練馬区「ながめの家」もあと少し。今日は完了検査。週明けから造園がはじまります。
もともとここにお住まいの方で、今回は建て替えの計画。2階の窓からいつも見ていた遠景の高木があり、これを毎日眺められるようにというご要望がありました。
ところが今回は平屋の計画。この木は一階の窓からは見えないのです。そのために、これを眺めるためのルーフテラスを設けました。屋根の上から景色を眺めるから「ながめの家」。
ところがこの日、びっくりしたことがありました。
玄関から入って正面に大きめのハイサイド窓を設けたのですが、ここからやけに向こうの緑がよく見えることに気づきました。おや、この先は自転車集積場で木なんてなかったはず?
なんと今回眺めようとしていた木が、そこだけ切り取られて部屋の窓から見えていたのでした。1階からは見えないと思っていた木が奇跡的なトリミングで室内に取り込まれたというミラクルと、あんなに遠くにある木がこんなに近くに感じられるという驚き!
家の近くにも、ある位置から富士山を見るとすぐ近くにあるかのように大きく感じる場所があるのですが、これもそういう現象なのでしょうか。向こうの木に想いが通じたというのか、祝福されたかのよう。建主さんも思わぬギフトに大喜びでした。
毎回お誘いを頂くもののなかなか足を運べない若原一貴さんの北鎌倉の住宅に、無理を言って内覧会前にスタッフと共に訪問して見学させて頂きました。
道すがら、ここ前に通ったことがあると思ったら、去年福井典子さんの住宅を見せてもらった時に通った道でした。場所が目と鼻の先!偶然のようで、我々の世界では意外とあるあるかもしれません。
住宅は建主からの要望やリアルな生活と、建築的主題とのせめぎ合いで出来上がります。若原さんの住宅は、空間が勝っているように見えて優しい。ちゃんと寄り添っている。そのツンデレ感が若原さんの魅力なんでしょうね。少ない要素でちゃんと世界を作り上げているのもさすがです。
びっくりするくらい施工精度が高いのも、若原さんの建築を成立させている大切な要素。今回の大工さんの仕事も素晴らしかった。現場と息が合っているのですね。こういう住宅は清々しいです。今日は貴重な機会をありがとうございました!
帰り道、同じく北鎌倉にある風景研究所の「多重の家」にお忍び訪問。
建築家の小松さん大島さんのご自邸でもあり、お二人に気を遣わせるといけないので外観だけこっそりスタッフに見せて帰るつもりが、大島さんにばっちり見つかってしまい、お仕事中なのに図々しく中庭や事務所内を案内して頂いてしまいました。
実は5月29日公開予定の是枝監督による映画「箱の中の羊」の舞台としてこの「多重の家」が使われています。撮影秘話も聞かせていただきましたが、劇場公開も楽しみです。こちらもご案内ありがとうございました!
https://youtu.be/tQVRMANDa7Y
などと寄り道してたら、駅でふたたび若原さんとばったり。ふたりで仲良くグリーン車での帰路も楽しかったです笑。充実の一日でした。
映画「かもめ食堂」が公開20周年を記念して、現在2週間限定で劇場公開している。人気があるからもう少し公開期間は延びんるんじゃないかと思うけど、久しぶりに週末にスクリーンで見てみようと思う。
かもめ食堂は、フィンランド・ヘルシンキを舞台にサチエ(小林聡美)が食堂をひらくという話。設定はある意味荒唐無稽だけれど、そこに流れている空気感や、小林聡美さんの肩の力の抜けた演技が私の知るヘルシンキの空気感にぴったりはまっていた。
再公開もあいかわらずものすごい人気で、小林聡美さんや片桐はいりさんが登壇する回は予約が瞬殺で埋まってしまった(トライしたけれど全く歯が立たなかった)。そして当時の劇場パンフレットの復刻版は初日でソールドアウトしたらしい。
冒頭に載せた写真は20年前当時のパンフレット。大切にとっておいて良かった。当時のチラシには当時の公開日も刻まれている。20年後に再公開されるなんて当時は考えられなかった。
フィンランドに行ったことのない人も、うちの建て主さんは「かもめ食堂」だけは知っている、DVDで見た、大好き!という方がとても多い。フィンランド人気の火付け役にもなった映画だ。
公開当時、劇場ではじめて見てびっくりしたのは、そこに私の友人の家が使われていたことだった。現地アソシエイトプロデューサーに名を連ねていた森下圭子さんも当時の友人で、ロケ地に使われた家の友人とも共通の友人でもあったので、森下さんのコーディネートなのかと思ったらそうではなく、荻上監督が自分の足で見つけてロケ地に直談判したらしいと聞き二度びっくり!
