この時期二つの大きな環境住宅系シンポジウムをコンプリート。
建築知識ビルダーズ主催の「日本エコハウス大賞」と、東京ガス主催の「住まいの環境デザインアワード」。うちは過去、後者の環境デザインアワードでは「DONUT」で優秀賞を頂いたことがある。10年以上続く環境デザインアワードに対し、エコハウス大賞はやや後発のアワードになる。
昨今の環境指向型住宅への興味から、先週はエコハウス大賞シンポジウムへ、そして昨日は後者の環境デザインアワードの受賞者シンポジウムへと足を運んで来た。
◇
エコハウス大賞は工務店系の人、環境デザインアワードは建築家系の人という棲み分け。同じ会場と思えないくらい空気の温度が違う。でも両方参加して良く分かった。これ絶対両方のシンポジウムを聴くべき。どっちが正しいとか間違ってるというのもない。両方正しい。
性能を定量化することも大事。でも、高性能住宅作ってるということで、自己満足しちゃってる人も多い気がする。建築家住宅は悪だって思ってません?だって温熱は正義ですから。
一方で単体の断熱性能やパッシブ的設計手法だけでなく、もっと大局の住まい手の嗜好や街並みのストーリーに寄り添う思想も大事。でも、饒舌に歯切れ良く説明することで、自己満足しちゃってる人も多い気がする。工務店住宅はダサいって思ってません?だって高尚は正義ですから。
住宅にはどっちも大事。建築にはどっちも必要。
今回環境デザインアワードシンポジウムのファシリテーターを務めたのは、日本エコハウス大賞でも進行を務めた建築知識ビルダーズの木藤編集長。木藤さんが、“建築家の祭典”に乗り込んで行ったのは今回意味があったと思う。何より建築家の審査員に一生懸命食らいついていたのが良かった。(木藤さん、グッジョブ!)
同じ「環境」語ってるのに、全く交わらないこのパラレルワールド。でもこの交点こそに絶対次の住宅があると思った。すごく勇気づけられた。
[補足]
建築家住宅=寒い、ではないですよ。意識高い方もたくさんいらっしゃいます!そして、工務店住宅=デザインいまいち、でもないですよ。最近はそこらの設計事務所より優れた設計をする工務店もいっぱいあります!じゃあどんな住宅が理想か?って考えたら、もう皆さんわかりますよね。
リオタデザインの冊子を、このたびMEME PARERさんより「スタッフいちおし冊子10選 2017年版」に選んで頂きました!
【MEME PARER|スタッフいちおし冊子10選 2017年版】
https://www.memepaper.jp/lp/2017selection
◇
リオタデザインに資料請求を頂いた時にお送りしているA5版の冊子があるのですが、こちらはプロに頼んで製作しているように見せかけて、ウェブ上で簡単に作れるMEME PAPERというサービスを利用しています。
実は以前はとある別のサービスを利用していたのですが、こちらが提供の判型を大きく変えてしまったため、MEME PAPERさんに乗り換えて再製作したものでした。
作成は至って簡単で、掲載したい写真を用意して、テンプレートに写真を載せてゆくだけ。あとはセンスと編集能力でしょうか(しかしこれが意外とハードル高い!)。
単価はA5サイズ(12P)で@600/冊(税別)で注文冊数に応じて割引があります。意外と安いですよね。中身はこちらからもご覧頂けます↓↓
[リオタデザインの仕事]
https://www.memepaper.jp/MEME-6012971707281934570
◇
家づくりをご検討の方には、別刷りのリオタデザインの仕事の流れを記した「設計業務のご案内」とセットで差し上げています。ご希望の方はどうか関本までメールください。 (riota@riotadesign.com)
以前告知させて頂いた、OZONEでのホテリアアルトセミナーが昨日無事終了し、ようやく肩の荷を下ろすことができました。私はファシリテーターということで、全体の進行役を務めさせて頂きました。来場者数は80名を越えほぼ満席の状況でした。
昨年のビルダーズでは私なりの解説を書かせて頂いたつもりでしたが、昨日のセミナーではようやくその”答え合わせ”をすることもできました。
それにしても、昨日も「匂いを消す」「(柱を)2本にすれば空間になる」など、設計者の益子義弘先生の”名言”もいくつも飛び出し、壇上からなるほど・・と唸りつつ、すとんと落ちたこともたくさんありました。
私からは、ホテリアアルトにある随所のディテールについて全力で妄想解説。益子先生曰く「関本さんは深読みしすぎ!」。しかしご本人からご説明して頂くと、あながち私の深読みも間違っていなかったんじゃないかなとも思いました。
当初「居心地とは?」という着地点が見えず、どうしたものかと頭が真っ白になりながら進行していましたが、益子先生、そして宗像オーナーの言葉に助けられながらなんとかゴールすることができました。
総括すると、益子先生の建築に流れるゆるやかな空気とその居心地の良さに宿るものは、しっかりと細部までを詰めた上で、最後は消しゴムで引き算してゆくという大局観だったような気がします。
どうしても私などは、空間を細部までキレッキレに納めたくなるもの。まだ若いですね笑。引き算の手法こそが我々がホテリアアルトから学ぶべきものなのかもしれません。
終了後の打ち上げの席にて。
宗像オーナーからは、「会場では話せなかったけど」と裏トーク。そこからは益子先生を”居心地悪く“させる(褒め殺しで?)トークで大盛り上がり。ホテリアアルトな夜は終わりません…。
皆さまお疲れさまでした!
