
留学中から使っていたアラビアのTEEMAの皿を、2枚あるうちの1枚を割ってしまった。TEEMAの皿は今も買えるけれど、現行品はIittalaのラベルになっていて個人的には興醒め。やっぱり陶器は(ブランド統合前の)アラビアのものに限る。
スタンプだけでなく、割ってしまったTEEMAは直径19.5cmのもので、このサイズも現行品にはないものだ。どうでも良いことかもしれないけれど、20年以上毎朝同じ皿を使っていると、少しだけサイズが違うというのはどうしても違和感になってしまう。朝のルーティンは重要なのだ。
そこから当時のTEEMA皿を探す旅が始まった。この19.5cmのアラビアのTEEMA皿というのはレアもののようでなかなか見つからない。このなかなかないというのも宝探しのようで楽しい。メルカリなどで見つけてはコツコツ買い足し、今では4枚にまで増えた。
しかし値段こそ言わないが、今では結構な値で取引されていることにびっくりする。当時はアラビア工場で数百円で売っていた皿だ。古いもの持ち続けていると、価値は上がる一方だというのをつくづく実感する。

木曜日から土曜日にかけて広島に行ってきました。メインは金曜日に頼まれていたKMEWさんでのセミナーでしたが、その前の日に広島入りして市内を少し観光、翌日のセミナー後は宮島へも足を伸ばしました。
セミナーは20名近くの方に足を運んで頂きました。そこでも出会いもあり、またKMEWさんの新製品発表も覗かせて頂き、とても有意義な時間を過ごさせて頂きました。KMEWさん、お声がけくださりありがとうございました!
セミナー後の宮島は天気も良く、今回は妻も一緒に行ったのですが、久しぶりに二人でのんびり過ごさせて頂きました。宮島なんて、きっと高校生の修学旅行ぶり。言うまでもなく全く記憶がないので、ほぼはじめてのような感覚で街を歩きました。
観光地で外国人がいっぱいでしたが、素朴な街並みも残っていて、起伏ある豊かな街並みもとても楽しかったです。厳島神社は潮が完全に引いていて、海に浮かぶ神社を想像していたのでかなりのギャップ、、。これはこれで良い思い出になりました。



翌日は、朝イチで映画「Drive My Car」にも登場した広島市環境局中工場まで。設計はNYのMOMA現代美術館の設計でも有名な谷口吉生氏。
本当に美術館のような精度で出来上がっており、広島の中心街に向かって都市軸がまっすぐに引かれていることを意識させる、とても美しい建築でした。無理してでも立ち寄って良かったです。

その後は最後のお楽しみ、尾道まで。海辺のしまなみ海道を自転車で巡りたかったのですが、この日は晴天で春のような陽気、絶好のサイクリング日和でした。
ガチなサイクリストはこの聖地を島伝いに今治まで目指すそうですが、我々はそこまでの根性はありません。わずか3時間程度でしたが、電動自転車のおかげで向島を一周し、因島大橋を渡って因島の地を一瞬だけ踏んで帰ってくることができました。
海辺の景色を眺めながらのサイクリングは本当に、最高に気持ちよかったです!お天気に感謝ですね。
広島は街も大きくて、食べ物も何を食べても美味しかったです。まだまだ回れていないところはいっぱいあるのですが、大満足の広島ステイでした。仕事のついでとはいえ、良い息抜きになりました!




いつからか、建築家の奥山裕生さん、青木 律典さんとは年に一度呑みながら近況報告をするという三人会を続けています。
今年も一年ぶりの開催でしたが、直前に奥山さんがご家族の発熱もあり、大事をとってキャンセル。代わりにスタッフの佐藤くんを誘って、青木さんとの臨時三人会を開催しました。奥山さんはオンライン参加。こういう呑み会の参加方法があったのかという新鮮な会になりました。
今年のテーマもやはり、君たちはどう生きるか、ならぬ「僕たちはどう生きるか」。いい大人の人生相談?が夜更けまで続いたのでした。うーんどうやって生きるか。青木さん、お疲れ様でした!惇生くんもお疲れさまでした。



埼玉の郊外で車を走らせていたら少し小腹が空き、近くのカフェへと立ち寄った。携帯でたまたま出てきたお店。しかしそこは農村ののどかな景色がどこまでも続き、おおよそ洒落たカフェがあるようには思えない。
唐突にあらわれたそのお店は、控えめな中にもこだわりのある佇まい。店内も華美ではないが、清潔感があって置いている家具や置き物を見れば、一定の美意識のあるオーナーだということはすぐわかる。50代くらいのご夫婦がお二人でやっているお店のようだった。
カウンターには徳島のアアルトコーヒーの豆がある。やった、当たりだ。本棚にはアンドリュー・ワイエスの画集とともに、アルヴァ・アールトの作品集。ほかにも建築家・永田昌民さんの本や、センスの良い雑誌が静かに重ねられて置いてある。コーヒーカップはアラビアのパラティーシ。もうまちがいない。
出てきたカレーもコーヒーも本当に美味しくて、食後に頼んだケーキも絶品。流れている音楽も、窓からの景色もすべてが最高だった。カードは使えず、インスタのページもない。それなのに、次から次へと地元の人たちが入ってくる。若いカップルはいない。皆静かに、そのお店の雰囲気を味わっているようだった。こんなカフェが郊外にひっそりとあるなんて奇跡だと思った。
お会計を済ませて帰路につくと、妻がレシートを見ておかしいと言いはじめた。こんなに安いはずはない、レジを打ち間違えたのではないかと。あの手の込んだケーキは350円で、徳島から取り寄せたアアルトコーヒーは400円だった。びっくり!あまり金額も見ないで頼んでいたけど、どうもそれは間違いではなさそうだった。
幻のカフェ、次に行ったらちゃんとあるだろうか?誰にも教えたくないお店というのはこういうお店のことを言うのだろう。



二十歳となった息子は、今日の地元の成人式には出席することなく旅立っていった。3ヶ月間、離島で働きながら暮らすことのできるプログラムに応募し、新学期が始まるまで帰ってこない。
大学生になった息子は、学校や友達の家を泊まり歩き、家には滅多に帰ってこない。最近では我が家ではもはや彼はいないものとしてカウントされていて、そのことにも何の違和感もなくなっている。
そんな彼も3ヶ月も家を空けるというのははじめてのこと。心配や寂しさのようなものはないと思っていたのだけれど、なんだか落ち着かず、当日はやっぱり夫婦で空港まで見送ることにした。
いつもは何度言っても直前まで準備をしない彼が、事前に準備リストまで作って前日の昼頃にはパッキングを済ませていたのには驚いた。早朝の出発には絶対に起きられないと思っていたのに、5時にはすでに起きていて身支度も始めていた。はじめて見る光景だった。
彼は美術大学という環境を得て大きく変わった。自分の世界観を持ち、手にはいつもヨレヨレの難しい本。それは私も読んだことのないものだ。
3ヶ月後には彼はまた帰ってくる。けれど、今日で我々の子育ては終わったような気がした。彼は我々の手をすり抜けて遠い世界へと旅立っていった。彼らしい成人式だった。
