先日照明器具のカタログを見ていて、ふとページの下にこんな地味な記載があることに気付きました。

「照明器具の適正交換時期は8~10年です」

この場合の照明器具とはLED照明のことを差しています。
ん?どゆこと??こんなこと、前から書いてありましたっけ?(気付かなかった…)

ご存じの通り、LED照明は白熱灯などと比べて飛躍的に長寿命で、白熱灯のようにフィラメントを光らせる構造ではないので、原則的に”切れない”とされています。その寿命は、故障さえなければ20年くらいと聞いていた気も。8~10年はさすがに短すぎるでしょ!汗


まずLED照明の”寿命”について、ここでおさらいです。

LEDは前述の通り、故障さえしなければ切れることはありません。ただ、その明るさは竣工時をMAXとして、年々暗くなってゆきます。いわゆる経年劣化ですね。そして初期の明るさの、約70%の明るさになるまでの時間を光源寿命としています。

で、それがどのくらいの時間になるかというと、弊社が定番で採用している間接照明のLED光源で40,000時間、ダウンライト系で60,000時間です。

ちょっと計算してみましょうか?

仮に一日8時間照明を点けたとします(朝に2時間・夜に6時間)
8時間/日 x 365日 = 2,920時間/年

この計算だと、40,000時間の器具で約13年、60,000時間の器具で約20年で、光源寿命を迎えることになります。

ただ、家中の灯りを一律で点けている家庭はないでしょうから、上記は最も連続点灯時間が長いリビングやキッチンまわりの照明のケースということになるかもしれません。逆に言うと、そこまで在室率が高くない寝室や廊下などの空間に関しては、もっと光源寿命は延びるということになりそうですね。

8~10年で交換という記載を鵜呑みにすると、メーカーが儲かって儲かって仕方なくなるので、そこはさらっと流すことにしましょう。


ただ、パナソニックさんのカタログにはこんな気になる(オソロシイ!?)表記もありました。


「LED照明器具の耐用年数は15年。その後は全数交換をお勧めします」

ん?どゆこと??
竣工したら15年後に家中の照明器具をまるごと交換しないといけないんですか??

これについては、パナソニックさんに聞いてみました。
「いえ、そうではありません。照明には使用時間に応じた光源寿命がありますので、暗くなったら取り替える、明るければ20年経ってもそのままお使い頂けるとお考え下さい」

な~んだ、ほっ!
相談員の方は親切でした。交換させたくて仕方がないのは会社の上層部の方針なんでしょうかねぇ。


ただ、そんなことも言っていられない問題があるのも事実なんです。

今意識している人はあまりいないと思うのですが、あと10年もしたらリアルにこの「LED交換問題」が出てくると思うんですね。竣工したばかりのあなたも、リビングの照明器具に関しては約13~20年後には今より確実に30%も部屋が暗くなっているわけです。しかもあなたが気がつかないうちに!

電球や蛍光灯ならまだシンプルで良かったんです。耐用年数を迎えれば切れますから。そして切れたら球を交換すればまた100%の状態に戻ります。白熱灯ならその費用はわずか数百円です。

ところがLEDの場合は器具ごと交換しないといけないんです。なぜなら、新築で設置するLED照明器具の多くは、LED光源が器具と一体になっているからです(もともと白熱灯だった器具にLED電球を取り付けているケースであれば、LED電球だけの交換で済みます)。

たぶん現行のLED器具が光源寿命を迎える”Xデー”には、「なんか最近暗いな~と思いながらそのまま生活し続ける」という”そのまま派”と、「暗くなってきたから器具を交換しよう」という”替えよう派”が出てくることが予想されます。

そして、”そのまま派”は竣工時よりひたすら暗くなった空間での生活を余儀なくされ、”替えよう派”は13~20年のうちのどこかで数万~数十万規模の照明改修工事が宿命づけられるということになります。

たぶん、夕方住宅地のインターホンを押しては「お宅の照明は暗いですね」と照明交換をひたすらに勧める押しかけリフォームが流行るに違いありません!(きっと、お年寄りをねらった詐欺も横行)

LED照明化は時代の流れですし、国策なので誰も逆らえませんが、電気代が安くなったと喜んでいられるのは今のうちだけで、あと13~20年も経ったら、その”貯金”を全部持って行かれるかもしれないくらいの出費(交換工事)があることも覚えていて下さいね。


うちも設計ではほとんどの照明器具をLEDでスペックしていますが(だって、カタログにはもうLEDの照明器具しかないんです!)、ダイニングや寝室などには北欧系のペンダント照明やブラケットを使って、一部では頑なに白熱電球を使い続けています。

白熱灯も調光器を併用してうまく使ってあげればそんなに球も切れないし、何十年も使えるし、それが一番エコだと思うんだけどなぁ…(ぶつぶつ)

この問題、けっこう根深いです。頭がいたいですね。

19. 02 / 06

書籍のご紹介

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sekimoto

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> メディア
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掲載誌のご紹介です。
エクスナレッジさんより立て続けに発刊されました以下の書籍に、リオタデザインからも数事例を提供させて頂いております。

