14. 02 / 17
環境デザインアワード・シンポジウム
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sekimoto
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環境デザイン優秀賞を受賞しました「住まいの環境デザインアワード2014」の,今日は受賞シンポジウムがありました.
登壇されているのは最優秀賞2点とグランプリ1点の設計者の方々で,それらの受賞作品についてのパネルディスカッションが行われましたが,異例ながら,登壇していない作品で唯一「DONUT」がスクリーンに映し出され,審査委員の宿谷昌則先生がその審査評をお話しされるという一幕がありました.
実はシンポジウムの数日前に,事務局より,上位3作品に加え都市型住宅のよい回答例として,審査委員より「DONUT」についても触れたいとの話があったそうで,資料の提供をお願いされていたのでした.光栄なことです.
宿谷先生からは,施主の高い生活意識と,それに寄り添った適切な設計,また高い屋根断熱を施したことにより,中庭に開放しているのに熱環境が適度に保たれていること.熱環境を閉じることで,空間を積極的に外部に開くことを可能にしている,といった主旨のコメントを頂くことができました.
正直に言えば,その講評内容をすべて明確に意識化できていたわけではなかったのですが,そのように置き換えて頂けたことで,自分たちが行ってきた設計手法に輪郭を与えて頂けたような気がしました.
あらためて,今回の受賞は我々にとって大変励みになるものでした.
リオタデザインの住宅はあまり自分からワザをかけにいかない住宅なんですね.今そこにあるふわっとしたものを,ふわっと返すようなやり方をしてきたので,「こうしたかった」と明確にコンセプトを語れる住宅があまりありません.たぶんその辺りが,今の建築界において我々の立ち位置を今ひとつ不確かにしている部分なのだろうとも思っています.(ふわふわしてます)
このDONUTもそうでした.どうして受賞したんだか,自分たちが一番よくわかっていないんですが,自分たちがクライアントに耳を傾けながら,経験的,直感的に選んできた選択肢はあながち間違っていなかったのだ,ということがわかっただけでも,大きな自信となりました.とにかく迷わず進めよと,そう受け止めることに致します.
審査総評での千葉学さんの「今回の受賞作品は,これから主流をなす住宅のあり方を指し示しているものだ」というお言葉に勇気を頂きました.あらためて素晴らしい賞を頂きましたことに感謝致します.
(おまけ)
関係者からは,シンポジウムで異例にスライドが流れたように,審査では最優秀にかなり惜しい位置まで残っていたとのお話も聞きました.惜しくも銀,といったところでしょうか.ただ事務局によると,私のメール等のレスポンスの早さは受賞者の中でも群を抜いていたそうで,それはきっと私と仕事をしている人は皆さん頷いてるかもしれませんが,願わくば来年からは「メール早いで賞」の創設をお願いしたいと思います.わたし,金メダル取る自信あります.(あと「ブログ早いで賞」もね)

14. 02 / 13
TREEHOUSE 写真アップしました
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sekimoto
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昨年9月竣工の『TREEHOUSE(N邸)』の竣工写真を以下にアップしました.
写真は新澤一平さんです.美しい写真をありがとうございました!
【これまでの作品/TREEHOUSE】
https://www.riotadesign.com/works/13_treehouse/
TREEHOUSEは宙に浮かんだ空中庭園の家.四間四方のスクエアプランながら,スキップや細かい造作によって変化のある空間に仕上げています.四人家族で,広めの主寝室,子供室をしっかり二つも取っているのに延べ床は24坪.これを言うと大概驚かれます.外と繋げながら内部の広さ感を獲得してゆく.我ながら合理的プランの極致のようなプランニングです.
14. 02 / 05
【湘南台の家】まもなく…
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sekimoto
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> 仕事
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先日オープンハウスの告知をしました「湘南台の家」.
先週末に最終検査を実施し,現場は最後の調整中です.写真は先週末のものですが,私はこの「完成以上竣工未満」の状態も案外好きだったりします.
もちろん,一部工事が間に合っていなかったり,不具合の指摘もいっぱい出てたりするので緊張感はあるのですが,現場にいくら通い詰めても,引渡し間際のこの時期にならないとなかなか掴めない全容があったりするので,ここに来てはじめて見る表情に驚かされたりもします.このドキドキ感も,残すところ今週いっぱいです.
下の写真はこの住宅のハイライトでもある,下の通りからの見上げショット.
模型写真と比べてどうでしょうか?我々としては設計のねらい通りになって思わずニンマリといったところです.実はこの通りは桜並木.春の眺めが今から楽しみです!
