世田谷美術館での「アイノとアルヴァ 二人のアアルト」展に、昨日ようやく足を運ぶことができました。

20代からずっと追い続けているアールト。一般的に知られていることはだいたい知っているというのに、何度見ても発見があります。アールトへの探求は、私のとってのライフワークとも言えそうです。

今回のアールト展のテーマは、アルヴァ・アールトとその妻アイノ・アールトとの協働による創作という点に軸足が置かれていました。これがとても良かったと思います。

一般にはあまり知られていないのかもしれませんが、アールトといえばアルヴァ・アールトのことを差す一方で、天性の美意識でアルヴァを導き、ARTEKの家具や、アールト作品のため息の出るようなインテリアデザインを実現出来たのは、もう一人の天才建築家にして妻アイノの功績なくしては語れません。

予約制だったため、むしろ混み合わずゆったりと鑑賞出来たのも良かったです。



アアルト展でのもう一つの収穫は、なんと言ってもフィンランドのファッションブランドMAKIAとアアルト財団とのコラボTシャツ!

これ日本では絶対手に入らないやつなんです。しれっとショップに並んでいたので、多分ただの展覧会グッズだと思った人もいたはず。


中でも隅っこの一番目立たないところに置いてあったのがこの水玉、じゃなかったヴィープリ図書館トップライトエディション!これは嬉しい。

展覧会などでよく売っている限定Tシャツは、日常では絶対着ないだろうなと思うのでまず買わないのですが、このTシャツには展覧会のロゴなども入らず、日常でも普通に着れそうです(ALVAR AALTO の文字がさりげなく入っているのも◎)。

世田谷美術館のアアルト展は来週末で終了なのですが、平日も含めて予約チケットはすべてソールドアウトだそう。つづく兵庫県立美術館での展示は、7月10日からはじまるようです。今日滑り込めて良かった!

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sekimoto

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a+u Alvar Aalto Housesが発売になりました。
1998年に出版された同書は私にとっても思い入れの強い一冊でしたが、その後絶版となり、このたび編集も一新して再び出版されました。右が1998年版、そして左が発売された2021年版です。写真はフィンランド時代に最もお世話になったヤリ・イェッツォネンさん。

2021年版はコッコネン邸が表紙になっています。コッコネン邸はまだ足を運んでいないのですが、隠れた名作住宅。2002年にOZONEで開催したアールト住宅展のポスター写真も、このコッコネン邸の暖炉をフューチャーしました。

そしてこのコッコネン邸には、作曲家ヨーナス・コッコネン氏本人も写っています。これは極めて異例なことで、日本から足を運んだ写真家には撮れない、ヤリさんにしか撮れない写真のひとつだと思います。

さてここからが、この二つの本を持っている人だけの特権的な話になってしまいますが、一見同じように見える写真でも、よく見ると98年版からアングルが変わっていたり、トリミングを変えていたりしています。

例えばこのコッコネン氏のカット。少しだけ角度を違えたまさにアナザーカットなのですが、21年版でようやくそのリビングとピアノとの関係性が明らかになるなど、違った見方もできるものになっています。


そしてこれも激渋ポイント!アールト自邸の外観ですが、全く同じカメラ位置、そして季節も冬で雪景色のカットなのですが、外壁の色が違います。98年版は改修直後の黒々した外壁なのに対して、21年版は少々色が落ちてエイジングしています。

ツタの絡みかたも違うので、実際には撮影時期はどちらが先なのかはわかりませんが、そんなところもヤリさんらしい遊び心と執念のようなものを感じるポイントです。


冒頭の数件は初期の新古典主義の住宅群。おそらく初見の人も多いでしょう。アールト20代の作品です。あの時君は青かった。しかしよく見ると、これまた良くできているんですよ。

イタリア古典主義を木造で模倣しながら、単なるフェイクで終わらせず、フィンランドならではのログ構法と組み合わせていたりして、どこか品があるんですよね。この初期の住宅をこのクオリティで撮影したものも、ほかに例がないことも付け加えておきます。

98年版の方には、巻末に建築家マッティ・サナクセンアホによる長文の文章もあって、アールトエピソード満載でとても楽しいのですが、21年版の巻頭のシルッカリーサによる解説文もまた素晴らしいです。

アールトの住宅は、プランを見ていると本当にゾクゾクします。全く理解できません。それが空間になるとこうなるのかという、一つの抽象絵画を見ているかのようです。

マイレア邸にはもう10回くらい足を運んでいますが、未だによくわかりません。これがアールトミステリーなんですよね。こちらも何度でも読み返したくなります。

フィンランド時代からの友人デザイナーである梅田弘樹さんがテレビに出るというので、少し前から仲間内で話題になっていたのだけれど、とうとう「梅田弘樹、新聞に載る」である。今晩のオンエアです。(BSプレミアム23:15〜)

梅田さんは、一昨年クローズした吉祥寺のカフェmoiのオリジナルカップ&ソーサーもデザインして下さったプロダクトデザイナー、今ミシン男子そして大学教授という異色の経歴のヒト。楽しみです!

21. 01 / 29

ラピンクルタ

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sekimoto

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ラピンクルタ、フィンランドのビール。妻が飯能のムーミンバレーパークで買ってきた。この感激をどう言えば伝わるだろう。

確か前行った時はなかった。ラピンクルタがあればいいのに、と思った記憶がある。お店に輸入ビールコーナーがあると、いつも無意識にラピンを探してしまう。国内でこのビールが手に入ること自体がとっても貴重なのだ。

味は普通。コクがあまりなくてサッパリしている。もっとおいしくなるちょっと手前で止めちゃったような味。

でもお金のなかった留学時代、ビールといえばラピンクルタだった。久しぶりに呑んだら一瞬でフラッシュバックした。そうそう、確かにこんな味だった。ほろ苦い青春の味。なんか、涙出そう、、

イラストレーターの益田ミリさんによるフィンランド旅行のエッセイ。益田さんの文章は、とりたてて何が起こるわけでもなく、ウンチクや教訓めいたことがあるわけでもなく、とにかく淡々と日常が進むのが良い。

このフィンランド旅行記も、オーロラやムーミンを見に行くわけでもなく、ただヘルシンキ市内のカフェに足を運び、地下のスーパーを物色し、美術館に足を運んだことを淡々と書いているだけなのに、どうしてこんなに楽しいのだろう。タイトルの「考えごとしたい」についても、たまに思い出したように考えごとをするものの、何を考えたのかは書かれていない。

毎年足を運んでいるというのに、ヘルシンキにしか行かない。アールトアトリエやレイヴィスカの教会にも足を運んだようだ。この人は本当にフィンランドが好きなんだと思う。この年明け、ゆるくステイホームしながら読むのにぴったりな本。