
「壇の家」オープンハウスは、時間を区切って予約制の開催とさせて頂きました。天気も良く、気持ちの良い二日間となりました。あとは水曜日で一区切りです。
設計事務所がオープンハウスを開催する目的は、それまで積み上げようやく竣工に至った建物をお披露目することで、いわゆる「作品発表」の場とするということが大きいと思いますが、もうひとつは専用のモデルハウスを持ち得ない我々が、束の間、現在設計進行中の建て主さんと意図する空間や、仕上げのテクスチャなどを確認共有できるということも大きいと思います。また現在進行未満の、現在検討中の方にとっても、その事務所の作風や主宰者本人に会って話のできる貴重な機会とも言えるでしょう。
ただ私の中ではもうひとつの意味があります。それはスタッフの研鑽の場でもあるということです。


うちの事務所ではアテンドといって、自分の担当する案件の建て主さんが来場したら、その建て主さんにぴったりくっついてご案内するということをしています。
現在進行中の設計内容について、「○○さんのキッチンもこれと同じサイズですよ」とか「壁はこれと同じですが大丈夫ですか?」という具合に、ただ漫然と見てもわからないであろう建て主さんに解説をすることで、直接の感想や本音を引き出す貴重な機会にもなるからです。
打合せの席では、私が中心になって話をするので、スタッフが前に出て説明をするという機会は多くはありません。したとしても、私が隣にいては緊張して萎縮してしまうでしょう。
オープンハウスでは、私は全体を見渡していろんな方にお声がけをするので、ひと組の建て主さんをずっとアテンドするということが出来ません。なので結果的にスタッフ達は、私から離れてのびのびと?建て主さんとの会話を楽しんだり、自分の言葉で説明できる貴重な機会にもなるのです。
やはり設計は自分の言葉で語らないとものになりません。そんなスタッフ達の楽しそうに建て主さんへのご案内をしている様子を遠巻きに見ているという状況が、私は結構居心地が良かったりするのでした。なかなか頼もしいと思います。
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最後にこちらは上記と関係ありませんが、あまりに可愛かったのでパチリ!
階段下のこの空間はきっと子供は好んで入り込むだろうと設計時から考えていました。そのため、無印良品の収納ボックスがぴったりと納まる棚を作って、遊んだ後におもちゃをここに仕舞ってもらうというストーリーを思い描いていましたが、この日もこのスペースは子供に大人気!子供はいつでも空間の最大の理解者です。

21. 02 / 13
春の光
author
sekimoto
category
> 仕事
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「壇の家」オープンハウス初日が終了。南側ハイサイドからの光が、北側奥のリビングまでを照らしていました。現場をやっていた冬は入射角が低くて、ここまで届きませんでした。春の訪れを感じると共に、設計で苦心した最も大切なピースがようやくはまったような気がしました。
プランニングにおいて、リビングの位置は判を押したように南側に寄せる傾向があります。この敷地では南側に隣家が迫り、南側にリビングを寄せれば、日中の光はほとんど差すことがなく、隣家の壁を眺めて生活することになることが明白でした。
この住宅のリビングは最も北側に位置し、キッチンや浴室を南側に配置しています。プランニングのセオリーをすべて逆転しているのですが、一見普通に見えて不思議なプランだということに気づいて下さった方も少なからずいて嬉しかったです。

先月末に、横浜市で進めておりました「壇の家」を無事引渡しました。
南側に隣家が迫る変形地という難条件でしたが、丘の上に建つ立地を活かした「眺望の家」となったと思います。個人的にも、とても気に入っているプランニングの家です。
先月末の引渡し前後に絡めてオープンハウスを予定していましたが、緊急事態宣言になってしまい、延期して今月中旬にしたのですが、緊急事態宣言も延長となり、どこまでも追いかけられているような気分です(苦笑)
そんなことで、一部の方にはメールでご案内をお送りして、このブログでの告知は控えていましたが、今週末~来週(2月13,14,17日)にかけて、セミクローズにて内覧の機会を設ける予定です。時間帯を分けて、密にならないように配慮しながら開催します。
もしこのブログをご覧の方で見学をご希望の方がいましたら、個別にご案内をお送りしますのでご連絡下さい。空きのある時間帯をご案内します。
(関本 riota@riotadesign.com)
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またこちらは余談ですが、、
昨日告知をしました私の書籍ですが、今朝見たらアマゾンの新着ランキング(住宅建築カテゴリ)で1位になっていました。素直に嬉しい!(ちなみにまだ発売前です。予約受付中)


ちょっとした告知です。
来月、自身2冊目となる単著が出ます。
『伝わる図面の描きかた〜住宅の実施設計25の心構え』
関本竜太(著)|学芸出版社 (発売は3月7日)
>> AMAZON
2018年にKOTIという住宅が竣工したのですが、こちらの住宅の実施設計図面について、全面的に詳細解説を加えたものです。
一般的に平面図や矩計図などでしたら、それをどう描くかについてのこだわりは設計者ごとにあることと思います。では立面図、建具表、展開図、仕上表、床伏図、設備図などはどうでしょう?日々何となくルーティーンのように描き上げている全ての図面において、そこに込めるべき情報や気に留めるべきことは無数にあるはずです。
ただ、これはいわゆる普通のノウハウ本ではありません。そういう読み方や使い方ももちろんできますが、編集者さんには最初にそういうものではないものにしたいとお伝えしました。本を読んだだけで図面がスラスラと描けるようになるほど、建築の世界は甘くありませんので。
我々の設計はあくまで我々だけのものですが、そこにある考え方なら少しは共感も頂けるかもしれません。これは図面の解説を通して、私なりの「住宅を設計するということはどういうことか」ということを綴ったものになります。
よく「リオタの図面は細かい」と言われます。しかし、図面は細かく描くことが目的ではないのです。設計とはコミュニケーションそのもの。相手に伝えるために、図面はどういう心構えで描かれなくてはならないのか?それがこの本のテーマです。
「図面は」は、もしかしたら「仕事は」にも置き換えができるかもしれませんね。案外、一般の方が読んでも面白いかもしれません。発売は3月7日です。まだ先ですが予約もできるようです。
どうか皆様に手に取って頂けますように!