この通りにはぐるっと一廻りしないと行けないのですが,オープンハウスにいらっしゃる方は,是非この下の通りからもどうか眺めて帰って下さいね.(わかりにくいので,下の通りへの行き方は,スタッフまでお尋ね下さい)
【湘南台の家オープンハウス】
2月8日(土)11:30~16:00
https://www.riotadesign.com/blog/shonandai_oh.html
◇


14. 02 / 04
小川の家
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sekimoto
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リフォームの相談に乗って欲しい.大学時代の友人からそう連絡があった.
大学を卒業して,彼に最後に会ったのがいつだったかは覚えていないけれど,少なくとも15年以上ぶりくらいにはなっていたかもしれない.彼は都内の郊外に中古の住宅を買い,自分たちでリフォームしながら暮らしていた.その手作り感溢れるリフォーム工事の痕跡といい,暮らしぶりといい,彼自身建築に携わった仕事をしているとはいえ,なかなかのものだった.
さて旧友からの頼みではあったけれど,どうしたものかと腕を組んだ.ご多分に漏れず予算は限られていて,とても全面リフォームとはいかなそうだ.結局自分たちでは手に負えない浴室のリフォームのみに限定する,ということにはなったものの,仕事として請けてしまうと,うちもけして安くない設計料を頂かなくてはならなくなる.
最初は簡単なスケッチを描くから,それで業者にやってもらってはどうか?とも話していたのだけれど,乗りかかった船ということで,結局我々の方でしっかり図面を引き,監理までやって引渡す流れとなった.
シンプルな納まりだけれど,それでもしっかり打合せをして現場にも足を運んだ.最後にきれいになった姿を見るのはやっぱり気持ちが良い.大学の同級生(建築学科の同窓)の家を設計させてもらうのは,これで3件目になる.卒業して久しいのに,それでも私のことを思い出してもらえるというのはやはり嬉しいものだ.
正直,駆け出しの頃はこういう仕事が多かったのだけれど,今ではこういう仕事はできなくなってしまった.あまりに忙しくなってしまったことと,設計料がかなり割高になってしまうので,我々も後ろめたい気持ちになってしまう(今回は完全にお友達価格です笑).
今回は担当につけた新人の山口くんにとっても,良い経験になったかもしれない.私にとっても,ささやかながらちょっと初心に返ったようなお仕事だった.


Before(施工前写真)



建設受難の時代がやってきた.
肌で異変を感じ始めたのは,一昨年ごろからだ.とある現場で型枠大工がいないという問題で,工期が延びて先行きが見えないということがあった.
これまでのキャリアで,型枠大工がいないなどあり得ないことで,何かの間違いだろうと思ったのだけれど,実際調べると深刻で,同様の問題があちこちで起こっていた.型枠大工がいないとコンクリートが打てない.住宅でも基礎が打てなければ話にならない.
型枠大工の不足は今もなお深刻だ.でもそれだけではない.今建築業界はあらゆる職人が危機的に不足している.住宅の現場では心臓を担う大工さんもいない.内装業者も不足している.設備業者も手薄になっている.
原因の背景にあるのは,短期的には消費増税による駆け込みももちろんあるのだけれど,構造的に高齢化した職人がどんどん廃業し,若い職人が育っていなかったり,東北の復興に取られてしまっているという事情もあるようだ.
加えて,今資材がガンガン値上がりしている.そして不足もしている.
合板や断熱材がないといった震災直後のような状況に加えて,耳を疑うのは柱や土台に使う桧や杉も不足しているということ.かつて,日本の建築の歴史において,木造の柱や土台がないなどということがあっただろうか.もちろん,これも短期的には消費増税による駆け込みもあるけれど,日本の林業の衰退,そして投機目的で意図的に木材を買い占めたり出し惜しんでいるという,嘆かわしい背景もその構造にはあると言われている.
うちの事務所で現在進んでいる現場もまた,深刻な工程遅延に悩まされている.この流れを読み切れていなかった工務店にも非はあるだろうが,話はそう単純ではない.
先日聴きに行ったとある建築家の講演会でも,設計は終わっているのに,職人がいなくて未だに着工することすらできない住宅があるとおっしゃっていた.金額の問題ではなく,今本当に大工さんがいないのだ.あぁ同じ問題だと思った.
先日見た報道では,安藤忠雄さん設計による小中学校も,同様の背景から,着工はおろか見積りの入札すら入らず,業者が辞退してしまう事態が続いているという.もちろん安藤さんだけではなく,現在全国的にこの問題は広がっている.