ご登壇下さった益子先生、宗像オーナー、ご協力誠にありがとうございました。
また企画をともに進めたOZONEの阿比留さんにも、この場をお借りして深く御礼申し上げます。楽しかったですね!また一緒に企画して何かやりましょう。
寒い日が続きますね。低温注意報なんて、これまでそうそう聞かなかった言葉です。冬らしい冬というのも久しぶりですね。
さて、こんなに寒いとそこそこ断熱性能の高い家に住んでいても、どうしても住宅の中の温度ムラは出やすくなります。家中どこでも一定の温度という住宅は、それなりにコストをかけて、相当意識的に設計をしないと難しいのです。
我が家では陽当たりの良いリビングは日中は暖房いらず。ポカポカとまるで天国です。一方の廊下や陽の差さない洗面・脱衣室などは最も寒い部屋となり、ここ数日は朝には10度くらいにはなります(もっとも、これでも断熱少なめの昔の住宅よりはマシでしょうが)。
うちのクライアントからは、基本的には温かいのだけれど、2階にリビングを設けると1階が相対的に寒くなりますので、「1階が寒い」との声もよく頂くことになります。
ということで、既に建ててしまった家でも、一工夫することで家中の末端まで苦痛のない温度まで上げられる方法はないかと、ここ1週間ほど様々な方法を試して自邸で実験していました。今日はその結果をご報告したいと思います。
◇
まず冒頭に書きましたように、我が家は一番奥の洗面所で朝は10度くらいまで下がります。別に耐えられない寒さではありませんが、寒いっちゃ寒い。この温度をベースアップするためには当然追加の熱源が必要です。といっても、あらたに暖房器具を買うことなく、今家の中にあるものを使いたいと思います。
我が家の場合はこちらです。
「太陽光」と「エアコン」
だいたいどの家庭にもありますよね。
まずは太陽光の利用。
太陽光はタダです。素晴らしいですね。こんな熱源は太陽しかありません。我が家は道路側にかなり大きなガラス面があるので、リビングに関して言うと前述のようにとっても温かいです。どのくらい温かいかというと、
これは低温注意報が出ていた今週の某日、午前10時くらいの温度です。
上が室温、下が外の気温です。室内はこの時点では無暖房。太陽が出たら最強な部屋になります。(ちなみによく心配されますが、夏もそんなに暑くないですよ。遮熱ガラスを使っていることもありますが、我が家の7不思議の一つです)
この熱の塊をどう使うか。簡単です。引戸を開けておけば良い笑。熱は水と同じで、温度が高い方から低い方に向かって流れます。
その際に、扉が天井いっぱいまであると天井付近にたまった熱が移動しやすくなります。こうしたのは意図的かって?(あ、あたりまえじゃないですか…)
でもこれだけで家中温かくなるほど甘くはないんですね。我が家の場合、ガラス面積の大きい廊下がありますので、残念ながらここでかなり空気が冷やされてしまいます。そこで廊下の向こう側にも追加熱源が必要になってきます。
そこで出てくるのがエアコンです。
ここでは主寝室のエアコンを使います。温度設定は消費電力を抑えるために仮にこのくらいに設定。
ところで、いまだにエアコンを使うことに罪悪感を感じる人がいます。
そういう方に限って電気カーペットなどをガンガンに使っておられる。おそらくエアコンは家中のどの家電製品よりも群を抜いて省エネだしエコな設備です。
発電所から送られてくる電気の2/3程度は送電ロスによって失われますが、エアコンはヒートポンプの働きでその熱効率を各家庭で3倍くらいに増やしてくれるのです。(誤解のない表現が難しいですが、ざっくり言うとそういうことです)
そしてその使い方ですが、よく電力会社のCMなどで流れる「電気はこまめに消しましょう」という意識があるのだと思いますが、エアコンも寒いと付けて、部屋を出るときや温かくなったらすぐ消してを繰り返す方が多いと思います。ただ、おそらくこれは意外と電気を食います。
エアコンは立上がりにすごく電気を使いますので、設定温度を低くして、なるべく長時間付けておくのが一番効率の良い使い方です。
◇
さて、まだここで終わりではありません。このままだと、部屋からの熱の出口(扉)が小さいので、部屋の末端まで暖かい空気を届けるのがやはり難しくなります。ここで使うのがこちらです。
サーキュレータです。扇風機でもいいです。
これをどこに置くか。正直この調整に苦労しました。空気って正直なんですが、ちょっと気まぐれで、なかなか人間が考えたとおりに動いてくれません。まるで猫のようです。
