14. 09 / 02

建築という幻想

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sekimoto

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> 思うこと
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正しい人になりたいと思う.完璧になりたい.そういう幻想がある.
もしかしたら,建築をやっている人はそういう幻想を持つ人が多いのではないか.

私は言うまでもなく不完全な人間だ.でも私は建築に理想を求める.私の頭の中では建築は完璧であり続ける.それを図面という手段で表現しようと試みる.

ところが,ひとたびそれが現場に入るとそれはどんどん崩れる.完璧だと思っていた図面は,実は穴だらけだったという事実を突きつけられる.

設計が完璧でないのだから,施工が完璧であるわけがない.観念の中の建築は,素材とのせめぎ合いに敗れ,人間の不注意に泣かされ,怠慢に怒り,時に努力や熱意に救われながらも,満身創痍で胴体着陸を試みる.

それはもはや理想郷ではなく,あるのは現実のみ.建築は聖から俗に変わる.神様は人間になる.私が建築の最後に見る光景はいつもそうだ.

でも建築は神殿ではない.それが住宅であれば埃一つ落とさず,物音一つ立てずには暮らせないのだ.だから建築は俗なくらいでちょうど良い.わかっている.わかっているのだけれど・・.

私はそこに聖なるものを作りたいという幻想から逃れられない.理想主義者の考える理想郷.それが建築なのかもしれない.そう考えると,なんと業深い仕事であろうかと思う.

14. 09 / 01

洋食屋さん

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sekimoto

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> 思うこと
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設計事務所がハウスメーカーと競合するという人がいる.実際に施主を取られたという話も聞く.私には実感はないし,本当にそんなことがあるのか甚だ疑問だ.

街で評判の洋食屋さんの隣にガストができたら,つぶれてしまうだろうか.
街で評判の仕立屋さんの隣に洋服の青山ができたら,つぶれてしまうだろうか.

街の洋食屋さんが隣を意識して格安のランチをはじめたら,もっと安くてそこそこおいしいメニューに敵うわけがない.街の仕立屋さんが本来の業務を忘れて既製服に走ったら,より広くてよりどりみどりから選べるお店に敵うわけがない.

残念ながらこの二つのお店に未来はない.
自らの被害妄想に殺されてしまうのだ.

設計事務所に,いろいろと営業の知恵を授けてくださろうとする方々がいらっしゃる.これからの時代,こういうことをやっていかないと負け組になっちゃいますよと助言を下さる方々がいらっしゃる.おそらくは親切心なのだろう.

でも私は,設計事務所がハウスメーカーみたいなことやってどうするの?と思う.そんなのはあちらに任せておけばいいのだ.我々には我々にしかできない領域がある.私にはご依頼くださった方を後悔させないし,心から頼んでよかったと思ってもらえる自信がある.

洋食屋は洋食屋であるべきだ.隣のお店のことなんて知らなくていい.自分の味を追求し,その日に訪れたお客様を満足させればそれでよい.それだけでいいのだと思う.

14. 08 / 29

イワダレソウ

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sekimoto

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> 仕事
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今日は「隅切りの家」の1年点検に行ってきました.
もう1年・・早いものです.


着いていきなり目に飛び込んできたのはこの緑!すごい.
モリゾーとキッコロみたいな・・なんだか別の生命体のようです.

ほんの数ヶ月前に訪れたときは,まだこんな感じでした.


あれから緑が爆発したんですね!

これはイワダレソウ.いつもお願いする造園家の湊さんが植えてくださったものです.
正直ご予算が厳しいときなどは高木などはあまり植えられないので,こういった地被類を混ぜて植えてくださっています.竣工直後は少し寂しい感じですが,こうして1年経つと思いがけない姿に変貌してくれることもあります.

私の自宅の庭も湊さんにお願いしたのですが,気がつくと思いがけないものが育っていたりして,どこまで意図していたのかわかりませんが,湊さんに聞くと「もちろん,すべて最初から意図していた」と答えます.ほんとかなあ?

でも植栽に関しては,竣工直後よりも1年以上経った方が確実に良くなるのは事実ですね.「建築家は失敗を植栽で隠し,造園家は失敗を雪で隠す」のだと,以前造園家の中谷耿一郎さんに教えてもらいました.失敗はしてませんが(←ここ重要),植栽が入ると建物は素晴らしく引き立つことだけは確かです.


