozone.co.jp/event_seminar/event/detail/1258.html





[caption id="attachment_3702" align="alignnone" width="560" caption="今回は特別に製作スタッフのクレジットも入れることに"][/caption]
今日は日大理工4年生の卒業設計の公開審査会があり参加させて頂いた.今日は一次審査で,この中から選ばれた10点が明日の二次審査に進むことができるらしい.
ちなみにこの学年は私が大学で教えさせて頂いた最初の学生でもあり,知っている学生も多く,少し感慨にふけりながらも厳しく?審査をさせて頂いた.

全体に言えるのは,我々の頃と違ってCADやグラフィックソフトを多用し,おそらくは直前に出力したものをそのまま貼りつけていることもあり,おしなべて情報が平坦で,こちらが眉間にしわを寄せて読み込んでいかないと,設計の意図や情報がなかなか頭に入ってこないものが多かった.

デジタル情報はこういう時には圧倒的に訴求性に欠ける.むしろ手描き(ハンドドローイング)や,まわりくどい説明は省いた簡潔な説明や形の方が自分の心にはよく響いた.

また自分の設計意図をしっかり相手に伝えようとする努力の跡が見えるものもあれば,全くそれを放棄しているものまであって,後者の場合はもはや図面を見る気もおきず,申し訳ないけれど一瞬で審査が終わったものもあった(実は半分くらいはそうだった).

でも社会に出たらそういうものだ.4年間の集大成を相手に伝えるということに対してどこまで真剣に向き合えたか,というところで明暗は分かれたようにも思う.

ともあれ,学生達の渾身のエネルギーの塊をいささか駆け足気味に眺めて審査票を出してきた.明日の二次審査には参加できないけれど,今年の桜建賞(最優秀賞)を手にするのは誰なのか,勝手に予想などしてみる.一応かつての受賞者として.

(まだ審査途中なので,写真は控えさせてもらいました)

12. 01 / 30

折込みチラシ

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sekimoto

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> 仕事



週末に折込みチラシが入っていました.埼玉県内で業績を伸ばしている,とある設計事務所(といっても実際にはハウスメーカーの関連会社)のオープンハウスの案内です.もちろんこれはモデルハウスではありません.ちゃんと実在する個人邸のオープンハウスのお知らせなのです.

写真はハウスメーカーのように既製品ばっかりでもないし,建築家っぽさを漂わせつつも,建築家特有のあくの強さを巧みに漉し取ったインテリアカット.いかにも30~40代のおしゃれで感度の良いクライアントに幅広くアピールしそうです.

一方の我々のオープンハウスといえば,完成間際の写真と地図の入ったお手製のPDFを仲間内で回覧する程度のもの.これはオープンハウスのために事前に完成させ,施主の了解のもとモデルを入れて撮影まで行い,地域に10万部単位で折り込みチラシを入れているという,我々には絶対に真似のできない方法です.

もちろん真似したいとも思いませんし,もともとうちのような事務所にいらっしゃるクライアント層とはかぶりそうでかぶらないので,ライバル意識はありませんが,オープンハウスにここまでやるか(ありえない)という意味ですごいインパクトでした.

ハウスメーカーもここまでやる時代です.いつまでも変わらないのは建築家だけ?そろそろ危機感持たないとまずいかもしれません.

12. 01 / 29

ぽっかり

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sekimoto

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> 仕事
> 生活


年明けから怒濤の忙しさが続いていて,週末も打合せや建築展,面談と続き,年が明けてからほとんど1日も休めていない.特に昨日は忙しさのピークで,予定を4つくらいかけ持ちして,一日中走り回っていた.

休めない日々が続くと曜日感覚が麻痺してくる.朝ふと目覚めた時に,はたして今日が日曜日なのか金曜日なのかが怪しくなる.しばらくして普通に平日だったことに気づき,淡い期待は裏切られ,重い体を持ち上げるようによろよろと起き出すことになるのだ.

今日は日曜日.今日も朝からFILTER(U邸)の1年点検があった.久しぶりにお施主さんとも再会し,近況を語り合いつつも,いろいろな問題点を整理し,対策を協議しての解散となった.

終わって時間を見るとちょうどお昼.これから家に帰ってと・・・.
もしかして,この後には何も予定がないことに気づいた.今日は子どももいないし,急ぎの仕事もない.来客もない.てことは,自由!?

ほんの半日だけれど,束の間の自由時間ができたことが無性に嬉しい.
さあて,なにしようか!結局なにもできずに日が暮れていきそうだけれど,久しぶりに緊張の糸をほどいて,とりあえずだらだらしよう.

[caption id="attachment_3585" align="alignnone" width="560" caption="快晴のFILTER"][/caption]

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sekimoto

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> メディア



一昨年末に竣工し,昨年秋に取材して頂いたFILTER(U邸)の掲載誌が届きました.

このFILTERはここ近年ないくらいのローコスト住宅でしたが,それに負けない強い意志とこだわり,高いセンスを持ったお施主さんの住宅で,私にとっても思い入れの深い住宅の一つになっています.

設計のプロセスでは現実的な壁がいくつもあり,打合せはいつも真剣勝負.お子さんが泣き叫ぶ中?6時間以上もぶっ通しで議論したあの頃もまた懐かしく思い出されます.現場でもいろんなことがありました.そんなことを思い返しつつも,こうして美しく使われている空間を見ると,送り出した花嫁(施主/建物)が幸せに暮らしていることがわかり設計者としても嬉しくなります.

空間的にもスキップ,あらわし天井,コンクリート床やフレーム構造など,随所にリオタデザインの設計手法を,自分なりに高い次元で実現できた住宅だと自負しています.書店で見かけましたら是非お手に取ってみてください.

住まいの設計 3/4月号(扶桑社)
http://www.sumainosekkei.jp/sumainosekkei.php