24. 12 / 27

今年も仕事納め

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sekimoto

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> STAFF
> 仕事



我々も今日が仕事納め。この暮れは、過去記憶がないくらいに忙しく、設計の仕事が忙しかったらもっと良かったんですが、どうもそれ以外に忙殺された師走となりました。ようやく仕事納めまで辿り着けてホッとしています。

今年もいろんなことがありました。暮れの受賞ラッシュもあってなんとか一年の帳尻を合わせた格好ですが、今年は主力スタッフの産休入りがあったり、年間通して延々と仕事を取り損ねるという不運が続いたり、、ほかにも言えないこと多数?

年始にたまたま見てしまった占いによると、今年は12年に一度の乱気の年。まさに波乱の年の幕開けでした。おそろしいことに、占い通りにこの一年が進んだ感があり、、。

開運祈願の如く、これまで面倒で出さなかったコンテストの類に片っ端から応募したのが実を結び、年末の受賞ラッシュにつながったわけですが、こういうものは出しておくものだということを今年は学びました。

今年終盤の逆転劇のもう一つは、なんと言っても相羽建設さんのルームツアー動画に出演させて頂いたことでした。
https://youtu.be/s0C1H9CY3Ts?si=ls0HDrO1Cm3CG-Ex

こちらは公開からわずか2ヶ月で約28万回再生もまわっていて、動画を見た方から、我々のmuniスツールの購入希望が続々とあったり、最近では自邸のオリジナルのダイニングテーブルの問い合わせまであったり、設計相談の問い合わせも色々届いたりしています。YouTubeおそるべし。相羽建設の伊藤さん、本当にありがとうございました!

最後のところだけを見たら順風満帆のようでも、一年の計はみんな同じ。トータルで均すとプラマイゼロだなあと思います。

さてどん底な今年もこれで底打ち。
スタッフの皆さん、来年は良い年にしましょうね!

24. 12 / 15

柴くんの自邸

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sekimoto

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> OPENHOUSE
> STAFF



アキミチデザインの柴秋路くんの自邸が竣工したとのことで、内覧にお邪魔してきた。柴くんはリオタデザインの元スタッフで、うちに入社したのは今から16年くらい前のことだ。もともとは私が設計したカフェmoiの常連さんで、カフェのオーナーから紹介された当時、彼はまだ専門学校の学生だった。

いわゆる建築学科を出ていない彼は、私の事務所に入るまでに、そして独立するまでにも紆余屈折があった。詳細は省くが人一倍苦労していることは確かだ。苦労は人を育て、そして設計に深みを与える。

独立初期こそリオタデザインの呪縛を抱えているように感じたものの、彼はそこからすぐに抜け出し、独自の世界を作るようになっていった。

彼の住宅にあるのは陰の存在だ。それは光と影という意味の陰ではなく、どこか心の奥底にある陰のようなもの。それが彼の設計には滲み出てくる。

この自邸においても、そんな彼の設計にかける情念のようなものが強く感じられた。それは人間の持つ執着や業のようなものとでもいおうか、割り切れない迷いが随所にあった。それがとても良かった。

私は裏表のないような人間を信用しない。そして論理だけでつくられた住まいにもまた魅力を感じない。それがいくら斬新であり、あるいは性能の裏付けがあったとしてもだ。住まいは人間が隠し持つ陰があらわれる場所であり、それを受け容れる場所であってほしいと思う。

たまたま居合わせた友人建築家が、彼は本当に私の事務所にいたのか?と尋ねた。たぶん、いたと思う。今の彼は私には作れない空間を作るようになった。それがただ嬉しい。

柴くん、おめでとう。
スタート地点に立ちましたね!

akimichi design
https://akimichi-design.com/






24. 11 / 17

廃材の木箱

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sekimoto

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> 子ども
> 思うこと



幼稚園から続ける美術教室。最近は大学が忙しくて教室自体には行けてないようだけど、毎年秋の美術展には必ず出す。3歳から18年連続出展は彼だけだと思う。21歳にしてすでに芸歴18年の子役みたい。続けるってすごいことだとあらためて思う。

