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sekimoto

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> 建築・デザイン
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WHAT MUSEUMで開催中の「感覚する構造」展にようやく行ってきました。WHAT MUSEUMはOB建主のHさんが立ちあげに関わっておられ、一度行きたいと思いながらもなかなか機会を作れずにいたのでした。

今日はスタッフも一緒に、Hさんと近くのT.Y.HARBORでランチをご一緒させて頂きました。ご多忙の中久しぶりの語らいの時間も取って頂き、またその後も展覧会までご案内頂いてしまいました。Hさん、どうもありがとうございました!!

展覧会も精巧な構造模型が並び、見応えも十分でした!現代建築の構造もクリエイティブで素晴らしいのですが、東大寺や法隆寺といった日本の伝統建築の木組の奥深さにもあらためて感銘を覚えました。

別棟の模型倉庫も楽しかったです!学生時代にこんな施設があったら、表現のインスピレーションに通い詰めただろうな、、とあらためて思いました。

夕方戻ってからは、スタッフも私も皆黙々と仕事!よく遊び、よく学び、よく働いた一日でした。

WHAT MUSEUM
https://what.warehouseofart.org/




パナソニック汐留ミュージアムで開催中のポール・ケアホルム展へ。1999年にはじめて北欧を巡った際、最初に降り立ったデンマークのカストロップ空港にずらりと並んだPK22の椅子を見た時の光景は今でも忘れられません。

ケアホルムは昔から憧れのデザイナーのひとり。デンマークに行ったのはウェグナーをはじめとした名作家具を現地で見てみたいと思ったからなのですが、まさか空港にこのミュージアムクラスの椅子が惜しげもなく並べられているとは思いませんでした。文化度の違いを見せつけられた気がして、私がその後北欧にどっぷりハマっていくきっかけにもなりました。

北欧のデザイナーにしては珍しくスチールを巧みに使い、その鬼のような精度とプロポーションの追求は、私の中では「北欧のミース」だと思っています。

ケアホルムが51歳で早世したことも知りませんでした。この世のものとは思えないようなものを作る人は、やっぱり長生きはできないのかもしれません、、。彼の歳を過ぎた私は、まだ何も残していないような無力感すら感じてしまいました。

それにしても貴重な織田コレクションの数々は圧巻のひとこと。田根剛さんの会場構成も素晴らしかったです!


昨日は工学院大学にて、理事を務めるSADI(北欧建築・デザイン協会)の第41回総会が開催されました。リアル総会は実に5年ぶり!久しぶりに会員が一堂に介しての総会となりました。

総会後は、こちらも5年ぶりの開催となる総会記念講演会でした。この日は特別企画として、当協会理事で北欧デザインのレジェンドでもある島崎信さんにご登壇いただき、進行役の多田羅景太さんや私とも掛け合いのトークセッションを繰り広げる予定でしたが、ここでちょっとしたハプニングが、、。

トピックのひとつとして考えていた、島崎さんの生い立ちやこれまでのライフヒストリーについて、島崎さんが事前に膨大なスライドをご用意下さり、その数実に90枚!それを見た瞬間、今日は(セッションではなく)島崎さんの独演会になるであろうことを多田羅さんと静かに察し、覚悟を決めたのでした、、。

その内容は島崎さんの生い立ちから始まり、デンマークへと渡った経緯、そしてケアホルムやモーエンセン、カイフランクといった北欧デザインのレジェンド達と交流など、まさに戦後日本における北欧デザイン文化の萌芽と成熟までを一気に駆け抜ける個人ヒストリーでもあり、これまで数えきれないほどのセミナーをこなしてきたであろう島崎さんをして、その口ではじめて語られる貴重なお話ばかり。

島崎さんは現在92歳とのこと。しかし声には張りがあり、その語り口にも衰えはありません。いつもの早口で話し続ける姿は鬼気迫るものがあり、途中からは進行役の我々ですらも合いの手すら入れることもできませんでした。

驚くのはその記憶力!口から出てくる人物名は澱みなく、それがいつの出来事であったかを、年号から日付までを正確にお話しされる姿には本当に舌を巻きました。

「北欧に渡って楽しいことばかりではなかった。(安易なモノマネをする)日本を馬鹿にされて悔しい思いもたくさんした」と語った時には思わず声を詰まらせる場面も、、。国内で売られる北欧家具のうち、正規ルートではなかったり、本来とは異なる作られ方をした家具にことのほか厳しかった島崎さんの、現在に至る情熱の原点を垣間見たような気もしました。

スライドも最後まで行きつかないまま時間が迫り、断腸の思いで我々が話を引き取ろうとするも、制止を振り払ってなおも語り続ける姿は、我々に「これだけは伝えたい!」という思いに溢れていました。(ちょっと泣きそうになりました)

ご参加くださった皆さまには、当初のトークセッションという企画趣旨を大きく変更しての内容となりまして申し訳ありませんでした。ただ私個人は、こんな幸せはありませんでした。

壇を降りられた島崎さんがゆっくりと杖をついて歩く姿には、魔法が解けたようで一抹の寂しさも覚えました。島崎さんがお元気なうちに、話しきれなかった話の後半を聞ける機会を持てればと願っています。全身全霊でお話くださり、本当にありがとうございました!


「これまでの仕事」に、昨年にかけて竣工した以下の2件について写真をアップしました。

■越屋根の家(撮影:繁田諭)
https://www.riotadesign.com/works/23_koshiyane/

■高円寺の長屋(撮影:新澤一平)
https://www.riotadesign.com/works/23_koenji/

どちらも規模が大きく、数年かけてようやく着地した産みの苦しみのあった住宅でした。それだけに竣工にあたっては感慨ひとしおです。

建て主さまも、撮影にご協力下さり誠にありがとうございました!どちらもGWに撮影を敢行したのですが、「越屋根の家」は絵に描いたような快晴に恵まれました。「高円寺の長屋」は残念ながら、当日は少し雲の多い天気だったのですが、しっとりとした静かな光となりこれはこれで気に入っています。

賃貸住戸の住人の方にも撮影協力を頂いたのですが、素晴らしい住みこなしぶりで母屋にも負けないインテリアコーディネート。賃貸であっても類は友を呼ぶのか、「リオタデザインの設計した家に住む人、インテリアセンスがえげつない説」がここでもまた実証されてしまいました。


昨日はスタッフを連れて、PSモンスーンでのアアルト財団ヨーナス・マルムベルグさんによるアアルトセミナーへ。

アアルト建築の動的保存を専門とするヨーナスさんの話の視点はとても刺激的だ。アアルト財団はアアルトの建築を、形骸化した保存ではなく、常に「使われながら残す」というアクティブな保存手法をとっている。

アアルトスタジオは財団事務所として今もなお使われているし、サウナッツァロ役場は宿泊施設として、パイミオもその用途を二転三転させつつも、オーナーに建物を正しく使ってもらうための努力を欠かさない。間違っても電飾看板は付かないし、建築の価値を損ねるようなことは財団が、そして国民が許さない。

そこには「オリジナルに忠実に」という精神と、「そもそもオリジナルとは何か?」という柔軟な姿勢とが表裏一体になっていて、思考停止していないところが素晴らしいと思う。そういう竹を割ったようなわかりやすい思考は、やっぱりフィンランド的で清々しい。

素晴らしいレクチャーにお誘いくださりありがとうございました!