17. 09 / 02
リオタ本が出ます!
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sekimoto
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> メディア
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いよいよリオタデザイン待望の本が出ます!
はじめての単著となります。一部の方には6月頃と申し上げていましたが、延びに延びまして、ようやく9月末に発売されることになりました。大変お待たせ致しました。
『上質に暮らす おもてなし住宅のつくり方』 (エクスナレッジ)
関本竜太
9月27日発売予定
http://amzn.asia/4LsivXL
本書はすでに予約が始まっており、Amazonではなぜか28日発売となっておりますが、一般書店では27日の発売予定です。
内容は「建築知識」での1年超にわたる連載記事の再収録と、本書のための書き下ろしのプラン解説など、写真を含め大幅に内容を増補しております。それに加えて、コラムなどもいくつか。
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ではここからは宣伝本部長自ら、発売前ではありますが、どんな感じの本なのかというのを(お見せできる範囲で)ご紹介してゆきたいと思います。
まずは大きさ。このくらいのサイズの本です。
比較対象がなぜ村上春樹なのか、という点はスルーでお願いします。
カバーも頑張りました。かなり美しい装丁に上がりそうで楽しみです(写真は私がプリントした紙を巻いただけのダミーです)。
カバーには「隅切りの家」。これも最後まで悩みましたが、単なるビジュアルインパクトだけではなく、総合的な理由から決まっています。他にも候補がいくつかありました。
他の候補に挙がっていた住宅は、申し訳ありませんが「背表紙」と「裏表紙」にそれぞれ使わせて頂いております。それが何の住宅かというのは、手に取ってのお楽しみということで。
そんなこの本、すでに一部の関係者の間では「水玉本」という呼称で呼ばれております。それは表紙カバーを外すとこんな感じだからです笑
本書には過去約80件の仕事のうち、33件の住宅事例を掲載させて頂いております。
中にはガッツリ解説をさせて頂いている住宅もあれば、あっさりのものもあります。もちろん全仕事を載せられれば良かったのですが、テーマの重複などもあり、比較的わかりやすく説明のしやすい住宅を選ばせて頂きました。
そのため、過去のお施主様の中には「うちのが載っていない!」とのご批判や苦情もあるかと思うと今から胸が痛いのですが、この場をお借りしてお詫びさせて頂きます。全部載せられなくてごめんなさい!
こちらが掲載予定の住宅リストです。
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続いて中身をチラ見せ。
まずは第一章は今回書籍のために書き下ろしたプラン解説です。「中庭」「眺望」「変形地」「立体」などいくつかのテーマに分けて、それぞれに特徴的な住宅のプラン解説を行っています。たとえばこんな感じ。
各テーマ最初の挿絵は、なんと建築家の中山繁信さんが担当して下さいました。同業の、しかも大先輩にあたる建築家に私のような若輩者の著書の挿絵を描いて下さいなど、本来口が裂けても言えるものではありません。
実は最初、私が自らイラストを描いてと言われていたのですが、私はそこまで絵が得意ではないことと、連載小説の挿絵のように第三者が自由に世界観を広げてもらった方が押しつけではないものになるだろうとの考えから、私ではなく別の方に依頼して欲しい旨を担当編集者の上野さんにお願いしたのでした。
私はてっきり専業のイラストレータさんにお願いするものと思っていたのですが、まさか同業の建築家に依頼されるとは思いませんでした。中山さん、不躾な依頼をお引き受け下さって本当にありがとうございました。
ただ幸運といいますか、同じ建築家だけに私の記事の世界観を存分に広げて下さり、ユーモアのある表現で私だけでは表現できなかったことを表現して頂けたように思います。また上野さんも、拙著のために”ガチで”勝負に出て下さったのだなと思うととても嬉しかったです。
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続いて2章には、「建築知識」で1年超に亘り連載をさせて頂いた「リオタのディテール流儀」の内容を収録しております。
ただ当時の連載記事そのままではなく、写真・文章ともに大幅に内容を追加しています。当時はまだ竣工していなかった住宅でより進化を遂げている部分の収録や、モノクロだった連載記事もオールカラーとなり、より見やすくなっています。
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そしてコラム。正直言うと、ふだん頼まれてもいないのにブログを書くのが大好きな私ですが、連載で自分の住宅の解説記事を書くのはとても辛かったです。
クライアントとのやりとりは通常、その場の空気感でふわっと進んでゆくものなので、それをあらためて言語化して人に伝えるようにするには、言葉の置き換えも相当しなくてはなりませんでした。
だからすべて終えて、最後にいくつかコラムを書いて欲しいと言われたときは、もう楽しいのなんのって!エクスナレッジさん、次は難しいことなしで気楽なコラム本でも出しませんか!?
