12. 10 / 16

&home Vol.35

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sekimoto

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> メディア
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昨年竣工した「くじらハウス/T邸」の掲載誌が届きました.
くじらハウスは,そのマンサード型屋根の架構をあらわしとした開放的なリビングと,小住宅ながらもリビングからフル開口でつながるバルコニーや,随所に設えた採光窓,個室の将来対応や随所の収納スペースなど,ローコストながらもリオタデザインのスタンダードとも言える住宅かもしれません.

北欧雑貨が好きなお施主さんらしく,至る所に北欧デザインやテキスタイルなどが散りばめられています.でも実は設計中はお施主さんが実はこんなに北欧雑貨が好きな方だったとは知らなかったのです.

取材の切口としても「北欧の」「北欧的な」などと紹介されていますが,でも今回も,また過去においても,設計において北欧を意識したことは一切なく,すべて敷地条件やお施主さんに向き合って導き出された結果としての空間になっています(北欧スタイルって何?て未だによくわかりません).編集者さんにもそんな話をしたら困っていましたが.いつも取材泣かせですみません.

でも結果的にできあがった空間は,お施主さんの嗜好ともぴったり合っていたようです.以前お邪魔させて頂いた際にも,「口には出さなかったけれどこういうキッチンにしたいと思っていて,それが最初の提案で出てきてびっくりした」とおっしゃっていました.

こういう話を聞くと,我々が悩んで辿り着いた着地点もあながち間違っていなかったのだなと思うことができてとても嬉しくなります.住宅設計の醍醐味はこういう,あとで”答え合わせ”をする楽しみだったりもするのですね.

〇&home(アンドホーム)Vol.35/双葉社
http://www.futabasha.co.jp/magazine/and-home.html
〇こちらはお施主さんの北欧雑貨&旅行のブログ
my own style

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sekimoto

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> はまりもの
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久しぶりに「モノコト」アップしました.
今回は10周年イベントでお配りした木製コースターについてです.

モノコトはこちらから.
https://www.riotadesign.com/mono_koto

12. 10 / 12

塗り替えました

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sekimoto

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> 建築・デザイン
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建物を引渡す時,取扱説明の際に私からは建物のメンテナンスについていつもご説明させて頂いている.その際よく受ける質問に,外部の木は何年おきに塗装すれば良いか?というのがある.うちでは外部の木にはレッドシダーなど高耐久性のものを使うのだけれど,それでもできれば最初は3年,その後は5年おきに塗装してくださいといつもお答えしている.

とはいえ,高所だったりすると足場も必要だし,なかなかお父さんが日曜日に塗るというわけにもいかないこともある.典型的なのはうちの自宅で,3階の外壁にも木をふんだんに使っているので,お施主さんからもたまにメンテナンスをどうしているのかと質問も受ける.確かに竣工5年も経つと外見上もだいぶ退色が進み,よく見ると細かい皺のようなクラックも無数に入ってきているのがわかる.

ただレッドシダーなのでこの状態からただちに腐食に進むことはないのだけれど,お施主さんの手前,あまり無頓着にしていると「メンテナンスをしてください」という言葉に説得力がなくなるため(?),まずはお手本としてわが自邸の外部木部を再塗装することにした.

全面に足場をかけて数日.足場が外れて姿を現したのは,まるで新築当時のようなきれいな建物の姿だった.時間が経って味の出た外壁も良いけれど,やっぱり久しぶりに風呂に入ってさっぱりしたような我が家を見るのも気持ちが良い.次もやっぱり5年後かな?こうして愛情をかけて,建物と一緒に美しく歳を取りたいものだ.

Before
Before
After
Before
After

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sekimoto

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> イベント
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リオタデザインも今年で10周年を迎えます.そこで以前より,過去のお施主さんや仕事仲間を集めて,一夜限りのイベントのようなことができたらとずっと考えていました.

イベントを決めてからというもの,この日を迎えるまで,仕事をしながらスタッフのみんなと入念に準備を進めてきました.昨日は会場を提供してくださいましたケースさんのご協力のもと無事そのイベントを終えることができ,私の両肩からはどっと重いものが下りてほっと一息をついているところです.

イベントは第一部と第二部に分け,最初の第一部ではトークイベントとして私がリオタデザインの10年の仕事やフィンランドの話,独立当時の話などをさせて頂きました.第二部はレセプションということで,こちらは主に準備はスタッフに任せ,当日に向けたオペレーションなどを詰めてゆきました.

お施主様や仕事仲間など,我々に近しい人たちを中心に招待状をお送りし,第一部のトークは30人も集まればいいかな,などとも思っていたのですが,蓋を開けてみると60名を越える参加のお返事を頂き,スタッフ一同嬉しい悲鳴を上げていました.

当日はおなじみの方や,しばらくぶりの懐かしい顔ぶれにもたくさんお会いすることができました.第一部では私も昔を思い出しながらついつい話し込んでしまい,気がついたら2時間半ノンストップの講演となってしまいましたが,皆さん一様に楽しかった,面白かった!とおっしゃって下さったのが救いでした.

第二部のレセプションでは,お施主さんなど我々と一対一でつながっている方がほとんどだったため,孤立しないよう積極的に声をかけようと思っていたのですが,始まってみると意外なことにこれまで交流することのなかった他の住宅のお施主さん同士や異業種の知人同士が,そこここで話に花を咲かせはじめていました.

