15. 04 / 28
免罪符
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sekimoto
category
> 思うこと
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竣工直前、現場はクリーニング、私はもうひと仕事。
現場に貼られたシールを剥がしてまわる。
これなんなんですかね、ベタベタと。
どんだけ重要なことが書かれているのかと思いきや、
「この製品はガラスのため破損することがあります」とか、
「硬いものでこすると傷つく恐れがあります」とか。
知ってる。
見ればわかるし。
PL法ってやつなんでしょうか。要は「言ったかんね、だからこっちには責任ないかんね」っていう。責任を全うするんじゃなくて、無責任を全うするための免罪符。
いいよいちいち貼らなくて、て思うんですが、いるんでしょうね、クレーマーが。「書いてなかったから破損したじゃないの!」とか言う人が。デザイナー泣いてるよ。この製品デザインした人が。そして、それスペックした設計者が。
わかった。まあいい。でも一言言わせてもらおう。
もっと剥がしやすくしてくれ。
先に書きました中庭改修の足場がようやく外れ、中庭が生まれ変わりました。
外壁の打合せではよく「メンテナンスフリーでお願いします」というご要望を頂きます。メンテンスフリー、いいですね。まったくをもって賛成です。
ですが私の家はそれに反して本当に手のかかる家なんです。なんといっても外壁に木を張っているんですから。定期的に再塗装も必要です。しかも足場を掛けないと高所には手が届きません。
一体なんてことしてくれたんですか!こんな手のかかる家を。
これがクライアントなら今にもお叱りのお言葉を頂戴しそうです。
でもいいんです。だって私んちなんですから。
でも思うんですけどね、手かければいいんじゃないですか?
手のかからないお子さんがご希望ですか?ドラマに出てくるような。でも自分の子供はかわいいでしょ?まったくをもって手がかかる。でもそれが愛着なんです。
というわけで、私としては少々傷みの目立ってきた我が家の外壁に、オイルを塗る日を実はとても楽しみにしていたんです。実は我が家の外壁、竣工以来”無塗装”です。何にも塗ってません。レッドシダーに何も塗らないで何年持つかの壮大な実験をしていたんです。
結論…8年。正確に言うともっと持つと思うんですけどね。ヒビが入っているところもありますし、もう見るに見かねてというか、これ以上引き延ばすと取り返しのつかないことになるような気もして、ここらで塗装に踏み切ることにしました。
待ってろよ、今塗ってやるからな!
わかるでしょうか?上がBeforeで、下がAfterです。
もうちょっと寄りで見てみましょうか。
だいぶきれいになりました。今回調色にもちょっとこだわりまして、いつもはキシラデコールを単色で塗るのですが、現在のちょっとくすんだ外壁も意外と気に入っていまして、これを単色で塗りつぶしてしまうのはちょっともったいないなあと思っていました。
そこでキシラデコールの色を薄めて、やすらぎ(乳白色)とチーク色を9:1に配合してもらいました(チークが1ね)。チークが1なのに、案外しっかり色が付くこともわかりました。この実験結果はまた今後に活かしたいと思います。
玄関もこの通り。
こちらは、やすらぎとピニーを5:5に配合しています。もうちょっと黄色くなるイメージだったんですが、自分でもちょっと予想外の色になりました。これはこれですごくいい感じです。
足場が外れてなんだか家を新しくしたような気分です。
リフレッシュして、家も喜んでいるように見えます。
今回施工は、この家を建ててくれた堀尾建設さんにお願いしました。堀尾さんはいつも本当に対応が良くて、その後も何かと細かいお手入れをお願いしています。
これから家を建てようという方は、工務店さんとの関係は本当に大切にした方が良いと思います。いったん関係がこじれてしまうと、困ったときにもう電話できなくなっちゃいますから。
それは設計者とも同じですけどね笑
我が家も9年目に入りました。最近ますます魅力が増してきたなあとしみじみ思います。空間の魅力って愛着なんでしょうね。
15. 04 / 23
粕谷の家・あともう少し!
