
デザイナーの坂啓典さんに出会ったのは,今から10年くらい前の雑誌社主催のとある会合でのことだった.
坂さんの名刺の肩書きには「ペーパーエンジニア」と書いてあって,これはどういう仕事かと尋ねたら,いわゆる雑誌の付録などについているペーパークラフトを作る仕事なのだと話してくれた.そんなジャンルの仕事があったことにまず驚き,また興味を持った.
坂さんはグラフィックデザイナーにして,無類の北欧好き.そして家具・建築好きだったことから僕ともすっかり意気投合し,勢いから当時設計していたILMAという住宅のペーパークラフトを作って欲しいとお願いしたら,しっかりと応えて作って下さった.それが上の写真.リクエストはしなかったのに,ちゃんと施主の愛車だったミニまで再現してくれているところが,なんとも坂さんらしい.
そんな坂さんが,久しぶりに家具のペーパークラフトを担当したということで,掲載誌をわざわざ送って下さった.エル・デコ最新号の巻末にプルーヴェのアームチェア「Cite Armchair」.坂さんらしい美しいレイアウトと色使いのペーパークラフトで,折角送って下さったもののもったいなくて未だに切り取れずにいる.
ちなみに先のILMAのペーパークラフトは,当時100枚くらい刷っていろんな人にあげていたらほとんど無くなってしまった.これをお蔵入りさせておくのはもったいないので,これを期に急遽増刷で印刷にかけることにした(刷り上がったら,ご希望の方には無償でお譲りします!).
坂啓典さんの仕事はこちらから.>>図工室
はじめてお付き合いする工務店さんに,毎回必ずと言っていいほど言われるのが,「図面をよく描かれていますね」ということだ.
うちは設計事務所だ.いわばプロの図面描きでもある.だからどこに出しても恥ずかしくない図面を描かなくてはいけない.だからスタッフにも僕は図面に関してはとにかくうるさいし,図面には確実に,施工に関わるすべての情報が網羅されていなくてはならないとも思う.
ところが機会があって他の事務所の図面を見たりすると,たまに愕然とすることがある.密度はスカスカだし,あちこち食い違っているところもあって,これを見て工事をする人達は大変だろうなと思わされることもある.
すべての線に責任を持つというのが我々の仕事だ.施工会社は図面通りに施工することに全力を尽くすとして,その礎となる図面は我々が描かなくては始まらないと思う.
我々が描いている図面は「あたりまえ」の図面だ.少なくとも我々はそう思っている.それがすごいと毎回言われることに,いつも違和感を覚える.
施工者にもたまにプロ意識の欠けた方にお会いすることもあるけれど,そういう時はかなり厳しい態度で我々も接することになる.我々は相手にも求めるものが大きい分だけ,こちらもそれなりの仕事をしなくてはいけない.少なくともそれを受け取る相手が,背筋がしゃきっと伸びる図面を描きたいと思う.
うちは設計事務所だ.いわばプロの図面描きでもある.だからどこに出しても恥ずかしくない図面を描かなくてはいけない.だからスタッフにも僕は図面に関してはとにかくうるさいし,図面には確実に,施工に関わるすべての情報が網羅されていなくてはならないとも思う.
ところが機会があって他の事務所の図面を見たりすると,たまに愕然とすることがある.密度はスカスカだし,あちこち食い違っているところもあって,これを見て工事をする人達は大変だろうなと思わされることもある.
すべての線に責任を持つというのが我々の仕事だ.施工会社は図面通りに施工することに全力を尽くすとして,その礎となる図面は我々が描かなくては始まらないと思う.
我々が描いている図面は「あたりまえ」の図面だ.少なくとも我々はそう思っている.それがすごいと毎回言われることに,いつも違和感を覚える.
施工者にもたまにプロ意識の欠けた方にお会いすることもあるけれど,そういう時はかなり厳しい態度で我々も接することになる.我々は相手にも求めるものが大きい分だけ,こちらもそれなりの仕事をしなくてはいけない.少なくともそれを受け取る相手が,背筋がしゃきっと伸びる図面を描きたいと思う.

先の震災より1年が経ちました.
本住宅はちょうど1年ほど前に計画がはじまり,施主は震災のショックにもへこたれず,我々も震災やその後の原発問題にも直面しながら今住宅に何ができるのかを問い続けた家づくりとなりました.
地域とつながる家.
家族がひとつになる家.
自然エネルギーを自然体で受け止める家.
ようやく竣工しましたので,是非お越し頂き皆様のご批評を頂きたく思います.
『川風の家/K邸』
日時:3月25日(日) 11:00~18:00 ごろまで
場所:埼玉県志木市柏町
(東武東上線志木駅よりバス/柳瀬川駅より徒歩20分)
木造地上3階建て
敷地面積:66.30m2/20.05坪
建築面積:35.30/10.67坪
延床面積:84.51m2/25.56坪
設計監理:リオタデザイン|関本竜太・三浦美紗子
構造設計:GAEA|佐々木大輔
施工:堀尾建設|鳥越豊
☆ご見学をご希望の方は, >>メール にて関本までご連絡下さい.
折り返しご案内をお送りします.
昨日一件のプレゼンがあった.その方は我々以外にも,ハウスメーカーなどからも提案を受けていたのだけれど,最終的には我々のプランを気に入ってくださり,無事設計のご依頼を頂くことができた.そのお施主さんから昨晩頂いたメールの内容がとても嬉しく,感じるものがあったのでその一部を抜粋してご紹介させて頂く.
