
現場の帰りによく寄るパン屋さんがある.
たまたまそこのパンを買ったら,とてもおいしかったからだ.
そのパンは定番ということなのだろう,ベーシックブレッドという名が付いていてそのパン屋さんでも一番安く,売れ筋の商品らしい.やがてそのパンを買って帰ると奥さんの機嫌が良くなるくらい,我が家では定番のパンとなった.
何度かそれを買ったあと,今度は少し欲を出してみることにした.
プレミアムブレッド,そのお店で一番高い商品である.
なんといっても一番安いベーシックブレッドがこれだけおいしいのである.プレミアムといったら・・もう想像するだけですごいことになるではないか!しかも,値段も100円も違うのだ.でも買える.(大人で良かった!)
思いきり期待して一口食べてみる.
ムムッこれは!さすがにおいしい.
ところが・・
結末は思いがけなかった.食べ終わって,奥さんと同時に発した言葉は
「ベーシックの方がおいしかったね」だった.
プレミアムには”どや感”があるのだ.普通よりいい材料たくさん使ってます.普通より手間かけてます.すべてにおいて最高を追い求めました.ねぇ,すごいでしょ?おいしいでしょ?ね?ね?
うるさいよ,もう.
私は何も主張しない普通がいいなあって思ってしまう.
だって毎日食べるものでしょ?たまにスペシャルがあってもいいけれど,毎日食べるとしたら,私は断然ベーシックだ.
これは我々も仕事で陥りやすいワナだと思う.
普通よりいい材料たくさん使ってます.普通より手間かけてます.すべてにおいて最高を追い求めました.ねぇ,すごいでしょ?格好いいでしょ?ね?ね?
うるさいよ,もう.
そういうんじゃなくていいから.普通でいいから.
でもね,私たちは近所のコンビニのパンじゃ嫌なんです.
顔の見える職人さんが,精魂込めて作った”普通のおいしいパン”が食べたいんです.それだけなんです.
そして,そういう家に住みたいと思っているんです.
