
飯塚豊さんの第7期工務店設計塾。今日は実作見学会がありました。30名ほどの塾生を、朝からリオタデザイン設計の「越屋根の家」「自邸OPENFLAT」をご案内、その後飯塚豊さんの浦和S邸へと足を伸ばしました。
各回45分の見学時間を駆け足でご紹介。もう少しじっくり見て頂きたいところもありましたが、それはまたの機会ですね。
3件目の飯塚さんの住宅はあまり知られていない住宅かもしれないのですが、2006年の竣工とのことで飯塚さんにとって独立後3件目の家とのこと。しかしこれがとても良かったのです。過去私が見た飯塚さんの住宅の中で、もしかしたら一番心を掴まれた住宅かもしれません。
、、なんて書くと怒られちゃうかもしれませんが、実のところ今日ご案内した「自邸OPENFLAT」も2007年の竣工ながら、私の住宅で一番良いとおっしゃる方も少なくなかったりします。
なんでなんでしょうね。今の方がお互い脂が乗っていて絶対的に質の高い設計をしているはずなのに。
ひとって何度も同じ納まりや素材を使っていると慣れてくるというか、洗練する一方で緊張感が抜けてくるんでしょうか。惰性とは言わないまでも既視感があったり、本人も楽にコントロールしている感じがあったり。
でも駆け出しの頃って必死なんですよね。ハンドル握る手にも汗びっしょりみたいな。
危ない危ない!って傍目にはハラハラするんだけど、本人は必死だから結果的に綱渡りを渡りきれちゃう。でも渡り終わって後ろ振り向いたら、ゾッとしてもう二度と渡れなくなるみたいな。
飯塚さんの住宅は、飯塚さんのような大ベテランでも、駆け出しの頃があったんだという初々しさとポテンシャルの高さが感じられて、とても貴重なものを見せて頂いたような気がします。
そういう意味では、私の自邸と最新作の越屋根の家も、リオタデザインのビフォーアフターみたいで、今日の参加者も貴重なタイムトラベルをされたのではないでしょうか?
参加者の皆さん、大変お疲れさまでした!充実した一日でした。新建新聞社の皆様も段取り大変ご苦労さまでした。




連日の授賞投稿になってしまうのですが、先だってかわごえ都市景観表彰を受けた「越屋根の家」にて、このたび埼玉県環境住宅賞において【埼玉県知事賞】(最高賞)を授賞させて頂きました。
本日はその授賞式があり、授賞プレゼンもさせて頂きました。選評としては、越屋根や深い軒、縁側、土間といった伝統的手法をとりながらも現代の生活に合致させ、高い断熱性能と一次エネルギー消費量で高性能も達成している点などが高く評価されたとのこと。
私としては「環境」の定義を狭義の断熱や省エネ性能に留めず(それは当たり前のこととして)、敷地をとりまく環境や、快適性という住環境をふくめた総合的な環境住宅を目指したつもりだったので、その点を含めてご評価頂けたことがとても嬉しかったことでした。
私の妻は「県知事賞」というワードがフックしたみたいで、珍しく授賞式まで来てくれました。しかし県知事はいらっしゃらず、、こちらは残念でした笑


◇
そして、、実は本日もうひとつ良い知らせがありました。
今年最後まで結果が発表されなかった埼玉建築文化賞の発表が本日あり、同じく「越屋根の家」にて同賞の住宅部門最優秀賞を受賞致しました。
■埼玉建築文化賞|住宅部門最優秀賞
https://www.ksaitama.or.jp/info/info464.pdf
この賞は今年最後の大トリ(レコード大賞?)みたいに思っていたので、授賞できて本当に嬉しいです!
これで「かわごえ景観賞」「埼玉県環境住宅賞」「埼玉建築文化賞」という埼玉県内の公的な主要賞をすべて受賞することができました。
埼玉生まれ、埼玉育ちで事務所も埼玉。県内をホームエリアとして活動している身としては、この「さいたま三賞」の制覇はほんとうに身の余る光栄です!!一年の苦労が年末に報われました。
建て主さま、施工会社の堀尾建設さん、担当スタッフの岩田さん始めスタッフのみなさん、本当にありがとうございました!