ここはどこ?フィンランド?
いえ,八王子です.

企画委員を務めるSADI(北欧建築・デザイン協会)にて工学院大学八王子図書館の見学会を行いました.設計は武藤章氏.アールトの事務所に勤務し,帰国後は工学院大学教授として後進を育てた建築家です.

素晴らしい空間でした.アールトの空間をコピーしたものではなく,武藤流の建築流儀とスケールによって,居心地の良い空間を作っていました.そんな空間が現在取り壊しの憂き目に遭っています.そんな空間を一人でも多くの方に知ってもらいたいと思います.

以下のSADIブログにレポートを載せましたので,ご興味のある方は是非ご覧下さい.
http://sadiinfo.exblog.jp/23243729/


さて,今回のような保存問題については,私なりに思うところがあります.

最近でも国立競技場の建て替え問題で大騒ぎしています.現在の競技場は残して改修をすべき,いや建て替えるべき,建築界はケンケンガクガクです.

いや,実は手遅れで既定路線は既に建て替えで進んでいます.ザハ・ハディドという外国人建築家の案が採用され,東京オリンピックに間に合わせるべく,急ピッチで設計は進んでいるという実情があります.

その前には同潤会問題がありました.表参道の古い同潤会アパートは残すべき.しかし取り壊され,安藤忠雄さん設計の表参道ヒルズが建ちました.その時もケンケンガクガク.日本では古いものを残すというのは経済の論理の元ではほぼ無力です.学者や一部の建築家の声などかき消され,無きがごとしです.

ただ一方では,反対を叫ぶ建築家だって人のことは言えないのです.
なんといっても,古いものを壊さなければ,こと東京では仕事などできないのですから.あなたは古いものを壊したことはないのですか?

「いや,それとこれとは話が違うよ」
はたしてそうでしょうか?

「保存すべし」と叫んだ方が社会的にはかっこいいのです.「僕は保存すべきだと言ったんだけどね,結局取り壊されちゃったんだよ」そう言って遠い目をした方が正義なのです.そうではありませんか?

私は保存問題には,いつも少し醒めています.
そういうことを熱く言う人が居ればいるほど醒めてしまうのです.そしてそんな自分を少し後ろめたく思っています.

今回の図書館を見てどう思ったか.
私は「保存すべき」だと強く思いました.

空間が素晴らしかったことももちろんあります.けれどもそれ以上に,この空間は社会的にほとんど知られていなくて,報道ステーションでも朝日新聞でも取り上げてくれない問題だと思ったからです.そうしている間に,誰にも知られることなくその灯火が消されようとしている.それを思うと,その儚さに「守ってあげなくては」という思いを強くしました.

つまり保存の問題は実感の問題なのだと思います.
頭で考えるのではなく,心で考える問題だということです.

せめてこの空間を別用途に転用しようという意見もあるようです.けれども私はすこし反対です.この空間から本が抜き取られたら,それはもはや図書館ではない.この建築は,図書館であるからこそ生きる建築なのだと思うのです.

何が何でも保存,と突き走ることだけが良いことなのか私には分かりません.でも最後の最後まで粘って,結局敗れたときに,あっけなく壊されて消滅してしまうのではあまりに悲しいと思います.

せめて学生がこの空間に親しんだその生きた証のようなものが残せたらと思います.図書館が図書館として,最も輝いている姿を美しい写真などで残せないものでしょうか.せめてその刊行物を出版する動きを併行してできないものでしょうか.

空間の儚さ,建築の宿命,保存の問題・・・
昨日はいろいろ考えさせられた一日でした.


14. 08 / 20

建築知識9月号

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sekimoto

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> メディア
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友人建築家のFB投稿を見て,建築知識も相変わらずエグいタイトルつけてんなーとウケていたら,私の元にも届きました.あ,私も編集協力していたんだった.

では私もご紹介を.今回いくつか監修させてもらったもののひとつにハーフユニットバスの納まりがあります.使い始めた初期は,それこそ建築知識を読み込んでトライ&エラーを繰り返していました.うん,確かに10年とは言いませんが,紆余屈折,長年かけて導き出した納まりの最適解ではあります.今ではうちのテッパン.

みんなこれ真似しちゃうの?えーずるいなあ.