[安藤忠雄さん設計の校舎、入札不成立3度の事情]
2014年1月29日 YOMIURI ONLINE
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20140129-OYT1T00551.htm
先に消費増税の影響と書いたが,では4月以降は解消されるのかと問われたら,私は楽観できないと思う.なぜなら来年10月には消費税が再び上がる可能性もあるし,東京オリンピックも決まった.2020年に向けて,都内では数年後から空前の建設ラッシュがはじまるのが目に見えているからだ.
今設計のご相談に見えている方には,数年前まではかろうじて可能だった厳しい予算帯の住宅も,今は悲観的なお伝えの仕方をせざるを得ない状況にある.資材に加えて職人の労務費も高騰し,どこを見渡しても楽観できる要素がないのだ.
それでも,「いつが建て時か?」と問われれば「今しかない」となる.
理由は前述の通りである.我々もとにかく目の前の仕事に全力投球するほかないのだ.
景気が上向きになったからといって浮かれているのはごく一部の人たちだ.現場はそれどころではない.本来の「ものづくり」の本質とはかけ離れた場所で起こっている現在の社会状況と,それがしばらく続くであろう見通しに,私はつい暗い気持ちになってしまうのだった.
肌で異変を感じ始めたのは,一昨年ごろからだ.とある現場で型枠大工がいないという問題で,工期が延びて先行きが見えないということがあった.
これまでのキャリアで,型枠大工がいないなどあり得ないことで,何かの間違いだろうと思ったのだけれど,実際調べると深刻で,同様の問題があちこちで起こっていた.型枠大工がいないとコンクリートが打てない.住宅でも基礎が打てなければ話にならない.
型枠大工の不足は今もなお深刻だ.でもそれだけではない.今建築業界はあらゆる職人が危機的に不足している.住宅の現場では心臓を担う大工さんもいない.内装業者も不足している.設備業者も手薄になっている.
原因の背景にあるのは,短期的には消費増税による駆け込みももちろんあるのだけれど,構造的に高齢化した職人がどんどん廃業し,若い職人が育っていなかったり,東北の復興に取られてしまっているという事情もあるようだ.
加えて,今資材がガンガン値上がりしている.そして不足もしている.
合板や断熱材がないといった震災直後のような状況に加えて,耳を疑うのは柱や土台に使う桧や杉も不足しているということ.かつて,日本の建築の歴史において,木造の柱や土台がないなどということがあっただろうか.もちろん,これも短期的には消費増税による駆け込みもあるけれど,日本の林業の衰退,そして投機目的で意図的に木材を買い占めたり出し惜しんでいるという,嘆かわしい背景もその構造にはあると言われている.
うちの事務所で現在進んでいる現場もまた,深刻な工程遅延に悩まされている.この流れを読み切れていなかった工務店にも非はあるだろうが,話はそう単純ではない.
先日聴きに行ったとある建築家の講演会でも,設計は終わっているのに,職人がいなくて未だに着工することすらできない住宅があるとおっしゃっていた.金額の問題ではなく,今本当に大工さんがいないのだ.あぁ同じ問題だと思った.
先日見た報道では,安藤忠雄さん設計による小中学校も,同様の背景から,着工はおろか見積りの入札すら入らず,業者が辞退してしまう事態が続いているという.もちろん安藤さんだけではなく,現在全国的にこの問題は広がっている.
[安藤忠雄さん設計の校舎、入札不成立3度の事情]
2014年1月29日 YOMIURI ONLINE
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20140129-OYT1T00551.htm
先に消費増税の影響と書いたが,では4月以降は解消されるのかと問われたら,私は楽観できないと思う.なぜなら来年10月には消費税が再び上がる可能性もあるし,東京オリンピックも決まった.2020年に向けて,都内では数年後から空前の建設ラッシュがはじまるのが目に見えているからだ.
今設計のご相談に見えている方には,数年前まではかろうじて可能だった厳しい予算帯の住宅も,今は悲観的なお伝えの仕方をせざるを得ない状況にある.資材に加えて職人の労務費も高騰し,どこを見渡しても楽観できる要素がないのだ.
それでも,「いつが建て時か?」と問われれば「今しかない」となる.
理由は前述の通りである.我々もとにかく目の前の仕事に全力投球するほかないのだ.
景気が上向きになったからといって浮かれているのはごく一部の人たちだ.現場はそれどころではない.本来の「ものづくり」の本質とはかけ離れた場所で起こっている現在の社会状況と,それがしばらく続くであろう見通しに,私はつい暗い気持ちになってしまうのだった.
