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sekimoto

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自宅の倉庫に眠っていた大量のアールトチェアのビンテージパーツを,北欧家具TALOの山口太郎くんに差し入れとして持っていったらこの笑顔!実に嬉しそうです.

なぜうちにこんな大量のパーツがあるかという話をすると長くなるんですが,とにかく使いもせず,かといって捨てるわけにもいかなかったこのパーツを,こんな顔で喜んでくれるのは,日本でもこの人だけでしょう.いやあ,これを生かしてくれる人の手に無事に渡って良かったです!

しかしこの店内,いつ来てもわくわくします.
その昔,二人でヘルシンキのガレージセールを巡った日を思い出しますね.

ところでTALOではアールト家具を現在特別セール中!ご興味ある方は是非.(ちなみにリオタデザインのクライアントさんは私に直接言って下さい.いつでも特別価格です!)

北欧家具TALO
http://www.talo.tv/


ここはどこ?フィンランド?
いえ,八王子です.

企画委員を務めるSADI(北欧建築・デザイン協会)にて工学院大学八王子図書館の見学会を行いました.設計は武藤章氏.アールトの事務所に勤務し,帰国後は工学院大学教授として後進を育てた建築家です.

素晴らしい空間でした.アールトの空間をコピーしたものではなく,武藤流の建築流儀とスケールによって,居心地の良い空間を作っていました.そんな空間が現在取り壊しの憂き目に遭っています.そんな空間を一人でも多くの方に知ってもらいたいと思います.

以下のSADIブログにレポートを載せましたので,ご興味のある方は是非ご覧下さい.
http://sadiinfo.exblog.jp/23243729/


さて,今回のような保存問題については,私なりに思うところがあります.

最近でも国立競技場の建て替え問題で大騒ぎしています.現在の競技場は残して改修をすべき,いや建て替えるべき,建築界はケンケンガクガクです.

いや,実は手遅れで既定路線は既に建て替えで進んでいます.ザハ・ハディドという外国人建築家の案が採用され,東京オリンピックに間に合わせるべく,急ピッチで設計は進んでいるという実情があります.

その前には同潤会問題がありました.表参道の古い同潤会アパートは残すべき.しかし取り壊され,安藤忠雄さん設計の表参道ヒルズが建ちました.その時もケンケンガクガク.日本では古いものを残すというのは経済の論理の元ではほぼ無力です.学者や一部の建築家の声などかき消され,無きがごとしです.

ただ一方では,反対を叫ぶ建築家だって人のことは言えないのです.
なんといっても,古いものを壊さなければ,こと東京では仕事などできないのですから.あなたは古いものを壊したことはないのですか?

「いや,それとこれとは話が違うよ」
はたしてそうでしょうか?

「保存すべし」と叫んだ方が社会的にはかっこいいのです.「僕は保存すべきだと言ったんだけどね,結局取り壊されちゃったんだよ」そう言って遠い目をした方が正義なのです.そうではありませんか?

私は保存問題には,いつも少し醒めています.
そういうことを熱く言う人が居ればいるほど醒めてしまうのです.そしてそんな自分を少し後ろめたく思っています.

今回の図書館を見てどう思ったか.
私は「保存すべき」だと強く思いました.

空間が素晴らしかったことももちろんあります.けれどもそれ以上に,この空間は社会的にほとんど知られていなくて,報道ステーションでも朝日新聞でも取り上げてくれない問題だと思ったからです.そうしている間に,誰にも知られることなくその灯火が消されようとしている.それを思うと,その儚さに「守ってあげなくては」という思いを強くしました.

つまり保存の問題は実感の問題なのだと思います.
頭で考えるのではなく,心で考える問題だということです.

せめてこの空間を別用途に転用しようという意見もあるようです.けれども私はすこし反対です.この空間から本が抜き取られたら,それはもはや図書館ではない.この建築は,図書館であるからこそ生きる建築なのだと思うのです.

何が何でも保存,と突き走ることだけが良いことなのか私には分かりません.でも最後の最後まで粘って,結局敗れたときに,あっけなく壊されて消滅してしまうのではあまりに悲しいと思います.

せめて学生がこの空間に親しんだその生きた証のようなものが残せたらと思います.図書館が図書館として,最も輝いている姿を美しい写真などで残せないものでしょうか.せめてその刊行物を出版する動きを併行してできないものでしょうか.

空間の儚さ,建築の宿命,保存の問題・・・
昨日はいろいろ考えさせられた一日でした.



山形から来ていた学生Sさんの,のべ8日間に及ぶオープンデスクが昨日終了しました.同時に我々も今日から束の間の夏休みに突入です.

以前も書いたように,今年のオープンデスクは現場からクライアントの打合せに至るまで同席させ,住宅が作られてゆくリアルな空気を学んでもらいました.

この短い期間で彼女は,それぞれ別々のプロジェクトではありますが,『設計打合せ→見積調整→基礎工事→木工事→竣工検査→オープンハウス』とほぼ全工程に立ち会ったことになります.これは本来設計事務所に入って,1年以上実務を経なければ体験できないことです.

加えて彼女にはその前段階のプロセス,現在進行中のとある住宅の要望書を渡し,プランニングから立案という作業も行ってもらいました.

