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sekimoto

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> 思うこと


家づくりのご相談に乗るときは,よく結婚を例えに出すことが多い.その人の結婚観というものは,そのまま家づくりにあてはまることが多いからだ.

結婚したいと思ってできるものではないのと同じように,家は建てようと思って建てられるものではない.もしかして,お金があれば家は建てられると思ってはいないだろうか.そういう人は同じように,お金があれば結婚ができると思う人である.そしてそれを実現する人もいる.お相手はやはり,相手にお金があるから結婚した人かもしれない.

方法を選ばなければ結婚はできるのと同じように,方法を選ばなければ家は建てられる.そしてもしかしたら宝くじに当たるような確率で,それで大成功する人もいるかもしれない.しかしほとんどの人は自分たちが失敗したことにまだ気づいていない人たちである.その場合は,成功した人を見てはじめて,嫉妬とともに自分たちが失敗したことを知るのかもしれない.

プロセスがあるから恋愛は楽しいように,困難を乗り越えるからこそ家づくりは楽しい.そしてすべては出会いからはじまる.目的があるから出会うのではなく,出会いがあるから目的が生まれるのだ.

結婚と恋愛は違うと言われるように,単に建築が好きということと,自らが建築を建てるということは違う.また賃貸に住むということと,持ち家に住むということも本質的に全く異なる.

賃貸か持ち家かで悩む人がいたとしたら,家を持つのは絶対にやめたほうがいい.結婚とは現実であり意志である.同様に,家を建てようとする者は現実と向き合う意志の塊でなくてはならない.惰性に身を任せようとするならば,賃貸で十分である.

上記の説は,うちのクライアントは例外なく素晴らしい伴侶を持つ”理想のご夫婦”であることからも既に実証済みである.理想の結婚と家づくりは,実は非常に近い関係にあるといえる.