
この春のオープンデスク、トップバッターは芝浦工大2年生の新村恵太くん。恵太くんは、実は我々が設計した住宅に住んでいます。つまりうちの建て主の息子さん。
彼が高校生の時に建ったその住宅は、彼にとって建築の原体験だったそうです。「建築家の設計した住宅で育った子は、建築家になりがち」あるあるです。彼はその後大学の建築学科へと進み、晴れてうちのオープンデスクへとやってきました。
オープンデスク中は現場に取材にと連れ回しましたが、どれも彼にとっては刺激に満ちた時間だったようです。毎日の設計エスキスで教えたことは、おそらく彼の住む家の設計において、我々が何を考えたかを知るヒントになったに違いありません。
恒例、最後のスタッフによる講評会も和気あいあいとして良い時間でした。最後はなかなか良い案になりました。恵太くん、一週間お疲れ様でした!

今日はスタッフを連れてTAGKENさんのオープンハウスへ。この写真だけでは伝わりにくいのですが、我々設計事務所と工務店設計という本質的な違いから生まれる細部の考え方や、素材の選び方などは大変刺激になり、また考えさせられました。
我々はその納まりの細部に至るまで「手間ヒマかけて」「手作りで」仕上げることを良しとします。安易に既製品を使うことにも後ろめたさがあります。
けれども、職人さんが減ってゆくこの時代、そして過去例のない価格高騰を引き金に、一般の方は我々に設計を頼めなくなる日がそこまで来ているんじゃないかという危機感の中、メーカーの既製品を使いながらも、卓越したセンスでそれをまとめあげる、そしておそらくは我々ともまったく引けを取らない顧客満足度を獲得しているであろうTAGKENさんの仕事には脅威を感じます。
そしてずば抜けたデジタル技術。以前から定評のあるTAGKENさんの3Dレンダリングの完成度の高さと、それを建て主と細部に至るまで共有する設計メソッドを聞いていると、ある程度デジタル社会に適応しているつもりの私も、実は絶滅危惧種の恐竜世代なんじゃないかとすら思えてきます。えげつない図面を描く、必要のない社会がすぐそこまで…。
私は下積み時代手描き図面を経験した最後の世代ですが、うちの事務所のスタッフは、下積み時代2Dだけで図面を描いた最後の世代になるに違いありません。
以前告知と終了後のレポートを書かせて頂きましたが、11月10日に開催しましたJIA住宅部会主催の中村拓志氏のオンラインセミナーについて、Youtubeの一般配信を開始しました。
もし見逃された方、また聞きたいという方は以下よりご視聴下さい!
URL: https://www.youtube.com/watch?v=vyjwBVmHSG4
もし見逃された方、また聞きたいという方は以下よりご視聴下さい!
URL: https://www.youtube.com/watch?v=vyjwBVmHSG4

先日の中村拓志さんセミナーでの進行メモ。
進行役(モデレーター)をお引き受けするときは、心の準備や相手の情報のインプットはある程度行いますが、当日話すことはいつも全くの白紙です。相手の話を聞きながら、どういう組み立てで進行するかめちゃくちゃ考えるのですが、たぶん視聴者の誰よりも私が相手の話を聞いていると思います。
一視聴者として参加するときも、質疑時間の時になにを聞こうかずっと考えています。全部で5~6個くらい考えて、一番質の高そうな質問をひとつ選ぶというトレーニングは、自身の質問力を高めてくれます。
先日はまだまだ質問し足りなかった!
特に中村拓志さんの建築に見えかくれする北欧建築に対する憧憬については是非聞きたかったのに、時間がなくて残念でした。

こちらのブログでも告知をしていましたが、一昨日はJIA住宅部会による中村拓志さんのオンラインセミナーがありました。事前登録では約380名ほどの登録者となり、当日参加者は290名ほどでしたが、盛況かつ大変内容の濃いセミナーになったと思います。
セミナー配信は建築家会館大ホールより、支部で購入した最新の配信機材を使った初のセミナーとなりました。住宅部会の中澤さんはじめ、多くのメンバーのノウハウを結集し、滞りなく終えることができたこと、この意味は大きいと思います。
また中村拓志さんのお話が素晴らしかった!スライドもため息をつくような美しさでした。その後のセッションでは、私がモデレータを務めましたが、日頃から聞いてみたかったあれこれを直接聞けて、また納得のゆく答えも頂くことができました。
このような企画のご提案を下さった、部会長の中村雅子さんにも心よりお礼申し上げます。ご参加下さった皆様、ありがとうございました。そして関係者の皆さま、お疲れさまでした!


