カーテン類などは住宅のオプションのようなもので、竣工後に建て主さんが好きなものを付けるというのが通例ですが、うちが設計する住宅では竣工時にカーテンの代わりにロールスクリーンを取り付けた状態でお引き渡ししているケースがほとんどです。ないとご入居後に困ってしまいますので。。

私の自邸も含めて、いつもニチベイさんにお願いして定番仕様のスクリーンを取り付けて頂いているのですが、今回タイアップのお話を頂きまして築15年の我が家のスクリーンの一部を交換して頂き、取材までして頂きました。ニチベイさんありがとうございました!

【なるほどブラインド】
“透明な壁”とロールスクリーンで家族も街もつなぐ家
https://www.nichi-bei.co.jp/column/58/

今回庭側と道路側には「ha・na・ri」というブラインド風のスクリーンを取り付けて頂いたり、ロールスクリーンも色をグレージュ系のこれまで使ったことのない色を使ったりと、リビング周りのスクリーンを一新してみました。上記のリンクから、どうかサイトのインタビュー記事もどうかご覧頂けたらと思います。




暮れに野地木材工業のYouTubeチャンネル「のじもく酒場」の収録でホテリアアルトに行ったことを書かせて頂きました。
https://www.riotadesign.com/blog/221231.html

上記の前編は益子義弘先生を囲んで、私や伊礼さん、小谷さんらとクロストークを展開するものでしたが、こちらの後編、ホテリアアルトのルームツアーを設計者の益子義弘先生とともに巡らせて頂いた動画が、以下に公開されました。


https://youtu.be/OAdsXDhLr_c

ホテリアアルトに行かれたことのある方でしたら、ご覧になると「あれはそういうことだったのか!」となると思いますし、まだ行かれたことのない方は、行かれた際には是非ニヤニヤしながら「これはね」とウンチクをご披露頂ければと思います笑。

ふだん作品の多くを語られない益子先生直々の空間解説はとても貴重だと思います。ただこれ、気づくとほとんど私しかしゃべってない、、大好きな空間なだけに視点がマニアックですがどうかご容赦ください笑

23. 01 / 15

我々の価値

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sekimoto

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年が明けて、滞っていたプロジェクトがひとつ動き始めた。幸先の良い年のはじまり。そんな打合せ終わりの雑談で、その方がうちに設計を依頼しようと思ったきっかけとしてこんなことをおっしゃった。

その方はハウスメーカーにも行ったが、画一的なつくりがテンプレートのようで住みたいと思えなかったそう。次に工務店にも話を聞きに行ったが、こだわりある工務店で、そこでは住宅の性能のことをとても丁寧に説明を受け、断熱性能や気密性能がいかに大切かを力説されたそうだ。

ここまではあり得る話。じゃあそこにしようかしら、と気持ちが傾くのが今どきの流れだろう。ところがその建て主さんは、その説明を聞いて「そんな小数点の性能にこだわるよりも、もっと自分たちらしい家に住みたい」と思って設計事務所で建てることを選んだそうだ。

そんなことあるんだ。これまでその真逆の話をずいぶん聞かされてきたので、この話には本当に涙が出るくらい嬉しかった。我が事務所はそうはいっても、性能をけしておろそかにはしていない。HEAT20でG2グレードの断熱性能は当たり前だし、気密測定をすればC値でもそこそこ良い数字は出せる。

性能重視の時代だからこそ、ホームページにも大きく性能のことをアピールすべきだろうかと迷う気持ちもあるけれど、それはしていない。なぜかというと、それはうちの”売り”ではないからだ。

それをした瞬間に性能値の戦いがはじまる。数字では他社に負けるかもしれない。でも我々の価値はそこではないのだ。そうではない土俵で戦っているのだということをずっと考えてきたけど、工務店勢力に押されてここのところ心が折れそうになっていた。

性能はけして諦めないし手は抜かない。けれども我々の本当の価値はそこではない。

それを理解して下さる方が、うちにご依頼を下さる。
なんと嬉しいことだろう!

建もの探訪取材のため「壇の家」に。

記録的な晴天記録が、よりによってこの週末は曇り〜雨予報。なんとか篤史さんの晴れ男パワーで撮影の午前中はなんとか天気が持ちました。

いつも素晴らしいと思うのが篤史さんの気配り力。カメラが止まっている時も周りのスタッフをいじったり、話しかけたり、会話が止まることはありません。建主さんを緊張させない配慮なんでしょうね。

篤史さん本人は事前に内容は知らず、リハなしのぶっつけ本番で撮影するというのは有名な話ですが、この日もスタッフがうっかり中のことを言いかけたら「おっと、それ以上言うなよ。俺は本番で感動したいんだ」なんて言ってました。

中の撮影には立ち会えないので、中身は私もオンエアまでお預けなのですが、篤史さんの神コメントが今から楽しみです。住宅デザイン学校で語った講義「お笑い芸人に学ぶ」の続編で、「渡辺篤史に学ぶ」も是非語りたいです!

