本日、大学の非常勤講師として最後の授業を終えました。

母校である日本大学理工学部建築学科の非常勤講師は、2007年より通算で10年務めさせて頂きました(途中2年の退任期間あり)。前期後期をあわせると、のべ400人くらいの学生さんを教えたことになります。

しかし10年、400人教えただけ教え方が上手くなったかというと全くそんなことはなく、もしかしたら過去のほうが上手く教えられていたのではないかと思うことさえあります。皮肉なものです。

啐啄(そったく)という言葉があります。雛が卵から孵ろうとするとき、卵の内側から嘴でコツコツとつつく音に反応して、親鳥が外側から殻をつつき割るという状態。禅においては、師弟間の呼吸がぴったり合い、機が熟したタイミングで師が弟子に教えを授けるさまを差したりします。

親子の関係もそうですが、上から一方的に授ければ人はそれを吸収するわけではなく、教える者、教わる者同士が共に心を開き、相手の言葉に耳を傾ける状態を作らなければ教育というものは成立しません。まさに啐啄です。

人との出会いというものはいつも一期一会です。あるときにはクラスの意識と自身の感性がぴたりと合って、素晴らしい作品群が次々と生まれることもあれば、最後までちぐはぐで自分の言葉が学生の心に届いていないと感じるときもあります。そんな時の無力感といったら…。

教えるという技術はおそらく着任当時から比べれば上がっていると思いますが、人の心は残念ながら技術では開きません。前回は開いたアカウントに次はまた鍵がかかり、最後にようやく開くと次にはまた鍵がかかり。この10年はまさにその繰り返しだったような気がします。

ごく希に、今日は良い指導ができたと手応えを感じて帰路につくこともありましたが、ほとんどはドーンと落ち込んで帰路についていました。学生は好きでしたが彼らの能力を引き出しきれない自分が歯がゆく、自分は講師には向いていない、いつもそう思っていました。そんな日々からもようやく解放されます。

それでも続けてこれたのは、たまに学生がこちらの言葉に反応して見せる、何かを発見したような好奇心に満ちた表情。あの表情を引き出したくて毎回どんな言葉をかけようか考え続けてきました。私の未熟な指導についてきてくれた学生には感謝しかありません。どうもありがとう。

そして大学関係者の皆さまにも心より御礼申し上げます。

もう大学からお呼びがかかるようなことはないでしょう。私のフィールドは、やはりリアルな設計の現場にあるような気がします。これからは分相応のフィールドで、自分の力を出し切りたいと思います。

20. 01 / 21

軽井沢へ

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sekimoto

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> STAFF
> 旅行



安いホテルしか泊まったことのないスタッフのために社員研修を兼ねて軽井沢。建築は空間体験以上のものは作れないと思うから。

我々にご依頼くださる方の中には、こういう場所に普通に泊まる方も多くいらっしゃいます。素材の違いだけではなく、おもてなしの質や、それが空間から演出されるものであるということも知ってもらいたいです。

腹を割っていろんな話ができるこんな機会も貴重です。昨日の夜に来て、今朝には帰ります。仕事には穴は開けませんのでご安心ください。



20. 01 / 19

街の顔をつくる

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sekimoto

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> 仕事
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花小金井の家、小雪が降る中昨日は施主検査がありました。現場はまだ外構を残していますが、内部と造園はほぼ完了です。

この住宅はスタッフ砂庭の最後の担当案件で、彼女はこの仕事を最後に今月末には事務所を離れます。いろんな意味で、この住宅は彼女なりの集大成の仕事になったのではないかと思います。

毎回思うことですが、自分たちの仕事というものはなかなか客観視することができません。自分たちではそれがベストと思える選択肢を積み上げてきているつもりですが、それが積み上がった姿が本当にベストであるかどうかは、もはや我々の判断を越えたところにあるように思うからです。

この日は検査後、諸事情あって引き渡しを待たずに、一足先に工務店さんや造園家も交えての打上げの席を設けて頂きました。私はこういう席が好きで、関係者とお互いを労いあいながら、困難だったプロセスやあの時どんなことを考えていたかなど振り返る良い機会になります。

そしてもう少し言うと、我々にとっての本当の仕事のゴールは、建主に依頼された住宅を正確につくるということですらもしかしたらなく、それが街の共有資産になり愛される「街の顔をつくる」ということにあります。こちらは街ゆく人たちによって、長い時間をかけて今後評価されてゆくことですが。

以前も書きましたが、今週24〜25日にかけて内覧の機会を設けます。ご興味ある方は、個別にご連絡頂ければご案内をお送りさせて頂きます。

20. 01 / 12

KOTI | DECO

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sekimoto

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> 仕事
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昨日はKOTIの1年点検がありました。点検自体は特に大きな不具合もなく、この一年で感じたことや住まいの使用感などをお伺いさせて頂きました。とても嬉しい感想も頂きました。しっかりとした施工をして下さった大和工務店さんにも感謝です。

おおむね想定したことはうまく機能しているようでしたが、思わぬ盲点など、こうした機会を通じて設計へのフィードバックも年々増えてゆきます。

KOTIは今年既にいくつかの取材やちょっとした露出も予定されています。こちらもお楽しみにされてください。


また夕方は2017年に竣工したDECOにもお邪魔させて頂きました。こちらは弊社スタッフの砂庭が今月末で退社することを受けて、ご挨拶がてら二人でお邪魔させて頂きました。

砂庭がお世話になった住宅は他にもたくさんあるのですが、事務所から徒歩で歩いていけるDECOには以前よりたびたび足を運ばせて頂いています。前回あんなに小さかった娘さんも、わずかな期間で大きくなっていてびっくりでした!

おいしいお料理そしてケーキ、ごちそうさまでした。そしてお話もとても楽しかったです。

DECOに限らず、何人かの建主さんとは竣工後も個別にお酒を呑んだり、設計者と施主という関係性を越えておつき合いさせて頂いています。

社会人になるとこうして個人の関係が広がることって、思いのほか少ないと思うんですね。これがこの仕事をしていて、やりがいを感じることのひとつです。

皆さま今後とも、仲良くお付き合いのほどよろしくお願い致します!

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sekimoto

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> 仕事
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「花小金井の家」もまもなく竣工、現場も追い込みに入っています。今回の住宅も言語化は難しいのですが、ここでは場所と向き合った住まいのあり方や家族の居場所のようなものを考えています。

最近、住まいや空間を語るのに言葉は何の役にも立たないということを思います。言葉に置き換えた瞬間に陳腐で安っぽいものになってしまう。我々は言葉ではなく空間を作っています。そして空間は言葉よりもずっと強いものなのです。

こちらは今月24~25日にかけて内覧会を行う予定です。関係者には個別にご案内をお送りしていますが、ブログには告知を出しませんので、もしご興味ある方はメッセージを頂きましたらご案内をお送りします。