さてそんなリオタ本ですが、実はまだ校了前でございます(汗)
おそらく来週頭には印刷所に原稿が入れられることでしょう。あ~終わった!!嬉しい。そしてちょっと寂しい…。
ただ、実は私にはまだやらなくてはいけないことがあるのです。
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本書の出版を記念して、
発売当日の27日に、二子玉川の蔦屋家電にてトークイベントを開催いたします。
9月27日(水)19:00-20:30 (開場 18:45)
二子玉川 蔦屋家電 BOOK
http://real.tsite.jp/futakotamagawa/event/2017/08/post-464.html
平日開催ということで、お仕事帰りに立ち寄れるという方は是非いらして下さい!ご参加には書籍を当日ご購入頂くか、参加費を別途お支払い頂く必要があるようです。
「本はもちろん買うけど、イベントにも行きます!」という神様のような方がもしいらっしゃいましたら、書籍はネットで購入予約をせず、当日蔦屋家電BOOKにてご購入されることをお勧め致します。
是非皆さまいらして下さい!
そして本を買って下さい。よろしくお願いします!!
17. 09 / 01
パナソニック中西塾
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sekimoto
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> 仕事
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建築家の中西ヒロツグさんからのお声掛けで、パナソニック中西塾の講師を一日だけ務めさせて頂きました。
日頃のパナソニック製品に対する不平不満をぶちまけて頂きたい!というドM発言を真に受けて、かなり辛辣な意見をぶつけたつもりでしたが、まだ足りなかったようです。この勤勉さと探究心が日本の製造業を支えているのですね。
しかし吹けば飛ぶようなアリンコの意見を有難がって聞いてくださる巨大企業の懐の深さも見せつけられたようで、勝ち負けじゃないけど負けた!という一日でした。
お声がけを下さいました中西さん、そしてアリンコの戯言に付き合って下さいましたパナソニックデザインセンターの皆さまありがとうございました。写真は二次会にて。
プラナビという住宅の情報サイトの中のコンテンツに「プロが認めた匠の技」というのがあります。これは日頃あまり光が当たることのない職人さんにフォーカスを当てたもので、私はとても良いコンテンツだと思っています。
そこに私からもどなたか良い職人さんを紹介して欲しいというお話しがありまして、悩んだ末、板金工事で最近お世話になっている新井建築板金の新井勇司さんをご紹介させて頂きました。
プラナビ「プロが認めた匠の技」|新井勇司さん
https://www.pla-navi.com/professional/39/
新井さんは私がお付き合いする板金職人さんの中ではトップクラスの方で、今年竣工した「大和田の家」で板金施工をはじめて依頼しましたが、隅々まで工夫を凝らした非常に丁寧な(一部神懸かった?)お仕事をして下さいました。板金にこだわる私にとっては、救世主のような方です。
人に歴史あり。
とても面白い記事なので、是非読んでみてください!
伊礼さんのトークゲストとして呼んで頂きました、エディオン蔦屋家電@広島でのエクスナレッジ書店イベントは無事終了!伊礼さんの全国ネットワークのおかげで、私まで広島の皆さんに良くして頂きました。
地元広島の建築家川端さん、田村さんには、地元設計者の集まりである「レモンの会」の皆さんに声をかけて下さり、イベント前に広島の建築に案内して下さったり、会場の集客へのご協力、イベント後の打ち上げまでセッティングして頂きました。この場をお借りして御礼申し上げます。
またドレスコードとして?私のトレードマークである”水玉”着用で来て下さった方もありがとうございました!ベガハウスの鹿児島に引き続き、広島も私にとって思い入れ深い街になりました。
17. 08 / 28
宮脇檀さんのディテール
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sekimoto
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> 建築・デザイン
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先週土曜日は、住宅遺産トラスト主催の中山邸(1983年・設計:宮脇檀)の取り壊し前最後の見学会がありました。宮脇檀さんといえば多くの住宅建築家にとっての憧れの存在であり、その設計手法は今もなお手本であり続けています。
残念ながら宮脇さんは今は既に他界されておられますが、「玄関の軒は低く低く!」「アプローチは脇から取れ!」など多くの格言は、私も今もプランニングの際に反芻して意識するキーワードになっています。
