とうとう手に入れました.これ何だと思います?
スタッフにも同様の質問をすると,皆首をかしげるばかり.かろうじて「取手?」と返した者も,「何の取手だ?」の質問には答えられません.実に嘆かわしい.まあ無理もないのですが.
でもフィンランドにアールトの建築を見に行った人ならすぐにわかります.あるいはヘルシンキ最大の書店,アカデミア書店(中のカフェはかもめ食堂の舞台にもなりましたね)に立ち寄った人なら絶対に見たことがあるはず.いや見たことないとは言わせません!
これはフィンランドの国民的英雄,そして世界的建築家アルヴァ・アールトがデザインした,世界で最も有名なハンドルのひとつなのです.材はすべて無垢の真鍮でできています.ずっしりと重い!このカーブ,このねじれ,そしてこの太さ.すべてが計算され尽くしています.スタッキングして,上下二連使いすることも可能.アールトの美学がここには詰まっているのです!
このハンドル,私が所属する北欧つながりの協会理事にも所有されている方がいらっしゃいます.その方曰く「これを持っている人はねぇ,日本には二人くらいしかいないんだよ」.申し訳ありませんが,三人目としてご登録願います.
これは売りものではありません.アールトの建築に実際に取り付いていたものが,改修などの折に放出され,どのようなルートかは申し上げられませんが,巡り巡って私の元に辿り着いたというわけです.実のところ,留学で滞在中から現地で探し求め続けていた一品でしたので,ついにこの手中に納め感慨無量でございます.
さてこのハンドル,早速スタッフに見せびらかしていたら,開口一番「それ何に使うんですか?」との質問.ハァ?私にはその発想自体が斬新でございます.飾っておくのですよ!家宝として.あるいは建築に行き詰まったら握ってみるも良し.多少はご利益があるかもしれません.
いくらしたんですか?の質問には,いくらだったと思う?と逆質問で返すと,彼らののたまった金額と言ったら(ナメンナ,コラ)の領域でありました.そんな安いわけあるか!奥さんに話したら,開口一番「で,どこにつけるの?」 どこにって・・.皆そろいも揃って発想が斬新でございます.
まぁきっと立場が変わると,鉄道マニアが「これは京浜線の駆動部の一部でねぇ」と嬉しそうにナデナデしながら鉄片を語るのと同じ事なのでしょう.まぁそれもよしです.そこには何があるか.ロマンがあるのです.
[caption id="attachment_6934" align="alignnone" width="560" caption="作品集の表紙を語るハンドル.二連使いの写真も"]
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今週は『しだれ桜の家』の施主検査/設計検査があり、来週末が引渡し。つまり提出。大学4年生の卒業設計も来週末が最終提出らしい。奇しくもふたつの進行は完全にシンクロしているようだ。
昨日の監督さんも相当疲れが溜まっているようだったけれど、まだまだ終わらない。一見するとほぼ完成のように見えて、実は本当のクオリティを伴った完成とはまだまだ先にあるものなのだ。
見た目8割の完成はまだまだ全体の2割でしかない。残り2割の完成を達成するためには、まだ8割の労力と時間を費やすという事実を忘れてはいけない。これは現場でも、また大学でも繰り返し言い続けてきたこと。ここからが本当の勝負である。
13. 01 / 24
理想の結婚と家づくり
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sekimoto
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> 思うこと
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家づくりのご相談に乗るときは,よく結婚を例えに出すことが多い.その人の結婚観というものは,そのまま家づくりにあてはまることが多いからだ.
結婚したいと思ってできるものではないのと同じように,家は建てようと思って建てられるものではない.もしかして,お金があれば家は建てられると思ってはいないだろうか.そういう人は同じように,お金があれば結婚ができると思う人である.そしてそれを実現する人もいる.お相手はやはり,相手にお金があるから結婚した人かもしれない.
方法を選ばなければ結婚はできるのと同じように,方法を選ばなければ家は建てられる.そしてもしかしたら宝くじに当たるような確率で,それで大成功する人もいるかもしれない.しかしほとんどの人は自分たちが失敗したことにまだ気づいていない人たちである.その場合は,成功した人を見てはじめて,嫉妬とともに自分たちが失敗したことを知るのかもしれない.
プロセスがあるから恋愛は楽しいように,困難を乗り越えるからこそ家づくりは楽しい.そしてすべては出会いからはじまる.目的があるから出会うのではなく,出会いがあるから目的が生まれるのだ.
結婚と恋愛は違うと言われるように,単に建築が好きということと,自らが建築を建てるということは違う.また賃貸に住むということと,持ち家に住むということも本質的に全く異なる.
