16. 07 / 25

女子力たかめ?

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sekimoto

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> 思うこと
> 生活



ある日打合せ前に香を焚いていると、女性スタッフからそれなんですか?と尋ねられた。何ってお香だよ、と答えるとへぇと感心したような顔をされた。

以前金沢で買った香立ては私のお気に入りで、また香を立てると気持ちもリラックスするので、打合せ前や設計が煮詰まったときによく香を立てる。ただスタッフにはそれが香立てであることも、また香を立てるという習慣自体も未知なものだったようだ。

「前からその窓前に置かれているものに興味があったんです」
ミーティングデスク脇には私の趣味によるいろんなものが並んでいる。確かに40代の男の趣味ではない気もする。それを20代の女性に感心されるというのも変な話だ。少し恥ずかしいので「女子力高いだろ」と返す。

別の日にはやはり同じ女性スタッフが着ていた服を「それって○○のシャツだろう?」と言い当ててしまった。何でわかるんですか?とひどく驚くので、少し恥ずかしくなり「女子力高いだろ」と素っ気なく返した。

私の場合、特に女性のものに興味があるわけではないけれど、興味を持ったものは大体女性が好むものだったりすることが多い。

たとえば靴なども、男性ものはいかにもというようなゴツいものしかなく、ラインが柔らかくコレ良いなと思うものはだいたい女性ものだ。当然サイズがない。服も柔らかな素材感や気分が明るくなるような柄が好みなのだけれど、そういうものはやはり男性服売り場にはないのだ。

私は住宅設計を主な生業としているけれど、そういうちょっと女性的な視点というか感覚というのは、少なからず今の仕事に役立っているような気もする。私は料理や家事はあまりしないけれど、そういうものに携わる女性の心理や、どういうところが気になるかというのはとてもよく分かるのだ。

一方で、男性としての視点(力強さや格好良さ、潔さのようなもの)もないと、エッジのまるい単なる”家事楽な家”になってしまう。バランスの良い建築には両方の要素が不可欠だ。

私生活では私のそうした感覚が活かされたり、得をするようなことはほとんどないのだけれど、仕事を通じてこうした感覚が多くの人の役に立つのならば、この仕事は天職と呼んでも良いのかもしれない。