我々としてはそれぞれが見たことのない不思議な組み合わせの対話風景でもあり,とても新鮮で興味深く観察させて頂きました.我々とつながっている関係者同志であらたに築かれた”横のつながり”というのも,今回のイベントの意外な効果だったと思います.

我々としては数年間も音沙汰なかったようなお施主さんとも再会を果たし,家の近況を知ることができたのも収穫でした.中には住宅が我々が想定していなかったような使い勝手になっていたりと,そんな情報もあらためて直接お伺いできたこともまた良かったように思います.

とにかく昨日のイベントに向けてずっと神経を尖らせていましたので,今は少し気が抜けているところですが,この秋にもまたすぐ次の仕事の波がやってきますので,スタッフ一同また週明けからは気を引き締め仕事に邁進したいと思います.そして次の10年では,この10年の歴史を大きく塗り替える仕事を残したいと,ひそかに闘志を燃やしているところです.

最後にこの10年,わがリオタデザインを支えて下さいましたお施主さま,ならびに仕事関係者や友人達にはこの場をお借りしてあらためて心より御礼申し上げます.昨日はご来場下さいまして,誠にありがとうございました!

■ 『リオタデザインの10年』 Talk&Reception
2012年10月6日(土)
場所:ケースギャラリー 渋谷区大山町18-23 1F
第一部トークイベント 16:30-19:00|第二部レセプション 19:00-21:00








スタッフならびに関係者のみなさま,お疲れさまでした!!
撮影:バウハウスネオ/後関勝也


【特別付録】 リオタデザイン年表(クリックしてください)

12. 10 / 01

記憶のまち

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sekimoto

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> 生活
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[caption id="attachment_5908" align="alignnone" width="560" caption="ここは一体どこなのだろう?昔は一面の麦畑が広がっていた."][/caption]僕は中学校を卒業するまでは,埼玉の桶川市というところで過ごした.
桶川の中でも僕が育った川田谷というところは,文字通り川と田んぼと谷しかないような,そんな素朴な田舎町だった.今日はこれまで忙しくて行けなかった鴻巣の免許センターに免許の更新に行くことになり,その帰り道,ふと思いついてその帰路にある桶川を車で横切って帰ることにした.

川田谷まで足を延ばしたのは,もう何年ぶりだろう.最後に行ったのは少なくともまだ圏央道は開通していない時期だった.ずいぶん昔から計画道路指定はかかっていて,まさか実現するとは思っていなかったその道路が,自分が住んでいた地区のすぐ近くを貫くと聞いた時は,正直やっとあの辺も便利になるのだなと,好意的な印象すらも抱いていた.

ところが今日そんな街に久しぶりに立ち寄り,その光景に思わず愕然としてしまった.駅から圏央道方向へとつながる道はまっすぐときれいに舗装されているものの,自分が知っているあの通りではなかった.記憶をどう辿ってもなにも引っかからないのだ.

それもそのはずで,既存の道路とは関係なくまっすぐと引かれたその計画線は,もともと住んでいた人たちの住居や商店の上を不躾にも土足で横切り,立ち退きという代償のもとに計画されていたものだったからだ.

幼い頃買い物に連れて行ってもらったスーパーや,子供のたまり場だったゲームセンターもどこにもなかった.あの頃目印だった建物も見当たらない.その代わり新しいマクドナルドやきれいなスーパー,そして画一的なサイディングのハウスメーカーの住宅だけが何の脈絡もなく建ち並んでいた.

道路計画による立ち退きのためか,新しい道路の傍らに家はなく,草だけが茫々と生えていた.道路ができて賑やかになったのではなく,むしろ退化していた.まだ誰もこの地に住んでいなかった大昔の風景のように.

最もショックだったのは,自分が元住んでいた地区の辺りが本当に変わり果てた姿になっていたことだ.小学校に行くために,みんなで集合したあの公民館もすでになく,当時からあった大谷石の蔵だけがぽつんと取り残されたように建っていた.

そしてそこから続いていた通学路は,圏央道からつながる車道のため見事に分断され,もうどこがどう繋がっていたのか,街の文脈(コンテクスト)や脈絡すらも思い出すことができなかった.家の隣にあった醤油工場は廃墟になっていた.それを見ていたら,もう本当に切なくなってしまった.

都市計画というものは残酷なものだ.その街に根付いていた人のつながりだったり,記憶だったり,一見無意味のように見えてとても大切だった何かをずたずたにしてしまう.そこを通過していくだけの人にはそれは見えない.地方都市を貫く真新しい道はどこまでもまっすぐで快適だ.けれどもその代償として街のつながりはどこも決定的に損なわれているのだ.

この件では本当に考えさせられた.立ち退きを拒む人たちの気持ちも初めて理解できたような気もする.僕が友人と自転車を乗り回したり,寄り道をしながら帰ったあの道は,もう思い出の中にしか存在しないのだ.

[caption id="attachment_5909" align="alignnone" width="560" caption="蔵の脇には古い民家と茂み,その奥には煙突のある醤油工場があった.ここでは夏休みにラジオ体操もした.近所には子供がたくさんいた.今ではもう何もない."][/caption]