スタッフのデスクは現在満席のため,彼女の定位置はミーティングデスクの隅っこ.毎日現場とこのデスクを往復し,時に現場ではリアルなスケールを採寸し,夕方には私の指導を受けるという日々でした.


そして昨晩は最終案の発表と講評会.
スタッフからは容赦ないツッコミが飛びました.けれどもどうしてどうして.これは彼女の案がようやく我々の批評に載るレベルに達したということを意味しているのです.(前日は宿泊先で明け方まで作業していたようです)

彼女には特別に(門外不出?)私のエスキーステクニックからプランニング手法に至るまで,余すところなく伝授しました.最初はシングルラインで頼りなかった彼女のプランニング(この時点ではまだお施主さんの描く間取り図レベル)は,みるみる変貌し,日々バージョンアップを繰り返してゆきました.もちろんまだまだなところはいっぱいあるのですが,一週間でここまで人は成長できるのだということに,正直私も感動を覚えました.


初日に渡した新品のエスキース帳は,最終日には1冊とはいきませんが半分以上は使われていたでしょうか.この一週間で彼女が作成したプランは計8案.スタディを含めると10案以上は考えたのではないでしょうか.実のところこれが私が最もやらせたかったことなのです.

大学の課題では,ひと課題につき2ヶ月以上を費やして設計指導をします.けれども学生の図面がようやく図面らしくなるのは最後の1~2週間がやっとというところです.

けれども我々はそんな悠長な仕事はしていられない.時間を惜しんで集中すれば,わずか1週間で8案も作れるということ.千本ノックのように手先を動かせば,それが頭と連動して空間が肉体化するということ.そしてそれが自信となり,最後に揺るぎないプレゼンができるのだということ.


それを経験してもらえたことは,今後の糧にもなるはず.一度できたことは,次からもできるはずだからです.大学の課題も,出題から最初の一週間でここまでできれば,きっとライバルには大きな差を付けられるでしょうね.

「もう一度2年生に戻って,住宅課題をやり直したい!」
そういう彼女には,少しは住宅設計の面白さがわかってもらえたかもしれません.今日は東京見学をして帰るそうです.どうか楽しんでいって下さい.今後の活躍を楽しみにしています!

14. 05 / 19

亀山邸

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プロジェクトリストには載せていなかったのですが,亀山邸が無事竣工を迎え,昨日引渡しがありました.今回は極限のローコストが求められたため,構造材には余った無印のパインラックの切り落とし材を使用しています.

ただしローコストでありながらも,遊び心と品格ある佇まいを実現させるため,当初は高さが48mもあったとされる出雲の大社造をその様式に取り込み,粗野な中にも荘厳さを感じさせる造りとしています.クライアントは仙人でもあるため,この屋上から拝む朝日は特別な意味を持つようです.

ちなみに一番のお気に入りは,「スロープの三角のすきま」とのこと.この隙間にはさまっていると落ち着くのだそうです.でもごめん,そこ意図したとこじゃないから.

14. 03 / 15

アタマの現場

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ギャラリー間で開催されている,建築家内藤廣さんの展覧会にようやく足を運ぶことができました.私は大学時代内藤さんの事務所に面接に行ったことがあるくらい氏の建築を敬愛してやまないのですが,今回の展覧会もとても素晴らしかったです.

内藤廣展 アタマの現場
http://www.toto.co.jp/gallerma/ex140118/index.htm

今回の展覧会は「アタマの現場」と名付けられているように,今回の展覧会のために作られた模型などではなく,内藤事務所にあるスタディ模型や図面の数々を,事務所の内部をそっくり再現してお見せするという趣向のようで,内藤さんのデスクまわりも実物を運び込んで忠実に再現されていました(現に,現在内藤さんの机は事務所にないそうです・・).

私がもっとも感銘を覚えたのは,その図面です.前述のように展覧会のために特別に描かれたものではなく,実施図面が素っ気なく置いてあるだけなのですが,その密度と精度,そして美しさに脱帽しました.私の事務所も比較的図面を詳細に描く方ですが,我々の何十倍も大規模な建築であるにも関わらず,細部に至るまで実によく考えられているのです。

また驚いたのは仕様書で,例えばコンクリート打放し仕上げなら,我々なら図面にその旨の記載と打放し型枠の使用,撥水剤の指定くらいで,あとは現場監督や職人さんと相談しながら進めてゆくというのが通常なのですが,内藤事務所の図面には詳細な型枠の組み方,目違いを防ぐための方法,端部の処理,万が一失敗した際の処置の仕方に至るまで,図解入りですべて記載してありました.(撮影が許可されていたので産業スパイのように大量に撮ってきてしまいました.これ出版してもらえませんかね?)

内藤さんの建築はとてもシンプルで美しく,出来上がった後にはその手の痕跡が見えることはありません.ただ我々にはわかります.こんな涼しく建築が作れるはずがないんです.そのナゾがひとつ明かされました.この綿密に計算され尽くした図面,蓄積されたノウハウ,わかりやすい指示書がそのすべてを物語っていました.やっぱりすごいな,内藤さんは.うちもバリバリ図面描かないと!

年表を見たら,内藤さんは30代の頃は意外にも佳作で,40代から爆発したように大きな仕事を次々手がけていったことがわかりました.私も大いに励まされて会場を後にしたのでした.