結論から言うと、我が家の場合、サーキュレータを子ども室方向に向かって吹くことで、廊下をまわってぐるりと空気の循環の流れができることがわかりました。この辺は想像力を豊かにする必要があります。
また温かい空気は天井付近に溜まりますので、サーキュレータの角度も重要になります。私の場合、よくわからなくなってしまったので、上下の首振り運転にしました。
まとめるとこんな感じです。
この効果はてきめんで、室温が10度だった洗面所もエアコンとサーキュレーターを併用することで、約1時間半後には15度くらいまで上がりました。これまでどんなにやっても寒かった洗面所や浴室の温度環境が劇的に改善されました。
廊下も朝は10度くらいだったのですが、やはりこのくらい(下の写真)になります。床は以前は氷のように冷たかったのですが、かろうじて素足で歩けるようになりました。
ここで重要なのは、自分の快適温度は何度くらいなのかを知るということです。家族が長時間滞在するリビングは、寒がりの私は20度でも少し寒く感じ、22度まで上がるとちょうど良いと感じます。これは個人差があると思いますが。
ただ一時的に滞在して顔を洗ったり、洗濯をしたりする空間を常に20度に保つことには個人的には意味がないように思います。ただ私の場合、そんな部屋でも10度だと苦痛を感じ、15度だとストレスがないこともわかってきました。
そのためには温度計を各部屋に置くなどして、現在の室温が何度くらいなのかというのをこまめにチェックすると良いと思います。特に設計者は、感覚を定量化する(数字に置き換える)ということが、性能と感覚を近づける近道なのだなと最近つくづく感じることです。
◇
まとめですが、この実験で検証したかったことは、そこまでの高断熱住宅ではなくても住宅のポテンシャルを引き出す方法はいろいろありますよということ。そしてその工夫を生活しながら考えることは結構楽しいことですよということです。(まるで小学生が夏休みの自由研究をしているかのようです笑)
冒頭に書いた、2階が温かくて1階が寒いという方は、2階のエアコンをガンガン付けるのではなく、1階のエアコンをつけて下から上に向かって温めてゆくイメージを持つと良いと思います。もちろんサーキュレータも必須アイテムですね。
また熱源としてのエアコンはもう少し見直されるべきかもしれません。寒い部屋に一つずつ電気式の小型ヒーターを置いている家庭も多いと思いますが、局所暖房ではなく全体で考えた方が良いですし、省エネにもつながると思います。(ただし、ベースとして一定以上の断熱がされている住宅であるということが前提ですが)
でもその上で、別に寒くても構わないという方(寒さに耐性の高い方)はもちろん無暖房で良いのではないでしょうか。エアコンがいくら省エネだと言っても、付けない方が省エネになることは間違いありませんから笑
でもそうやって我慢して暮らすのは私は嫌だなと思うので、今ある住宅のポテンシャルを引出しながら、最小限のエネルギーで冬を乗り越える方法を考えたいと思います。皆さんも各家庭で工夫してみて下さい!
18. 01 / 26
先生の学生時代
author
sekimoto
category
> 大学
Warning: Undefined array key 1 in /home/riotadesign/riotadesign.com/public_html/wp-content/themes/rd/blog/cat_sekimoto.html on line 48
今日は大学指導の最終日。カリキュラムの関係で1日余ったこの日は、1年生に各先生の学生時代の話をしてあげようということに。私を除く6名の講師の昔話はとっても面白く、講演会でも話さないであろう微笑ましいエピソードが盛りだくさんでした。
私は学生時代の課題のいくつかを見せました。私も1年生の時はなかなか先生に褒めてもらえず、悔しくて夏休みのパース着彩課題は自分なりに頑張りましたが、評価は結局Aマイナス1(つまり79点ということですね)。これだけ頑張ってもAすら取れない(努力は報われないこともある)という、そんな話をしたりしました。
最後に学生の感想レポートをコピーさせてもらい、読みながら帰ってきましたが、学生たちには相当刺激になったようですね。熱が学生に伝搬しているのがわかりました。先生方(私も含む)は昔話をするのを皆嫌がっていましたが、まずまず成功だったのではないでしょうか。
*
category