アキミチデザインの柴秋路くんの自邸が竣工したとのことで、内覧にお邪魔してきた。柴くんはリオタデザインの元スタッフで、うちに入社したのは今から16年くらい前のことだ。もともとは私が設計したカフェmoiの常連さんで、カフェのオーナーから紹介された当時、彼はまだ専門学校の学生だった。
いわゆる建築学科を出ていない彼は、私の事務所に入るまでに、そして独立するまでにも紆余屈折があった。詳細は省くが人一倍苦労していることは確かだ。苦労は人を育て、そして設計に深みを与える。
独立初期こそリオタデザインの呪縛を抱えているように感じたものの、彼はそこからすぐに抜け出し、独自の世界を作るようになっていった。
彼の住宅にあるのは陰の存在だ。それは光と影という意味の陰ではなく、どこか心の奥底にある陰のようなもの。それが彼の設計には滲み出てくる。
この自邸においても、そんな彼の設計にかける情念のようなものが強く感じられた。それは人間の持つ執着や業のようなものとでもいおうか、割り切れない迷いが随所にあった。それがとても良かった。
私は裏表のないような人間を信用しない。そして論理だけでつくられた住まいにもまた魅力を感じない。それがいくら斬新であり、あるいは性能の裏付けがあったとしてもだ。住まいは人間が隠し持つ陰があらわれる場所であり、それを受け容れる場所であってほしいと思う。
たまたま居合わせた友人建築家が、彼は本当に私の事務所にいたのか?と尋ねた。たぶん、いたと思う。今の彼は私には作れない空間を作るようになった。それがただ嬉しい。
柴くん、おめでとう。
スタート地点に立ちましたね!
akimichi design
https://akimichi-design.com/





昨日は秋晴れの中、成瀬猪熊事務所の集合住宅「風の道テラス」のオープンハウスへ。地勢を読み、南北に抜けるスリット(切り通し)を何本も通した複雑な構成。斜面に埋め込むように、地上に地下に何層にも重ねた住戸構成はまるで迷宮のよう。
各住戸のインフィル設計を複数の事務所で行うなど、ある意味「変数x変数」の構成は作るほうも束ねるほうも、想像を絶する大変さだと思いますが、それをまとめ切った手腕に拍手を送りたくなりました!(内部撮影不可のため外部写真のみ)

帰りは建物のすぐ斜向かいにある林芙美子記念館へ。設計は山口文象氏。前を通っただけで中を覗かずにはいられなくなるほどのオーラを放つ門構えに、我々も例外なく吸い込まれてしまいました。
山口文象氏の設計もさることながら、庭の作りや建物のプロポーション、空間構成など終始唸らされました。本当に素晴らしい邸宅で、本物の文化人の住まいだと感じました。現代は性能の時代、もう今の時代はこういう住宅は作れないのでしょうね、、。
紅葉もきれいで、オープンハウスとのセットで贅沢な時間を過ごさせて頂きました。



今日は増木工務店の高木さんの自邸オープンハウスへ。どこからどう見ても新築にしか見えませんが、実はリノベーション。築浅のハウスメーカー住宅だったご自宅を、一念発起して自然素材を使った高断熱、高耐震住宅に改修したそうです。
やっかいなのは木造三階建てであったこと。二階建てなら確認申請不要で改修ができますが(来年から法改正あり)、改修にあたっては大規模な模様替え扱いで、それはもう壮絶な申請を巡るやりとりがあったそう。(申請が下りるまで3ヶ月かかったそうです)
素材も自然素材をふんだんに使い、随所に勉強熱心な高木さんらしい設えがありましたが、最も素晴らしいと思ったのは、家が立つ地形を読み、風の流れを考慮して屋根の掛け方から換えてしまったという大胆さ。
家の建つ朝霞エリアはHMの画一的な住宅がびっしり建ち並ぶエリアです。そんな中、「人生何度でもやり直せる」とばかり、見違えるような佇まいに変えてしまった英断には拍手を送りたいと思います。完成おめでとうございます!!