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sekimoto

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> 生活



正月も三が日を過ぎ、社会も少しづつ動き始めているようですね。昨年末に立て続けに引き渡した住宅の建て主さん達からも、この年末年始は家の片付けに明け暮れたという旨のメッセージとともに、ちょっとした相談や確認なども届き始めています。

そんな中、同じく暮れに引き渡した「巣の家」の建て主Fさんからはこんな素敵なメッセージを頂きました。許可を頂きましたので、こちらでもご紹介させて頂きます。

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引越作業が思いのほか長くかかり、その後の様子をきちんとご報告できておらず申し訳ありません。

仮住まいでは荷物の多くを開封していなかったため、入居時の引越作業は比較的簡単に済むと考えていたのですが、いざ荷ほどきしてみると小物一つとってもこの新しい住まいにふさわしいかどうか吟味してしまい、結果大半の荷物を捨ててしまいました。今の暮らしに本当に必要なものは何かを見極める良い機会になりました。

新しい家には、「もっとここはこうだったら良かったのに」と思うところがこれまでのところ一つもありません。いくつもの細かな私たちの希望を丁寧にすくい上げて頂いたということももちろんありますが、それ以上に私たちが気づかなかった部分にこそたくさんの驚きや発見があります。

たとえば、ダイニングテーブル背後の手を伸ばした先に小物を置けるスペースが用意されていたり、アトリエからラウンジ方向に視線を向けると、収納上部をくりぬいたスペースからテレビが見えたり(ちょうど良いシネマサイズになります 笑)、灯りのほしい場所にダウンライトがあったりと、挙げるときりがないのですが極めつけはやはり、リビングのどこにいてもいつでも東西南北の空が見えることです。そんな家はこれまで他に見たことがありません。

私たちは建て替える前までこの小さな土地に 15 年以上暮らしていたので、この空間の広さと開放感が驚異的なものであることを、身をもって感じています。素敵な家を造っていただき、本当にありがとうございました!

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新年早々、胸いっぱいに幸せな空気を吸い込んだようでした。

ご入居後に快適に暮らしているということを端的にお伝え頂けることは多いのですが、良くも悪くも「知らせがないのは良い知らせ」というのがこの業界の通例ですので、ここまで具体的にお住まいになっての感想を頂けると本当に嬉しく、また励みになります。

建主のFさんご夫婦のすごいところは「できるかできないかギリギリのところ」を攻めるのが上手いということです。もう少しムチャ振りが過ぎれば「それはできません」となるのですが、「できない、、とも言い切れない!」という、まさのペコパばりの返しをせざるを得ないところを突いてくるので、結果的にこちらの設計も絶妙に肯定ベースで進めることができました。

対応も常に紳士的で、こちらも大変気持ちよく設計を進めることができました。きっとFさんご夫婦は、お仕事でも抜群に仕事のできる方たちなのでしょうね。

一方では我々も、「くるっと振り向いたらここに新聞が置けるように」とか、「ラウンジ側からアトリエで仕事(勉強)している人の気配がわかるように」とか、「ここから視線が抜けるように」とか、頼まれてもいないのに妄想を勝手に膨らまして、あらゆる場所のスケールを検討してトラップを仕掛けていました。

これらはすべて我々の設計における”伏線”のようなものですので、「たまたまじゃないの?」と流されてしまうととても悲しいのですが、こうしてひとつひとつ拾い上げてもらえると、心の中でガッツポーズを決めたくなります!

また冒頭の「大半の荷物を捨ててしまった」というのも、建て主さんあるあるだと思いました。

最初は皆さん今の生活をそのまま持ち込もうとされるのですが、空間に合った暮らしを選択されることで、建て主さんもそこでもう一度生まれ変わることができるということなのだと思います。けして我々が「捨ててください」と言っているのではありません笑

書いておられるように、Fさんは建て替える前まで同じ場所でお住まいになっていました。建ペイ率や容積率が厳しく、建て替えても家を今以上に広くすることは出来ないという絶望的な(?)条件からのスタートでしたが、敷地は同じでもプランニング次第で空間は大きく化ける!ということを実証できて本当に良かったと思います。

Fさん、このたびは素敵なコメントをありがとうございました!