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警鐘

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sekimoto

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> 生活


なにか事件が起こると,当事者達を世間は責める.どうしてそんな愚かなことを,と私も思う.けれども一方ではこうも思う.それは自分にも十分起こりうることだと.

私もけして長くはない人生の中で少なからずの経験をしてきた.大学時代の体育会の規律.下積み時代の不安感や駆け出し時代の惨め感.理屈の通用しない子育て.人間は追い詰められると,平和な状態では思いもつかないような行動に出ることもある.

それは自宅のソファでワイドショーを眺めているのとはわけが違う.事件と日常の違いは,その時に一線を越えるか越えないかの違い.ほんのわずかな紙一重の世界がそこには存在するのだろうと思う.

だからいつも事件の報道を見ると,私は「これは自分だったかもしれない」と思う.こいつは馬鹿だなとはとても思えない.そして,自分がその場にいたらどうだっただろうと想像してみる.その時に一線を踏み越えないよう,未来の自分に向かって警鐘を鳴らしたい.