映画の中で、酔っ払ったフィンランド人が担ぎ込まれて本棚の前で過去を独白するシーンです。その他にもそのフィンランド人宅のテラスで語り合うシーンや、リンゴの木に藁人形を打ち込むシーンもこの友人宅が使われています。
かもめ食堂は実在したカフェ(Kahvila SUOMI)をロケ地に使ったところ、映画人気でこのカフェに日本人観光客が殺到し、のちに実際に「かもめ食堂」に店名を変更したという経緯もある。私は家族と10年前に訪れた。
そんなかもめ食堂も昨年9月に閉店し、今は別の経営者によって、別の場所にお店が移されていると聞いた。でもあの場所でなくては意味がないようにも思える。
そんな思い出の詰まった映画。フィンランドってこんな感じなんだと思ってくれたら、その”感じ”はかなり実感に近いと思います笑
DVDなどでも見れるけれど、まだ見たことのない方はこの劇場公開中に是非スクリーンで!上映館はこちらより。
https://filmaga.filmarks.com/articles/331141/
もう大学に立つことはないと思っていましたが、7年ぶりに日大に帰ってきました。しかし理工学部ではなく芸術学部(日芸)。今年から2年生を通年で教えます。
一学年300人の大所帯だった理工学部から、日芸はわずか13人!カリキュラムも自分で組み立てるためプレッシャーが半端なかったのですが、若原先生と一緒に悩んで考えた課題はきっとユニークなものになるはず。
初日の今日は想像通りカラフルな髪の学生たちで埋まりました。自由な考えで建築を学んでほしい!
むかし赤坂にある事務所に勤めていた頃、たまに所長に連れていってもらった広島焼きのお店があった。目の前の大きな鉄板で焼いて、そのまま食べさせてくれるお店。私は広島焼きというものをそこではじめて食べたのだけれど、当時そのおいしさがとにかく衝撃的だった。
その後いろんなところで“広島焼き的なもの”を食べてきたものの、どこか違う。おいしいけどこれじゃない。あの時の衝撃は一体なんだったんだろう?あれから30年経った今でも、あの味が忘れられなかった。
ある日、ふと端末で赤坂のたしかこの辺りだったよなとマップを辿っていたら、あった。びっくりした。お店の名前は「さっちゃん」とあった。たしかに言われるとそんなお店だったような気がする。
あの時のマスターはたしか40〜50代くらいに見えたから、今はすでに70〜80代?これは早く行かないと!
久しぶりに歩く赤坂はいろんな部分で変わっていた。あの頃よく通った定食屋やお店はすでになく、その中に昔のビルがところどころに取り残されている。そこを抜けた先にそのお店はあった。時空に迷い込んだような感覚だった。
お店の中も時間が止まっていた。けれどオーナー夫婦だけは健在だった。30年前によく来ていたことを話すととても喜んでくれた。お店は40 年続けているのだそう。目の前で焼いてくれる手つきは、40年間目の前の鉄板だけに向き合ってきた人の手つきだった。
ほんとうにおいしかった。これだ!と思った。30年間この味を忘れていなかったことに驚いたし、お店の味が変わらないことにも感動した。これはいったい広島焼きなのだろうか?ここでしか食べられない何か別の食べ物のようにも思える。
振り返ったらもうそのお店は煙のように消えているかもしれない。もう二度と食べられなくなる前にもう一度足を運びたい。
category