『事務所で図面を見せていただいたときに,こういう風に暮らしたかったんだと気づきました.漠然としたイメージだったものを導き出してもらったというか,解は私たちの中にあって,それにうまくカタチを与えてもらったという気がしています.
コンセプトを聞いたときに目からウロコが落ちた気がしました.なぜハウスメーカーと話しをしていて全く楽しくないのか,すとんと腑に落ちました』
お施主さんによると,ハウスメーカーの建築士さんには繰り返し「どういう間取りにしますか?」と聞かれたそうだ.お施主さんにしてみたら「それを考えてくれるんじゃないの?」ということになるだろう.
例えばここの仕上げはどうしますか?と聞かれて答えたら,その通りになってしまうのだろうか.どんなにヘンテコな内装になったとしても,それは「お施主さんのお望み通り」なのだろうか.それは断じて違うと思う.
多少高い(と思われている)ハードルを乗り越えて我々建築家にご依頼くださるお施主さんのゴールは,「美しく機能的な家に住む」だ.我々はそこに向かって仕事をしている.
だからお施主さんがその道を踏み外しそうになったら,迷わず我々は指摘をしなくてはならない.例えお施主さんの意向であろうとも,それが誤ったゴールに進みそうになっていると感じた時には絶対に首をタテには振ってはいけない.それは俗に言う「建築家は言うことを聞いてくれない」ということとは本質的に異なる話なのだ.
僕は常に「答えはお施主さんの中にある」と思っている.でもそれをどう表現すれば良いのか,どうすればそれができるのかわからないから我々に設計を依頼している.だから我々に求められるのは,実はカタチを作るという意味でのデザイン力ではなく,それをどう引き出すかという意味においてのコミュニケーション能力なのだ.これ以外の何物でもないとも思う.
それゆえに,このお施主さんの「解は私たちの中にあって,それにうまくカタチを与えてもらった」という表現が,我が意を得たりということで何より嬉しかった.建築はコミュニケーションであり,デザインもやはりコミュニケーションなのだ.
詰まるところ,いつも結論は一つなのだな.
『事務所で図面を見せていただいたときに,こういう風に暮らしたかったんだと気づきました.漠然としたイメージだったものを導き出してもらったというか,解は私たちの中にあって,それにうまくカタチを与えてもらったという気がしています.
コンセプトを聞いたときに目からウロコが落ちた気がしました.なぜハウスメーカーと話しをしていて全く楽しくないのか,すとんと腑に落ちました』
お施主さんによると,ハウスメーカーの建築士さんには繰り返し「どういう間取りにしますか?」と聞かれたそうだ.お施主さんにしてみたら「それを考えてくれるんじゃないの?」ということになるだろう.
例えばここの仕上げはどうしますか?と聞かれて答えたら,その通りになってしまうのだろうか.どんなにヘンテコな内装になったとしても,それは「お施主さんのお望み通り」なのだろうか.それは断じて違うと思う.
多少高い(と思われている)ハードルを乗り越えて我々建築家にご依頼くださるお施主さんのゴールは,「美しく機能的な家に住む」だ.我々はそこに向かって仕事をしている.
だからお施主さんがその道を踏み外しそうになったら,迷わず我々は指摘をしなくてはならない.例えお施主さんの意向であろうとも,それが誤ったゴールに進みそうになっていると感じた時には絶対に首をタテには振ってはいけない.それは俗に言う「建築家は言うことを聞いてくれない」ということとは本質的に異なる話なのだ.
僕は常に「答えはお施主さんの中にある」と思っている.でもそれをどう表現すれば良いのか,どうすればそれができるのかわからないから我々に設計を依頼している.だから我々に求められるのは,実はカタチを作るという意味でのデザイン力ではなく,それをどう引き出すかという意味においてのコミュニケーション能力なのだ.これ以外の何物でもないとも思う.
それゆえに,このお施主さんの「解は私たちの中にあって,それにうまくカタチを与えてもらった」という表現が,我が意を得たりということで何より嬉しかった.建築はコミュニケーションであり,デザインもやはりコミュニケーションなのだ.
詰まるところ,いつも結論は一つなのだな.

カフェcrann(クラン)が本日オープンしました.
カフェcrannは,アイルランドにゆかりのあるオーナーより,昨年末に設計の依頼を受けたわずか4.5坪の小さなカフェです.
アイルランドは世界一紅茶が飲まれている国で,英国的な気取った紅茶文化というよりは,日本の緑茶のように紅茶が日常生活の一部に溶け込んでいるそうです.そのため,お店でも紅茶はかわいらしいマグカップで出して下さいます.
本日のオープンから3日間(金~日)は,紅茶とケーキのみ,時間も半日のみの試験営業となるそうですが,その後は少しずつ営業時間を延長し,フードメニューも増やしての営業とされるそうです.
カフェのカップ類はお店での購入も可能.当面の営業情報は以下の通りです.
[カフェ・crann]
・3月2~4日 12:00~17:00 (限定メニューによる営業)
・3月5日~末 10:00~20:00
・4月~ 8:00~20:00
★定休日 木曜日★
所在: 板橋区上板橋2-37-8 >>地図
詳しくはこちらのサイトより→ アイリッシュツリー
店舗面積:15.19m2/4.59坪
店舗設計:リオタデザイン 関本竜太+三浦美紗子
施工:エークラフト 伊藤英一郎
通りを挟んで向かい側にはコインパーキングもあります.駅からは徒歩3分くらいです.リオタデザインにお越しの方は,同じ東武東上線沿線ですので是非途中下車してお立ち寄りください.