彼は毎年シュールな作品を作る。いやシュールというのとは違うか。形式に納まらない彼の作品はいつも個性的だ。今年は大学で拾った廃材と銅板を組み合わせて木箱を作った。「Reflection」と名付けられた作品は、誰が見ても「???」

彼に説明を求めると抽象的な彼の思考があふれ出した。咀嚼するとこうだ。

「誰かに何かの目的のために使われてきた廃材を拾い集めて再構成した木箱は、自分と他人との関係を相対的にむすびつけた媒体になる。そこにさらに鈍い反射率をもつ銅板をはめこむことで、その関係を象徴的に写し出す鏡にできないかと考えた」

たぶんそんなことを言っていたと思う。違ったらごめん。

会場でそれを理解した人は一人もいなかったかもしれないけれど、それでいい。とてもいい。美術は彼が自由に生きるための道しるべなのだ。とてもありがたい。


24. 10 / 06

砂底

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sekimoto

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> 思うこと
> 生活


金曜日に急に熱が出てダウンしてしまった。大事な打ち合わせがあったのに迷惑をかけてしまった。風邪を引いたといえばそれまでなのだけれど、それだけじゃなかった気がする。

ここのところずっと心と体が重かった。夜もよく眠れず、昼間は眠かった。それでも次から次に対応しなくてはいけないことが起こり、ずっとアクセルとブレーキを同時に踏んでいるような日々だった。きっとブレーカーが落ちたのだと思う。

二日間体を沈めたらだいぶ気持ちが楽になった。砂底をわずかに蹴った。ここから浮上がはじまる。

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sekimoto

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> STAFF
> 仕事



2020年の入所以来、4年半に亘って事務所を支えてくれていたスタッフの岩田舞子さんが、出産のため産休に入ることになりました。出産後1年の育休ののち、予定では2025年11月頃を目安に再び復職してもらう予定です。

彼女の休業中は私を含め残ったスタッフで業務をカバーして参ります。しばしご迷惑をおかけすることもあるかもしれませんが、皆さま何卒ご理解の程お願い致します。


さて、彼女の出産をめぐっての私の葛藤や事務所のバタバタについては、これまで書けなかったこともいろいろあるので、この場をお借りて記しておきたいと思います。以下長文ですがお許し下さい。

彼女を知る方ならわかると思いますが、うちの事務所において岩田さんの存在というのはとても大きく、彼女から出産予定の話を聞いたときは正直頭が真っ白になってしまい、とっさに「おめでとう」の言葉が出てきませんでした。当時はそのくらい私も動揺していました。

彼女の明るい性格と気配り力、難しい設計を最後までまとめ上げてくれる粘り強さには、いつも本当に助けられていました。最近では後輩に対する指導力もつけてきて、事務所の番頭として、また私の片腕としても全幅の信頼を置いてきたスタッフです。

昨年結婚したこともあり、いつかはこの日が来るであろうと思っていましたが、こんなに早くやってくるとは…。私も長く事務所をやってきましたが、女性スタッフが出産するというのははじめての経験で、本当に考えることが山ほどありました。


ひとつは彼女の復職時期のことです。出産後は彼女も復職を希望していましたが、そのためには子どもを保育園に預けなくてはなりません。

保育園の入園時期は4月なので、半年後の4月に入園を希望すれば入れる可能性も高くなりますが、彼女の希望はできれば育休を1年は取りたいということでした。そうなると復職は来年の11月、果たしてそんな時期に希望の保育園になど入れるのか、彼女の長期不在中の穴はどう埋めれば良いのか、不確定要素ばかりでどこから手をつければ良いのかわかりませんでした。

うちのようなスタッフが2~3人の零細アトリエにとって、一年という時間はとても長い期間です。この先の仕事の受注状況も読めませんし、忙しくなるようなら人を増やさなくてはなりません。しかし一方では彼女が復職してくることを考えると、彼女の席はそれまで残しておかなくてはなりません。

半年くらいならなんとかなるとしても、一年ものあいだ彼女の居場所を果たして残しておけるのか、当時の心境としては「それはさすがに無理!」というものでした。

また復職しても、保育園のお迎えなどがあるので今までと同じように夜遅くまで働くことは難しくなります。建て主さんとの打合せが入りやすい土日も家を空けることは難しくなるでしょう。設計事務所の仕事というのは、日中は現場やメーカーなどとの打合せが多く入るので、静かに集中して図面が描けるのは18時以降になってからというのが日常です。

