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sekimoto

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今日は間もなく竣工予定の「粕谷の家」の施主検査がありました。

朝から、いや正確に言うと先週くらいからずっとドキドキしていました。施主検査を受けるときはいつもそうですが、まるで受験当日を迎える受験生の気分です。
「あんなにがんばったんだから大丈夫」という思いと、「想定外の問題(しかも致命的なやつ)が出たらどうしよう」という不安な気持ちが相半ばします。

結果から言うと全体にはさほど大きな不具合はなく、検査は無事終了しました。
そりゃあ毎週目を皿のようにして、胃をキリキリさせて?、現場チェックに勤しんできたわけで、ここで何かあったら困るわけですが。何よりクライアントに喜んで頂けたことで、やたらと重い何かをようやく肩から(半分くらい?)下ろせたような気分です。

そしてふと気が緩んだところに、植栽がドカドカと運ばれてきました。
いよいよ”ストライカー”こと、湊さん(真打ち)の登場です。


湊さん、持ってくなぁといつも思います。
おいしいとこ、みんな持って行っちゃう。

植物ってすごいです。私は住宅も、がらんどうよりも家族や家具がそこにあった方が何十倍も引き立って見えると思っていますが、植物の持つ力はそれを凌駕しています。

我々も設計から現場まで1年半にも及ぶ期間、途方もない労力を一件の家にかけてきているわけですが、最後に乗り込んできた植栽仕事にあっけなく「負けた」と思わされるのは、もう慣れっことはいえ複雑な思いです。

もちろん勝った負けたではないのでしょうが、建築は時に植栽を活かすための背景にしか過ぎないのではないかとすら思うのです。極論ですが、美しい庭さえあれば、人間は十分幸せに暮らしてゆけるような気がします。


植物が大好きなFさんご家族も大喜び。次々と運ばれてくる植栽を楽しそうにいつまでも眺めていました。

そして私も…よく海を眺めると自分をちっぽけだと感じると言いますが、建築のちょっとした傷だとか、汚れだとか、納まりの不具合にちょっと前まで目を吊り上げていた自分が情けなくなるくらい、大らかな気持ちで植栽に癒やされている自分がいるのでした。

ここでお気づきでしょうか?
まだ一枚も「粕谷の家」の内部写真を公開していないことに。

ムフフ、この家脱いでもスゴいんです。でもまだ見せませんよ。
来週のオープンハウスは申し訳ありませんがクローズで行います。
幸運なご招待者はどうかお楽しみに!