16. 09 / 19
千畝と私の学生ビザ
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sekimoto
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休み中に映画「杉原千畝」のDVDを観た。杉原千畝は第二次世界大戦中に日本政府の意に反し、多くのユダヤ難民に独断でビザを発給し命を救ったとされる人物であるが、映画に感銘を受けながらもふと思い出したことがあった。もう10年以上経っているし時効だろうと思うので少し書く。
今から15年も前のこと、フィンランドのヘルシンキ工科大学(現アールト大学)に留学中だった私は、カリキュラムを終え、ビザの有効期限満了を控えたある日、大学の担当者のところにいた。
当時私は大学に籍を置きつつも、留学のもう一つの目的は大学の授業とは別のところにあった。フィンランドの設計事務所で実務を経験すること。ところが、努力もむなしく留学も満了間近になってもそちらの目的はまだ果たせていなかった。
このまま帰国すると後悔すると思った私は、大学の担当者に直談判した。「大学のカリキュラムが終わり、私のビザももうすぐ切れる。大学の在籍を延長する許可はないし理由もない。けれども私はやることがありフィンランドにまだ残りたい。どうすれば良いか?」
どうもこうもないと思う。自分でも何言ってんだろうと思った。大学がアジアから来た名もない学生の不法滞在の片棒を担ぐことなんてありえないことだ。
ところがその担当者は少し考えてからこう言った。「3日後に来てちょうだい」
その3日後に行ったら、学長のサインが入った大学側のレターが用意されていた。そこには私がカリキュラム終了後には研究員として引続き大学に残り、学費も免除される旨の内容が書かれていた。事実上の空手形である。
「これを(ビザを管轄する)警察署に持っていきなさい。あなたは見るところ真面目な学生のようだし、悪いことしちゃだめよ」
警察署の無愛想な窓口の係官は、滞在延長の書類とその大学のレターとを交互に眺めている。映画では千畝の発給したビザが目の前で破られるシーンがあったが、当時の私も同じ心境であった。
ところが実際には目の前で無事ビザ延長のスタンプは押され、あっけなく滞在延長は許可されたのだった。
その後、おかげで当初の目的を果たすことが出来た私は、半年後に遅れて帰国し事務所を設立した。さすがに命を救われたとまでは言わないが、あそこで帰国を余儀なくされていたら少しはその後のストーリーも変わっていたかもしれない。
それはともかくとして、あそこで規則に縛られず、すべて自分の責任と判断で手形を発行してくれた当時の担当者には心から感謝しているし、そのことを思い出すたびにフィンランドという国の素晴らしさを思う。そして、私もそういう判断ができる人間でありたいと思うのだ。
ある日打合せ前に香を焚いていると、女性スタッフからそれなんですか?と尋ねられた。何ってお香だよ、と答えるとへぇと感心したような顔をされた。
以前金沢で買った香立ては私のお気に入りで、また香を立てると気持ちもリラックスするので、打合せ前や設計が煮詰まったときによく香を立てる。ただスタッフにはそれが香立てであることも、また香を立てるという習慣自体も未知なものだったようだ。
「前からその窓前に置かれているものに興味があったんです」
ミーティングデスク脇には私の趣味によるいろんなものが並んでいる。確かに40代の男の趣味ではない気もする。それを20代の女性に感心されるというのも変な話だ。少し恥ずかしいので「女子力高いだろ」と返す。
別の日にはやはり同じ女性スタッフが着ていた服を「それって○○のシャツだろう?」と言い当ててしまった。何でわかるんですか?とひどく驚くので、少し恥ずかしくなり「女子力高いだろ」と素っ気なく返した。
私の場合、特に女性のものに興味があるわけではないけれど、興味を持ったものは大体女性が好むものだったりすることが多い。
たとえば靴なども、男性ものはいかにもというようなゴツいものしかなく、ラインが柔らかくコレ良いなと思うものはだいたい女性ものだ。当然サイズがない。服も柔らかな素材感や気分が明るくなるような柄が好みなのだけれど、そういうものはやはり男性服売り場にはないのだ。
私は住宅設計を主な生業としているけれど、そういうちょっと女性的な視点というか感覚というのは、少なからず今の仕事に役立っているような気もする。私は料理や家事はあまりしないけれど、そういうものに携わる女性の心理や、どういうところが気になるかというのはとてもよく分かるのだ。
一方で、男性としての視点(力強さや格好良さ、潔さのようなもの)もないと、エッジのまるい単なる”家事楽な家”になってしまう。バランスの良い建築には両方の要素が不可欠だ。
私生活では私のそうした感覚が活かされたり、得をするようなことはほとんどないのだけれど、仕事を通じてこうした感覚が多くの人の役に立つのならば、この仕事は天職と呼んでも良いのかもしれない。
16. 05 / 08
GWの過ごし方
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休みがあったらどんな過ごし方をしたい?と聞かれたら、皆さんはどんなことをイメージするでしょうか?アウトドアが好きな人は海や山へ出かけたり、買い物へ出かけたり、インドアが好きな方は家で読書といったところでしょうか。
私はアウトドアも好きですが、何も予定がない休日があったとすれば、後者のインドアでのんびり派です。ただ仕事柄、丸一日何もないということはごく希で、土日であっても午前か午後か、どちらか(あるいは両方)に来客や打合せが入ることがほとんどです。だから、カレンダーで何も予定が入らない週末があったとすれば、直前まで神に祈る気持ちで死守しようと試みます。
このGWは、前半は怒濤の打合せが続きましたが、中盤はそれこそ”奇跡”のように何もない日が2日間もありました。これは私にとっては本当に奇跡のようなものです。