それが復職後は定時よりも早く上がり、土日も打合せに参加できないとしたら…それは設計事務所では働けないということを意味してしまうのです。

これは今どきの一般企業からしたら考えられないことですよね。でも設計事務所ってそういうところなのです。私は長いあいだ設計事務所を運営してきましたが、今回この当たり前のようでいて当たり前でない、設計事務所の抱える矛盾や問題にはじめてぶつかったような気がしました。


一方で、これが男性ならどうでしょう?

子どもができたことを告げれば、会社からは祝福されて、なんなら「これからは子どもの分までバリバリ働かないとね」なんてハッパをかけられる場面すら思い浮かびます。一方の女性は「無理をしないようにね」「家庭を優先してね」と、誰もが悪意なく声をかけることと思います。きっとこんなことがなければ、私もそんな言葉をかけると思うんですね。

つまり子どもを授かったら、男性はより仕事に専念し、女性は仕事をセーブしなくてはならない。これが設計事務所なら辞めなくてはならない。女性だって男性と同じように働く権利があるというのに、これっておかしいですよね。

途中からそんなことも思い始めて、なんだか無性に腹が立ってきました。実際に岩田さんも「リオタデザインを辞めなくてはいけないかもしれない」ということでずっと悩んでいたようです。彼女ともこの件では何度も話し合ってきましたが、お互い歩み寄れない一線があり、なかなか問題はクリアにはなりませんでした。


建築家仲間の丸山弾くんに相談したのはそんな時でした。彼の事務所でも女性スタッフが立て続けに産休に入り、不在中は彼がスタッフの分まで図面を描いてその穴を埋めるべく奮闘していたことを知っていたからです。

同じ設計事務所の主宰者として、そこまでしてスタッフを残す決断をした思いを知りたくて、彼にも電話をして話を聞きました。いろいろと相談に乗ってもらったのですが、先の問いに対する答えは「ほかに替えのきかないスタッフだから」というもので、それが妙に腑に落ちました。(弾くん、その節はどうもありがとうございました)

求人をかければ新しいスタッフは入ると思いますが、彼女と同じスタッフが入ることはありません。彼女の存在は、事務所にとって唯一無二なのです。それに今回出産を理由に彼女が辞めたとしたら、以後入所する女性に対してもそういう悪しき前例をつくることにもなります。

ようやく吹っ切れて、翌日彼女には「育休は一年取っていいから、事務所に残って欲しい」と伝えました。出産後も安心して仕事を続けられるよう、すべてのリスクテイクは事務所が背負うことを決めました。

一方で残るスタッフの佐藤くんにも過剰な負担がかからないように、スタッフを一人増やすことも決めました。岩田さんが帰ってくればスタッフは3人になります。正直人を雇う余裕はあまりないのですが、そこも腹を括ろうと思います。


今どき産休育休なんてあたりまえの世の中ですよね。テレワークを併用して子育てと仕事を両立している女性もたくさんいることと思います。建築の仕事は、現場監理や所内での密な図面打合せもあるので、復職後もすべてテレワークでというわけにはいかないかもしれませんが、今回のケースを設計事務所のこれからの働き方を考えるケーススタディとして、私自身にとっても学びの機会にできればと考えています。

正直に言えば、今もすべてをそんなにドライに割り切れているわけではないんですけどね…。(スタッフが一時的にでも抜けるのはやっぱり寂しいですし)

そんなことで、年内は佐藤くんと二人で事務所は回してゆきます。途中からはヘルプをお願いする予定もあり、年明けからはもう1人新しいスタッフも合流予定です。

岩田さんも、担当する現場についてはテレワークベースで産休中もフォローを続けてくれるそうです。リオタデザインはつくづく良いスタッフに恵まれている事務所だと思います。みんな、どうもありがとう!私は彼らを養うためにどんどん新しい仕事を取らなくては…汗

岩田さん、体調に気をつけて元気な赤ちゃんを産んで戻ってきてくださいね。みんなその日を心待ちにしています!!