賃貸か持ち家かで悩む人がいたとしたら,家を持つのは絶対にやめたほうがいい.結婚とは現実であり意志である.同様に,家を建てようとする者は現実と向き合う意志の塊でなくてはならない.惰性に身を任せようとするならば,賃貸で十分である.
上記の説は,うちのクライアントは例外なく素晴らしい伴侶を持つ”理想のご夫婦”であることからも既に実証済みである.理想の結婚と家づくりは,実は非常に近い関係にあるといえる.
結婚したいと思ってできるものではないのと同じように,家は建てようと思って建てられるものではない.もしかして,お金があれば家は建てられると思ってはいないだろうか.そういう人は同じように,お金があれば結婚ができると思う人である.そしてそれを実現する人もいる.お相手はやはり,相手にお金があるから結婚した人かもしれない.
方法を選ばなければ結婚はできるのと同じように,方法を選ばなければ家は建てられる.そしてもしかしたら宝くじに当たるような確率で,それで大成功する人もいるかもしれない.しかしほとんどの人は自分たちが失敗したことにまだ気づいていない人たちである.その場合は,成功した人を見てはじめて,嫉妬とともに自分たちが失敗したことを知るのかもしれない.
プロセスがあるから恋愛は楽しいように,困難を乗り越えるからこそ家づくりは楽しい.そしてすべては出会いからはじまる.目的があるから出会うのではなく,出会いがあるから目的が生まれるのだ.
結婚と恋愛は違うと言われるように,単に建築が好きということと,自らが建築を建てるということは違う.また賃貸に住むということと,持ち家に住むということも本質的に全く異なる.
賃貸か持ち家かで悩む人がいたとしたら,家を持つのは絶対にやめたほうがいい.結婚とは現実であり意志である.同様に,家を建てようとする者は現実と向き合う意志の塊でなくてはならない.惰性に身を任せようとするならば,賃貸で十分である.
上記の説は,うちのクライアントは例外なく素晴らしい伴侶を持つ”理想のご夫婦”であることからも既に実証済みである.理想の結婚と家づくりは,実は非常に近い関係にあるといえる.
13. 01 / 23
立体架構の屋根
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sekimoto
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> 仕事
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今日の大工さんとの打合せ,複雑な架構をどう説明するか.模型を作るか.殺気だって仕事しているスタッフには声がかけづらく,所長自ら作りました.格好いい!額に飾っておきたい.
「隅切りの家」いよいよ着工です.柱をなくした内部空間に,立体架構の屋根がふわりと浮かびます.構造は山田憲明さん.ただ相当難易度が高いようで,早くも工務店さんや大工さんの頭をう~ん,う~んと悩ませております.
今から組み上がった架構を夢見て.上棟が楽しみです!
13. 01 / 22
愛媛の名建築(家)が登場
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sekimoto
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> メディア
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現在発売の「住まいの設計(扶桑社)」3月/4月号の巻末,「地元建築家がガイドする名建築」のシリーズに,地元愛媛に戻って事務所を開いた,うちの元スタッフ二宮一平が登場です.実はこの「地元建築家がガイドする」シリーズ,埼玉編は過去私が担当しました.リオタデザイン,ついに埼玉と愛媛を完全制覇です笑.
二宮はうちの記念すべきスタッフ第一号.住宅の処女作「ILMA」を設計中に転がり込んできました.「お金は払えないよ」の言葉通り,最初の数ヶ月は本当に無給だったと記憶しています.二宮と過ごした中目黒時代には泣ける話もいくつもあります.本当の意味で苦楽を共にしたスタッフの一人です.
当時まったくの無名だった私の事務所に飛び込んだ彼の勇気や無謀さにも敬服しますが,今では地元で少しずつ根っこを広げつつあるとの近況に,少しほっとしてもいます.彼は事務所を去るときにこう言いました.「自分はリオタデザインの経歴で今後も食っていきますので,関本さん,どうかもっと活躍して僕を食わして下さい!」
半分冗談交じりながらも,これは結構切実な問題.建築家にとっては,どこで下積みを経験したかというのは一生ついて回る問題なのです.そんな誌面に載った彼の経歴にちょっと感慨深いものを感じました.なんと愛媛編は2号に渡って特集だそうです.次は本業の建築作品で,堂々と誌面を飾って下さい!
ちなみに同じ号の,東芝の太陽光発電のPRページにさりげなく登場しているのは,”練馬の栗原はるみ(私が勝手に命名)”こと,FILTERのUさん.その超絶的住みこなしっぷりで,OB施主に半端ないプレッシャーをかけ続けているとかいないとか.
今後とも”模範的クライアント”の一人として,抜き打ちの訪問にも耐えるような住みこなしぶりに期待するばかりです.Uさん,今後ともよろしくお願いします!
(地味に私もUさんに,プレッシャーをかけ続けているとかいないとか)
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