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sekimoto
category
> 仕事
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今日は間もなく竣工予定の「粕谷の家」の施主検査がありました。
朝から、いや正確に言うと先週くらいからずっとドキドキしていました。施主検査を受けるときはいつもそうですが、まるで受験当日を迎える受験生の気分です。
「あんなにがんばったんだから大丈夫」という思いと、「想定外の問題(しかも致命的なやつ)が出たらどうしよう」という不安な気持ちが相半ばします。
結果から言うと全体にはさほど大きな不具合はなく、検査は無事終了しました。
そりゃあ毎週目を皿のようにして、胃をキリキリさせて?、現場チェックに勤しんできたわけで、ここで何かあったら困るわけですが。何よりクライアントに喜んで頂けたことで、やたらと重い何かをようやく肩から(半分くらい?)下ろせたような気分です。
そしてふと気が緩んだところに、植栽がドカドカと運ばれてきました。
いよいよ”ストライカー”こと、湊さん(真打ち)の登場です。
湊さん、持ってくなぁといつも思います。
おいしいとこ、みんな持って行っちゃう。
植物ってすごいです。私は住宅も、がらんどうよりも家族や家具がそこにあった方が何十倍も引き立って見えると思っていますが、植物の持つ力はそれを凌駕しています。
我々も設計から現場まで1年半にも及ぶ期間、途方もない労力を一件の家にかけてきているわけですが、最後に乗り込んできた植栽仕事にあっけなく「負けた」と思わされるのは、もう慣れっことはいえ複雑な思いです。
もちろん勝った負けたではないのでしょうが、建築は時に植栽を活かすための背景にしか過ぎないのではないかとすら思うのです。極論ですが、美しい庭さえあれば、人間は十分幸せに暮らしてゆけるような気がします。
植物が大好きなFさんご家族も大喜び。次々と運ばれてくる植栽を楽しそうにいつまでも眺めていました。
そして私も…よく海を眺めると自分をちっぽけだと感じると言いますが、建築のちょっとした傷だとか、汚れだとか、納まりの不具合にちょっと前まで目を吊り上げていた自分が情けなくなるくらい、大らかな気持ちで植栽に癒やされている自分がいるのでした。
ここでお気づきでしょうか?
まだ一枚も「粕谷の家」の内部写真を公開していないことに。
ムフフ、この家脱いでもスゴいんです。でもまだ見せませんよ。
来週のオープンハウスは申し訳ありませんがクローズで行います。
幸運なご招待者はどうかお楽しみに!
15. 04 / 22
ダブルスキン
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sekimoto
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> 生活
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15. 04 / 16
人生劇場
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sekimoto
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> 思うこと
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家づくりで起こることは、人生で起こるすべてである、といつも思う。我々の仕事はクライアントにとって、おそらくは一生に一度の家づくりをサポートする仕事だ。だから重い。逃げ出すことも、投げ出すこともできない。
設計者はよく自らの仕事を物づくりと称するが、釘一本打たない人間が物づくりとはおこがましい。大工は木と向き合うが、我々が向き合うのは人間である。我々の仕事は人と人との関係性を整えたり、ものの考え方や見方、ひいては相手の人生を作る仕事だとも言える。
人間は難しい。答えはひとつではない。ある人にとっては正解であっても、ある人にとっては間違いであることもある。ある人は大らかに受け入れ、ある人は些細なことにも拒絶反応を示す。
建築にとって一番大切なこととは何だろうか。
学問に通じていることだろうか、傑出したデザイン能力であろうか、人々を魅了する話術であろうか。
私は相手の気持ちになって考えることだと思う。クライアントに寄り添い、共に悩み、共に笑うこと。当事者意識こそが建築にとって最も大切な素養であるような気がする。
しかし人間は難しい。それを心がけているつもりでも、時に思わぬ一言が誤解を招いたり、相手の機嫌を損ねてしまうこともある。私もまだまだ成熟には程遠い。
今週は濃密な一週間だ。ここ6日間で7組のクライアントとの打合せが続く。議論し、乗り越え、その悲喜こもごもを共有する。我々が向き合うのは人間そのもの。明日もまた、あらたな人生劇場が幕を開ける。
設計者はよく自らの仕事を物づくりと称するが、釘一本打たない人間が物づくりとはおこがましい。大工は木と向き合うが、我々が向き合うのは人間である。我々の仕事は人と人との関係性を整えたり、ものの考え方や見方、ひいては相手の人生を作る仕事だとも言える。
人間は難しい。答えはひとつではない。ある人にとっては正解であっても、ある人にとっては間違いであることもある。ある人は大らかに受け入れ、ある人は些細なことにも拒絶反応を示す。
建築にとって一番大切なこととは何だろうか。
学問に通じていることだろうか、傑出したデザイン能力であろうか、人々を魅了する話術であろうか。
私は相手の気持ちになって考えることだと思う。クライアントに寄り添い、共に悩み、共に笑うこと。当事者意識こそが建築にとって最も大切な素養であるような気がする。
しかし人間は難しい。それを心がけているつもりでも、時に思わぬ一言が誤解を招いたり、相手の機嫌を損ねてしまうこともある。私もまだまだ成熟には程遠い。
今週は濃密な一週間だ。ここ6日間で7組のクライアントとの打合せが続く。議論し、乗り越え、その悲喜こもごもを共有する。我々が向き合うのは人間そのもの。明日もまた、あらたな人生劇場が幕を開ける。
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