この2日間は家族と美術館に出かけた日もありましたが、あとは家の中で映画を見て過ごしました。本当に幸せな時間でした。映画は、直前にFP(S邸)の1年点検に行った際、Sさんに強くお勧めされた「ゴッドファーザー」。古い映画ですが、私はまだ観たことがありませんでした。
マーロン・ブランドとアル・パチーノの演技が素晴らしく、ぐんぐん引き込まれてしまいました。1編が3時間くらいある長編を、結局1~3まで立て続けに観てしまい、ついでに邦画も別に1本。まさに映画漬けのGW中盤でした。
GW後半は新しい敷地を見にちょっとした遠征。混雑を避け、前日泊にて乗り込んだのですが、一人で過ごす一夜というのもまた、良い空気を吸ってとても大きな気分転換になりました。翌日のクライアントとの打合せも楽しく乗り切ることができました。
そして今日はいよいよGW最終日。学生数名が設計指導にやってくる予定。そんなこんなで、充実したGWが終わろうとしています。
フィンランドに行ったらたくさん買い物をするかと思いましたが、すでに家にあるものばかりなので、思いのほか買うものはなく、家に着いたらほとんどお土産以外買い物をしていなかったことに気づきました。
自宅用に買ったもので一番嬉しかったのは、駅前のSマートで買ったこのHellemaのクッキー。留学時代、朝食代わりにほぼ毎日食べていました。思い出の味です。
このクッキー本当においしくて、生地のサクサク感といい、チョコレートといい、あまりに絶妙でどうして日本で手に入らないのか不思議なくらい。もう一度ヘルシンキに行くことがあったら、このクッキーをもう一度食べたいとずっと思っていました。
しかし、それももう10年以上昔の話なので、さすがにもう無いかなと思いましたが、今回Sマートの棚にそれらしきクッキーを見つけた時は感動しました。パッケージは一新していましたが、Hellemaというブランドとクッキーの写真素材は当時のままでした。
日本に帰ってこれを食べた瞬間、これだ!と思いました。
不思議なもので、ヘルシンキの街の風景を見たり旧い友人達に会うと、懐かしさもありますが、それは一瞬のことで、次の瞬間には昨日もそのまた以前もずっと会っていたような既視感を覚えたんですね。ところが、懐かしい食べ物を食べると、ピンポイントで記憶が遡るんです。
今回の旅でなぜか一番「ああ、フィンランドだ!」と感じた瞬間でした。しかも帰国後に。しかもHellemaはフィンランドではなく、実はオランダのクッキーという笑
ヘルシンキに行ったら、是非Hellemaを。オランダですが。
16. 03 / 10
ミッドセンチュリー復活!
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所蔵していたミッドセンチュリー家具の名作が復活しました。写真左側が、ラージダイアモンドチェア(デザイン:ハリー・ベルトイア)、右側がRAR(デザイン:チャールズ&レイ・イームズ)。今では安価なレプリカが出回っていますが、ともに当時の貴重なオリジナルピースです。
当時の購入価格も、人に話すとドン引きするような値段だったのですが、今ではその倍くらいしているようです。もちろん人に売るつもりはありませんが。
ともに購入したのは結婚してすぐのことでしたので、18年くらい前になるでしょうか。当時は北欧などには目もくれず、イームズをはじめとしたアメリカのミッドセンチュリー家具が大好きで、コレクションとしても部屋中が椅子で埋まるくらいありました。その後だいぶ数を減らしまして、その片鱗が事務所のミーティングチェアがすべてイームズチェアというあたりに残っています。
話を冒頭のダイアモンドチェアたちに戻しますが、買った時点で相当古かった家具が、さらに経年にさらされるとどういうことになるかというと、
ショックゴムが破断したり、
パットマウントがことごとく外れたり、
ロッキング脚の溶接も外れるし、
カバーは原形を留めないくらいグズグズになったりと、早い話が座ることすらできず、かといって捨てるわけにもいかず、長い間無用の長物として部屋の片隅を占拠していたのでした。
どれもアンティークのため、修理などできないのだろうと諦めていたのですが、最近ようやくその気になって、当時購入した Mid-Century Modernさんにダメモトで相談すると、前向きに相談に乗って下さいました。これにはまさに渡りに船!
といっても、アドバイスを頂いて半分くらいは自力で解決しました。まずはダイアモンドチェアの破断したショックゴム。これはどうにもならないだろうと思ったら、英国にこういうマニアックなパーツを扱っている個人の方がいるんですね。教えて頂き、案外スムーズに英国から交換パーツを取り寄せることができました。
ロッキング脚の溶接は、現場に持っていくと監督さんが快く再溶接を引き受けて下さいました。Aさん、ありがとうございました!この通り、見事復活です。
残りのシェルのパットマウント再接着と、ラージダイアモンドのカバーはMid-Century Modernさんの関係先で修理してもらえることになりました。特にカバーは、中のウレタンが劣化でボソボソの状態になっており、新品のウレタンに入れ替えて頂きました。こういうことができると思わなかったので、これにはかなり感激しました。
そしてようやくすべてが整い、冒頭の復活となったわけです。
やはりラージダイアモンド、美しいです。
このオリジナルパッド(+オットマン)が揃っている状態のピースはとても貴重なのだそうです。しかも購入時もとても状態が良い物でした。ここでもう一度若返りを果たすことができ、とても嬉しいです(この感覚も私が歳を取ったからでしょうか!?)。この椅子は座り心地も抜群にいいんですよ。
実は後日談として…。
修復されたイームズのRARは子供が喜んで座っていたところ、また再び溶接が破断しまして…。トホホ、また再び入院生活に逆戻りです。次の復活はいつになることやら。
◇
最後にこれは蛇足ながら懐かしい写真。こんな時期もあったんですね…。もうすぐ小学校も卒業です。
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