そんな宮脇さんの住宅を実際に見られるという機会は非常に貴重で、この日は大変な数の建築関係者が集まり、その数500人!久しぶりに上昇した気温と共に、皆汗だくで見学していました。
この住宅は、モダンで箱形の傑作住宅を多く残した宮脇氏には珍しく、民家のような深い軒を持つ瓦屋根が載せられています。ひとつには施主からの、「ボックスだけはかんべん願いたい」とのご要望があったことも明かしていますが、もともとこの敷地にあった古い蔵や長屋門との調和や尊重もその意図にはあったようです。
それでもただの瓦屋根の住宅とせず、RC造を併用した混構造で解くところが、安易な予定調和を嫌う宮脇さんらしい設計アプローチです。解説にも「和風の住宅を創ろうとは決して思わなかった」と強調されています。
でもぱっと見たらきっと誰でも「あれ、和風なんだ?」と思いますよね。当日配られた資料の解説文に、そんな当時の宮脇さんの葛藤のようなものも垣間見れて、興味深かったです。
◇
さてそんな宮脇さんの中山邸、本来はその外観やプラン構成などに多くの解説がなされるところですが、私はやはりそのディテールについ目が行ってしまいます。
しかし些末なことと侮るなかれ。そこにあったのは、まっすぐに注がれた設計者の愛情でした。神は細部に宿る?いえ、おもてなしこそが細部に宿ると思うのです。
たとえばこれ。屋根の開きを抑えるタイバーですが、通常は金属がそのまま露出するところ、わざわざ凝った加工を施した木で被覆しています。
しかも板のジョイント基準をタイロッド貫通部に合わせていることにも注目!工程としてタイバーが先行しますので、貫通する木部には割が出てきますが、それを意識させない仕舞いです。手段と目的を違えない。すべてがミリ単位で計算された空間であることが分かります。
続いてメラミン天板の小口処理。
一見なんてことないように見えます。しかしカウンター平面が曲面となっているところに注目!普通小口の大手材は無垢材ですので、こんなに自由自在には曲がらないはず。
よく見ると積層曲げ加工を施しています。これは北欧家具などに見られる曲げ木の技術のひとつです。トイレのこんな些末な部分であっても手を抜いていない。本気で取り組んでいるというところにぐっときます。私は背筋がピンと伸びる心境です。
続いてこれは寝室の出窓のディテールです。
これは宮脇さんも著書にディテール解説をされていて、宮脇さんの定番ディテールの一つだったようです。寝室の採光と通風を、まとめて出窓で解決するという方法です。
これはまだ若かりし頃本で読んで、住宅建築家はこんなことまで考えるのか!と舌を巻いたディテールでしたので、実物が見れて感無量でした。
私も寝室の枕元に出窓をよく作りますが、これは宮脇さんの影響によるものです。私はもっとディテールを簡略化させていますが、これは途方もなく凝っています。個人的には漏水や結露、コストが怖くてなかなか手が出せません(苦笑)
そしてこれは浴室の窓。
木製サッシュの内側に、さらにガラリ戸を設けています。意図としては、サッシュを開けるとその隙間から中が覗けてしまいます。こうしておけば、プライバシーは確保しながらも通風を取ることができる、安易にブラインドに逃げない、そういうことなのだろうと思います。
上部と、また浴槽がある下部にも窓があることにも注目!どうしてかわかりますか?
お風呂に入りながら、頬に外からの風が当たったら気持ち良いですよね。私もよくそういうことを考えます。また天井を見ると、
換気扇が埋め込まれています。おそらくこの形状からすると、換気扇が見えないようにガラリが嵌まっていたのではないかと推測します。
あぁ、と声を漏らしながらくつろいだ浴室で、天井を見上げたら無粋な換気扇が直付けされていたらどうでしょうか。きっとリオタデザインのお施主さんは今頃「あ、うちと同じ納まりだ!」と思っていることでしょう。
宮脇さんわかります!そうですよね。ひとつひとつに頷きながら、私と宮脇さんの対話は続きます。
次にこれはどうでしょう。わかりますか?上部のルーバー窓のオペレーターチェーンが、カーテンボックスを貫通して下まで落ちてきています。
これ自体は特段珍しいことではありません。しかしこの解決を見て下さい。5mmの穴を2つ開けているだけなんです。
大きめの穴をあけてチェーンを通すというのはうちもよくやるんですが、思えばボールチェーンは外れますから、その最小限の解決は5mmの穴二つでいいんです。どうして今まで気づかなかったんだろう?目から鱗とはこのことです。
手段と目的を違えない。ここでもひとつ頭が下がる思いでした。
最後にこちら。もはや説明はいりませんね。思わずニヤリ。
私は住宅設計の本質は”おもてなし”にあると思うんですね。全力で住まい手をもてなす。汚いところは見せない。気遣いを忘れない。
宮脇さんはそのエッセイやエピソードからも、毒舌家で豪快な人だったようです。しかしこうした設えの一つ一つを見ると、とても繊細で優しい人だったんだなということが伝わってきます。宮脇さんの背中がはるか遠くに思えます。
今回の見学会を主催して下さった住宅遺産トラストの皆さま、貴重な機会を誠にありがとうございました!
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