○ しあわせ間取り図鑑 >> Amazonサイトへ
○ 犬のための家づくり >> Amazonサイトへ


エクスナレッジさんの場合、母体の「建築知識」という建築専門誌に掲載した特集内容に少し手を加えて書籍化するという流れが近年多いので、これらのために何か特別に協力をしたという感じは正直ないのですが、忘れた頃にやってくるのは天災だけではなく、こうした(ご褒美のような)書籍だったりもするということで…笑。

ちなみに、『しあわせ間取り図鑑』のほうには弊社の過去の住宅から「FILTER」「ひなたハウス」「TREEHOUSE」などの事例(間取り)をご紹介頂いています。どれも思い入れの大きい住宅ばかりです。

『犬のための家づくり』は過去の建築知識の特集号の再収録ですが、愛犬家の住宅である「竹林の家」から、いくつかの設計の工夫についてご紹介頂いています。愛犬家に愛猫家まで、、リオタデザインの建て主さんは皆さん個性豊かですね!

ご興味ある方は、書店にて手に取って頂けたら幸いです。


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sekimoto

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> AALTO
> 北欧



世界の果てまでイッテQ。フィンランドロケは珍しくないのですが、今回は思わず声をあげました。これはアールト大学(旧ヘルシンキ工科大学)の屋内体育館ですね?

もちろん設計は、アルヴァ・アールト。留学中もここには足を踏み入れたことはありませんでした。旅行者もまず足を運ぶことはありません。でも実は知る人ぞ知る名建築なんです。内部の映像はとても貴重だと思います。

ちょっと常識破りの木造大架構ですね。すげーなと、ちょっと家族とは違うところに食いついてしまいました。

以下は、SADIでもお世話になっている平山達先生のアーカイブページ。貴重なこの体育館の撮影動画が見られます。
https://hokuouzemi.exblog.jp/1900504/

19. 01 / 31

悪寒が

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sekimoto

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> 生活
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昨日の午後から少し身体が重くなった。最初は気のせいかな?気のせいにしよう、と気を張っていたものの、現場から帰る車の中では背中に悪寒も混じり、これはまずいかなと焦った。帰って計ると微熱がある。

きたか。インフルの言葉が頭をよぎる。まずい。

インフルエンザの恐怖というのは、その症状そのものではなく5日近く予定が飛んでしまうことにある。私のように、私がいないと何も決まらないような立場にいる者にとっては、業務が5日も滞ることは限りなく死亡フラグが立つことと等しい。

けれども私はツイていると思った。昨日までである種の仕事のヤマ場を越えており、週末に入っていた面談も直前でキャンセルが出ていた。ただ今日は現場調査や取材の立ち会いもある。絶対に私がいないといけないというわけではなかったけれど、あまり人には迷惑をかけたくない。


ということで昨晩は早めに上がると、9時には床についた。その時点で熱は38度、気合で一晩で熱を下げなくてはならない。しかし頭ではインフルの恐怖がぐるぐるまわる。

昨晩はつらかった。熱が出て、頭がぼんやりするというならそのまま熟睡もできそうだけれど、なぜか頭が冴えて悲鳴を上げるくらい頭が回転し続けていた。大学の講義が早送りで頭の中で鳴り響いている感じ。途中から意識が飛んで、目が覚めたときは朝かと思ったらわずか2時間しか経っていなかった。そんな感じで、何度目覚めても夜明けは果てしなく遠いのだった。

幸い、熱は朝にはだいぶ下がった。でもまだ微熱が残っていた。

とりあえず午前中の予定だけキャンセルして、病院に行くとインフルエンザではないという判定が。これには本当に安堵した。とりあえず解熱剤を飲んで、今日はほぼ通常通りの業務をこなした一日だった。

午後は「紫陽花の家」の取材があり、設計者として取材立ち会いもさせて頂いた。竣工後の取材というのは本当に楽しい。設計のプロセスを振り返って、当時は聞けなかった裏舞台の話や、私と出会う前の話などもいろいろ聞けて、ようやく伏線を回収できたようなそんな気分だった。

私と出会えたのが人生最大の幸運。そんなことを言われたら、風邪なんて一瞬で吹き飛んでしまう。そんなことで、まだ完全復活ではないですが、パワーチャージな一日でした。

すみません。オチも何もありませんが、たまにはこんなただの日記みたいなブログもいいでしょ?


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sekimoto

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> 大学
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日大理工1年生後期の授業は今日でおしまい。皆さまお疲れさまでした!

日大の非常勤講師に着任した11年前、この船橋校舎の一年生の前に登壇した日のことは今でも覚えています。テンパって何を話したかわからないということだけ…。

担当学年としては船橋の1年生が一番好きだったのですが、とうとうこのクラスが最後です。来期は任期の最後となり、おもに駿河台校舎の2年生を担当します。

学生時代からの思い出の詰まった船橋校舎とも今日でお別れ。
さすがにもう来ることはないだろうな…。

今日の特別授業は「先生の学生時代の話」。自分の学生時代を語りながら、あの頃を懐かしく思い出していました。ほかの先生方の話も最高に面白かった!

学生時代同級生だったJAMMSの仲條さんと非常勤をご一緒できたのも、良い巡り合わせでした。そして何より、今期も良いクラスに巡り会えた幸運に心から感謝します。みんな、ありがとう!

※集合写真はタイミングが悪くて、クラスの約半数になってしまいました。関本クラスは本当は全部で18名います。